日々 ( No.272 )
日時: 2013/02/04 01:10
名前: ひみつのにんにくちゃん! ID:wYED/Y..

 うぃーんがしゃん。うぃーんがしゃん。
 うぃーんがしゃん。うぃーんがしゃん。
 うぃーんがしゃん。うぃーんがしゃん。

 うぃー……ん……。がしゃん。


 ◆


「お腹がすいてきたな、カフェにでもよるか」
「いいわね。私もゆっくりしたいし」
「じゃあ、どこにする?」
「えーと……。あ、ここ! こんなとこにあったんだー! 結構一部でおいしいって有名な店なのよ」
「じゃあ、ここにするか」

「うまいね、ここ」
「うん。コーヒーの香りがたまんないぃー」
「お、いうねえ。じゃあこのホットドッグは……。ソーセージの旨みが後からおいかけてくる、って感じだな」
「ずっと思ってたんだけどさ、後からおいかけてくるって表現、ピンと来ないよね」
「ははは」


 ◆


「今日、星綺麗だねえ」
「冬は空が澄んでるな。本当に綺麗だ。本当に」
「でも、寒いねえ」
「こうすれば、温かいだろう。俺も、お前の温もりで温かいよ。一石二鳥だな」
「温かい……。ずっと、一緒にいたいわ」
「なあ」
「うん?」
「えっと……、結婚……してくれないか。俺も、お前と一緒にいたい。ずっと、ずっと」
「ありがとう。私もよ」


 ◆


「行ってくるよ」
「行ってらっしゃい。あなた」
「この国の将来の担い手になるかもしれないロボットを作ってるんだ。帰りが遅くなるかもしれないけど、いいか?」
「うん、待ってる。ずっと」


「ただいま。遅くなってしまった」
「おかえりなさい。ごはん、用意しておいたわよ」
「ああ、ありがとう。起きててくれたんだな。いきなりだけど、この後……」
「一緒に、寝ましょう。ごはん食べてる間、シャワー浴びてくるわ」
「考えていることは同じ、ってわけか」
「ふふふ」
「愛している」
「ええ、私も」


 ◆


「ははは。こいつはやんちゃだなあ」
「ええ。とっても元気に育ってるわね」
「俺に似たか」
「ふふふ、だとしたらさぞかし立派な科学者になるんでしょうね。楽しみだわ」
「お前には似てないだろう」
「あら、案外私はやんちゃだったのよ」
「意外だな」
「おとうさーん! おかあさーん! あそぼ!」
「おう、そうだな! 何して遊ぶか?」


 ◆


「ただいま」
「おかえりなさい、あなた」
「今日さ、完成させなければならないロボットがあるんだ。だから家に置かせてくれ」
「分かったわ」
「そういえば、今日は寒いな……。星が綺麗だったよ」
「5年前の今日も、丁度こんな日だったね」
「え?」
「プロポーズしてくれたじゃない、もう」
「ああ、ごめん。そうだったな」
「何なの、もう。久しぶりに、やりたいなと思ってたのに」
「ごめん」
「まあいいわ。ストーブつけるわね」


 ◆






 妻が死んだ。
 息子が死んだ。
 俺のせいだ。


 君さえいれば何もいらないんだ君さえいれば何もいらないんだ。
 あのストーブが、あのストーブのせいで。
 俺の持ち帰ってきたロボットのせいで。
 引火するとは思わなかったんだ許してくれ許してくれ許してくれ。


 ◆


 お前は幸せだったかい。
 俺は懲りずにロボットを作ってるよ。会社は辞めた。会社で培った知識で、材料をそろえて、一人でロボットを作ってる。
 君の名前をつけたんだ。馬鹿だろう。
 馬鹿だと笑ってくれ。
 プロポーズした日を忘れるような馬鹿な俺を、もっと怒ってくれ。
 まだおかしい話をしていた、付き合っていたころのように、笑ってくれ。
 もう一度、


 ◆


 俺はもうだめかもしれない。
 会社に勤めていたころの金が尽きそうだ。もうろくに食べ物も食べれてない。
 お前が居たら、もっと食べ物を買う時のやりくりもうまかったんだろうなあ。
「アナタ……チョウシハ、ドウデスカ」

 もう、だめかもしれない。
 お前がいないと、とても――


 ◆








 ういーんがしゃん。ういーんがしゃん。
 ういーんがしゃん。ういーんがしゃん。
 ういーん……がしゃん。ういー……ん。







「ワたしハ……シアわ――










fin