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[2303] 憑依転身メカミコX!
   
日時: 2013/06/04 20:22
名前: cacao. ID:lfn6Gtfg

・解説


 憑依転身メカミコXは 改造人間である!

 彼女を改造した【奇何学秘密結社テラー】は、世界を恐怖に陥れる悪の秘密結社である!

 メカミコXは 人類の平和の為に この世の恐怖と戦うのだ!


※本作はホラー小説です


・目次


第一話  恐怖!洋館の謎を追え!>>1

第二話  恐怖!飛び降りる女!>>2

第三話  恐怖!人食い印刷機!>>3
メンテ

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第一話  恐怖!洋館の謎を追え! ( No.1 )
   
日時: 2010/08/20 01:06
名前: cacao. ID:OQXoVhhI

 ここは奇何学秘密結社テラー本部。
 皆さんご存知の通り、この世の怪奇現象は、全てここから生み出されている。
 彼らは霊やゾンビー、伝説上の生物や宇宙人を世界中にばらまく事により、世界を恐怖に陥れている。
 例えテラーの存在を知っていたとしても、人類は恐怖から逃れる事は出来ない。
 彼らに歯向かえば、その未知の力で改造手術を施され、新たな怪奇現象の一つを引き起こす、テイラーの戦闘員にされてしまうからだ。

「そんな結社、偉人や不幸の事故で無くなった人に失礼よ!なに考えているの!」

 彼女の名はヒミコ。近所の古びた洋館に伝わる怪奇現象を調べた所を、まんまとテラーの戦闘員に捕まり、今は棺桶型の手術台の上に載せられている。

「あそこの洋館はね、私のおじいちゃんの、そのお友達が住んでたんだけど、ある日突然立ち退きを命じられて仕方なく手放した洋館で、空き家になっているの。最近、妙な人達が入り込んでいるのを見たって人がいたから来てみれば……。」
「我々に捕まったという訳だな!ふはははは!安心しろ小娘。高度な科学技術を持つテラーの力を持ってすれば、服を着させたまま改造する事も十分可能!」
「っていうか、改造する時点で十分セクハラじゃないの!?」
「それもそうだな。だがそんな些細な事、我々の知った事ではない!ふはははは!やれ!戦闘員!」

 彼の名はアーヴァン。奇何学秘密結社テラーの総統である。
 彼の命により、現在改造手術室で棺桶型手術台を取り囲んでいる戦闘員の手が、ヒミコに伸びようとしている!

「きゃー!へんたーい!すけべー!」
「イギィー!」
「イギギー!」

――バキ!バキン!ボキン!

 奇何学結社にピッタリの奇怪な音と共に、ヒミコは自らを拘束している拘束具を力任せに外し、その勢いで戦闘員に殴りかかった。
 戦闘員はおよそ人間の力では考えられない殴られ方をしてしまったので、そのまま天井や壁を突き抜けてどこかへ飛んでいってしまった。
 少女はそこまで怪力だったのだろうか!?だったら、最初から揉めてないで自分から脱出すればよかったのではないか!?

「ぐぬう!?しまった!先に体を改造したせいで、こんな事態になるとは!こうなったら脳から改造しておくべきだったか!?」
「なんだか知らないけど、馬鹿で助かったわ!さようなら!」
「に、逃がさんぞ!追えー!」
「イギギ……イギィー!」

 ヒミコは周囲を戦闘員に取り囲まれたが、突然ジャンプして天井を突き破った!バキバキッという警戒な音を耳にしたかと思えば、ヒミコは自分が入り込んだ洋館の玄関に立っていた。
 真夜中だったので額に飾られている絵がニヤニヤ笑ったり、大きな鏡に写った自分が突然動き出したりするかと思ったが、幽霊の正体見たり枯れ尾花。
 テラーの仕業だと思ってしまえば、もう怖いものなど無い。

「なるほど……この地下に秘密基地があったのね!こうなったら、おじいちゃんの友達には悪いけど、この洋館ごと破壊させてもらうわ!」

 ヒミコは洋館を支える主要な柱を探し始めるが、さすがに数の多い戦闘員がゴロゴロしてるだけあって、すぐに取り囲まれた。
 戦闘員は各種様々で、能に使う面やら、ゾンビマスクやらを被った人間が大勢いるようにも見える。だが、これといって「怖い」という訳でもない。
 世界規模という噂もあったが、想像していたよりも小さな結社だったのだろうか。
 すると、戦闘員達の中から、アーヴァンが姿を現した。

「小娘!ここを破壊したら最後、世界中に散らばった我が精鋭達が、貴様を恐怖のドン底に叩き落すべく、一斉に立ち向かってくるだろう!夜一人でトイレにも行けなくなれば、家から出る事も叶わなくなり、ホラーゲームのCMを見ればテレビを付けるのも惜しむような毎日が待っているぞ!」
「うう……それはちょっと嫌かも。ていうか……トイレの話とかやめてよ!馬鹿!」
「ぐぬぅ……我らの恐怖がまるでわかっていない!ならば……これでどうだ!」

 アーヴァンが、手に持っていたスイッチを押すと、天井から床から窓から壁から、物凄い轟音が鳴り響いた!

「ふははは!小娘ごときに壊されるぐらいなら、この建物ごと破壊して、貴様が壊した事にしてやるー!」
「な、なんて馬鹿なの!?信じられない!」

 すると突然、大鏡の方向にアーヴァンが走っていき、なんとその体を、鏡の中に溶け込ませた。

「ふははは!私は一足先に脱出するぞ!さらばだー!」
「に、逃げる気!?うわわっ……!」
「早く脱出しないと、精鋭が来る前にぺしゃんこだぞ!ふははははー……!」

 アーヴァンの声が鏡の中に消えると、残された戦闘員が、入口につっかえて出られなくなっている。
 このままでは戦闘員もヒミコも、建物に潰されてしまう!

「ど、どうすればいいの!?」

 すると突然、壁に飾ってある絵から、白くてぐにゃぐにゃしたものが抜け出て、ヒミコの元にやってきた。

――ヒミコさん、君のおじいちゃんは、元気でやっていますか。

 それを見たヒミコの頭に、様々な言葉が過ぎる。思念体、エクトプラズマー、ウィルオーウィスプ、火の魂。
 だがそんな事はどうでもいい。ヒミコはそれが、てっきりおじいさんの友達の声かとも思ったが、それは女の人の声で、しかもヒミコのおじいさんの友達は今もまだ生きている。

「い、一体誰なの貴女は!」

――ヒミコさん、この秘密結社の基地に変えられた洋館の、無念の想いを具現化して、貴方に渡します。改造人間の貴方なら、きっとこれを役立てる筈です。

「貴方、もしかして……!」

――さぁ、この【ミコベルト】を装着し「変身!メカミコXと叫ぶのです」

「なんだかわからないけど、困っているのは見過ごせないし、このままじゃ皆下敷きだし……いいわ!今だけ言う事聞いてあげる!」

 声の主である白いモヤが、段々とベルトの形になっていき、ヒミコの腰に装着された!
 その瞬間、ヒミコの頭の中に「こうやってこうやって……」という、白いモヤから出ていた声による簡易説明が入り、ヒミコはそれに従ってポーズを取った!

「変・身!メカミコエーックス!」

 瞬間、ヒミコの着ていた服の構成物質が分解され、たちまちそれはベルトから放出された思念体と融合し、気が付くとヒミコは、白と赤のライダースーツを身に纏っていた。

「こ、ここからどうすればいいのよ!?」

 ヒミコの頭の中に、あの女性の声が響いてくる。

――ヒミコさん。貴方の着ているスーツは、霊魂を憑依させ、その力を引き出す能力を持っています。

「れ、霊魂って、どこから引き出せばいいのよ!」

――この家の崩壊は、この家全体の霊魂の動揺が原因です。落ち着いて話し掛けて下さい。

 ヒミコは声に従い、目を閉じ、家の揺さぶりから霊魂を探した。
 スーツの性能のおかげか、ヒミコにはこの家にある思念を、なんとなくだが、感じる事が出来るようだ。

『もうこの家に、主はいない。勝手に主になった者は、私をほとんど使ってくれないし……私は、家としてもう駄目なのか。』

 ヒミコの頭の中に、ふるぼけた老人の声が響いた。

「おじいちゃんの友達の家さん。私ヒミコよ。しばらく来なかったけど、覚えてる?」
『君は……隣の家のヒミコちゃんか。君は、昔よく遊びに来ていたのに……なぜ最近は、めっきり来なくなってしまったんだい。』
「ここが売り家になって、立ち入り禁止になっちゃったからよ。でも聞いて、おじいちゃんの友達も、好きでここを出て行ったんじゃないの!だから、家としてもう駄目なんて言わないで。私もたまに暇を見て、ここに進入してみるから!だからもうちょっと頑張ってよ!」
『そうか……だがそれは……。』
「え……?」

 老人の声は、少し悲しいものになったが、それはヒミコの気のせいだったのか、次の瞬間、家は鳴り響くのを止めていた。

「と……止まった!」
「イギィー!」
「イギギー!」
「こら!いつまで詰まってるの!貴方達戦闘員なんだから、とっとと整列して出なさい!」
「イギー?イギギー!」

 ヒミコが指示すると、さすが指示される事に慣れているせいか、あっという間に整列し、さっきまでの混乱はなんだったのか、続々と玄関から退場した。

「よかった、家が壊れなくて。……私もちょっと壊そうとしてたけど、ごめんなさい。」
『ヒミコちゃん……早く、ここから出なさい。』
「え?なんでよ、崩壊はもう止まったんでしょ?」
『いいから、さっさと出るんだ!』

 ヒミコは声に驚いて、急いで玄関を飛び出した、そして次の瞬間……。

「え……?」

 物凄い轟音と共に、洋館は崩れ去った。
 不思議な事に、ヒミコの体は、瓦礫やガラスによる怪我をしてはいなかった。
 訳の判らないという顔のヒミコは、瓦礫の中から流れている霊魂に気付いた。

『ヒミコちゃん……怪我は無いようだね。』
「どうして!?崩壊は、止まってたのに……まさか、あいつらが地下に変なものを作ったせいなの!?」
『……ヒミコちゃん。よく聞きなさい。』

 老人の声は、不思議な程に清清しかった。

『この家はもう寿命なんだ。君のおじいさんの友達、前のご主人様がこの家を後にしたのは、この家に欠陥があって、長くは持たない事を知らされたからなんだ。あの侵入者の細工で私の心が揺さぶられた時に、とうとうガタがきたんだろう』
「そ、そうだったの……。じゃあ、なんで私には一言も言わなかったのよ。」
『ふふふ。まさか、こんな古びて、誰もいなくなった家に、ヒミコちゃんが来るとは思っていなかったんだろう。立ち入り禁止のフダもあったからね。まぁ、オバケ探しに来たのが目的というのは、私もわかっているけどね。』
「うう、ごめんなさい。そっか……ここって売られてるんじゃなくて、取り壊し予定地だったのね……。」
『だが、ヒミコちゃんは余計な輩を追い払ってくれたようだからね。これで私も、家として安心して逝けるよ。』
「ねぇ……去る前に、一つ聞いていい?」
『なんだい。』
「オバケとか天国とか幽霊って……ホントに、いるの?」
『……私はただの家だが、これだけは言えるよ。』

 その時、瓦礫から抜け出ている白いモヤは、夜の月に向かって徐々に昇り始めていた。
 老人の声も段々と掠れていき、ヒミコは、自分の眼の潤みに気付いていた。

『私は、満足だったよ。』
「……うん。」

 夜の月に照らされて、瓦礫の一部から、がらり、と崩れる音がした。
 老人の声は、それから聞こえなくなった。

――ヒミコさん。助けていただき、本当にありがとうございます。

「うん……って、あ、あれ!?どうして貴方がいるの!?」

――なにって……私は、まだまだ死ぬ訳にはいきません!折角怨念として具現化したんですからね!

 ヒミコは、この女の声がどこから漏れていたのかを思い出す。
 声の主が抜け出ていた肖像画は、ヒミコのおじいさんの友達が、ここを出る前に置いていったものである。
 元々洋館にあったものと違って、その絵だけは、おじいさんの友達が家へのプレゼントとして置いていったものだとされている。
 そしてその思念は、今ヒミコの着ているスーツに、ベルトとして装着されているのだ。

「そ……そういえばあの男、これから精鋭が来るとかなんとか言っていたような……。」

――はい!世界の恐怖に怯える方の為に、これからも戦いましょう!ヒミコさん……いえ、メカミコX!

「ま、まじで?」

 悲しみと恐怖は去った。
 だが、総統アーヴァンの放った刺客が、彼女を狙っているぞ!
 戦え!メカミコX!
 人類が恐怖に怯える事の無い、平和な明日の日の為に!
メンテ
第二話 恐怖!飛び降りる女! ( No.2 )
   
日時: 2010/08/20 23:06
名前: cacao. ID:OQXoVhhI

前回までのあらすじ!

 ヒミコちゃんは私立中学に通うゴクゴクフツーの女子中学生!
 だがその正体は、悪の奇何学秘密結社テラーに改造された改造人間、メカミコXなのだ!
 彼女を改造した奇何学秘密結社テラーの総帥、アーヴァンは、今日も世界を恐怖のドン底に陥れようと、ホラーな怪人を送り込んでいる!
 戦えメカミコX!奇何学秘密結社テラーの野望を打ち砕き、ホラー無き世界を取り戻す為に!

「おはようヒミコちゃん。もうすぐ先生が来るよ。」
「あ……ツクヨミさん!お、おはようございます!」
「ふふふ、同級生なんだから、そんなに緊張しなくてもいいのよ。」
「そ、そうですよね。えへへ〜。」

 朝の教室で出会って早々、フヌケ顔になっているヒミコの、その隣の席に座っている女の子の名前はツクヨミ!
 ヒミコと同じ中学二年生だが、同級生も憧れるその高貴さに、思わずヒミコもフヌケになるという訳である。

「に、二回もフヌケって言わないでよ!」
「ヒミコちゃん……誰と話しているの?」
「はっ!な、なんでもありませんツクヨミさん!」
「ふふふ、変なヒミコちゃん。」

 教室のドアが開き、担任の先生がやって来た。
 「起立」の一声を発するのは勿論ツクヨミ。彼女はクラス委員でもあるのだ。
 正に、完全無欠のお嬢様という感じである。

――ヒミコさん。あまりあの人と関わってはいけませんよ。

「げっ……この声は!?」

 突然ヒミコの頭の中に声が響く。だが周囲の人間にその声は聞こえていないようで、突然起立と共に声を発したヒミコを皆が不思議そうな目で眺めている。

「どうしたんだヒミコ。ツクヨミの声が、どうかしたのかね。」
「あ!いえ、ツクヨミさんの事じゃなくて……ははは。ちょっと寝惚けてたみたいです。」

 教室の中に、どっと笑いが起こる。ヒミコも、思わず照れ笑いを隠す。
 だが周囲の生徒の中に一人、その空気とは外れた、奇妙な笑みを浮かべている者がいた事に、ヒミコは気付かなかった。



 昼食の時間、ヒミコはいつも、仲の良いクラスメートと何人かで集まって弁当を食べていたのだが、今日は何故か屋上にいる。
 原因は、ヒミコのスカートに撒きついている謎のベルトにある。

「なんであんた学校にいるのよ!引き出しの上から二番目に閉まっておいたハズなのに!鍵までかけて!」

――何を言ってるんですか!ベルトの無い時に、もし学校でテラーの怪人に襲われたら、どうするつもりですか!

 ヒミコがメカミコXに変身する為には、変身用のベルトが無ければいけない。
 だがこんなベルトを付けていたらむしろ恥ずかしいし、変身した姿で戦う所を友達に見られたくないという事もあったので、置いてきたのだ。

「いいじゃないの。私、改造人間だから、変身しなくても強いのよ?そこらのヒロインと一緒にしないでよ。えーと……あなた、名前なんて言うの?」

――そうですね、モナリザとでもお呼び下さい。

「じゃあモナリザさん。学校が終わったら怪人でも基地でも探すから、今日はもう家に帰って。」

――ひどい!私は……私にだって恐怖と戦うという使命があるのに!

「私にだって女子中学生って使命があるの!」

――うわーん!ヒミコさんの馬鹿ー!

 モナリザはベルトの形態から白いモヤモヤしたエクトプラズマーへと変化すると、そのままどこかへ飛んでいってしまった。
 ヒミコは、自分の都合を通したまでだ。そう思っていた。
 そう思っているのだが、ちょっと言い過ぎたかもしれないと、心の中で少し反省していた。
 帰ったら謝ろう。そう考えているヒミコは、驚くべき光景を目にした。

「えっ……う、嘘!」

 屋上の金網の向こうに、人が立っている。どうやら女の子のようだが、見慣れない制服を着ている
 このまま強い風でも吹けば、たちまち、恐ろしい事になってしまうだろう。
 ヒミコは思わず、その人に向かって走っていく。

「ちょっと!あんた何やってるのよ!?」

 ヒミコが金網に手を伸ばした直後、なんという事か、金網はたちまち消え失せ、突如、女の子が振り返った。
 女の子は真っ青な顔をしている。
 目は虚ろで、だがまっすぐヒミコを見ている。

「落ちて……。」
「……え?」
「一緒に落ちて?落ちよう?一緒に落ちよう?」
「ぐっ……!?」

 振り返った女の子は、ヒミコを物凄い力で抱き寄せ、ヒミコと一緒に屋上から宙に身を任せた!

「ちょっと離しなさいよ!離して……早く離してよ!」

 このままでは屋上から落下してしまう!
 そう思った直後、ヒミコが思わず伸ばした手を、何者かが両の手で掴んだ。
 それは同じクラスのツクヨミだった。

「ヒミコちゃん!」
「ツ、ツクヨミさん!?どうしてここに!」
「話は後!このまま引き上げるわ!」

 ツクヨミは部活にこそ通ってはいないが、体育の成績は抜群であり、ヒミコも小柄であり、持ち上げる事は容易のハズだった。
 だがツクヨミの表情は、まるでダンベルでも持ち上げているかのように雲っていく。
 ツクヨミに向かって、ヒミコを抱いている女の子が告げる。

「……嫌、嫌だ。一緒に落ちる。落ちてよ。落ちなさいよ。」
「ツクヨミさん!もういいですから手を離して下さい!このままじゃ二人とも落ちちゃいます!」
「ヒミコちゃん……駄目よ、諦めちゃ駄目……!諦めたら、その人と同じになってしまう!」
「ツクヨミさんっ!」

 ツクヨミの手に、次第に汗が滲んでいる。このままでは手が滑って離れてしまう。
 その時、ヒミコの腰に白いモヤが巻き付いていき、そのタイミングと同時、ツクヨミの手が、ヒミコから離れた。
 ツクヨミはその衝撃で後方に飛び、そのまま気絶してしまった。

「こっ……これは!よし、今ならいける!」

 ヒミコは力の限り、叫んだ。

「変・身!メカミコエーックス!」

 瞬間、ヒミコの着ていた服を構成する物質が分解され、腰に巻き付いたモヤはベルトへと変わり、白と赤のライダースーツに身を包んだメカミコXが、屋上から正に落下しようとしていた。

「ぐっ……でもこのままじゃ地面に落ちちゃう!どうしようモナリザ!」

――ヒミコさん!目の前の金網に意識を集中させて下さい!

「金網……?でも金網はさっき消えて……。」

――いいから早く!

 ヒミコはとにかく、モナリザの言葉に従い、金網に意識を集中させた。
 すると頭に、目の前の金網の声が響いてきた。

『私は……生徒を助けるどころか、殺してしまう存在になっている。』

 ヒミコは、この前の洋館にやったように、優しく語り掛けた。

「どうして、そう思うの?」
『私を助けようとした先生がいたの。でも私のせいで、生徒が飛び降りるのを止められなかった。どうしよう。私、金網なのに。』
「じゃあ、やってみなさいよ。」
『え?』
「今すぐ私と、この女の子を助けてみなさい。」
『で、できない。そんなの、金網じゃない。そんな事したって、そこにいる女の子は、浮かばれない。』
「いいじゃない、金網じゃなくたって。私だって、もう人間じゃないんだから。」
『……そ、そうなの?普通の、変な人間に見えるけど。』
「変は余計よ。いいから、やってみなさい!」
『わ、わかった、私やってみる!』

 この間、およそ5秒。
 無生物に宿る思念体は物凄いスピードで会話をする為、我々の耳には聞こえないが、メカミコXのように思念体の声を聞く事が出来る者は、そこに新たな力を宿せるという。

『えーい!』

 突如、メカミコXの前に金網が出現し、それがぐにゃりぐにゃりとゆがみ、メカミコXと女の子に巻き付くと、そのままポーンと屋上に向かって二人を投げ飛ばした。

「うわっ!ら、乱暴ねぇ。」

 そして、メカミコXに抱き付いている女の子の手に、段々と力が無くなっていく。
 そのままふらり、と、倒れそうになったので、メカミコXは女の子の体を抱き寄せてやった。

「うう……折角……力を手に入れたのに。」
「力?そうか貴方が、テラーの怪人ってやつね?でも、普通の女の子みたいだけど……。」

 女の子はゆっくり語り始めた。

「私は……ここから自殺しそこねて、歩けなくなっちゃったの。なんで飛び降りたのかは覚えてないけど、歩けなくなったのが嫌だった。だから、同じ思いをさせてやろうって思った時、アーヴァンさんがやって来たの。」

 女の子は、語りながら泣いている。

「私……改造して歩けたのが嬉しかったの。だから皆にも、同じようにここから飛び降りて、改造してもらえばいいって思ったの。」
「そんなのは、違うわ。」
「でも私……嬉しかったの。嬉しかったけど……だけど……やっぱり間違っていたのかな。」

 メカミコXは、女の子の頭を撫でてやった。
 女の子は泣いていた。
 始業の鐘が鳴っていたが、メカミコXは、女の子が泣き止むまで傍にいた。



 放課後、ヒミコは新聞部の部室に足を運んでいた。
 部室には、女の子が一人座っており、どうやらその子は唯一の部員であり、部長であるらしかった。

「え!?ヒ、ヒミコちゃん、うちの部活に入ってくれるの!?」
「ちょっと興味があってね。大丈夫、オカルトとかそういうの、慣れてるから。」
「おお!うちの方針まで判っちゃってるってサスガだね!あ、じゃあ私、顧問の先生に話してくるから、ここで待ってて!」

 そう言って、返事も聞かないまま走り去って行った。
 ヒミコは先程、資料室の写真をコピーして切り取った、一枚の女の子の絵を、ポケットから取り出した。
 それは数年前に大ケガを負ってから、病院に入院し、そのまま行方不明になっている女の子の写真だった。

「……モナリザ。」

――なんでしょうか。

「この子のような事件を、これ以上、私の眼の届く範囲で増やす訳にはいかないわ。」

――ヒミコさん……。

「私、私の出来る範囲で、頑張ってみる。幸いこのベルト、他の皆には見えていないみたいだし、屋上の金網さんも、乗り越えようとする生徒は叩いて戻してやるって意気込んでたみたいだからね。私も、頑張らなくちゃ。」

――うう、ヒミコさん。それでこそ、真のメカミコXです。一緒に頑張りましょう!

「ええ、これからも宜しくね。モナリザ。」

 そんなヒミコを、遠くから眺めている女性がいる。
 その女性の横に、何時の間にか見慣れない者が立っている。

「……ギギィ。ギィ。」
「わかっているわ。今回の事は、少しの気まぐれよ。次は必ず、あのベルトを手に入れてみせる。」
「……ギギィ。」

 人ならぬ言葉を操る者は立ち去った。
 女性は、どちらかというと少し小柄で、高校生に見えるが、中学二年生だった。
 女性の名はツクヨミ。彼女は、いつもヒミコと接しているのとは違う、冷たい目線を、彼女に向かって投げ掛けていた。
メンテ
第三話 恐怖!人食い印刷機! ( No.3 )
   
日時: 2013/06/04 20:22
名前: cacao. ID:lfn6Gtfg

前回までのあらすじ!

 ヒミコちゃんは私立中学に通うゴクゴクフツーの女子中学生!
 だがその正体は、悪の奇何学秘密結社テラーに改造された改造人間、メカミコXなのだ!
 彼女を改造した奇何学秘密結社テラーの総帥、アーヴァンは、今日も世界を恐怖のドン底に陥れようと、ホラーな怪人を送り込んでいる!
 戦えメカミコX!奇何学秘密結社テラーの野望を打ち砕き、ホラー無き世界を取り戻す為に!

「ギャー!遅刻遅刻!」

 いつもの通学路をパンを咥えて一直線!
 新聞部に入ったヒミコちゃんを待ち受けていたのは、夜明けランニングレベルの早朝登校だった!

「地味な部活だから帰宅部同然かと思っていたのに!こんな朝早くに活動するってどういう事!?おかあさんまだ寝てるのよ!?」

 改造人間のヒミコは、パンを咥えたまま器用に喋る事ができるのだ!

――ヒミコさん!ギャーではありません!キャーです!濁点はNGです!

「そういう細かい話は時間に間に合ってからにして!」

 まだ日も昇って僅かな早朝の通学路を、ヒミコは走る走る!
 あっというまに校門までたどり着こうとしたその時、中途半端な仕事の教員が齎した、微妙に半開きの校門に入ろうとしたのは、ヒミコだけではなかった!

「わー!どいてどいて!」
「うわー!」

 ドカーン、と、向かってきた誰かと衝突!急いで顔を確認しようとするが、あっという間に校舎の中へ消えていく!

「ばっきゃろう!朝の校門は狭いんだ!気をつけろ!」
「ちょっと!ぶつかってきたのはそっちでしょ!?」

 口論はじまらぬまま消えていく男の子。だが改造人間メカミコXであるヒミコの眼はするどく捉える。
 彼の学ラン制服のボタンは、ヒミコの通っている中学校のものではなかった。

「不審者よ!転校生よ!これは……スクープだわ!」

 なにか間違った喜びを見せるヒミコは、あっというまに下駄箱へ到着!ミニロッカーを開け靴をポイポイ脱ぎ木の段へズドンと上がり上履きをサッと取り出し靴をドカドカとしまい上履きをスポポーンと履きミニロッカーをバタン!新聞部へダーッシュ!扉をバン!

「おまたせ部長!早速著スクープを仕入れてきたわ!」

 だが部室には誰もいなかった!ズガーン!

「あ、ありえないわ!自分から呼び出しておいて遅刻するとか!絶対にありえないわ!」

 一応誰かいるのではないかと大きく独り言のヒミコ。
 だが返事は奇妙な機械音で帰ってきた。

「ウイーン ウイーン」
「こ、この音は?」

 どうやら新聞製作用の印刷機が動いているらしい。
 新たな新聞が印刷されている。

「なんだ、誰かいるじゃない。」

 ヒミコは、あきらかにタイトルからして今回の敵であろう印刷機に近づいていく!
 思わず注意しそうになるモナリザはぐっと堪えてその様子を見守る。

――ぐっ、堪えるのです。これまでのメカミコXの展開から察するに、三話というところで、ヒミコさんが九十九神的怪奇現象に襲われるというパターンがテンプレート展開として確立しつつある!ここで不審がって止めたら、これまでの構成が水の泡!

「聞こえているわよモナリザ!とおっ!」

――しまった!

 モナリザの大きな独り言から全てを理解したヒミコは、印刷機から後方へジャンプ!
 自分が閉じたドアに頭をぶつけた!

「ぎゃあ!」

――ヒミコさん!だから、ぎゃあ、ではありません!きゃあです!

「今言おうと思っていたのよ!」

――言えてないじゃないですか!

 二人が口論しているが、印刷機は依然、新聞を印刷している。
 ふと、機械音が止まる。どうやら作業が終わったらしい。

「なんだ、なんでもないじゃない。」

――とそう思った所へ一撃食らわせるのがテラーの手です!気をつけて!

「だいじょぶだいじょぶ。」

 特に警戒のないまま、ヒミコはさっと新聞を手に取り、その内容を確認する。

「えーとなになに。ギリギリで登校するヒミコちゃんは、偶然狭くなっていた校門に入ろうとして、転校してくる男子生徒と激突。口論になるも、無事遅刻は間逃れる……って、これは!」

 驚愕するヒミコ。だがその真意は別の所にあった。

「この新聞、再生紙を全く使っていないわ!贅沢ねぇ。」

――ちがいます!その新聞は、あまりに情報が早すぎるのです!

「でも新聞ってそういうものでしょ?」

――いや、そ、そうなんですけど!そうなんですけど!?だからえーと、ああもう!

 思わずやんなっちゃうモナリザを他所に、印刷機から、またも機械音が聞こえてくる!

「ウィィン ウィィン」

――ひぃぃ、ヒ、ヒミコさん!なんとかして下さい!!

「今のはアタシの声よ!似てるでしょ。」

――まぎらわしいわ!

 印刷機からは新たな新聞が打ち出される。
 またもそれを警戒なくサッと手に取り、まじまじと見つめるヒミコ。

「なになに、ヒミコ、狙ったボケをかますも、モナリザに天然と思われ、普通にツッコミをうける。こ、これは!」

 そう、今度は情報が早いどころではない。その場で起きた事が、鮮明にそこに記されていたのである!

――え……ヒミコさん、先程のはもしや狙って……?

「う、うるさいわね!いいでしょそんな事は。」

――って、そうではありません!見たでしょうヒミコさん!これはもう、確定です!

「そうね、確定ね。」

 ついにヒミコは、目の前で起こっている事態を把握したのである。

「これは、超最新鋭の、すごい印刷機よ!」

 びしぃ!と印刷機を指差して高々と公言するヒミコ!
 モナリザは困惑した。これは狙っているのか!それとも、マジメに言っているのか!
 だがそんな事を考えているうちに、またしても印刷機が動き出した!
 だが今度は機械音などではない。鮮明な声がそこから聞こえてきたのだ。

『ふふふ、驚いたかヒミコよ。』
「印刷機が喋った!?」

 突如、目の前の印刷機からインクリボンがシュバッ!と伸び、ヒミコの体にグルグルと巻きついた!

「ぎゃー!制服が汚れる!やめなさい!」
『ふふふ、これで君はメカミコXに変身出来まい』
「ど、どうしてメカミコXの事を!?まさか……!」

――ヒミコさん!そいつはいつもの悪霊ではありません!明らかに貴方を狙って攻撃している!

 いつもの悪霊ではない上に、メカミコXのヒミツを直接的に知っている、それはつまり!

「つまり、日本の工業企業の技術が、メカミコXに追いついてきたという訳ね!」

 あまりの拘りに、ボン!と印刷機が煙を上げる!
 と同時に、インクリボンの拘束も解けてきていた。

――今ですヒミコさん!

「変・身!メカミコエーックス!」

 瞬間、ヒミコの霊子ベルトに搭載された額縁式エクトプラズマー素粒子が発する反恐怖物質エナジーがヒミコの体内から声と共に発せられた霊子貫通音声認識うんちゃらかんちゃら。

「とにかく参上!メカミコX!」

『現れたなメカミコX!だが貴様が変身する事は想定済みだ。見ろ!』

 再びウイーンウイーンとの機械音と共に、印刷機から新聞が射出!
 メカミコXの手元にやってきた!

「便利な印刷機ね!なになに、メカミコX、大ボケをかまして印刷機の不意をつき、変身する。こ、これは!」
『どうだ!貴様の行動は、既に私が予測していたのだ!』
「ぐう!」

 ヒミコは恐怖した!
 そう、この新聞印刷機は、目の前で起こった出来事を、ものすごい速度で記載する事により、まるで自分の身に起きた事が、既に予測されていた事であると錯覚させる為の、おそるべき恐怖の機械だったのだ!
 だがそれによる恐怖はそれだけではなかった!

――それが一体どうしたというのです!

『ふふふ、新聞部であるメカミコXに、私は倒せまい。』

――ど、どういう事ですかヒミコさん!?

 ヒミコ、いやメカミコXはうかない顔をしていた。
 彼女はある事に恐怖していた。

「ぐ、駄目なのよモナリザ。私にはこの印刷機を破壊する理由が、ないのよ!」

――な、なんですって!

 そう、この印刷機は新聞部にとっては願ってもない代物である。
 起きた出来事であるならば、どんな離れた場所にあろうとも、必ずそれを描写してくれる。
 とんでもないものである。下手をすれば、人間が入り込めない、あらゆる場所のスクープを得る事が可能であるのだ。

「そしてここは新聞部の部室……しかもそこにあるのはどういう訳か、学校に一台しかない印刷機。しかも、どうやら見る限り、こいつは……いや、この子は!」
『その通り!私は奇科学結社テラーによって校内に唯一あるコピー機と合体した、新聞部部長!シノノメ!』

 なんと、印刷機は先日ヒミコが入部を申し上げたばかりの、シノノメ部長だったのだ!

「部長、シノノメって名前だったんですか!?」

 またしても驚く所が違うぞヒミコ!

「どうしてですか部長!」
『知っているのよヒミコちゃん、いや、メカミコX!貴様がうちの部活を、大して活動時間もない、ヌルい部活だと思っていたということは!』
「ギクッ!!た、確かにそうだけど!い、いや、入部希望の理由だけはマジメで……ちょっと予想外だったというか、それで。」
『更に知っているのよ、貴方が人間に危害を加える悪霊を、いいこちゃんの霊に変えてるって事はね!おまけに成仏までしてくれる有様!』
「な、なんですって!?それのどこがいけないのよ!」

 メカミコXは自分で口にして、ハッと我に返った。いいか悪いかで動いていたのではなく、もっと純粋な気持ちで自分はメカミコXをやっていたのではなかったのか。
 彼女は、自分のアイデンティティを思わず喪失しそうになる所まで追い詰められていた!

『ふふふ、メカミコX。お前は間違いを犯した。悪霊は、自分の理念に乗っ取って動いている、誇りある存在だ。それを自らの宗教によって、その根底の意識から感情を変えようとしている!おまえは、出任せを公言して金を集めるカルト団体と、同じ存在という訳だ!』
「ガァーーーン!!!!」

 あまりに真実味のある言葉に、思わず真っ向からショックを受けてしまうメカミコX!
 そこへ、追い討ちをかけるように機械音が鳴った!
 まるで轟音と共に新聞が射出され、メカミコXの手元に降り立つ!

『くらえ!これが自分の安い宗教に他人を落とし、人格を変える遊戯に酔いしれた、愚か者の姿だ!』
「こ、これは!メカミコXは自らの行っていた犯罪を自覚し、打ちひしがれる!?罪の重さに耐え切れなくなったメカミコXは、人間が堕ちる最悪の結末を連想する!?」

 そう!それはメカミコXの思考を読み取った、恐ろしき文面だった。

『ふははは、みるがいいメカミコX!これが事実を形にする文字の力だ!新聞という素晴らしき人間の力だ!さぁ否定してみろ!最も、無駄な行為ではあるがな!』

 これまで肉体的な敵にはなんとか打ち勝ってきたメカミコXだが、今の彼女は、精神的かつてない程に追い詰められていた!
 これが真実だ!これが事実なのだ!彼女はそれを真っ向から受け止める事しか、できないのか!
 それとも受け入れられないと、破り捨てるのか。
 だが、彼女はそのどちらの行動もとらなかった!

「ふふふ……ふふふふふ。」
『な、なんだ!?一体なにがおかしい!』

 メカミコXは不気味に笑っていた。
 そして、びしぃ、と新聞印刷機シノノメを指差し、高らかに宣言した!

「ひとつ、決定的な事を言ってあげるわ!」
『な、なんだ!ハッタリなど、私には通じないぞ!私は、事実をありのままに見るのだからな!』

 この相手に、下手な言い分は通用しないだろう。
 メカミコXは考えた。この改造され、意識を読むようになったシノノメを、完膚なきままに屈服させる、その手段を。

「貴方は、新聞が、事実をありのままに描くものだと。そう言ったわね。」
「あ、ああそうだ!当然だ!新聞に載っている事は、全て、本当の事だ!」

 答えて、シノノメはハッとなっていた。
 もし、そうではなかったら。新聞が、文章が、言葉が、事実を伝えるものではなかったら……!?

「貴方の新聞、事実だけが、鮮明に記されていたわ。ああそうよ。私は少しでも思ったわ。もうおしまいだと。もう私には、最悪の結末しか残っていないと、一瞬思わず思っちゃったもの。」
『そ、そうだ!私は事実を明らかにしたんだ!』
「では印刷してみなさい。」
『え!?』
「今すぐ印刷してみなさいと言っているのよ!」

 シノノメは印刷してしまったら、なにかが、なにかが起こってしまう。
 それに恐怖した、だが、止められない!改造された自分の本能を、理性を、抑える事が出来ない!
 そのまま印刷を開始した。ウインウインガシャコンと、新聞が射出され、印刷した当人であるシノノメはその内容を既に把握し、メカミコXは、その新聞を手にとった。

「ふっ……。」
『な……何故だ……何故だぁー!!』

 そのまま、ボン、と印刷機は音を立て、そのまま動かなくなった。
 それまでメカミコXの戦いを見守っていたモナリザは、変身した事で同調したメカミコXの視覚から、その内容を確認する。

――えーとなになに……メカミコXは、人類の平和の為に、この世の恐怖と戦うのだ!って、あれ!?さっきと内容が違います!

 モナリザは当然の言葉を口にし、メカミコXは、それに静かに応えるのであった。

「記事には賞味期限があるのよ。」



 数分後、動かなくなっていた新聞印刷機が突如動き出し、ガシャンガシャンと人の形をとると、その場に降り立った。

「うう、誰も見た事のない、すごい記事がかけると思ったのに〜。」
「お目覚めのようね。」
「わっ!」

 人間の姿へと変貌した座り込む新聞部部長シノノメの前に、制服姿のヒミコが立っていた。

「ど、どうして考えている事が、変わったのよ!ずるいわ、そんなの……。」
「そういう事もあるのよ。新聞は特にそう。毎日読んでいれば、わかる事よ。それに、嘘だってかいてあるのよ?」
「うう、どうして新入部員のヒミコちゃんに、そこまで教えて貰わなくちゃいけないのよ!」

 とシノノメ部長が公言すると、彼女はすくっと立って、ヒミコの前で気合を入れなおすと、彼女の手を握った。

「ヒミコちゃん!」
「!?」
「私、たまにコピー機になるからね!でも今回みたいな失敗は、絶対しない。それに、すごい組織だって信じてたテラーにも、欠陥がある事がわかったのは、貴方のお陰だからね!」
「ちょ、ちょっとシノノメ!?貴方、テラーについて前から知っていたような口ぶりだけど……?」
「ええ、知っていたわよ。面識を図ったら、生活に支障がないレベルで改造してくれるっていうから、改造してもらっちゃったけどね。」

 どうやらシノノメは、テラーに少々通じた情報を持っているらしい。
 しかも、どうやら改造で得た力は、そのまま残っているようだ。

「シノノメ、いや、部長!」
「な、なにヒミコちゃん。」
「ごめん!アタシ、新聞部って結構楽な部活だと思ってた!でも入ったからには、しっかり活動するから、これからも、その、テラーの情報わけてほしいの!」
「そんなの知ってるわよ。」
「し、知ってるけど、言いたいの。ゴメン!」

 ヒミコは両手あわせて南無阿弥陀仏をシノノメに向けつつ、精一杯謝る。
 シノノメも、ヒミコに感化されてしまった自分を、なんとなく自覚しつつ、だがあの新聞の内容を公表するのは、どうもよそうと思った。
 なぜなら、ヒミコを始末できなかった自分は、自らもテラーに狙われているのである。ヒミコの力は、おのずと必要になってくるだろう。

「ふふふ、じゃあ約束しなさい。私は貴方がメカミコである事を公言しない。かわりに、私は貴方がテラーと、おもしろい戦いをする所を、安全に見物する権利をもらうわ。」
「物好きねぇ。」
「貴方が言えた事じゃなくてよ?」

 こうして!交換条件は成立し、ようやくヒミコは、新聞部に入る事が出来たのであった。
 だがまたしても、その様子を廊下から覗いている影があった!

「ギギ……し……ギギ……っぱいは…ギギ…もう……でき……。」
「ええわかっているわ。さすがにもう失敗はできない。けれども、さすがねヒミコちゃん。今回ばかりは、絶対にうまくいくと思ったのに。」

 やはりそれはツクヨミだった。
 彼女は一体何者なのか。テラーと関係があるのか
 そしてツクヨミの脇に連れ添った、怪しげなモヤから聞こえる、微かな声の正体は。

 人間が生み出した文化、文字を利用する、恐るべき恐怖は去った。
 だが、意外な所に敵は隠れ、彼女を狙っているぞ!
 彼女に安息は訪れるのか!
 戦え!メカミコX!
 人類が恐怖に怯える事のない、平和な明日の日の為に!
メンテ

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