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[3998] raising-sun ―ライジングサン―
   
日時: 2014/11/11 11:28
名前: 月音◆aGDHPkqUjg ID:Syflzbno

どうも! 月音(つくね)です。
ファンタジー板にて書かせてもらいます。以後、良しなに。
題名の【Raising sun ―ライジングサン―】の意味は【日の出】です。要するに、夜が明ける頃ですね。
感想&アドバイスお待ちしておりますので、気軽に書き込んでください!




【注意書き】

・この作品には対人戦が有ります。
・【剣技】や【魔法】が出てきます。
・自分の気まぐれで、微エロor微グロが出ます。
・宣伝は当然ながら禁止です。お止め下さい。
・気軽にコメント宜しくお願いします。その際に、感想は出来るだけ簡潔に述べてください。ただの『面白いです』『文章が良かった』等の一言は止めて下さい。
・アニメや漫画のネタが被る事があります。ご了承下さい。





『コメントをしてくれた神様』

龍帝様

大和ケン様

ダンカン様

ザビエル様

オリマー様

朔夜様

汐維様

姫月 白逢様

蒼燕様

めぇ様

十六夜様

オコジョ様

獅子奮迅様

神器様

マギア様

薬師イタチ様

狐鈴様

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

『記録』



――2009年――

10月 20日 Rising sun ―ライジングサン―スレッド設立!

10月 25日 Rising sun ―ライジングサン―連載開始!



――2010年――

1月 7日 参照数1000件突破!

7月 18日 参照数5000件突破!

10月 25日 ライサン一周年突破!



――2011年

2月   4日 参照数10000件突破!

10月 25日 ライサン2周年突破!

12月 19日 参照数20000件突破!



――2012年

1月   9日 【星羅篇】始動!

5月  14日 【第5期】完結!

6月   1日 【第6期】始動!

10月 25日 ライサン3周年突破!



――2013年

10月 25日 ライサン4周年突破!



――2014年



1月   6日 【第6期】完結!

5月   7日 【第7期】始動!



―――――――――――――――――――――――――――――――――――

『更新履歴』(月ごとに削除します)



5月  7日 battle 79 A 更新!

10月 6日 battle 79 B 更新!

10月 31日 battle 80 更新!

11月 11日 battle 81 A 更新!



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

――挿入歌――

【第一期〜第四期】

OP BUMP OF CHICKEN「ナイフ」(battle 1 〜 battle 52)
ED BUMP OF CHICKEN「fire sign」(battle 1 〜 battle 13)
ED HAPPINESS「Kiss Me」(battle 14 〜 battle 26)
ED BACK−ON「Rain」(battle 27 〜 battle 39)
ED 奥 華子「シンデレラ」(battle 40 〜 battle 52)



【第五期〜第八期】

OP SCANDAL「太陽と君が描くStory」(battle 53 〜 battle 69)
OP SPYAIR「Naked」(battle 70 〜 battle 91)
ED ノースリーブス「ペディキュア day」(battle 53 〜 battle 69)
ED シド/SID「残り香」(battle 70 〜 battle 91)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

『リンク集』


>>[4922] 文芸誌 参加しました。【紅葉色の騎士】短編が記載されてます。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

登場人物>>2NEW
『敵』>>3
用語集>>9
協力者>>33
術式発音>>119
術式>>120

【十字軍篇】>>260
【星羅篇】>>





【星羅篇 予告】>>262



2012年 1月  9日 〜 2012年 5月 14日

【第5期】

battle 53【成人式時々着任式時々……】>>263
battle 54【修羅場時々修羅場】>>264
battle 55【瑠華を知る者】>>268
battle 56【青空の証言】>>269
battle 57【鍬形と甲峰】>>270-271
battle 58【火炎龍――サラマンドラ】>>272-273
battle 59【俺達はここで始まった】>>274-275
battle 60【海の日時々二対の猛攻!】>>278-279
battle 61【星羅、動く】>>280
battle 62【告げられた別れ】>>281-282
battle 63【星羅の妹】>>283 >>286
battle 64【俺達は知ってるよ】>>289
battle 65【何物にも恐れぬ者】>>290-291



2012年 6月  1日 〜 2014年 1月  6日

【第6期】

battle 66【生きろ、絶対に死ぬな】>>292-293
battle 67【もう大丈夫】>>294-295
battle 68【腐れ縁】>>296-297
battle 69【あいつが悪いんだな】>>298-299
battle 70【刃向く瑠華】>>300-301
battle 71【絶対に勝つからな!】>>302-303
battle 72【神速】>>304-307
battle 73【最後の贈り物】>>310
battle 74【そんなんだったら……】>>314-315
battle 75【伏しながらも尚】>>316
battle 76【太陽、死す】>>317
battle 77【行き着いた場所】>>318-319
battle 78【虚無の世界】>>320-321



【第6期】後書き>>322



2014年 5月 7日 〜

【第7期】

battle 79【鍬形の復讐】>>323-324
battle 80【眩しい中の世界で】>>325
battle 81【冷徹なる裏切りの凶刃】>>326-NEW
battle 82【】
battle 83【】
battle 84【】
battle 85【】
battle 86【】
battle 87【】
battle 88【】
battle 89【】
battle 90【】
battle 91【】

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

HAPPY NEW YEAR@>>48
with Merry christmas>>166
HAPPY NEW YEARA>>168

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

ライサンNG集@>>93
ライサンNG集A>>113
ライサンNG集B>>186
ライサンNG集C>>187




キャラバトン@>>137
キャラバトンA>>160

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

『自己紹介』

大阪府在住の成人男性。2月24日生まれ。
趣味は……普通に漫画読んだり、絵描いたり……。
好きな漫画……? 【ロザバン】とか……【藍蘭島】とか……【ベルセルク】とか? でもやっぱ【ガッシュ】!
好きなゲームは……【ゼル伝】と【FF[】に限る!





【人気投票】

・人気投票について>>106
・第一回結果発表>>150
・第二回人気投票実施! 票は↓

http://vote3.ziyu.net/html/ncfs3734.html








あわに様に書いて下さった二枚のイラストです。
この絵柄を、自身も見習いたいと思う心境……。
メンテ

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【第六期】後書き ( No.322 )
   
日時: 2014/01/09 17:19
名前: 月音◆aGDHPkqUjg ID:bpSQ6FZU

【第六期】後書き



御久方振りです。月音です。
新たに年も明け、二年の月日を経て、ライサン【第六期】終了しました。長い休載の中楽しみに思い馳せて下さった方々、申し訳ありませんでした。

この【星羅篇】という話を書いて先ず迷ったのは、この星羅シリーズで死ぬ人物についてでした。
ハイネ。エリウッド。レイラ。エルザ。パニッシュ。鮫島血潮。飛龍。鍬形。甲峰。
誰を生かし、誰を殺すか。生みの親にしてみれば究極の選択でしたが……。
散々悩んだ結果、話中星羅一味の中で二人亡くなられました。
この後活躍期待出来ないなと思い、切り捨てました。更に言うと、生かした奴等は、またどこかの場面で登場させるかもしれません。その時はどうか温かい目で見てやってください。
最後に、血潮と飛に合掌。さようなら。あの世に逝ってもお元気で。





続きまして。
後半で太陽が死ぬという予想外の展開ですが、これは前々から話に立てていました。臨死の際、太陽が死の世界に行き着き、自分の両親と神流、そして鳶に逢う場面も想定していました。
自分が言うのもなんですが、星羅さんは強いです。瑠華や青空より。そんな女性に太陽が簡単に勝てる訳ないです。幾度も瑠華と刃交えて、その度に敗北されていますから。
明日菜が何もしていない感が漂っていますが、彼女は決して弱い訳ではありません。太陽が主人公の権限で見せ場を掻っ攫っていくからです。彼女が本気を出してしまえば、星羅など余裕で凌駕するでしょう。この物語の主役も交代します(笑)

そんな訳で。
このライサン【星羅篇】、次回の【第七期】でクライマックスです。
太陽は生き返れるのか? 鍬形の仇とは何者なのか?
すべては、次回明かされます。
どうか、最後までお付き合い下さいませ。
メンテ
battle 79 A ( No.323 )
   
日時: 2014/05/07 09:19
名前: 月音◆aGDHPkqUjg ID:We/NHtBs

battle 79   鍬形の復讐









 星羅によって生死の境を彷徨っている太陽。
 そんな彼の目覚めを阻止しようと、回復を果たした星羅が再び接触を図る。
 太陽を確実に消し飛ばそうと動く星羅の前に、鍬形、甲峰の二人が立ちはだかり、現在――互いに相対している状況下だった。



 鍬形が唱えた岩創りの剣や槍を弥七の一薙ぎで斬り払っていく星羅。対して鍬形も星羅の斬撃と魔法を前に【防壁(プロテクト)】と【魔壁(シェルター)】を使い分けて対処する。
 後衛で応戦する鍬形の補助に、甲峰も重い拳を振るい、星羅の背後へ奇襲を試みる。振るっては避けられ。
 そうしているうちに、瞬間――星羅の刃が甲峰へ向けられた。


 ズンッ!

「うぐぅ……!」


 腹へ突き刺さる星羅の太刀。
 少量の血を口から零し、苦悶しながら――。

「っ!?」

『星羅、捕らえたり!』という声とともに、甲峰が後ろから星羅を羽交い絞めにする。甲峰の腕力にもがき出す星羅。
 刹那。

「【大地の大角】!」

 土で創られた刺柱が地面から突き出し、星羅の腹を貫く。

「がっ……!?」

 吐血する星羅を前に勝利を確信する甲峰。
 だが。
 次の瞬間。

「っ! 甲峰くん!」
「!?」

 唐突な鍬形の呼び声に、甲峰が危険を察知した――時には遅かった。
 ザァンッ!

「うああああああああっ!」
「甲峰くん!」

 彼女の一太刀を背中へ受け、鍬形の方まで吹っ飛ぶ甲峰。
 腹部を刺され、背中を斬られ、立ち上がる力さえままならない彼の傷を、鍬形が咄嗟に中級回復魔法で治癒する。
 ダメージが大きい……。少しでも彼を動けるようにしなくては……。
 くそ、星羅め。移し身人形――リバース・ドールなんてものを忍ばせていたのか。
 僕としたことがっ……!

 行いを悔やむ余地もくれず、星羅が光線を放って来る。疾駆する光線を前に、鍬形が【魔反射(リフレクト)】を唱えて術を跳ね返す。
 術は星羅に隣接していた岩山へ着弾。衝撃音とともに岩が崩れる。
 同時に甲峰の外傷も緩和し、なんとか自力で立てるようになった。

「すいません……弘坊ちゃま」
「謝るのは後だ。今は気持ちを入れ替えて」

 申し訳なさそうに謝る甲峰に、鍬形は間髪入れずフォローする。
 立ち上がってはいるが、問題はあの腹部のダメージだな。
 治癒魔法は本来外傷や疲労困憊を治す為のものだから、内部や精神的な負傷にまで手は回らない。それは錬金術師の分野だ。
 なんにせよ、甲峰くんにこれ以上のフロント(前衛)を強いてはいけない。
 足りない分は僕の術で補う。

 鍬形が策を練っている間に、星羅は幾数もの光弾を二人に向けて発射する。
 甲峰を自分のもとへ隣接させ、鍬形は巨大な防壁を手前に張って術を防ぐ。
 この程度の術なら……ワンランク上の【魔壁】で十分に対応でき――。

「鍬形さああああああん!」
「っ!?」

 直後、鍬形の思考を遮って甲峰が叫ぶ。
 それに感づき、鍬形が背後を振り返った――瞬間。

「――っ」

 鍬形を斬った刃。
 それは――ハイネの刃だった。
 幸い鍬形も防御を中断して回避した為、左腕への傷で済んだ。

「先輩……! やはり貴方もだと思っていましたよ……!」
「当然のことを言うな、鍬形。星羅居るところに私が居る」

 受けた傷跡を押さえている鍬形に、ハイネが不敵に言い張る。
 思えばそうだった。
 この女の側には必ずハイネかエリウッドが付き添っていたな。
 けれど、幸いエリウッド先輩は風斬零土のおかげで多少は負傷している。少しの間だけど時間は稼げる。
 僕の認識が甘かったな……。よりにもよってハイネ先輩が現れたか……。

「……くっ!」

 ズボンのポケットから回復液の入った小瓶を取り出し、栓を抜いて液体を腕の傷へ垂らし込む。
 シュウウゥゥ。
 液がしみるような痛さとともに傷口が塞がったのを確認して、鍬形は目線をハイネへと移す。

「ハイネ先輩……。やはり、戦わなければいけませんか?」
「勿論だ。日野神太陽が生還するなら尚更だ」
「星羅嬢。今一度問います」
「何?」
「妹の瑠華を使って、どうするつもりですか……!」

 鍬形の言葉に、星羅は呆れたようにため息をついて――。

「またその質問? もう何回目だろう。まぁいいわ。もう繰り返させないでね。――私の目的は精霊を召喚する事よ」
「――っ。馬鹿な! 一人の人間が精霊を二つ持つことは出来ない筈だ!」
「それが……出来るのよ」
「!?」
「あの子――瑠華って、生まれながらに高い魔力と剣の才能持ってるでしょ」
「知っています。ですが、それとどう関係があると……?」
「鍬形。召喚の条件って何?」
「……術者の精神力、或いは死して身体から乖離(かいり)した魔力を集めて言霊を乗せる、ですよね」
「そう。そして私が召喚するのは――戦乙女。瑠華から奪い取った魔力を媒体に、ヴァルキリーを召喚する」
「戦女神だと!? 奴は戦の際にラーン・テゴスとともに、アイアンハートに魂ごと消し飛ばされた筈だっ! 四散した魂を呼び寄せることはできない!」
「ええ、そうね。戦乙女の魂は四散した。けどね――それを引き寄せる為の媒体が人間だったら?」
「媒体……。まさかっ……!?」

 鍬形の声とともに星羅が頷き、更に言葉を紡ぐ。

「私ね、瑠華と同じで生まれた時から潜在能力が高かった。勉強もできて剣術だって常に一番。でも、瑠華と違って大人達はそんな私を忌み嫌った。化け物とさえ呼んだ。ねぇ鍬形。そんな赤子が身内にいたら、あなたはどうする?」
「僕なら……その赤子は捨てない。何が何でも護ります」
「偽善者」
「人は誰もがそんなんじゃない」
「そんなことは知っている。けど、もう手遅れ。私にはもう何も残っていない。残っているのは瑠華一人だけ。私は、この体を使って、私の野望を邪魔するやつも、私の大切なものを奪おうとするやつも、皆殺しにしてやる……!」

 歪んでいる。
 自分が愛されたいが為に、罪なき者さえ手にかけることも厭わない。鍬形は彼女からそう感じた。

「悪いけど鍬形、甲峰。私が築く世界の礎になってもらうわ」

 言い終えた刹那。
 星羅が鍬形へ一閃を繰り出す。
 瞬間に鍬形が【防壁】を展開、彼女の刃を止めようとする。
 が。

「!?」

 一瞬視界に映った、星羅の太刀が【防壁】を裂く所。
 盾の呪文もろとも斬られる前に、鍬形は【防壁】の破壊と同時に後退して――。

「【グランロン】!」

 小さい岩の塊を星羅へ放つ。しかし、彼女の身を護らんとハイネが彼女の前線に立ち、同じ初級呪文を唱えて相殺する。
 星羅を狙う上でハイネはやはり厄介。そう踏んだ鍬形が術をハイネへ打ち込んでいき、自分への接近を阻止する。
 甲峰も一緒になって攻撃しているのに対し、星羅は太刀――弥七を片手に鍬形太刀二人を見ていた。
 僕達を前にして何故攻撃してこない……?
 ハイネ先輩だけでねじ伏せられると思っているのか。単に僕達を嘗めているのか?
 そんな僕の心を悟ったかのように、ハイネ先輩が何の前触れもなく【脚力向上】を唱えて、速力を上げてきた。
 くそっ。
 先輩の剣戟を【防壁】で凌いでいくので精一杯だ。しかも僕の武器はこの魔術書一冊だけだ。この本無くしてハイネ先輩を止める事は出来ない。
 甲峰くんも肉弾戦で星羅嬢の相手を繋いでくれてるけど、片手で腹を押さえてる。やっぱり傷が響いてる。
 彼を助けてあげたいが……僕の魔力も残り少なくなってきた。序盤で呪文を使いすぎたか。
 僕とあろうことが、星羅嬢相手に中・上級呪文を連発するなんてね……。
 あんな事があったから、取り乱していたのだろうか……。






 3002年 8月 6日
 僕が11歳を迎える、屋敷内で行われた誕生会でのことだった。
 そいつは門から堂々とやって来、近衛隊もみなそいつに歯が立たなかった。
 屋敷に入ったそいつは、僕を鍬形家の御曹司と知り、刃を向けた。
皆は僕を護った。その所為で身内がたくさん死んだ。
 唯一生き残ったのは、僕と当時召使いだった甲峰くんの二人だけだった。
 そして、血の海と化した屋敷内に、そいつは無残にも火を放つ。
 僕達は難を逃れたが、その対価に帰る場所を失った。
 僕は自分を呪った。
 奴を殺す能力(ちから)を持っていれば、護られることなく、少なくとも退けることもできたやもしれないって。
 自分を責める僕に、甲峰くんはそれは違うと宥めてくれた。僕はその時、そんな些細な言葉でも誰かに宥めて欲しかったのかもしれない。

 その日から僕たちは復讐を決起した。
 全てを奪ったあいつをこの手で殺そうと。


 みんな死んでしまった。
 父様も。
 母様も。
 妹も弟も。
 メイド達も。

 あの凶刃に殺されてしまった。
 あの業火に全て燃やし尽くされてしまった。





 そいつは今も尚、帝国軍団で将軍の地位に就いている。
 みなから持て囃されているそうだが――。

 忘れない。
 僕は――あの顔を忘れない
 僕は――あの目を忘れない
 僕は――あの狂気を忘れない







>>NEXT B
メンテ
Re: raising-sun ―ライジングサン― ( No.324 )
   
日時: 2014/10/06 13:59
名前: 月音◆aGDHPkqUjg ID:Nip.AfyA

battle 79   ―B―










「【溶岩の蛇(ラヴァ・スネイク)】っ!」

 鍬形が術書から呼び出した、溶岩で作られた蛇が星羅へ直進してゆくのに対し、、星羅は咄嗟に【中・防壁】を展開、相殺へ持ち込む。
 星羅が張った防壁が溶岩の所為で溶け出し、マグマとなって彼女に降りかかる。
 咄嗟に後ろに下がって摂氏の熱をやり過ごし、星羅は地に足を着けた直後、左人差し指から雷の光線を放つ。

「――っ!」

 光線は鍬形の左脚を掠める。掠った太ももへ電撃が走り、それを伝って鍬形の体へ蓄積する。
 一瞬痺れを生じる鍬形の掌。幸いにも本を持っている利き手――右手ではなかった。
 星羅も少々、鍬形にイラつき始めた頃だ。

「その本、鬱陶しいわね。燃やしてやろうかしら」
「燃やせますか? 貴女にそれが」
「痺れて脚一本動かせないくせに、粋がってんじゃないわよ!」

 無理に余裕を作って、鍬形は岩の槍を幾重にも星羅へぶつける。星羅を護るようにハイネも前に立ち、【大・防壁(ガ・ドン・プロテクト)】を展開、全て防ぎ落とした。
 防壁にぶつかって崩れる岩の槍。ハイネがレイピアを構え、防御を施していない鍬形へ一閃入れようと直進する。
 彼の素早い脚力の前に、鍬形も強力な防壁を張ろうとページを開くが、時間がなければ詠唱する余地もない。
 ハイネの剣が鍬形を薙ごうとした――その時だった。

「ふんっぬ!」
「っ! 甲峰くん!」
「甲峰……っ!?」

 突如鍬形の前に立った甲峰が、降りかかろうとしていたハイネの剣を――両手でパッと受け止めた。
 真剣白刃取(しんけんしらはど)り――。
 ハイネの素早い一閃を、甲峰はその分厚い両手で受け止めてしまったのだ。

「ほぅ、白刃取りか。きみがそれを使えるとはな……甲峰」
「残念っスね先輩! こりゃあね、鍬形さんにはずっと黙ってた技なんですよねぇ、ハイッ!」
「ずっとって!? 何で今までそんな芸を僕に黙ってたんだ!?」
「隠し芸ってなぁ隠さなきゃ隠し芸にゃならないでしょう? 鍬形さん言ったじゃないスかぁ〜」
「うっ……言ったけど……!」

 その時。

「ぬおっとぉ!?」

 甲峰の腹を一蹴すると同時に、ハイネは剣を引っ下げて距離を取る。

「なるほど……。言葉から察するに、私たちにもそれを黙っていたと見える……。しかし、いくらお前が肉弾戦に自信があろうと、お前は所詮鍬形の下っ端だ。お前のその拳で私を捉えられると思うのか」
「やろうって思えば出来やすよ。――ハイネ先輩、一丁手合わせ願いますっ! 押忍!!!」
「上等だ」

 ハイネの言葉に合わせて甲峰が直進する。ハイネはまだ一歩も前には出なかった。甲峰の重い拳を身のこなしで回避していくハイネ。
 当然受ければ悶絶するであろう。

「――疾(し)っ!」

 甲峰の拳をかわした後、ハイネがレイピアを薙ぐのに対し、甲峰は両腕を十字にして身を守る。

「……防いだか……」

 ほくそ笑む甲峰。ハイネもそれは知っていた。甲峰の体が元々頑丈で、自分の斬撃が効かないことを。
 星羅の刃をまともに受けてこそすれ、これは相手が悪そうだ。ハイネも心中で悟る。
 そんな甲峰を援護するように、鍬形も本のページを捲って術を放射。星羅とハイネを分断させる。

「貴女の相手は僕です」
「……忘れてるんじゃないかと思ったわ」

 刹那。星羅は弥七を振るい、鍬形が咄嗟に展開している防壁を次々に破壊して追い詰めていく。
 一枚一枚と防壁が斬られる毎に、鍬形は徐々に後退している。

「っ!」

 後ろの壁に背が当たる。
 ニィッ。
 ほくそ笑んで星羅は弥七を横一閃。鍬形は咄嗟に体を屈めて、彼女の斬撃を回避。すぐさま彼女の左方へ逃げる。
 逃げる彼の背中狙って星羅が雷の光線を放つ。鍬形はそれを予想していたかのように。

「【中・防壁】っ!」

 術を完全防御する。防壁を消し、鍬形は隙の生じた星羅へ岩の剣を三本呼び出して攻撃する。

「――っ」

 次の瞬間。鍬形がいち早く殺気に気付く。しかし、それは時既に遅しだった。
 星羅は歯を見せるように口元を上げると。

「ハイネ」
「……御意」

 そう言ってハイネに命令する。それを悟ったように、ハイネもほくそ笑みながら返事して。
 ザァンッ!

「……っ!?」
「! 甲峰くん!?」

 目に見えない一閃が振るわれるとともに、甲峰の体中から身に覚えのない斬撃が刻まれる。
 甲峰は理解できないまま、前のめりに突っ伏す。
 彼を助けようと、鍬形も星羅をよそに駆けつけようとするが――。

「私を無視するなんていい度胸ね」
「……そんな馬鹿な!?」

 一瞬で星羅が鍬形の前に立ちはだかり。





 鍬形を斬り払う。
 斬撃は鍬形の左肩から胴体にかけて斜めに捉えられた。

「ハイネ……先輩……っ」
「貴方達にしちゃ良く頑張った方よ。及第点をあげるわ。……安らかに眠っていなさい」

 悲哀の顔でハイネを見据えると、傷を押さえながら鍬形は甲峰と並んで前のめりに突っ伏してしまった。
メンテ
battle 80 ( No.325 )
   
日時: 2014/10/31 15:06
名前: 月音◆aGDHPkqUjg ID:lUtNEQZs

battle 80   眩しい中の世界で





「……鳶……っ!」
「久し振りだな、たっちゃん」

 剣を片手に、親友――尾崎鳶が太陽を見てニッコリさわやかな笑みを作る。
 姿も仕草も口調も同じだ。父さん母さん同様、あの頃の鳶のままだ。
 おもわず半泣きになる太陽。
 そのまま鳶は、太陽に――優しく抱き寄る。
 ぎゅっ。
 本当に鳶の匂いだ。嘘じゃない。
 何も変わってない。

「大きくなったな……たっちゃん」
「ずっと会いたかった……親友」
「――なんて言ってる場合じゃねぇっ! どういう事だ!?」

 突如。
 太陽の両肩を掴み、鳶は真剣な顔で太陽に言い寄る。

「何でこんな所にいるんだたっちゃん! まさか俺が目を離した隙に、ドンくさい事してポックリ死んだんじゃねーだろうな!?」
「……えっ、えっと……」
「やっぱりな! そんなこったろうとは思ったよ! どうせたっちゃんの事だから、誰かの為に突っ走ってこうなることぐらい、みんなわかってたよ!」
「ち、違うよ。俺が生き返る間に、お前から力を貰えって言われたんだ。父さんから聞いて、鳶ならなんとか出来るって、相談に来たんだ」

 そして鳶は全てを悟っているかのように俯き。

「…………そうか。たっちゃん」
「?」
「俺、今からたっちゃんにびっくりな話をするから。真剣に聞いてくれ。これは、冗談じゃないから」
「冗談じゃない……?」

 小さく息を吸って吐く鳶。怪訝な顔で、一体自分に何を言い出そうとしてるんだ、親友は。
 そして、鳶から告げられた言葉は、太陽にとってはにわかに信じ難いものの一つだった。

「――俺は、今この世界の神なんだ」



「……うん……?」
「うんっ?」
「……うん?」
「うん?」
「…………鳶。久し振りに会って失礼なんだが、馬鹿に磨きがかかったか?」
「俺は正常ですっ!」
「あぁ、良かった」
「本当だよたっちゃん? 晴天さんも言ってたろう? 此処は言わば天国。俺は此処の――まぁ、お偉いさんみたいなやつだ」
「鳶。お前やっぱ全然大丈夫なんかじゃないって。自分を思い出してくれよ。俺の知ってる鳶はそんなサブいボケを平気でかますようなやつじゃなかったよ」
「いや、ボケてねーから! これ真剣だから!」

 またまた冗談まがいな言葉を発してきた鳶。
 自分が死んだ、此処は天国、鳶は此処の偉い者。
 父さんが言ってたこの世界の神って言うのは、鳶らしい。死んだ後でも、俺の上に立ってるのか。良いような複雑なような……。

「たっちゃん。下を見よう」
「下……」
「たっちゃんの体が在る」

 鳶とともに雲の下を覗く太陽。
 鳶が指差す方へ太陽が視線を見遣ると――。

「っ!」

 自分でもハッキリわかった。あれは確かに俺の肉体だ。ちょっと寝た間にこんなにも離れていたんだな。よく見れば兄ちゃんも居る。
 俺たちを助けに来てくれたんだろうが、俺が死んだ後でやって来たんだな……。
 早く生き返って星羅を倒さなきゃ。そう思った太陽は、鳶を見据えて――。

「鳶……」
「うん?」
「俺を早く生き返らせてくれ。俺にはまだやることがあるんだ」
「たっちゃん。生き返るなんて簡単に言っちゃ駄目だ」

 親友の言葉に、太陽は思い掛けなかったのか、急に顔を曇らせる。
 死んだ身で生き返らせてくれなんて図々しい言葉を、太陽は後になって省みる。

「……無理、なのか?」
「そうじゃない」
「じゃあ、どうするんだよ」
「……たっちゃん。俺とここで戦ってくれ」

 腰に差した鞘から剣を抜刀し、太陽に告げる鳶。そのまま鳶は言の葉を紡ぎ出す。

「神から生を受ける唯一の方法。全身全霊で神と相対して、その力を屈服させる」
「本気で戦え? そんなことしてる間はないんだって。早く俺を――」
「知ってるか、たっちゃん? 人って心配停止から三〇分過ぎたらマジで死んじまうらしいから、もうチンタラはしてられないぜ?」
「何だって……!?」
「それに、この条例は昔から決まってる。いくら俺でも天界に伝わってるこれだけは覆せねーんだ。だからゴメン」

 ……。
 五秒ほど黙り込み、太陽は背中の火炎剣を抜刀して鳶を見据える。

「三〇分でお前を倒せ……。そういうことか……」
「だからって言って、俺は簡単にたっちゃんを勝たせたりはしねーけどな」
「命を頂くんだからな。それぐらいは必死にならなくっちゃな!」
「くたばってから6年。たっちゃんがどんくらい成長したか、俺が見極めてやるぜ! かかって来いやぁっ!」

 鳶は不敵に言ってみせると、太陽から距離を取って――剣を両手に斬りにかかった。











「【摂氏灼熱の矢(プロミネンス・アロー)】っ!」
「【紅蓮斬】っ!」

 鳶が放った灼熱の矢を、剣先から迸る火炎で太陽は正面から叩き斬る。斬られても尚、鳶は矢を太陽向けて狙い撃ち続ける。
 太陽も打ち落とし、防御し、回避して矢の追撃をやり過ごしていく。
 思い出すぜ。鳶は剣だけじゃなく射撃――弓矢も得意だった。夏祭りの射的で勝負してよく完敗したな。あっすん(明日菜)も翔太も御手上げだった。
 弦を引く音に合わせて、太陽は空いた左人差し指を鳶へセットし、攻撃呪文を放つ。

「【フォノン】っ!」
「!」

 咄嗟に鳶は弓を粒子化させ、防御呪文を詠唱、手前へ展開する。

「『f+l+a+y+w+a+l+l』――【炎の大壁】!」

 フレイ・ウォールで飛来する火の玉を完全防御。火の玉は小さく爆ぜて消滅した。

「へんっ! 【フォノ・マラン】!」

 フレイ・ウォールを消すと同時に鳶は右人差し指を太陽定めて、炎の熱線を放つ。
 直線状に疾駆する熱線を鳶は、薙ぐ様にして放出したまま横へと逃げる太陽を追い詰めていく。太陽も、熱線に当たるまいと走る足を止めない。

「っ!」

 矢が太陽の足元へ着弾し、行く手を遮る。燃え上がる進路から逆の方向へ走ろうにも、鳶はまた矢を射り太陽を足止めする。
しまった。
 太陽がそう察知した時には遅かった。
 鳶が宙を舞い、太陽を狙って大きな炎の矢を撃ち放つ。
 さっきのとは力が段違いだ。下手すれば兄ちゃんの術以上の力だ。肉も骨さえも残らないっ!
 正面から逃げようとする太陽だった。が、矢に照準がいっていたのは――その正面。
 防御呪文を唱えようにも打ち破られると断定し、唱えられない状態の太陽。

 と。
 その時。太陽の時間が止まった。
 誰かが止めたわけでもない。太陽は分かっていた。

「久し振りの登場ですか、焔さん」
『主。時間が無い。今から我の言うとおりにしてくれ』
「時間が無いって、鎧化すれば防げるんじゃ……?」
『恐らく鎧ではあの矢はへし折れん。主が貫かれてしまう』
「言いにくい事を言ってくれてどーも」
『主っ! 両手を前にっ!』
「っ!? こうか!」

 バッ!
 太陽は焔の言うとおり、迫り来る灼熱の矢に対し両手を前に翳す。

『我が魔力、その掌に溜めろ!』

 時間が無い。
 急(せ)ぐように魔力を両手に籠めて、太陽は塊となった橙色の魔力を矢目掛けて発射する。





「くらええええぇぇぇぇっ! 【フォノ・ガ・ドン】っ!!!」
「!?」

 直後。鳶が放った灼熱の矢が太陽の術とぶつかって相殺。太陽と鳶との間に激しい揺れと衝撃音が生じる。
 踏ん張って耐える太陽と鳶。十秒ほどで震動が鳴り止む。
 今のはフォノン系の上級呪文……これは犯人逮捕やテロ殲滅戦の際に何度も見てきた。そんで、今まで俺でも唱えられなかったものなんだぞ……。どうして今になってこいつが使えたんだ。焔のお陰なんだろうか。

「スゲェ、たっちゃん……フォノ・ガ・ドン撃てるようになったんだな。俺との戦いの中で目覚めたとか言うやつか?」
「分からない。でも、そうなんだと思う」
「へへっ、そりゃ何よりだぜ」

 微笑みながら剣を抜刀し。


「そいじゃ俺も――いっちょ強力な呪文使うか!」


 言い放って、鳶は右掌を熊の手に、炎を溜め始めた。
 その炎と光は太陽も知っているものだった。紛れも無い、兄――青空と同じ魔力の大きさと輝き。
 そして。
 術の名前にも覚えがあった。










「――【死招く紅き熱線(クリムゾン=デス=ナパーム)】!!!」
「鳶っ! お前、何でその術……っ!?」
メンテ
battle 80 A ( No.326 )
   
日時: 2014/11/11 11:23
名前: 月音◆aGDHPkqUjg ID:Syflzbno

battle 81   冷酷なる裏切りの凶刃





「――【死招く紅き熱線(クリムゾン=デス=ナパーム)】!!!」




 刹那――。
 太陽の頭上に浮かんでいる魔法陣から、極太の熱線が放出される。太陽も知っている術だ。
 これは……兄の最大呪文だ。
 ただでさえ自分より強い青空の術を、何故鳶が使えるんだ。
 動揺する余裕も無く、熱線は太陽へ降り注ぐ寸前。太陽は真っ直ぐ鳶の方へ走って熱線を回避、遣り過ごす。そのまま振るわれた鳶の剣戟を防御する。
 鍔迫り合いながら、太陽は鳶に話し掛けた。

「鳶……どうしてお前が、兄ちゃんの術を使えるんだ……!?」
「忘れたのかよ、たっちゃん。たっちゃんは俺が使ってた『炎』呪文に憧れて同じ分野を学んだんだぜ? こうして死んだ後も、俺は鍛錬を欠かさずにいたんだ」

 そうだ。
 俺は鳶が使う『炎』呪文に憧れて、それを磨こうと同じ部門を選んだんだ。
 けど、いくら俺でも、未だ上級呪文のレパートリーが少ない。精々【劫火灰塵】止まりだ。
 あれは――兄ちゃんの最大上級魔法【クリムゾン・デス・ナパーム】。あれでオレオを消し飛ばしたんだ。
 そんな兄ちゃんの術を、如何して鳶が使えてるんだよ……。そんで鳶は、こんなにも強かったのか……。学院にいた時のとは段違いじゃないか。

「瑠王に居たあの頃の力だと思わないことだぜ、たっちゃん。俺がどうしてこの世界の神にまでなったか……。その意味を、今、たっちゃんの身に教えてやる」
「……」
「半端なんか許さない。手加減も許さない。全身全霊を出せ。持ち得る力を引き出せ。そして、俺を屈服してみせろ、たっちゃん!」

 切っ先を離れた太陽へと向けながら、鳶は力強く言い放つのだった。



「霜月、まだソルの字治んねーのか!?」
「まだ目を覚まさないよ! 心臓は動いてるのに!」
「踏ん張れてめぇら! あの薬は三十分で効く! 今ようやっと一〇分切った! このままブスやハイネが来ねぇ限り、此処は――」

 と、青空が言いかけたその時。





「誰が来たら、状況が変わるのかしら?」
「っ!?」

 声がした方へ咄嗟に青空が振り向く。そこには――。
 ハイネとエリウッドと、太陽との戦いで完治し終えた星羅の姿だった。

「隠蔽か……。良い判断ではあるが、我々に言わせれば小賢しいかな」
「どうやってこいつを見破った……っ!?」
「きみも知っているくせによく言う。本来【隠蔽(インビジブル)】は共同魔法。複数の人間の魔力を媒体に発動出来、高い魔力を持った者ほど継続も延びる。――だが」

 スッ。
 ハイネは青空の後ろにいた零土達を指差して言う。

「そこの青年達の足りない魔力をきみ一人で補った分、青空……きみの大きな魔力が駄々漏れしたのが原因だ。元より【隠蔽】は連続して使うものではない。あまりに大量の魔力を浪費した故か、途中で休憩を挟んだのだろうな。それも原因の一つだ」
「……っ!」
「解説有難う、ハイネ」

 笑顔をハイネに見せ、星羅は右手のひらに光の玉を作って。

「そういう訳だから、今度こそ太陽くんを消させてもらうわ。あなたたちもろともね」
「……へへっ、むざむざやられてたまるかよ」
「粋がらないで楽になっちゃいなさいな。大丈夫。苦悶は一瞬だけだから」

 星羅が術を放とうとしたその時。彼女の背後でハイネが術を唱える。

「星羅嬢。私も助太刀を」
「ふふふっ、上級魔法二発同時は逃げ切れないわねぇ」
「てめぇらあぁ! 今すぐ放出を中断しろ! 急いで逃げるぞ!」
「うわああああやべー! もう間に合わねーぞぉ!」
「お姉ちゃん、梓ちゃん! ソルを!」

 仲間達の声を掻き消すかのごとく――。






 星羅とハイネが撃ち放った巨大な十字架の術が太陽達のもとに降りて来た。凄まじい衝撃音と爆風。それと同時に爆発の所為で天井が吹き飛び、空が明るみに出てきた。
 もう消し飛んだか。星羅がほくそ笑んだのも、ぬか喜びに過ぎなかった。

「…………チッ」

 舌打ちして星羅は地団駄を一つする。星羅の視界の先には――太陽達はいない。
 だが、彼等の魔力反応だけが残っていた。
 取り逃がした。
 そう悟った星羅は両腕を組んで自らを省みる。

「…………。逃がしちゃった。私、案外詰め甘いのかなぁ」
「否、彼が賢いだけです。貴女が気にすることではありません」
「そう言われるとますます気にしちゃうんだけれど……。ってゆうかあの時、ハイネの術が邪魔したような気がしたんだけど、気のせい?」
「気のせいで御座います」

 ジト目でハイネへ目線をやる星羅。すぐに一息つくと、星羅は先程の鍬形と甲峰を思い出して一言告げる。

「さっきチラッとだけ見たけれど、あの子達、息してたわよ? もしかして手加減した?」
「――っ。申し訳ありません、星羅嬢。どうやら私の方も詰めが甘かったようだ」
「いいわよ、別に。あの子達さえ倒せば全て終わるんだし。あれじゃ『瑠華ゲットだぜ!』はまだまだ時間がかかるみたいね」
「そのようですね」

 ハイネとエリウッドを一瞥もなしに、歩きながら星羅は言の葉を紡ぎ出す。

「ハイネ。エリウッド。君達は私を裏切ったりしないもんねぇ。太陽くんが死んじゃった現在(いま)、あの子達に私は倒せない。そして私はおとうさんおかあさん、そしてお祖父ちゃんにも負けたりなんかしない。この力で、瑠華を生涯幸せにしてやる」
「……星羅嬢。彼等を殺した後、どうされるおつもりで?」

 閉じていた瞳を静かに開け、ハイネが星羅に尋ねる。

「勿論、全員「晒(さら)し首」にしてから、大好きな瑠華と一緒に甘〜い一時(ひととき)を過ごすよ。あっ、当然、ハイネ達も一緒だよ♪」
「そうですか……。身内との一時、良い事だ。それなら――彼等を殺すその役目、私が引き継ぎましょう」
「っ? ハイネ……?」

 鞘に手を添えて、振り向きざまにハイネは――。

「!?」

 ザンッ!
 星羅へ見定め、レイピアを抜刀。その勢いで彼が繰り出した剣の刺突は、星羅の腹部分を貫いていた。

「――っ! ハッ……イネッ……!?」







>>NEXT B
メンテ

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