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[2308] 嫌いな人はだあれ?
   
日時: 2014/05/30 20:35
名前: ミーシャ◆iAyR10Ceps ID:ESRhV46M

傍観者は言った。
自分の思いに従った結果を、私の前に見せてみよ。と。







というわけで、初めまして。
ここで、小説を書かせてもらうことにしました。
皆様は上手に小説を書くので、私の小説が塵に見えるかもしれませんが・・・頑張ります。

■自己紹介■
・基本はオタク
・そんでもって腐女子
・羞恥心0
・どんくさい

本編↓
・門之城中学校3年4組 クラス名簿>>1

・プロローグ >>2

・崩壊編>>3-4 >>11 >>13-26



「小説家になろう」にて、重複投稿を行っております。


つぶやき
5月30日、>>26更新しました
メンテ

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Re: 嫌いな人はだあれ? ( No.22 )
   
日時: 2014/03/28 15:50
名前: ミーシャ◆iAyR10Ceps ID:oCUlTrYE


崩壊編【Day.2】

「竜騎ー、財布1号死んじゃったよ」
ネオンと大人の繁華街。そこで涼と合流してからの第一声がそれだった。
俺は昨日の多午の白骨死体の件もあって、ワケ分からないし面倒だから学校に行く気になれず何となく一日中繁華街でその辺の奴とぶらぶらしてたらこの報告だ。
「また死んだのか!?」
「そうなんだって。しかもよりによって財布一号」
涼の言う財布一号ってのは、井沢の事だ。しょっちゅう理由をつけてパシったりしていた。
「しかも破裂して死んだんだよ。俺はコート1枚おじゃんで済んだけど、顔についた奴はダメージでかそうだったなー」
「……おい、状況がさっぱり飲めねぇぞ」
2日連続うちのクラスで人が死んで、昨日は白骨、今日は破裂?何言ってんだこいつ。そして何でそんな事平然と話せるんだ。
「そりゃネタだって思うよなー。けどさ、ガチなんだって」
そして涼は、今日学校で起こった事を話し出す。多午の存在が消滅した事、主催者ってのが現れた事、「ゲーム」の事。
「……ネタだろ?」
「いや、ガチ」
まさか涼がこんな小学生も鼻で笑うような冗談を言うとは思わなかったが、本人がガチだと言い張ってる。
とりあえず煙草に火を点け、煙を吸いながら考える。
「じゃあ何、あの戸田から転送された萩原のヘンテコメールもマジだったのか?頭蓋骨のミニチュアがうんたら、って」
「多分マジ」
「そこは多分なのかよ」
こいつの目的が分からん。
「とにかく、何かすげー事になってるみたいだな。明日学校行くわ」
学校で何が起こってるのか、気になってしょうがない
「あ、そなの?じゃあ待っとるわ。つか財布一号死んでイライラしてるから、カツアゲしねぇ?」
「お前……さっきあんな話してた割にはなんでそんなケロッとしてるわけ?」
「ギャーギャー騒ぐなんてカッコ悪いじゃん」
「つまり、本当は騒ぎたいけどガマンしてんのか?」
冗談めいて言うと、頭を軽くはたかれる。
「ちげーよ、バーカ。俺はいつも通り行くって事。ほら、あいつとかどう?」
どうと言われて見てみると、そこにはどう見ても繁華街には場違いな白ワンピのガキがいた。明らかに浮いてる。
「あーいういかにも好奇心で来ましたタイプって、意外と金持ってんだよね。しかも弱いし。って事でどう?」
確かにいいかもな、って事で向かおうとすると、別の奴に絡まれていて、そのまま人波に揉まれつつ、路地裏へ消えてしまった。
「……チッ」
「あーあ、今日はとことんついてねーな」
そんな事を喋りながら、俺達はネオンの奥へ消えていく。


「だからマジなんだってば、もとむー!」
「いや、冗談っしょwwwwwwww」
樹里が必死に説明するも、本村は信じない。
そりゃ、いきなり主催者やらゲームやらファンタジーというかオカルトチックな事が起こっても信じられない気持ちは分かるけど。つーかミスドでこんな事で盛り上がるって、他から見たらうちらむっちゃ変な人。
「つかさ、その主催者(笑)の声とか撮ってないのwww?」
撮れるわけねーだろ、と心の中で毒づいた。下手にそんな事して、井沢みたいに殺されたらどうすんだよ。
「ショーコ、何とか言ってやってよー!」
急にこっちにバトンタッチされ、戸惑う。何か言って、と言われても、どうしたらいいか分からない。しかしそんな時、ひらめきの神は舞い降りた。
自分の携帯を開いて、ひらめきが正しいか確認。よし、オッケー。
「いや、もうお前らの話聞き飽きたからさ。たまたま二人が死んだのを利用して、そんな大ホラ―――」
「本村、多午のアド知ってる?」
「多午?……あー、アド交だけしといたような……」
「アド帳見て」
本村はスマホを出し、ロックを解除し、アド帳を開いて、うちらを見る目がマジになる。
「……あれ、お前らいつの間に俺のスマホの多午のアド消したの?手がこんだイタズラ―――」
「は?そもそもうちら、あんたのお高い静脈認識、だっけ?のスマホのロック解けないし」
「多午のアド、あったと思ったんだけどな……」
朝、多午がまったく居なかった事になってるのを思い出して、もしかしたら携帯アドもなかったことになってるんじゃないかって思ったら、ビンゴ。うちの携帯からも、多午のアドレスは消えていた。
本村の目が若干マジになる。
「―――マジで多午の存在消えてんの?嘘じゃなくて?」
「さっきからそう言ってんじゃん。机も、ロッカーも、全部無いの!」
樹里の追い討ちに心の中でGJを送った。
「……明日、ホントに無くなってんのか写メ送ってよ」
「めんどい。学校来い」あっさり一蹴。
その後すっかり形勢逆転した本村にミスド代全部奢らせて、なんかムシャクシャしたから皆でカラオケに行った。勿論本村のおごりで。
途中で渡辺と下村に会って樹里が誘ったけど、断られた。あいつら男だけでむさくないのか?
メンテ
Re: 嫌いな人はだあれ? ( No.23 )
   
日時: 2014/05/02 01:01
名前: ミーシャ◆iAyR10Ceps ID:nBa81Vx6

ここで回想は終わり、リアルタイムに戻る。
普通に一日は終わった。気持ち悪いくらい何も無かった。
先生が出て行った後、ドアが開くのか、また閉じ込められてないか警戒したが、普通に拍子抜けするくらいあっさり開いた。
そして拍子抜けしたまま何となく戸田と一緒に帰っている。自転車は手で押しながら。習慣というのはあな恐ろしい。
(しかしここまで何もないと、逆に異常だ)
あの「主催者」とやらが何も企んでいないはずないだろう。ただ、その企みが読めない。まあ、そういう頭を使う事は堂本と戸田に任せた方がいいかもしれない。
(あと、気がかりはもう一つ)
「堂本は……大丈夫か?」
戸田が今言ったように、堂本の事が気がかりだ。
昨日の晩の時点では俺の地雷発言の前はまだ気丈な感じだったが、地雷発言のせいでまたなんか弱ってきていて、今日に至ってはとうとう膝から泣き崩れる始末。
「分かんねぇな…堂本だから大丈夫って気もするけど、堂本だから不安って感じもあるんだよ」
「やっぱ優もそう思う?」
しかし自分の命を心配して参ってしまうならまだ分かるが、「もう大切なクラスメイト失いたくない」と言っていたあたり、どうも他人を心配しすぎて参ってしまったようだ。そこが堂本らしいといえば堂本らしい。というか凄い。俺には到底真似できない。
しかし、堂本はこんなに参ってしまっていて、大丈夫だろうか。何かしてやれる事は……って、俺は昨日堂本にやらかしてしまった立場だ、今何をしても逆効果だろう。
「それと……どうする?頭蓋骨ミニチュア」
気がかりその2。俺の持ってる頭蓋骨ミニチュアプラス暗号ペーパー。今は家にあった適当な小箱にしまって鞄に入れてある。
「正直不気味だから持ってたくないけど……暗号?も意味不明だし」
「だからって捨てんのもな……多午と井沢の可能性がある以上」
「にしてもどこ置いときゃいいんだよ、こんなもん。親が見つけたら家族会議確定だ」
「……優の母ちゃん、ヒステリックだもんな」
そして割と真面目に隠し場所を話し合いながら、交差点を渡り、渡るはずだった。迫る物体。危ないの声。視線。
異常事態。そう気付いた時にはもう遅く、車がスピードを緩めることなく、こちらに向かって来る。
避けきれない距離まで近づき、話に夢中で気づかなかった―――と後悔し、いやでも信号は青だったよな、信号無視はこっちか、なんて余計なことが頭を高速で通り過ぎる。俺の今日は、普通に、終わらなかった。


そして無音。俺は一瞬、轢かれて感覚が吹っ飛んだのかと思った。だがなんか違う。俺の足は地に着いてる。
「…?」
まだ自分の現在の状態を掴めないままゆっくりと自分の首と判別できるものを動かし、視界を動かす。
自分の目前にまで迫った車が、止まっている。こちらを見る人間が、こちらに何かを言う体制のまま固まっている。そして隣にいたはずの戸田がいない。
(あれ?)
身体の感覚が何となく戻ってきて、轢かれてない、と脳が認識しだし、まだふらつく足を動かしだすと、戸田が歩道までリターンしていた。
(どうなってんだ?)
そして驚くことに、戸田はこちらに向けて手招きをしてきた。
「お、おう……」
取り敢えず自転車を起こし、居眠りしてる車の運転手の顔を見つつ歩道まで戻った所で、ここ現実だ、とはっきり脳が認識した。
しかし目の前の戸田が、何を言ってるか分からない。終始口パクだ。
「―――――っ、げほっ、ごほっ!」
そして突然、戸田が目の前で咳き込んだ。
「おい、大丈夫か!?」
「ごほっ、ああ、大丈夫だ……何か轢かれて夢でも見てんのか、って思って声の出し方忘れてた」
「なんだよ、びっくりさせるなよ……口パク手招き、今思うと不気味だったぞ」
「いや、このままじゃ轢かれる、って思って夢見心地で歩道戻ったら、優がまだ道路にいたから、つい……」
流石の戸田も、こんな状況に置かれるとこうなるのか。そして戸田と会話をしたおかげで、大分考える余裕が生まれてきた。
「どうなってんだ……?」
辺りを見回すと、なにもかもが固まってしまっている。プラスチックでも流し込んだみたいに。
「痛っ」
戸田がカチコチの植え込みに触れ、葉が刺さって痛そうにしていた。
『びっくりしてるー?』
俺はもう何かを認識するよりも、真っ先に悲鳴を上げた。尻餅をついてから、目の前にサッカーボール大の光の球体が浮いてるのに気がついて、思わず後ずさる。
(つか、この声…!)
間違いない、『主催者』の声だ。
『みんな分かってないようだから説明するとねー、周りの時間を止めたの。その方が話しやすいでしょ?』
(……はぁ?)
時間止めた?なに言ってんだこいつ?てか実現可能なのかんな事。……いや、もうできるかできないかに突っ込むのはやめよう。こいつは何でもできるんだろう。
『皆の所にこの通信媒体を送り込んでー、皆に一斉に話してるから質問も口答えもご勘弁ね』
その言葉には凄く重みがある。
『まあ何で皆がバラけた後にこんな風にわざわざ時間止めて話してるかというと、ワケがあるのよね』
(ワケ?)
そう思うがとても言えない。

『ついさっきね、1人殺しちゃったんだ☆』

球体に飛び掛かろうとした戸田を必死で止める。戸田の怒りが沸点どころか大気圏を越えている。
(落ち着け、戸田、落ち着けって!)
戸田が怒りまくってるせいで逆に冷静になった俺は、小声で必死に戸田を宥める。それでおさまる奴じゃないのは知ってるが、一応だ。
そして俺の必死の闘いも無視し、主催者は続けた。

『でねでねー……殺したのは……だーれだ?』

……は?
メンテ
Re: 嫌いな人はだあれ? ( No.24 )
   
日時: 2014/05/24 08:50
名前: ミーシャ◆iAyR10Ceps ID:uNjp6z4Y

……は?何言ってんだこいつ?殺したのはだーれだ、だと?昨日からふざけてるとは思っていたが、人殺しという異常事態で、どうしてここまでふざけられるんだ?こいつはあれか?命を綿埃程度にしか考えてないのか?
そして主催者の言葉は怒髪天状態の戸田の耳にも、どうにかと言うべきか、偶然と言うべきか届いたようで、フリーズしてしまっていた。
『ではここで問題です!死体は今どこにあるでしょう!そして誰の死体でしょう!それを生き残り全員で探してもらいまーす!制限時間は20分!名付けて、『死体かくれんぼ!』相手は動かないから楽勝――――――』
「ふざけんなぁ!さっきから黙って聞いてりゃ――――」
「落ち着け!戸田、お前まで死ぬ気か!」
必死で戸田を引き止める戸田の気持ちはよく分かる。俺だってこの球体を出来るならメッタクソに破壊してやりたい。普通のクラスを異常にしたがる主催者を殺してやりたい。
だが、今は殺せない。戸田が怒りまくってくれたおかげで、却って冷静になれてその結論を出せた。本気で殺したいなら―――――殺せるときに―――――殺さないといけない。でも―――――殺せるのか?
俺は球体と戸田の間に身体を張って立っていたが、不意に戸田が力を抜く。いきなりの事だったので一瞬よろけてしまっている間に、戸田は鞄からルーズリーフを取り出し、地面においてガリガリと書きだし、書き上げた物を俺に渡した。
『みんな さがす ユウもこい』
止める間もなく戸田は道路に置き去りだった戸田の自転車を取りに戻っており、仕方ないので俺も追いかける事にした。
『それじゃ、皆頑張ってねー!』
その声と共に、時間が動き出す。そういやあの居眠り車大丈夫か―――と思ったら、後ろの方で大きな破砕音がして、聞かなかった事にした。


今思うと、携帯を取りに戻っておくべきだったと思う。連絡無しにしらみつぶしに探すって、結構効率悪い。全員にメール送って返事がない奴が消去法で死亡、その方が早かったはずだ。死んだ奴が携帯持ってない奴じゃなければ。制限時間は30分。もたもたしてはいられない。
だが、あの状況でそんな頭が働くはずもなく。というか今も働いてない。
原因は、元野球部の戸田が全力でこぐ自転車に必死でついていってるからだ。もう息が絶え絶えで。
「あっ、難波!」
戸田が歩きながら電話中の難波を呼び止めた。
「あ、うん、ちょっと待ってね。……なぁに、戸田っち?」
難波が電話を保留にし、俺たちに向き直った。
「あの時間停止の後、誰を見かけた?」
ここに来るまでにも石津や村山とかを見かけ、そいつらにも同じように戸田は声をかけていた。だが思ったより情報が集まらない。
「ん〜……あの時、私はショーコといっしょだったよ。……つかさ、2人とも汗だくじゃね?」
「あ−……散々自転車漕いだからな」
「何してたの?……もしかして、あの死体かくれんぼ?」
「そうに決まってんだろ」
「ばっかだね−、あたしみたいに携帯使って手分けすればいいのに」
俺が言うに言えなかった事を、難波は実にあっさりと言う。
「知ってる情報を、全部教えてくれ。急いでるんだ」
「えっと、とりあえずまだ死体は――――――――」
「死んでない!!」
戸田がびっくりするような声量で声を荒らげた。周りに通行人がいなくてよかった。
「誰も死んでるわけがない!」
「で……でも、あの主催者は死んだって……」
「嘘に決まってる!……またクラスメイトが死んだなんて、信じられるかよ……!
皆、絶対に生きてる、死ぬはずがない……だからこうやって、全員が生きてるか、聞いてまわってるんだよ……!」
「戸田っち……」
「戸田……」
俺は、誰かが死んだ前提で行動していた自分を反省した。
ししこうやって頭がいい割には時折愚直なまでに他人を信じている所が、堂本とよく似ている。そして、こういう所が実に羨ましい。普通の俺には真似できない。
「そっか……ん、ごめん……それじゃ、ちょっとショーコにも聞いてみるよ、ちょうど電話してたからさ……」
「ああ、頼む」
保留を解除して難波が電話を始める。
「待たせてごめん。……え?マジ?うん…」
難波は電話口を押さえながら、俺達に話しだす。
「あのね、超バッドニュース。今、ショーコから連絡あったんだけどさ……

見つかっちゃったって……、死体」

「えっ!?」
当然、真っ先に驚くのは戸田。俺も直後戸田同様えっ、となる。さっきの戸田の弁論も虚しく、このタイミングでこの報告。主催者がなにかしら仕組んでいるんじゃないか、と一瞬疑ってしまった。
「ちょ、難波、電話代わって」
「だってさ。いい?……いいって、はい」
難波が渡すよりも先に、戸田の手は携帯を引ったくる。そして俺達にも聞こえるように通話をスピーカーモードにした。
「もしもし!どこで見つかったんだ!?本当にうちのクラスの奴なのか!?」
『団地……パトカーとか来てるし、ブルーシート被ってるけど、多分……も転がってるし。誰かまでは、ちょっと……』
「わかった……団地だな?今行く」
戸田は難波に震える手で携帯を返し、
「くそっ!」
地面を踏んだ。
「また……死んだのかよ……!なんで、なんでだよ……!」
戸田が怒りで拳を握り、その拳は震えている。
「畜生……!」
その後無言で俯いて、しばらくすると顔を上げ、自転車に跨がる。
「……団地、向かうぞ。死体が誰か調べるんだ……」
「……分かった」
俺は頷いた。
「待って、あたしも行く。戸田っち、ちょっと2ケツさせて」
今回ばかりは、戸田も2人乗りについてとやかくは言わなかった。
メンテ
Re: 嫌いな人はだあれ? ( No.25 )
   
日時: 2014/05/24 08:52
名前: ミーシャ◆iAyR10Ceps ID:uNjp6z4Y

(……さてと)
うちは改めて、ブルーシートに向き直る。警察が忙しそう。うちも野次馬の垣根を超え、現場を見続ける。せめてブルーシートの膨らみで相手の体格くらい分かるといいなって思ったけど、
(なにあれ)
あのブルーシート、人の形に膨らんでない。なんでか知らないけど、四角形に膨らんでる。だけど血はブルーシートからはみ出てる。どんな死に方したらああなるんだよ、ってちょっと考える。丸まったってあの形にはならないだろうし、うーん。
(つかさ、あれ、結局誰なの?)
制限時間はあと12分。それまでに分からないとどうなるか分からないけど、あの主催者、マジでやばいことしそう。やばいやばい。樹里や戸田、あとなんかいるらしい萩原の到着待った方がいいのかな。つかこの前みたいになんかひらめかないかな。
(死体は目の前にあるのに、誰か分からないなんて……)
微かに漂ってくる血の匂いとブルーシートの匂いが、吐き気を催させた。食欲はなくなりそうだけど、こんなダイエットやだ。
(そうだ、鞄)
鞄の中身見れば誰か分かるじゃん、と思ったけど、鞄を取りにいけない。人が邪魔とかじゃなくて、逆に人払いされてるし。あれで取りに言ったらKY通り越して追い出されるに決まってる。
しかしそんな事で悩む必要はなかった。警察のいわゆる鑑識?が、鞄の中身を調べだした。
(チャーンス!)
あれ覗き見すれば誰か分かるじゃん、と思い、必死で人波をかき分けようた。なんとか鞄の見える位置までおどり出て、中身に注目する。教科書、筆記用具、携帯、それから鞄をよーくひっくり返した結果、煙草の箱がぽろりと落ちてきた。
「え」
警察が一瞬どよめく。私は考える。うん、クラスで煙草なんか吸っちゃってる奴なんて、1人しかいない。
「……渡辺……?」
その瞬間、無音になった。


『ぱーんぱっかぱーん!正解者が出ましたー!』
再び無音になり、背景が固まり、時間の停止するデジャヴ。そしてこの殺意の湧いてくる声。俺達は一旦、自転車を停めた。
『正解者は倉石翔子さん!死体が誰かを、見事に解き明かしました!』
「えっ、マジで!?やるじゃんショーコ!」
んな事言ってる場合じゃねーだろ、という戸田の声で我に返って再びペダルを踏み込む。そして主催者の声を無視して、さっきよりも急いで団地に向かおうとする。
『ちなみに死体が誰かも発表しとくね!死体の正体は……渡辺竜騎君でしたー!』
その声で、一瞬足が止まったが、直後により足に力が入った。何故なら、渡辺は昨日俺達が疑っていた奴だったからだ。

団地に到着した時、まだ時間停止は解除されていなかった。まだ主催者が話し中だったのか、それとも俺達が必死こいて到着したからなのか。
「樹里!」
人混みの向こうから、倉石の声がする。
「ショーコ!」
すぐさま難波が自転車から降りて(その際戸田が一瞬バランスを崩して)、人混みに走り寄っていく。しかし、人混みの先に進まないのを見ておかしいと思ったが、進めないんだなとすぐに気づいた。
「ショーコー、大丈夫ー!?」
「大丈夫だけど、そっちはー?」
「人が邪魔で行けなーい!」
「こっちも!てゆーか、人に挟まって動けなーい!」
俺も現場の様子が少し気になるが、あの状態ではたとえ人がそれほど多くなくても、通れる程の隙間がない。
「……ねぇ、この人混みって超えて大丈夫かな?うまいこと足をかけてけば……」
「人踏むの?」
「いや、もういいっしょ。どうせカチコチなんだし。踏んだって気づかないって。よいしょ!」
そういう問題なのかと俺達が思っている間に、難波は人混みに足をかける。そのまま手やら鞄やらを踏み、肩に足をかけたところでバランスを崩した。
「おっと!」
しかしすかさず、いつのまにか移動していた戸田が受け止めていた。突っ立っていた俺とは違い。
「サンキュー、戸田っち」
「分かったからさっさと体制直せって」
難波はさっと起き上がり、肩を超え、人混みの内側に降りた。
(……どうしよう?)
流石に人を踏むのは普通に躊躇ってしまうのだが。
「なにあの死体……」
「樹里、分かる?」
「全然…もっと近くで見てみる?」
「そんじゃまず、うち抜いて……」
「うん……あれ?……男子来てー!ショーコが抜けないのー!」
その声で、俺達の行動は決定せざるを得なかった。


死体を見て、俺は、俺達は目を疑った。
「なんだよ……あの、死体……四角形……?」
そう、戸田が言ったように、そこには四角形の死体があった。ブルーシートに包まれているが、透けた暗い紅とはみ出た血からして、あれは間違いなく死体だ。……あれが渡辺なのか?渡辺はどうしてあんな形になってるんだ?
「……倉石、なんだあれ」
「そんなん、うちが聞きたいし。つかさ、早く抜いてくんない?」
「……あっ、悪い。……よっ…と!」
死体も気がかりだったが、3人がかりで引っ張って挟まってた倉石の腕と足が抜けた。普通に考えて女子の体を男子が触っていいのかと思ったが、この際いいだろう。
「あー、痛かったー。つか狭かった」
「倉石、ケガはないか?」
「あーうん、うちは大丈夫」
なんて言いながら、死体とさっきからまったく無視していた球体に全員揃って向き合うと、主催者はさっきからずっと黙っていたようだった。
『……うん、これでギャラリーはいいかな』
「は?ギャラリー?意味わかんない」
挟まれていた部分をさすりながら、倉石は言った。
『だってさー、肝心の現場に1人しかいないなんて寂しいじゃん。だからこうやって、ギャラリーの到着を待ってたの。もうちっと待ってもいいけど、そもそも君たち以外現場知らないよねー』
確かに。
『ところでさ、この死体どう思う?』
「気持ち悪い。正気の沙汰じゃないな」
俺の即答だった。
「てめぇ……何考えてんだよ。渡辺をこんな風にしやがって……!」
「そうだよ!つかどうやったの!?教えろし!」
『あーはいはい、好奇心旺盛ですねー。ま、そうじゃないと面白くないもんね。それでは現場に集合したみなさん、そもそも現場がどこか分かってない外野の皆さん、お待たせいたしました!』
何がだよ。
『えー、これで死体も3体目となりました。怖いねぇ、次はキミ辺りが死んじゃうかもねぇ』
「やってんのはあんたじゃん……」
『皆今、『やってんのお前だろ』って思ったでしょ。単純だねぇ、もうちょっと頭回らないの?』
さっと察知して戸田をがっちり止めて正解だった。球体を破壊しようとしていた。
『さーて、明日はなにしようかなー。こんなんじゃ、まだまだつまんないなー。明日はもっと面白くしようかなー』
明日、という言葉を聞いて、ふっと堂本の言葉を思い出した。
(今日も、死んじゃうのかな)
堂本の言葉を、頭の中で思い出す。堂本の言葉は当たっていた。だとすると、もしかしたら、明日も、
『 もー、そんな明日にでも死んじゃいそうな顔しないでよね、みんな!……そうだ、忘れてた。正解者の倉石翔子さんにはご褒美をあげないとね』
「ご褒美?」
倉石が球体に顔を近づける。
『倉石さんには、私への質問権をプレゼントしまーす!1回限りの大チャンス!さぁさぁ、何聞いちゃう!?』
「じゃあ、あんたは何がs――――――――」
「待て、倉石!」
戸田が怒気たっぷりの倉石を静止した。
「なによ、戸田!ジャマしないで!」
「……いや、今ここで質問権を使うのは勿体無い」
「は?」
「よく考えろ。クラスメイトは、お前以外にも――――――30人―――――――いる。他の奴らも聞きたいことはあるはずだ。今ここでさっさと質問権を使うのは勿体無い。折角のチャンスなんだ。よく考えてくれ」
「俺も戸田に賛成だ。もしかしたら、他にも訊くべきことが出てくるかもしれないんだ」
戸田に同調しながら、戸田にしては冷静な判断だ、と思った。てっきりまだ頭に血が昇っていると思ったから。
「……どうしよう、樹里」
「う〜ん……2人がそう言うんだったら、そうしとけば?」
『ふーん……じゃあ今は、聞かないってことでいいの?いいんだね?ファイナルアンサー?』
倉石は無言で頷いた。
『……どうやら、倉石翔子さんは今はまだ質問権を使わないそうでーす。ところで現場のみんなー』
「……なんだ」
『さっき難波樹里さんが言ってたけど、死体がどうしてこうなったか知りたいそうでーす。この死体、なんと四角形なんだよねー。それじゃ、ここにいるみんなにだけ、特別にお見せしちゃいまーす!いないみんなは、現場の音声を中継するから悲鳴から想像してねー!』
「えっ――――――――」
「竜騎!」
下村の声がどこかからしたと思った瞬間、動かないはずのビニールシートが、一気にめくれた。
メンテ
Re: 嫌いな人はだあれ? ( No.26 )
   
日時: 2014/05/30 20:34
名前: ミーシャ◆iAyR10Ceps ID:ESRhV46M

『死体の正体は、渡辺竜騎君でしたー!』
その言葉を、聞き流して、頭で反芻して、固まって。
「……は?」
竜騎が死んだ?ないない。あいつはそんなことで死ぬタマじゃない。そう思って、まずは竜騎に電話をかけてみることにした。だけど、時間が止まってるから電話なんてかかるはずがないって気づく。
「時間停止終わったら、竜騎に電話かけるか……」
そう思って、近くのブロックに座り込む。そして1分。不安の種は、着実に俺の中で膨らんでいった。実は死体かくれんぼの時、竜騎に電話をかけてみていたが、繋がらなかった。あいつのことだ、携帯の電池切れだな、って思ってた。そしてここに来るまでに、俺は竜騎に会っていない。それが余計に俺を不安にさせていた。
(竜騎、ガチで死んだわけじゃないよな?)
あんなの、主催者の悪ふざけに決まってる。だけどあの主催者は、悪ふざけ程度の感覚で人を殺せる。それは井沢の一件で明らかだ。
(竜騎は、今どこに……)
落ち着いて、学校を出たころから竜騎の行動を考えてみる。まず時間停止のころだったら、竜騎は家に戻って、そして今頃だったら繁華街に向かってた時間帯のはず。だけどもし死んでいたら、まだ団地のあたりにいるはずだ。竜騎の家はそこなんだから。
「……って、何考えてんだ?俺」
こんな計算したって意味はない。だけどまさか、もしかしたら、いやでも、だけど、
「……ま、確認程度なら……」
ここから団地なら、数分もあれば行ける。

そう思って、駆けつけて、俺が見たものは、
宙に浮かんだ、赤黒い立方体だった。

「……なにあれ?」
いや、すっごいグロいんだけど。遠目でも分かる。あれ絶対モザイク必須だよな。なんでかかってないわけ?
『…………き、キャアァァァァァァァァァ!』
遠くにあった人混みから、倉石らしき声の悲鳴が聞こえてくる。ああ、あいつが死体の正体解き明かした、って主催者も言ってたな。だけどそんなことはどうもいい。それより、あれは、なんなんだ?
赤黒くて、所々白くて、それをくっつけて立方体にしたようなもの。
『嘘だろ…………あれが、渡辺なのか……?』
今度は戸田の声。あれ、お前もそこいたのかよ。他には誰がいるんだ?人混みがジャマで見えない。いやそれより、
(あれが、竜騎?)
あんなぐちゃぐちゃで赤黒くて原型とどめてない物体が、竜騎?おいおい、冗談も、大概にしろよ、お前そういうキャラじゃないだろ?
「嘘、だろ………おい、竜騎……?」
『うぅーん、いいねぇ!その悲壮感に満ちた顔!悲鳴!震えるボディ!うんうん、最高!』
主催者の声がする。足が、崩れる。思考が、濁る。落ち着け、俺も、こんなキャラじゃないはず、なのに。
立方体が、下に降りていく。人混みの中に立方体が消えて、『それじゃ、また明日ー!』と聞こえ、少しして、世界に雑音が戻った。

「ごほっ、うえっ……!」
ぐったりした倉石を3人がかりでどよめく人混みの中央から運び出して、ふらつく足取りで近くの公衆トイレまで歩いて、そこの臭さがトドメになって、吐いた。昨日の分まで思いっきり吐いた。吐いて吐いて、吐くものがなくなって胃液になって、それでも吐いた。
間近で見た異形の死体。鼻を串刺しにするような異臭。それが渡辺の成れの果て。あれが渡辺、信じられない。
「俺達、どうなるんだ……?」
生き残るのは1人だけ。その1人を除いて、みんなあの死体のようになってしまうのか?倉石も、難波も、俺も。どんな気持ちで死んでいくんだ?何を思って殺されるんだ?普通はどこへと消えたんだ?
(帰ら、ない、と……)
こんなときでも、真っ先に働いたのは帰巣本能だった。俺は恐怖で、動物に成り下がってしまったか。人間はもともと動物の一種だが。
「優」
トイレから出てきた俺を、呼び止めたのは戸田だった。
「大丈夫か?しっかりしろ」
「よく、お前は平気だな…」
「平気に見えるか?」
そう言われ、戸田の顔を見ると、真っ青になっていた。
「難波と、倉石は?」
「まだ休んでる」
「あと、下村は?」
「分からない…声がしたのは知ってるんだが、気がついたらいなかった…」
「そうか……」
お互い簡単な質疑応答を繰り返しながら、精神を平衡に保とうとしていた。
「渡辺が死んだ……俺達が、昨日、疑ってた……」
それが、気がかりだった。俺達が昨日怪しいと言っていた渡辺が、死んだ。こんな偶然、ありえるのか。31分の1。3パーセント程度。ありえない偶然ではないが、やはりありえない。
「俺達が疑ったのが、いけなかったのか……?」
「分からない……」
「なんで、渡辺が死んだんだ…?」
「渡辺は」ではなく、「渡辺が」。
「偶然かもしれない。だけどもしかしたら、主催者が俺達の会話を傍受していたのかもしれない」
「だったらなんで、俺達を殺さなかった?なんで渡辺を殺した?」
一周回った思考回路にしても変すぎる。
「分からない……」
「分からない、ばっかだな」
「仕方ないだろ」
「主催者は、なにがしたいんだ?俺達をこんな惨劇に巻き込んで、本当になにがしたいんだ?」
「…優、この話はもうやめよう」
「そうだな…」
気分が悪くなってきた。視界が霞みそうだ。
「…帰ろう、戸田」
「…ああ。自転車、確かあっちらへんにおいてあったはずだ」
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