第一の噂 その三 ( No.9 )
日時: 2013/06/26 08:34
名前: すらむ〈SRM〉 ID:VDsQt8NE

次の日、案の定寝れずに僕は登校した。
下駄箱について自分の上靴を取り出そうとした時、僕はすごく驚いた。
そこにあったのは『手紙』。昨日アレがあったから尚のことこれが普通の女の子がくれたラブレターじゃないのは明らか。
これはきっと…きっと終焉遊戯の手紙だ。
手紙に書かれている内容を約一週間以内に行わないと手紙が届いた人が『死ぬ』。
どうしよう、本当だったんだ、昨日のアレは…。
僕が下駄箱で青ざめているとA夜達がやってきた。すると同じクラスの男の子が僕が持ってる手紙を見せてくれと言ってきた。
当然僕はためらった。だって、終焉遊戯のルールだと、部外者が手紙を見ると殺されるというのがある。
男子がどうしても、と言うから僕はそれが本物か確かめるために「誰にも内緒だよ?」と言って見せた。
どんな反応になるのか、と言うのも見たかったっていうのもある。
その男子はだんだん顔色を変えていき、そして…。

「………………何だ、コレ…。」

…え?今、なんて。
男子は手紙を僕に渡すとそのまま玄関から外にふらふらと歩き去ってしまった。
そのあと、事件が起きた。
彼が上半身と下半身に引き裂かれ、死んだ。ソレで僕は確信できた。
――――あの手紙は『本物』だ。
間もなく、学校は一瞬間の臨時休校になった。でも僕は外に出れるような精神状態ではなかった。
ずっと部屋にこもったままでお父様とお母様も心配していたけど、怖くて、苦しくて。
カサッ、と僕の手に何かが当たった。
それは今朝、下駄箱に入っていたあの『手紙』。手紙は、僕にまるで読めと言ってるように封を開いていた。
実行すればとりあえずは生きられる、頭のどこかで悪魔のささやきのごとく聞こえる。
死にたくない、死ニナクナイヨ…!

「…一人、かくれんぼ…。」

手紙には赤い文字で『ひとりかくれんぼ』と、黒い文字で『作:B十』と書かれていた。
作ってどういう意味だろ…、まるで本を作るみたいに…。
この時点でもうすごく嫌な感じがした。
ひとりかくれんぼのルールは前に聞いたことがある。
僕は時間をちらっと見ると針は夜中の2時を指していた。時間帯はアレだけど、この時間は両親はいないから都合がいい。
まず、人形を用意しないと。
人形…人形…あ、そういえば、昔E太から貰ったぬいぐるみがあったな、クマの。
もう十何年も昔のだから耳やら腕らやがもげてるけど…大丈夫だよね。
…なんで眼帯かかってるんだろうか。まあいいや。
次。人形の中身を取り出す…まあ綿を取るんだよね。
鋏でクマの腸を引き裂く。
ジョキ、ジョキ、と簡単に布は千切れていく。

「…なんか、映画に出てくる狂った人みたいだ…。」

我ながらいい比喩をしたと思う。
一分もたたないうちに中身の綿をすべて抜き終えた。
…コレ、お母様に見つかったら大変だなあ。
今の時間ならメイドさんたちも交代で起きてるんだよな…こっそり調理場に行かないと。
調理場についたところで次。お米と爪を綿を抜いたところに入れる。
ついでに塩水も作っておこう。あと刃物…果物包丁でいいか。
部屋に戻って次。自分の血をぬいぐるみの中に入れて赤い糸で縫う。
…裁縫苦手なんだよな、しょうがないか。
何とか縫い終えて風呂場に向かう途中、あることを思い出した。ぬいぐるみに名前を付けないと。

「……名前…名前…。」

僕は『アイツ』の名前を付けることにした。
風呂場について深呼吸する。
今から『ひとりかくれんぼ』を始めるから、心臓の鼓動が早まるのを感じる。

「――…最初の鬼はB十だから、最初の鬼はB十だから、最初の鬼はB十だから。」

言い終わると即座にぬいぐるみを湯船に沈めて自分の部屋に戻る。
そして10秒数える。
1…2…3…4…5…。
チクタクと時計の針が刻む音もかすかに耳に入ってくる。
果物包丁を握りしめて、僕は閉じていた目を開いてこういった。

「もういいかい?」

僕は走って風呂場に向かう。
湯船に入れていたぬいぐるみをつかんで取出し、「みーつけた」と果物ナイフを突き刺す。
ドスッと言う音に僕は若干強張りながら、息切れした呼吸を整える。
なんか、ぬいぐるみから微かに血が流れてるように見える。
僕は急いで言葉を紡ぐ。

「次は×××が鬼の番、次は×××が鬼の番、次は×××が鬼の番…――」

言い終わると僕は慌てて部屋に戻ってテレビやパソコンをつけっぱにして部屋にある押入れのような扉に身を隠す。
漫画でよくあるガタガタと震える、と言う感じの表現が僕の体にも表れてる。
寒いわけじゃない、怖い。怖くて仕方ない。
もし、もしも僕が死んじゃったら次は誰がこうなるんだろう。
そもそも、終焉遊戯ってなんなんだよ…なんでこんな目に合わなくちゃいけないの…。
嫌だ嫌だ、死にたくない…!
あと25分…少し待ってれば終わる。
ひとりかくれんぼなんて、ほとんど何も起こらないことが多いし。
大丈夫、大丈夫、と僕は心を落ち着かせていた。



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