最初の幕その五 ( No.5 )
日時: 2013/06/24 11:30
名前: すらむ〈SRM〉 ID:049eQt4.

今日の授業の話をしていたらあっという間に校門前についた。
玄関に向かって傘を払うと下駄箱の前で立ち尽くしたB十が居た。どうやら少し青ざめてるようだ。
B十の目線の先には彼の下駄箱に入った一枚の手紙。
それを見て俺らはすぐにピンときた。『終焉遊戯』の内容だ。
何も知らない男子は彼の手紙を見て興奮していた。

「おっ!?何だ何だ、ラブレター!?な、見せてくれよ。」
「え、あ…。」
「いいだろ?減るもんじゃないしさ!」

B十は俺たちを横目で見た後に、「誰にも内緒だよ?」と言って彼に見せる。
彼は嬉しそうにその手紙の中を見る。
『手紙』の内容はいたって普通のはず、ただ最初か最後に届いた人の『やるべきこと』が書かれている程度。だから反応は「なんだこれ?」と苦笑する程度のはず。
だが、その手紙を全くの赤の他人が覗いてしまったらその人はルールに従い今日中に殺されてしまう。
すると男子の顔がどんどんと不自然な顔になって行った。

「…………なんだ、コレ…。」

彼は確かにそういった。
そして彼は顔色が悪いまま玄関から外へと出て行ってしまった。
俺たちは顔を見合わせ、大丈夫かなと彼の心配をしていた。
クラスに入り、HRになっても彼は戻ってこなかった。そして昼休み、事件が起こった。
あの男子の切断された遺体が発見された。
『手紙』は本物だ、本物だったんだ。昨日のアレはもう始まっていたんだ…!
俺たちは旧校舎に集まって昨日のこととあの男子のことを話していた。

「っ…誰なのよ…あの子に手紙を見せたの。誰よ、裏切り者って!」
「C美、落ち着け。」
「これが落ち着いてられるの!?もしかしたら次に死ぬのは私たちなのよ!?」
「落ち着けって言ってんだ!!」

I良の一喝でC美は黙り込んだ。
だが、俺もそうだし皆やっぱり『死ぬ』と言うのは怖い。
皆、何も言えずただ黙っているだけ。
しかも手紙を受け取ったと思われるB十は他のみんなよりも青ざめていた。
裏切り者、ここに参加していないキツネともいえる者。
一体どこの誰なのか、もうわけがわからなくなる。『裏切り者』は本当は俺らの中にいるんじゃないかとも思えてくる。
でも仲間を疑うのも嫌だ。
黙っているとH谷が口を開いた。

「…とにかく、終焉遊戯は始まってしまったんじゃ。今、手紙を受け取った者…名前は言わんでいい。ワシらには何もできん、手助けすることも叶わぬ。…辛いとは思うが頑張ってくれ。」

その言葉がやけに頭の中で響いていた。
この後、俺らは解散して警察からクラスメイト、そしていつも一緒に登校してる俺とE太は事情聴取をされたが。
でも事情と言われても『手紙』のこと以外は話した。警察も、それで俺らが何も知らないということが分かって釈放してくれた。
全く、それどころじゃないのに。
家にたどり着いても不安は増すばかり。それどころか、家に帰ると誰もいないのに視線を感じ始めていた。
きょろきょろと辺りを見渡しても人のいる気配なんてどこにもない。
でも視線を感じる。俺を見ている、ずっと、ずっとずっとずっとずっと…!
気が狂いそうになり、一階に降りる。案の定両親はいないが夕飯が準備されていた。然し喉を通る気がしない。
仕方ないから、風呂に入って頭を冷やすことにした。
ピチョン、と雫がしたたり落ちる音が浴室に響く。湯船に写る自分の顔を見て俺は水面を揺らす。すると俺の顔はその揺れで崩れていく。
みったくない俺の顔、元々そこまでいい顔でもないのだがここ最近寝れないのもあるから隈がものすごく濃いなぁ。
なんか…朝よりひどくなってるような…。気のせいか。
のぼせて倒れるのもあれだし、俺はさっさと上がることにした。

「…誰か、いるのかよ…っ。」

視線はいまだに感じる。
特に俺の部屋になるとなおのこと。誰かに監視されてる感じ。何処かに監視カメラでもあるのか…?とか思いつつ調べてみても何もない。
本当に一体何なんだよ。ピロリン、と携帯の着信音が聞こえた。
電話…I良から?またどうしたんだ、珍しい着信相手だ。
「もしもし?」と俺が電話に出ると慌てた声でI良の声が聞こえた。

「A夜、A夜っ。今どこにいる?」
「今?家にいるけど…何かあったか?」

事情を聴いてもI良は口を開かない。
俺がテレビをつけるとテレビはまたあの臨時放送をやっていた。
『本日の犠牲者をお伝えします。学校に遅刻してしまった人、自転車で買い物に行った人、勉強を熱心にしている人。』と昨日の臨時放送の通り流れていく。

『――…人の手紙を覗いてしまった人。』

その言葉に俺は驚く。
そしてあの男子を思い出す。人の手紙を覗いてしまった人、まさか。まさかまさか。
俺が唖然としてテレビを見ているとI良が俺の名前を呼んでいた。
慌てて携帯を持ち直し会話の続きをする。
どうやら明日から一週間学校が休校になったらしい。そういえば家の電話使えなかったなぁと思いつつテレビに目を向ける。
テレビは明日の犠牲者を流していた。

『明日の犠牲者は、お願いを無視した人、具合が悪くて早退してしまった人、友達を見捨てた人、ゲームをリセットした人――…一人で遊んでしまった人。』
「……っ……!?」
『おい、A夜?A夜!?』

思わず携帯を落としてしまった。
とっさに俺の頭にはB十の顔が浮かぶ。ないよな、B十が死ぬなんて。
まだ手紙の期限は六日あるんだから、B十はせっかちじゃないし、ましてや…死ぬなんて…うん。
『A夜!?どうした、大丈夫か!?』I良の声で現実に戻ってくる。
再び携帯を拾ってごめん、と会話の続きをする。

「ごめん、何でもない。…な、B十に連絡したか?」
『いや、したんだが出なくてな。留守電に入れといたから多分大丈夫だろ。…あと、明日、旧校舎も使えないだろうから俺ん家で『活動』しないか?』
「いいの?いいならそうしてくれるか。」
『了解、じゃ他メンバーにも言っとくな。じゃ、おやすみ。』
「おやすみ。」

俺はそのまま眠りについた。






『速報をお伝えします。先ほど、○○財閥の一人息子さん17歳が、自宅で殺害されているのが発見されました。』
『全身に刃物で刺された跡があり、例の○○学園での男子生徒殺害事件の男子ともクラスメイトであったことから警察は同じ容疑者の仕業だと判断し、調査を――…。』




最初の噂 end