ホームに戻る > スレッド一覧 > 記事閲覧
[39] 書きだし固定、一時間小説祭
   
日時: 2015/09/12 00:07
名前: ポメロ ID:IyJYSuF6

○企画説明
 タイトルにもある通り、固定された書き出しから一時間で小説を書く試みです。
 参加者同士で読みあい、感想の書きあいもします。
 感想だけのご参加も大歓迎です。

○書き出し
 なんともやりきれない一日だった。(ラムジー・キャンベル『闇の孕み子』)

○ほか詳細
・一時間を過ぎても大丈夫
・未完でも大丈夫
・一言感想でも大丈夫(でも一作くらいは感想を書きましょう)
・字数制限なし

 どうぞお気軽にご参加ください。


○作品一覧
 >>01「俺は悔しい」さくっと様
 >>02「イマジナリーアイデン」ふうう様
 >>03「初夏。試合の日」しじま様
 >>04「アースガニア英雄譚序話」きさらぎ様
 >>05「関係ない」くづき様
 >>06「夜の底から脱け出せばいい」バーニング様
 >>07「酔生夢死」ポメロ
 >>08「終わらない創世記」みっかぼうず様
 >>09「弾丸ライナー」あきひと様
 >>10「無題」鳩様

○感想一覧
 >>11 ふうう様
 >>12,>>16 鳩様
 >>13 しじま様
 >>14 さくっと様
 >>15 ポメロ
 >>17 くづき様
 >>18 みっかぼうず様
メンテ

Page: 1 | 2 | 3 | 4 | 全部表示 スレッド一覧 新規スレッド作成

Re: 【開 催 中】 書きだし固定、一時間小説祭 ( No.14 )
   
日時: 2015/09/06 02:49
名前: さくっと ID:PWpoedAg

<感想>



ふうう様「イマジナリーアイデン」

細かい日常の人間関係の生々しさが伝わってきます。
もう美穂さんは、しょうがない人ですね。ただ、主人公も主人公で、こういうSNSの使い方して本末転倒だなって思いました。
本当にやりきれないですね。




しじま様「初夏。試合の日」

主人公とアキラの立ち位置の差がありありとしてていいですね。
前日から日記に、やるせない日になるであろうと書き込んでいる主人公より、明るく振る舞うアキラの方がある意味やるせないんですね。




きさらぎ様「アースガニア英雄譚序話」

え? これってトラックドライバーが異世界を冒険する壮大な物語の序曲じゃないんですかwwww



くづき様「関係ない」

八つ当たりってこういうことを言うんですかね。
自分が不運に見舞われているから、他人の傘を持っていくことくらい許されるという感覚。
責められるべきだけど、そうそう責められることではありませんね。業が深い。




バーニング様「夜の底から脱け出せばいい 」

って言われて抜け出せるなら苦労はないんですよね。
バランスを崩しかけている人物に、健全な人間の言葉は非常に届きづらい。ましてやこういう夜の底で崩れかけている男性に好き好んで近づく女性などいない。
彼はこれから孤独を加速させていくことでしょう。やるせないです。




ポメロ様「酔生夢死」

難解でも、その場に相応しい単語を挟み込んでおり、言葉に対する造詣が深いことは本当に尊敬します。
人物の行動は極めて世俗的なのに、まるで俗世から離れて解脱したかのような、静謐で神聖な雰囲気というか、浮遊感が素晴らしいです。




みっかぼうず様「終わらない創世記」

神さまも光も可愛らしくて和みました。ただし闇、テメーは駄目だw 
やっぱり世界は人間がいてナンボですねw




あきひと様「弾丸ライナー」

正攻法ですね。こちらも素直に読めて楽しめました。
やるせないというよりは、本当にこれからのゆきちゃんがお気の毒で(笑)。



鳩様

こういうオチでよかったです。最後転落させるより、転落させといて救い上げてくれる方が。
まあ、勅使河原氏がヘビーな引きこもりって事実は変わりないんでしょうけど。


最後に、主催して頂いたポメロ様、参加者の皆様、どうもありがとうございました!
楽しかったです!

メンテ
Re: 【開 催 中】 書きだし固定、一時間小説祭 ( No.15 )
   
日時: 2015/09/09 00:19
名前: ポメロ ID:S6fnXHvI

>>01「俺は悔しい」さくっと様
 『やりきれなさ』も『悔しさ』も、剥龍候とバンゴラ両者ともが持つ感情なのですね。自分でもよくわからないけど命令に背いてしまった剥龍候、人間に負けた上に自分を始末しに来た仲間に助けられたバンゴラ、どちらもどうしようもない思いを抱えてることで共通している。
 命令に振り回される立場ってつらいなあと思いながら読み進めて、最後で良い意味で笑いました。まあそのうち治ったとしても負けたことや部下を殺されたことや命乞いした事実は変わらないから悔しいのは当たり前なんでしょうけど、直接その場にはいなかった剥龍候にとってはやはり他人事だしで、脱力するのも無理ないですね。
 読み終わってからふと、戦時での焦燥と熱狂ぶりに反して、負けたときの虚脱感と「これからの生活どうしよう」という不安感が、なんだか太平洋戦争時の日本みたいだなあと思いました(いや当時産まれてないので聞き伝えでの印象に過ぎませんけども)。

>>02「イマジナリーアイデン」ふうう様
 某SNS…自分は割と好き勝手に書きこむ方なのですが、流れてくる情報を見る限りだと監視や牽制や名指ししない陰口や自虐風自慢やらで大変なところは大変そうなツールのようですね。
 何気ない投稿内容の裏に隠された言葉やテクニックを見るにつけ、自分から生きにくい状態を作ってるなあと思うのですが、作中の「主語がない言葉は恋人のことを表しています。と、後世ではいわれるのだろうか」でそういえば昔から媒体は違えど似たようなことやってたことに思い至り、わざわざ生きづらいよう生きるのが人間の習性なのかもしれないと考えこみました。
 自信がないから率先して他者を批判するのとか、角を立てないように振る舞ってる人を「自分がない」と勘違いして批難するのとか、ものすごくリアリティがありました。そういう人物を忌み嫌いながらも完全には突き放さずのらくらとやり過ごしている『私』もまた。SNSにキラキラした"現実"を投稿する部屋では生ごみのにおいが漂っている。わざわざ字にしなくとも、ものすごくやるせなさを感じました。淡々とした語り口なのが余計につらいですね…。

>>03「初夏。試合の日」しじま様
 空気感というのか、高校生の夏に感じたものがそのまま文章に落とし込まれているがごとく画面からひたひたと迫るような息吹がありました。高校生の目を通した世界、というのがよく映し出されているからだと思います。他校の生徒を遠くから見るだけで近寄りたがらないとか、どことなくテンションの高さについていけないメンバーとか、すごく思春期の頃の感覚でした。少なくとも自分には覚えのあるもので、だからこそ全然馴染のなかった部活動でも身近な題材として読むことができました。
 気息に満ちたアキラと他メンバーとの差異が心苦しいです。このチームの状況は誰が悪いわけでもない。でも大会出場できない事実に変わりはない。「相手の学校が顧問の引率のもとだらだらと歩いていた。だらだらと二列で歩いていた」という何気ない文章からでさえ、現状の不満というかやりきれなさが伝わってきます。メンバー不足のチームの一方で、部員があり余っているようなチームがある。恵まれているからこそそれを当たり前だと思って「だらだら」する余裕がある。色んなところにそういった対比が盛り込まれていて、うまいなあと思いました。
 最後の段落が切ないです。夏のにおいが香ってくるような素敵な作品でした。

>>04「アースガニア英雄譚序話」きさらぎ様
 すごく面白い…! 「やりきれない」という文をこうまでひねってくるとは。そして短い登場期間なのにキャラクターがとても立っていて、良い人ばかりなんですよね。最初の学生は自分を轢いたトラック運転手に同情的だし、科学者は若干マッドだけど知らない子供を無償で助けてるし、トラック運転手もまあ信号無視しちゃったとはいえ轢いてしまった学生に悔いている。事故が起きなければまったく接点がないような三人が色んなこじれ方をして異世界で再会する…という前振りがめちゃくちゃ期待できるんですけど。これ続きますよね?(無茶振り) あと女子高生をオチに持ってくるのは反則です、やりきれなかった三人と違ってやりきったとか誰がうまいこと書けと…。
 昨今流行らしい転生モノを持ってくるところも笑いました。実のところ転生モノの良さが全然わからないのですが、このお話はかなり切実に読みたいですね。明確に異世界入りした山田と違い、学生と科学者がどうやって異世界を救うことになるのかも気になります。

>>05「関係ない」くづき様
 面と向かった人には不平不満をぶつけられずいい人ぶってしまうのに、誰かもわからぬ傘の持ち主には迷惑をかけて悪びれない、どころか持ち主のであろう煙草のにおいに舌打ちするような隠しきれぬ性格の悪さ。うまいですねえ。タイトルの「関係ない」も含めて『ゲンダイジン』って感じです。ただゲンダイジンなら六駅も乗り継ぐような場所に行く前に事前に連絡入れて確認することくらいしてもいいんじゃない、と思い、その辺りがこの物語の主人公たる所以なのだなあとも思いました。結局自分で自分を貶めて生きているという。自分から生きづらく生きてるなあと。誰とも知らない傘を取ることも巡り巡ってつけを払わされることになる…と思うのはやや宗教的に過ぎますが。
 やりきれないと感じているのはまぎれもなく本物ですけれど、己が憂鬱さに浸ることを優先するあまり、顔も知らぬ他者を他者とも思わず横暴に振る舞うのはよくあることで、どうにも間々ならないですね。この図鑑の件のように自分や周りに何の落ち度がなくとも不運に見舞われるということが結構ありがちなので、いざそのときには気を付けたいものだと思いました。

>>06「夜の底から脱け出せばいい」バーニング様
 タイトルが好きです。というのも自分もいま夜の底から抜け出せる気がしないからです。いつまでも明けない夜の底でじっととぐろを巻いていたい…朝が来てほしくない…でも起きていようが寝ていようが朝は必ず来るものなので、沈んだ気持ちを何とか浮上させなければならない。抜け出せばいい、とはいいますが精神が制御できなければ肉体も素直にならず、結局頭のなかは現実逃避のままなんですよね…。
 安心を求める心の逃げ道が「彼女」なのだろうとは思いますが、実のところセックスよりも会話に依存しているのだと見受けます。人間が一番ストレスを感じる要素は孤独だといいますが、恋人との円滑なコミュニケーションが困難になった主人公にとって、明確な約束も義理も言い訳も必要ない存在が必要であり、しかし誰でもいいわけではなく生身の人間だと感じられて、ある程度会話ができる(愚痴や弱音を打ち明けられる)相手でなければならない、それが「彼女」なのだろうなと。ただ恋人への不貞(死語)なのは逃れようもない事実だし、他に安定剤作ってまで関係を続けることは健全なのかなあとか。
 ただ(一時間待たされた上に恋人が上の空とはいえ)奈月の言い方にもかなり枳棘があるし昼食のこととか聞かずに映画に行こうと断言する辺り、まあ叫びたくなる心もわからなくはないなと思いました。

>>07「酔生夢死」自作
 何が書きたいのかわからんまま書き進めて結局何が書きたかったのかわからないまま終わりました。

>>08「終わらない創世記」みっかぼうず様
 こうくるか、と思いました。「やりきれない」を憂鬱といった意味合いでなく、課題をやり遂げることができないといった意味で用いているのですねえ…。世界創造の日にちなども含めてすごいアイデア作品だと思います。こういった作風は予想だにしていませんでした。
 旧約聖書の通り光と闇を分けたところで投げたとしたら、人間の創造まではあと五日も仕事しなきゃいけないわけで、そこに至るまでの仕事も中々大変そうですが、六日目の仕事って読む限りだとめちゃくちゃ多いんですよね…字にして八行もあるし。運よく六日目まで辿りついたとしてもこの神様だと途中で投げる未来しか見えないんですが…まあ動物だけしかいない世界だけの方が問題は少なさそうだからあえて五日目で打ち止めにしとく方が後害がなくていいかもしれません。
 ふと思ったのですが元ネタでは神が仕事した六日と最後に休んだ一日とを記念して一週間ができたという話なので、この世界の一週間は七日でなく何十日にも渡るものになるかもしれませんね。もしこの神が季節の創造をめんどくさがったら一年の境さえ曖昧なものになるかもしれない…何かを作るときはきちんと基礎となる土台を作り込まないといけないのだなとあらためてわかりました。

>>09「弾丸ライナー」あきひと様
 途中まではゆきちゃんも親友の想い人が好きなのかなとか、ふくよかで猪突猛進(物理)だから振られたのかなと思っていたら見事に騙されました。同時にその年齢で校内で同性好きってカミングアウトしてるって勇気あるね!? と無駄に感心してみたり。ゆきちゃん含めた周りの友人がいい人ばかりなんでしょうね。ゆきちゃんの反応を見る限り親友とは思っていても恋愛面では脈なしのようで、まあそういうものだろうなと思います。仮に異性に置き換えたとしても、親友としての付き合いと恋人としての付き合いは別物ですからね。
 最初と最後で『やりきれなさ』が変じているのも興味深いです。冒頭は「親友のため自分から積極的に準備を請け負ったけど、失敗が目に見えているから」であり、後者は「いい加減にしろよこいつ」というニュアンスであり、親友が大事なことには変わりないけれどそれはそれとして徒労感はあるという。失恋時の気の迷いとして「○○ちゃんが付き合ってくれたらいいのに〜」という女子は実際にいますが、実際にありえないからこそ言うわけであって、実際に言われたら実際反応に困るんだなあと実際思いました(実際)

>>10「無題」鳩様
 これも最近のネット小説の流行が題材ですね。自分はいわゆる俺TUEEE系の作品は興味がないですし、しかも作者の自己投影が見えるとくるとSNSじゃないですがその裏を想像してしまってもう生理的に無理なんですが、暗く冷たい世界を忘れるため、現実で手に入らないものを得たと錯覚するため想像の世界にダイブするのは昔からありますし、単にモチーフと表現方法が変わっただけで本質は何も変わっていないのだろうとは思います。別に自分が好きでやってることなら何をやってもいいと思いますけど、彼のように実在の他人に迷惑をかけるのだけは駄目ですね。
 色々な世界を創造して画面の向こうに流していく、といった表現は面白かったですし、それをうまく絡めた展開も中々に見ごたえがありました。前座のない唐突な暴力描写が入ると大抵の読者が「妄想オチか」と思うものですが、バグったような文字表現とその後の何事もなかったような国継、そしてまたループしていくというスタイルがどことなく映画『インセプション』を想起させ、はたしてさっきのは妄想だったのか、いまは現実なのか、その境目がわからず不気味でぞっとするような感じがありました。面白かったです。


○総評
 「やりきれない一日」というものが何であったかを丁寧に描いているものもあれば、話を展開させる単なるフックとして用いているものもあり、視点が作者さんごとに異なっていて面白かったです。
 惜しむらくは負の感情が滲み出る文をお題にしてしまったせいで、必然的に暗めの作風を強要するようなかたちになってしまったことです。申し訳ありませんでした。ただそうした扱いづらいなかでも、きさらぎ様やみっかぼうず様のようにアイデア勝負で暗さを吹き飛ばすような作品もあり、やはり書き方次第で変わると大変勉強になりました。

 今回突発的に開催いたしましたが、予想を超える盛況ぶりでとても驚くと共に嬉しくありました。
 あらためてさくっと様、ふうう様、しじま様、きさらぎ様、くづき様、バーニング様、みっかぼうず様、あきひと様、鳩様、ご参加ありがとうございました。
メンテ
Re: 【開 催 中】 書きだし固定、一時間小説祭 ( No.16 )
   
日時: 2015/09/06 08:59
名前: 鳩◆ff4SIcWqA2 ID:wsKCxT0Q


>>07 「酔生夢死」 ポメロ様
まず、今回はこのような素敵な企画を、ありがとうございましたm(_ _)m
色んな方の作品を見て楽しむだけでなく、同じ書きだし、かつ短い時間であっても、ここまで異なった沢山の世界を創り上げられるものなのだな、と改めて感じました!
読んで楽しむと同時に、沢山のことを学べる良い機会になりました!

そして、ここからは感想になるのですが......
どこか懐かしく、哀愁漂う表現にドキドキしつつ、読み進めました。
太宰治を彷彿とさせるような重厚な描写、独特な擬音に目を引かれました。
この旅館の近くには、いわゆる死の名所があったのだろうかと想像します。
はじめこの男も、そこへ身を投じようと思っていたが、何らか思い残すことがあり躊躇、それを感じ取った女があのような問いかけをしたのかと思いました。
何度も死を考えるも、何故かそこに辿り着けない、葛藤を繰り返し、それを果たすために、この場所でやるせない日々を送っていくのだろうかと、少し切ない気持ちになりながら読んでおりました…。
前述の作品と同じく死をテーマに扱っていても、ここまで違う展開、
視点、表現が広がることに、とてもわくわくしました

>>08 「終わらない創世記」 みっかぼうず様
一見ギャグを絡めたコミカルな作品かと思いきや、もしもこうして世界が生まれていなかったら…と、その後を深く考えさせられる作品でありました。
現代社会の人々の葛藤にも当てはまるような(善と悪の自分の葛藤)のような光と闇のかけ合いは、少し胸がチリチリとしました。こうしなきゃ、でもやりたくない…といった風に。
日々の怠惰な部分を改め、気を引き締めなければと、考えを改めさせられました

>>09 「弾丸ライナー」 あきひと様
友人に協力しつつも、心中では失敗を望むような、どこか楽しんでいるような姿に見えました。
けっこう現実にこういうことってあるなぁ、と思いました。もしもゆきちゃんの告白がいつか成功してしまったならば、主人公はかなりの虚無感に襲われてしまうような気もしますが…。
同性愛をテーマに扱うと、とてもせつなく、想いのほとんどは報われず、胸が締め付けられるような作品が多く感じますが、人のブラックな一面もちらつかせつつ、やるせない日常の一コマとして完成していることが面白かったです。
告白がうまくいかずとも、まためげずに恋をするんだろうなぁと感じさせる、ゆきちゃんの性格がそう思わせるのかも知れません。


二回に分かれてしまいすみません。
どの作品も読み応えがあり楽しかったです!
素敵な企画にただただ感謝感謝です!
メンテ
Re: 【開 催 中】 書きだし固定、一時間小説祭 ( No.17 )
   
日時: 2015/09/07 00:23
名前: くづき ID:mwAB4ZcE

〇「俺は悔しい」さくっと様
 台詞と物語運びの勢いで魅せてくる作品に弱いです。それだけに、後半で一気に沈んでいくところが可笑しいです。勇者や魔王の側から描くのもそれはそれでいいのですが、こういったちょっとずれた場所からのものも楽しいですね。魔王のテンプレートな台詞が直球で描かれているのも、この視点だとシュールで笑いを誘います。

〇「イマジナリーアイデン」ふうう様
 とても生々しいですね。中身ねーな、と岸田美穂が呟いたように、何気ない演習発表のエピソードとSNS的な要素が綿密に重なっているのが巧く、ピザが前半と後半で繰り返し登場するのも効果的で、やるせなさに近い、閉塞感のようなものを受けとりました。

〇「初夏。試合の日」しじま様
 この書き出しはすでに終わった一日を回想するかたちで使うのが一般的かなと思いましたが、いきなりそれを裏切ってきたのが印象的で、未来のことを最初からやりきれないとしてしまっているところに、絶妙な寂しさがあると思います。

〇「アースガニア英雄譚序話」きさらぎ様
 理屈抜きで面白く読みました。枝分かれした三人それぞれのエピソードを取り出してみてもくすくす笑えるというのに、それが一つに収束する、このどうしようもなくぶっ飛んだ可笑しさが好きでした。娘の部分が、書き出しとは相反したものなのも味わい深いです。

〇「夜の底から脱け出せばいい」バーニング様
 例えば朝食の描写、煙草の描写のように、あるいはシャツを脱いだり書店にただ向かったりするように、ルーティンや何でもない行為の描写に枚数を割くような小説が好きなのですが、この作品もそういったところが多く、しかし意識的というよりさらりとした手触りで書いてらっしゃるのが凄いなと思いました。

〇「酔生夢死」ポメロ様
 「生き足りませぬか」「それとも死に足りませぬか」の台詞は、本当にはっとさせられます。妖艶な女は、鏡花的な超越者かと思いきや酒豪、というところで油断をしていましたが、酩酊感にずばりと挿入される鋭さに、一気に物語の温度が様変わりするような、そんな印象を受けました。最後の一文に惚れ惚れします。

〇「終わらない創世記」みっかぼうず様
 素晴らしい神様ですね、ぜひ月土日日日日日を実現させてほしいですが、しかし人間も生まれていないとは。

〇「弾丸ライナー」あきひと様
 不意打ちでしたが、しかしそれほど騙されたような感覚がなかったのは、初めから思い人の情報が伏せられがちだったからでしょうか。むしろゆきちゃんの複雑な心境が気になって、ぜひ続きが読みたいと思いました。それはそれとして、個人的には付き合えばよいと思いました。

〇「無題」鳩様
 とんでもない結末になる予感がしていたところに、まったく別の角度からとんでもない結末を用意した、というひっくり返し方が面白かったです。しかし、ひっくり返しても状況はどん詰まり、という皮肉なところもまた面白いと思いました。


 皆様、おつかれさまでした。楽しかったです。素敵な企画をありがとうございました。
メンテ
Re: 書きだし固定、一時間小説祭 ( No.18 )
   
日時: 2015/09/10 17:06
名前: みっかぼうず ID:5F30prmE

 感想がだいぶ遅くなってしまって申し訳ありません。
 楽しい企画をありがとうございました!


>>01「俺は悔しい」さくっと様
 最後の「いや、それとこれとは別」が好きでした。このコンビのなんともいえないボケっぷりがたまらない。魔王や四天王より一段劣るクラスっていうのが微妙な小物臭を出していていいですね。二人の掛け合いをもっと見たいです。剥龍候さんは黒髪の、美形とまではいかなくともそこそこの顔立ちの男性だといいなあと思いました。顔に苦労って書いてありそうな。

>>02「イマジナリーアイデン」ふうう様
 こういう世界もあるところにはあるみたいですね。そういう世界と縁がなくてよかったと思う作品でした。作者さまはそうも言っていられないんだろうなあと思うくらいに、イヤーな感じがリアルに描かれていました。端から見ているとそんな人たちとつるまなければいいのに、すごく狭い世界だなあと思うのですが、当人にとってはなかなか変えられないものですよね。
 「自分がない」のくだりに古傷が痛みます。岸田美穂なところ、あるかも。嫌だなあ。
 凜子ちゃんはとても生きづらそうだなあと思いました。岸田美穂も。もしかしたら類友なのかもしれませんね。SNSを見るたびに負の感情が湧くような日々から二人が抜け出せることをただただ祈っています。

>>03「初夏。試合の日」しじま様
 初夏を想起させるさわやかな文体が素敵だなあと感じました。情景だけでなく匂いとか音とか、浮かび上がってくるものがあります。まるでこれから夏休みがやってくるかのような気持ちになりました。さわやかなだけじゃない、熱くて苦くて複雑な青春の1ページ。 

>>04「アースガニア英雄譚序話」きさらぎ様
 電車の中で読んでニヤニヤする危ない人になってしまいました。作品のおもしろさも、ですが、まとまりがすごい。ストレスなくすっと最初から最後まで読めました。
 オチが最高。お題の「やりきれない」からの「やりきった人生」がガッチリと決まって、とてもよかったです。
 山田誠司が転生先で黒髪美形青年や美少年になったとしても、中身がくたびれた臭そうなおっさんかあ…と思うと萌えは吹っ飛んでいきそうです。それでも、三人が集合してドタバタやる話を期待せずにはいられません。たぶんきっと、バトルサイボーグ推し。

>>05「関係ない」くづき様
 なんともやりきれない気分になる作品でした。雨が、他人の傘を勝手に持ち去る「私」の思考が、やりきれなさをうまく表現していていいなあと思います。たまたま一本残っていた傘のハズレを引いた感じがよく効いていて最高。読後感の悪さが、お題の「なんともやりきれない」にぴったり合っていました。

>>06「夜の底から脱け出せばいい」バーニング様
 はたして夜の底から脱け出せるのか……。読んだ後、なんともやりきれない感じの残るお話でした。語り手はこのままだとだめかもしれない。
 描写が自然で好きです。都会の、頭のいい学校のにおいを感じました。自分とは無縁な世界なので完全に勝手なイメージですが……。

>>07「酔生夢死」ポメロ様
 文章のリズムがいいなあと思いました。難しい言葉(というよりも知らない、見たことがない言葉)が混じっていても心地よく読めてしまうところがすごい。ただ、お題の一文が他の文とは文体が異なり、ちょっとだけ浮いてしまっているかなあとも感じました。もし一から書かれるとしたら、この言葉選びはしないのではないか、と勝手ながら思いました。
 「生き足りませぬか」の空気がとてもすばらしかったです。小説っていいなあと思いました。

>>08「終わらない創世記」みっかぼうず
 神なのに三日坊主かよ!っていうネタがやりたかっただけの。そこまで辿りつくまえに力尽きました。もっといろいろ書けそうな題材をろくに調理せずテキトーに出してしまった感じ。

>>09「弾丸ライナー」あきひと様
 さちちゃんはもう少し傾向と対策を……。いや、そこまで本気ではないのかもしれない。若気の至りのファッション同性愛なのか、それともゆきちゃんの気をひきたいからか。後者だとしたら、すごく重いなあと思います。さちちゃんにとっては本気の恋愛だし、ゆきちゃんにとっては彼女が異性愛者であれば困る話で、同性愛者であれば「同性愛をカミングアウトし、異性愛者に告白する騒ぎを起こす」ことがそもそも迷惑な話で。二人の関係をあれこれ想像せずにはいられないお話でした。楽しかったです。

>>10「無題」鳩様
 転からの「ひとつの世界を手放した」がとてもよかったです。おもしろかったです。
 ホラーかと思ってびくびくしながら読みはじめました。ホラーじゃないけれど、なんともいえない恐ろしさを感じるお話でした。最後の「暗い部屋の中で一人」のせいかもしれない。
メンテ

Page: 1 | 2 | 3 | 4 | 全部表示 スレッド一覧 新規スレッド作成

題名 スレッドをトップへソート
名前
パスワード (記事メンテ時に使用)
コメント

   クッキー保存