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[17] かみさまになるということ。【ノーマル板へ名前を変えて転移】
日時: 2011/08/19 10:44
名前: peco+ ID:GzYH49a6

 ――痛みの闇から目が覚めたとき、僕は神様の……になりました。

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かみさまになるということ。 ( No.1 )
日時: 2011/06/12 22:15
名前: peco+ ID:O7HSy5CU

 ――女みてぇ……てか普通の女子よりよくね? 俺ちょっと犯してくるわ。
 男たらしきめぇんだよ。男のくせに。

 油性ペンで罵倒の言葉が書かれた机の上に不自然に置かれた花瓶の花。人間は容姿は綺麗でも気持ち悪くても、人間ってすごい醜くくて、悲惨で、残酷で、無邪気で……悪く言えば、死んでも良い動物。


  1-0 首吊り天使、神様


「目、覚めたか?」
 不思議と心地の良い低い声が聞こえる。思わず「後五分」と言ってしまったが、低い声の主を僕は知らない、というか、朝ってこんな明るいっけ? カーテン、カーテン……頭上にあるはずのカーテンがない、つまり自分の部屋ではない……のかな、うっ、なんか記憶が曖昧だけど、なんだろう……頭痛い。
「俺はお前の親じゃねぇよ……起きないと神様おこっちゃうぞー、がおー」
 きっと、いま僕が起きていたら萌えるのだろうか……ないわ、似合うのは神尾さんぐらいだよ。がお……。
「って、ぐっ――」
 布団を引っ張りあげられ、中に居た自分は地面に仰向け落ちる。いつつ……あれ? そこまで痛くはない?
 しかし、すぐに背中に痛みが発生する……いや、背中自体が痛い、わけではないけど……ん? あれ? 正確には何か動くものが……? 上半身を起こし、背中を目視する。
「羽……と三本の黒い、手、触手? ――ッ!」
 いつもと違った今日、いつもと違った朝、いつもと違った体の構造。そして、昨日の"死んだ"記憶。
 僕はきっと、天使になってしまったのだろうか? それとも、もともと天使で今までのことは悪い夢、だったのかもしれない。いや、そうであってほしい……あんな夢もう二度とみたくない。
「とりあえず、起きたな?」
 ぬいっと、音を立てるかのように神様、という青年が視界に入って来る。美青年、とはよく言ったもので美しく、しかしカッコいい容姿の青年が僕の視界をジャックしたのだ。
「……えと……がお……?」
「あいさつは?」
 思わず下を向いた僕の視界にまたまた無理やり入って来た。そして、顔に似合わないへの字の口にタバコが見える。――そして、僕は言葉を放つ。
「……こん、にちわ?」
「はぁ? 聞こえないんだけど」
 ……氏ね! 馬鹿、アホ。
「こ、こん、にちわ!」
 視界の中の青年は口の角を九十度ほど上げ、笑って見せてくれた。アイツらとは違う。なにもかも違う。何もかも。……この人は多分いい人だろう、怖いけど。
「で、首元のソレ、は一応見ておかなくて、大丈夫か?」
 ――大丈夫だ、問題ない。
 そう言われ、首に手をやる。ふと、自分の手を見ると色白九、薄く見えた。やっぱり、天使だったのか、それとも幽霊なのか。どっちでもいい、今はあのことが夢だったのではないかという結論に辿りついていない疑問が生まれただけで嬉しい。
 ――じゃり
 ……縄? ん? 縄?
 そんな僕を見て、神様という青年は、笑顔のまま。
「お前、首吊って死んだだろ?」
 青年の笑顔は、忌まわしいほど綺麗で、そして死んだ記憶が鮮明に、斬新に、自分の頭で再生される。
 自分の体から排泄物がでてくる。それも鮮明に鮮明に、まるで自分じゃない誰かが見ていたかのような視点で、永遠と続く。
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かみさまになるということ。 ( No.2 )
日時: 2011/06/25 19:31
名前: peco+ ID:PJNs0rEY

 そういえば、なんでイジめられたん、だっけ?
 まぁいっか……死んじゃったんだから。――でも、あの子は優しかったな。
 ――大丈夫? 血が出てるよ? ハンカチ、いる?
 顔はよく思い出せないけど、あの子はとっても優しかった。まるで、神様のように。そんな男の子だった。


  1-1 天使、吐き気、バケツと水


「うぷっ」
 思わず、吐き気をもようしてしまう。手で口を塞ぎ、ただ広い白い靄の上になにかないかと探す。あるのはさっきまで寝ていた布団、机、パソコンぐらいだった。自分の死に様で吐き気をもよおすのもおかしいが、このあたりの物の無さは異常だ……。そういえば、神様はパソコンで一体何をお調べになっているんでしょうか? おい、神話wiki調べてるのかよ、中二かよ……というか把握してなよ……。というツッコミも今の状態では吐きながらしか出来ない、と思い、飲み込む。汚いけども……しかし、吐き気が収まってよかった。あるいみ、神様のおかげで忘れられたな、神話wikiもありがとう。
 ――あ、そういえば
「ここは何もないんですか?」
 疑問に思ったことを言葉に紡ぐ。吐き気は無くなったが、すこし気分が悪い。――ふぅっと深呼吸をしながら、神様――神様なのだろうか?――に聞く。
「いや、俺が思えばなんでもでてくるよ今は必要ないからしまってるだけ、あと、吐瀉物の掃除はしたくないからな」
 ――嘘つけ。
 最後の言葉は、まぁ仕方ない、とは思うけどなんでもでてくるって……あと、神様のなんでもアリなチート使いっていうのもちょっと面白くないよね……。
「嘘だとおもったねー、お兄さん本気だしちゃうぞー」
「心を読まれているっ」
 思わず、声を上げてしまうがよく考えればみんな最初はそう思うだろう。いや、思う。
「神様ハ、心読術をみんな心得ているのダヨー」
 はっはっは、と外人のような笑いを浮かべながら神様は両手で円をつくる。そして何かを唱えながら、息を吹きかける。すると、手の円の中に少しずつ小さな球体ができてくる。
 ――しかし、心読むなんて……悪趣味だなぁ、神様。いや、神様は悪人と善人を見分ける、っていうからいいのかな? ……いいや、深く考えずにいよう。
「そこの首吊り天使、何が欲しい?」
「えっ……首吊り? 天使?」
「首吊って、天使になってんだろ? それじゃあ今からお前は首吊り天使。あと俺のことは神様でいいからな」
 ――首吊り天使……そういえば前世の記憶が曖昧で自分の名前さえ思い出せない……うぅ、首吊り天使……天使だけでいいよ。そういえば、欲しいもの、だっけ? ……薬、っていってもちょっと怖いから吐いても大丈夫なように、
「水とバケツ、お願いします神様」
「おうーまかせとけー」
 と、いかにも任せられない低い声を出して、神様は手に力を込める。球体は白い輝きを放ちながら、形がグニャグニャと変わっていく。
「ふんっ!」
 小さな破裂音がして、すぐに物が落ちる音がする。破裂にびっくりしてまぶたを閉じてしまったが、再び目を開けると――お、おぉ!
「水とバケツ!」
 白い靄が視界を悪くしているも、確かにペットボトルに入った水と銀色の鉄のバケツが姿を表している。
「これが、神様の力だ」
 ふふん、と鼻息を荒くして長身の身体を大きく見せるように、仁王立ちでバケツと水を見せつける。
 ――子供、みたいだ。
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かみさまになるということ。 ( No.3 )
日時: 2011/06/30 14:18
名前: peco+ ID:llEk9zJc

 そして、彼はいつの間にか引っ越していた。
 それが、最初で最後の喪失感。


  1-2 蓮、クローン、白い花。

「「「ようこそ、地上へと続く門。ホワイトブルームへ」」」
 何人もの天使の羽を持っている女性が一斉に声をあげる。
 ――ここは、僕の仕事場へ通うための電車? のような場所である。仕事、といっても別に難しい、ってことはないらしいが……本当だろうか?

 それは、昨日に遡る。いや、正確には死後の世界には時間設定は無い。
「お前、いつもそうやって寝ているつもりか?」
 こたつの中に一人寝っ転がっている少年、通称首吊り天使は一人でテレビを見ていた。
 全て神の想像物、ではなく出したものなので、いつの時代のテレビ番組もやっている。
「神様さー、このアナログ、とか地デジじゃなくて――っていう表示なんなの?」
「地デジの後に出るタワーの配信元の名前、というか人の話しを聞け」
 可愛い洋服を着ている美少女が悪人と戦っている番組が沈黙のなかで騒ぎ立てている。
 ――いつの時代も、人気だなぁ……美少女もの。
「おまえ思いっきりこの沈黙にも疑問持たずにアニメの感想言ってただろう」
「言ってないよ、馬鹿」
 ――さすがに神様、ぐだぐだしている僕を仕事にでもいかせるつもりだろうか? しかし、ここに来てから一ヶ月くらい経つけど眠気もお腹も減らないなぁ……。というか欲が無くなった感がある。
「まぁ、そりゃあなここは死後の世界だし、それにお前ここに来たとき吐き気はしたけど別に吐かなかっただろう? あれも全部無にしてんだよ」
 そういいながら、少し考える顔をして、少年へと目を向ける。
 白い歯を見せながら、神様は、こう言った。
「お前、仕事してこい」
「は?」

 ――そして、今にいたる。今思えばあの――っていうのは地デジのあとなのだろうか、それともあとのあとなのだろうか。
 どうでもいいことを考えながら、周りに広がる白い蓮の花へと目を向ける。
 ――蓮コラとかのあの蓮はないのか、よかった。
 蓮の通り道を抜け、光が眩しく光る場所へといつのまにか移っていた。
「……でっかい、蓮の花」
 ホワイトブルーム。白い花。それは蓮の花がさく道。ではなく、大きな蓮の花が地上への入口となった。最初で最後の死後の世界と地上をつなぐ道。製作者はあの神様らしい。
「あや、貴方ははじめのご様子。説明をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
 蓮の花に見とれている間に最初の場所にいた女性が話しかける。
 ――あれ? 俺より後ろにいたよな、というか受付みたいな人じゃないのか?
「そちらに関してのご説明ですが簡潔に申し上げますが、私たちは神様によって作られた存在です。なので、みな同じ顔をしている……そうですね、ゲームでいえばNPCといいますか」
「また……悟られた!? ももも、もしかして、僕はサトラレだったのか!?」
 少年は再び心を読まれてしまったショックで思わず大きな声をだしてしまう。
 ――多分同じ職の天使が何人かこちらに振り向いたが、気にしないでおこう……と思ってもこの声はサトラレている。ってなるんですね、わかります。
「いえ、私たちは神様と同じ構造なので……けして漫画のサトラレや映画のサトラレとは違います。」
 女性は小悪魔のような笑みを浮かべ、ひとつ頭を下げる。
 ――また、か……くそう、まるで僕は馬鹿じゃないか! それにしてもこの人神様みたいに性格が悪いのな……。
「はい」
 そういって、女性は再び笑みを浮かべる。
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かみさまになるということ。 ( No.4 )
日時: 2011/06/30 15:00
名前: peco+ ID:llEk9zJc


 綺麗な海を見ても。
 汚い人を見ても。
 なにも感じられない。面白くもない。


  1-3 鬱だ、死にたい、アホ神様。

 少年は大きな蓮の近くまでやってきた。
 そして、女性と神様が言っていた通り、呪文を唱える。
「スデカバ、デホア、ハシタワ、テイキナンミ!」
「ハイハイ、アホ乙」
 大きな呪文を唱えた後、神様が大きな蓮の花の上に立っていた。
 ――何故現れたのかはまぁ置いておくとして、いきなりなぜ馬鹿呼ばわり? また騙されたの? 僕。
「……なんか可哀想になるからネタばらししていい?」
 眉をひそめ、静かにとうが少年は首を横に振る。
「ま、まって……気づく! がんばって気づく」
「なんで無駄なところでかわいいんだよお前」
 皮肉じみた言葉を吐かれたが少年は一切気にせずなんとか思い出そうとする。
 ――どこか……おかしいところ? ……まさか、あの女性実はクローンじゃないんじゃ!
「はずれ」
 ――心を読んでいる時点でお前こそ少しは恥ずれ。
「だれがうまいこといえつったよ」
「うるさいなぁ……もうちょっと静かにしてよ、考えてるんだから……ばか、あほ」
 ――馬鹿? アホ……?
 ――ばか、あほ
 少年は綺麗に生えている蓮の花を一つ取り、青年へと投げつける。
「お? わかったのか!」
 目を輝かせる神様とは裏腹に、首吊り天使は静かに一歩、一歩確実に神様へと近づく。
 少年は殺気をまるで身にまとっているかのように思わせるほど、暗い。まるで恐怖の化身が現れたのかというほど少年のまわりの空気は歪んでいく。
「……許すまじ……殺す……確実に」
 とつぶやきながら自分の首を縛るロープを操り、上手な輪が完成する。
 そして、ゆっくりと神様の首元を狙いながら直進、直進。
「ちょ……ま……タンマ」
「玉も握りつぶしてやんよ……」
「あ、いや……違うんですが、ちょ、やめ」
 その一方、受付嬢はまるで天使のような笑顔で神様の姿を見ていた。
「ちょ、助け……くっ! もうこれを使うしかないのか!」
 頭を掻きむしり、神様は両手を合せ、前へ突き出す。
「汝を移動せんと望むは我! 人間界へいってこい!」
「コロ――」
 青年は言葉を紡ぐと同時に少年は不思議な光りに包まれ、消える。
 それを見ていた天使達は、神様だ。と理解するが……少年が殺気を感じさせていたせいか近づく気になれなかった。
 そして、受付嬢が口を開く。
「いつも思ってたけど、なんでそんな子供みたいな魔法の言葉なんですか?」
「……中二のとき、……作ったから」
 そうつぶやき、神様はほほを掻き、受付嬢に見下される。
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