第三の噂 その四 ( No.18 )
日時: 2013/07/30 12:11
名前: すらむ〈SRM〉 ID:kIf4HPJY



お前が裏切り者だったんだな


――違う


×××に化けるとはいい度胸じゃないか


―――違うってば


×××は俺のだ、俺が見間違えるはずはないだろう?


――――僕は裏切り者じゃない


まだ法螺をつくのか『キツネ』め


―――――信じてE太、僕は


だが、お前を殺せばゲームは終わるんだ


――――――や、だ、お願い、殺さないで


×××を刺す日が来ようとはな


―――――――E、太


そういえば、お前はかくれんぼをしてたんだったな


――――――――い、いー、た


ならこう言わないとな


―――――――――い、た


……みーつけた






「ッッ……!!」


俺は急いで飛び起きて、自分の手のひらを見る。
しかし、夢のように手のひらは血だらけじゃない、手汗がすごいが普通の両手だ。
夢と言うか、声だけの不思議な夢。
相手は俺を呼んでいた。じゃあ俺は誰に対して言っていた?誰を刺し殺した?
俺は相手に言っていた。「×××に化けるなんて」と。
と言うことは俺の知り合いに化けていたってことか?で、俺はその子を刺し殺した…?


「…思い、出した……。そうだ、俺……あの夜…!」


そうだ、思い出した。
俺だ。俺がB十を殺したんだ。あの夜、B十が心配でアイツの家に行ったんだ。
そしたら、アイツがひとりかくれんぼをしていた。
俺は気づかれないように家の角を使って隠れていた。B十はぬいぐるみを引き裂き、綿を抜き、米を入れ…。
赤い糸でぬいぐるみを縫っていき、なんかものすごい状態のぬいぐるみが完成した。
そしてあいつはぬいぐるみをじっと見つめ、何かを考えていた。
ボソボソと名前、と呟いていたので、おそらくぬいぐるみの名前を決めていたのだろう。
すると次の瞬間、俺は自分の耳を疑った。


『――…名前はE太にしよう。君の名前はE太。』


ぬいぐるみに俺の名前を付けたのだ。
なんで俺?そして彼はぬいぐるみを湯船に着け、自室に戻っていく。
そして十秒ぐらいした後、部屋から出てきてぬいぐるみを、『俺』をナイフで思いっきり、『刺した』。
俺は思った。あいつがひとりかくれんぼのぬいぐるみに俺の名前をつえるはずはない、と。
何故って?アイツには俺が必要だから。
アイツ、昔はお坊ちゃんだったから友達と言う友達はいなかった。だから俺が彼の一番の友達、いや親友になったんだ。俺が居なきゃ、今のアイツはいないと言っても過言ではないだろう?
そんな俺の名前をぬいぐるみにつけて、ましてや思いっきり『刺す』なんてさあ。



B 十 が す る は ず な い だ ろ う ?



キツネはアイツだ、裏切り者は、B十になり済ましている、俺の目線の先にいる『奴』だ。
殺さないと、殺してしまわないと。
俺は持っていた合鍵で、B十の家に侵入…いやお邪魔させてもらう。
そしてお風呂場に行き、ぬいぐるみと、ナイフを手に持って、B十の自室にへと足を進める。
すると暗闇になれた俺の目に映ったのは、自室のドアをガチャガチャと動かしている『B十』の姿をした裏切り者。
ドアに鍵がかかってしまったのだろう、ドジな奴め。
俺は静かに『B十』に近づく。
しかし静かに歩いても、ギッ、ギッ、と軋む音が鳴ってしまう。
音に敏感になっているのか、『B十』は頭を押さえながら小さくぶつぶつと言っていた。
そして大きな声で怒鳴った。


「来ないで!!」


俺は奴の目の前で止まった。
形的には…俺が『B十』を見下ろす形だな。
『B十』は音が聞こえなくなってホッとしたのか、顔を上げた。
…顔までB十にそっくりだ。
するとだんだん『B十』の顔がゆがみ始め、俺を見て怯え始めている。


「どう、して…。」


言葉を出すのがやっとなのだろう。
口元も震え、声も震えている。
お前が『B十』に化けた罰だ、その罪を償うんだ。お前の命で。


「なんで、君がここに…――!?」


彼は最後の力を振り絞って声を出す。
だけどもその声には力は入っておらず、本当に怖いんだなと思わせるぐらいに。
だが俺は惑わされない、乱されない。
何故ならお前は偽物なのだから、俺の知っている『B十』じゃないんだから。
俺は口角をこれでもかと言うぐらいに吊り上げ、笑った。
そしてかくれんぼの鬼の決まり言葉を言い放つ。


「――――…みーつけた。」


そして俺はナイフを『B十』に突き刺した。
何度も、何度も。
彼が死んだとわかっても何度も刺した。許せないから、B十に化けるなんて我慢ならなかった。
でも違ったんだ。
彼は本物だったんだ。俺はB十を殺したんだ、本物の、キツネじゃない奴を。
これはルールに反することだ。
終焉遊戯は、裏切り者を殺さなければならない。だが、参加者を殺していけないのだ。
つまり、俺は遅かれ早かれ死ぬ。
そのお告げがあの、メリーさんからとは。はっ、滑稽な話じゃないの。
俺は学校を休んだ。行ける気がしなかったから。
A夜やD保が過保護なほどに心配してくれた、でもごめんよ、俺はお前らに心配される義務はないんだよ。






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