第三の噂 その三 ( No.17 )
日時: 2013/07/30 12:09
名前: すらむ〈SRM〉 ID:kIf4HPJY

帰るとそこにはすでにみんな勢揃いだった。
一部はどうだったと尋ね、一部は俺の手を気にするというなんとも一体感の無い仲間だ。
まあ一部といってもI良やF子やJ葉たちなんだけどね。
俺ではさすがに説明できなかったため、W斗に任せることにした。
W斗はさっきの状況事細かく説明した。
途中、C美の顔の状態とか言い出しそうになったのを俺が遮る。
D保はそれを聞いて再び泣き崩れる。無理もない、恋人だけじゃなく友達までも失ったんだから。
そんな彼女をF子とO歌が慰める。
一方で、B十とC美のことと次に順番的に行くならばD保に白羽の矢が立てられるのでないかと警戒していた。
然しそれは大きな間違いだった。
それが間違いだと気付いたのは俺、理由はあれから七日たった今、俺の手にあるこの『手紙』。
『手紙』が次の標的は俺だと言わんばかりに下校する俺の靴箱に入ってたのだから。


「…皆に見つかる前に、見ちゃったほうがいいよな…。」


今現在、学校が始まってもなお俺らはI良の家に居候している状態。
その状態で帰って手紙を見る余裕なんてあるはずもない。
人のいない裏校舎の外れに来て、手紙を開いて中身を拝見する。
手紙の中には一枚の紙切れ。
その紙切れには『電話、またはメールにご注意ください』と書かれていた。
電話、で俺はある都市伝説を思い出した。
それが『メリーさん』と言うもの。
「私メリー、今、○○にいるの」から始まり最後には「私メリー、今、貴方の後ろにいるの」へとなる。
後ろを振り返ってしまうとアウト。でも振り返らなくてもアウト。
メリーさんから電話が来たらそれは死を意味する。助からない。


「…まさか、ね。」


俺はその手紙を鞄にしまって校門に向かう。
一人でトボトボと帰っていると公園の前に来た。公園では優雅に遊ぶ小学生の子供たち。
ふと、俺は小さいころのB十と俺をその子らに重ねてみる。
笑ながら水鉄砲を双方に向け、発射してはビショビショに。
そのあと家に帰って親に怒られた記憶も健在だ。なんて思い出し笑いしていると何かを思い出した。
俺がB十を殺すあの光景。
もうこの一週間ですべての場面を見た。でも全然訳が分からない。
その映像には声は入ってないし、俺は何かを叫んでB十を殺した後泣いてる。
一体何だというんだろう。


「…E太ちゃん!」
「うわ、あ、G真か…驚かせないでよ。」
「何その言い方。公園見てにやにやしてた気持ち悪い君に声かけて現実に戻してあげたのにさ。」
「気持ち悪…そうはっきり言わないでよ。思い出し笑いしてたんだから。」


G真は謝る気はないらしくごめんごめんと平謝りだった。
正直ウザい。
俺は会ったから仕方なく一緒にI良の家に帰ることにした。
帰る途中はあの話はせずに今日の学校のことを話しては笑っていた。
その時、俺の携帯が鳴った。
電話相手は非通知。よくわからず電話に出てみるがノイズが多くて聞き取れない。
切りますよ、そういった後に女の子の声が聞こえた。



『私メリー、今、○○駅に居るの。』



ブチ、と言い終わったと同時に通話が切れた。
○○駅はここからかなり遠い。車でも結構かかる。
問題はそこではない、彼女がメリーさんと言ったことだ。
ヤバイ、直感でそう思った。だが隣にいるG真はもちろん相談できるはずもないため今のは間違い電話だと言った。
期限は約一週間、それまでに、裏切り者を見つけなければ。


「ただいまーです。」
「…ただいまです。」
「お帰り二人とも。あ、G真、どっか行くならついでにお醤油買ってきて。」
「えぇーっ。…まあいいけどさ!行ってきまーす。」


G真は荷物を置くとそのまま行ってしまった。
俺は靴を脱いで、自分が泊まらせてもらってる部屋に荷物を置きに行く。
5日以内に裏切り者を見つける?なんて無茶な。
俺はノートにシャーペンの芯を走らせる。
裏切り者はアレに参加してない人物、それは子どもかも大人かもわからない。
俺は裏切り者は参加していた人物じゃないのかと考える。
そうじゃないと、見つけれるはずがない。


「誰だ…一体…。」


『誰なんだ。』と声が聞こえた。
誰かはいってきたのかと思い辺りを見渡すが誰もいない。
今の声、よく聞けばおれ自身の声だった。もう訳が分からない。頭が沸騰しそうだ。
リビングの方からバタバタと慌ただしい音が聞こえ始めた。
そろそろか、と俺がノートを仕舞った刹那。
襖がスパーンと開いて、Q子が無愛想な顔で立ってた。


「ご飯、30秒以内に来い。」


そう言うと彼女は再びスパーンと襖を閉めた。
ちょっと、人様の家の襖壊すぞ。
言われた通り行かないと後が怖いので、急いでリビングへ。
リビングに行くと、すでに全員がそろっており席についていた。
俺も急いで席に着くと、遅いとQ子から制裁を受けた。
いただきます、とみんなで食べ始め、ものの数分で完食。流石思春期の俺ら。
その後風呂までの空き時間はみんなで部屋でバカをやっていた。
俺はそんな気分じゃないけど、ね。




『私メリー、今、赤い月が見える橋の上にいるの。』




携帯から聞こえたわけじゃないのに、俺に聞こえたあの声。
夕方にかかってきた電話の女の子と同じ声。
赤い月?橋の上?
ここの近くの橋と言えば「如月橋」ぐらいだ。
「如月橋」は俺たちが通う学校のほぼ目の前にある普通の石造りの橋だ。
さっきは○○駅…近づいてきている。
俺は慌てて外を見た。
外は少々曇っていたが、月を見るだけならまだいい方だ。
そして月の色。月の色は…紛れもない、赤色だった。


(あと約一週間の猶予もないのかよ!)


俺が歯を食いしばって月を睨んでいると、後ろから声がかかる。
大げさにと言っていいほど、俺は驚いて大きく肩を揺らした。声をかけてきたのはR音。なんでよりによって、執着心がバカ並みに酷い彼女が、俺なんかに声をかけたのか。
ここだけの話、彼女は気づいていないがS茂のことが好きだ。…俺の情報網舐めるなよ?
R音は必要とあらばS茂にべったりで、まあ、彼女の性格があまりにも強引な博愛主義者なんで、S茂はいつも涙目だがな。
そんな彼女は携帯電話を取り出して、ニコッといい笑顔で俺に言った。


「あの電話、驚いた?」
「…はあ?」
「だから。『私メリー、今、○○駅に居るの。』ってやつですわ。」


まさか、犯人こいつかよ。
確かめてみるとやはり、夕方の電話はR音がイタズラで掛けたものだった。このアマ…。
じゃあ、『今、赤い月が見える橋の上にいるの。』もこいつかよ。
その話をしてみると、彼女は首をかしげる。
彼女の言い分によれば、夕方に公衆電話で俺に電話したのは事実だが、それ以降はS茂に注意されてしていないらしい。
おいおいおい、じゃあ、さっきのはなんなんだよ。俺の幻聴とでも言いたいのか?
だが、本当に彼女は知らないみたいだ。



――――じゃあ……あの声は誰?


考えた瞬間、鳥肌が立つ。
待ってよ、え、冗談でしょう?R音も驚いてるんだけど?
じゃあ本当にメリーさんのメッセージだというのか?いやいや、メリーさんは電話今ならツイ○ターとかで知らせてくるはず…。
俺は急いで自分がやっているツイ○ターを見る。
すると、俺とフォローし合っている謎のアカウントがあった。アカウント名は……『メリーさん』……ウソ、だろ?
しかもそこに書かれている『メリーさん』の呟きにはこう書かれていた。



『今、赤い月が見える橋の上にいるの。』
『赤い月を見ているの。』
『あの夜と同じ、真っ赤な色のお月様ね。』
『今、貴方の家の前にいるの。』
『でも留守みたいね。』
『今、ツクヨミ神社の前にいるの。』
『貴方はどこへ行ったのかしら。』
『どこへ消えたのかしら。』
『怖くないわ、いらっしゃいな。』
『どうして無視をするの?悲しいわ。』
『早くおいで、いつでも待ってるわ。』
『あと一日ね、楽しみだわ。』
『逃がさない。』



――――狂気だ


俺はすぐにそう思った。
だって、この呟きは一分事、しかもさっき声が聞こえた時間から一分おきに呟かれてる。
何だよこれ、ただの嫌がらせでしかないじゃないか。
あと一日?俺を探してる?早くおいで?怖い、狂気すぎる。R音もこれを覗いてはやり、目を見開くほどに驚いてる。
俺がこの呟きの中で気になっているのが、『あの夜と同じ月の色』?あの夜っていつのことだよ。
俺、赤い月なんて見るの初めてなんだぞ、さっきので。
もう訳が分からない。
R音は戸惑いながら心配してたけど、明日も学校だし、早く風呂に入って早く寝ることにした。







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