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[4993] 【2016年度】お題小説スレッド【お題「去る」作品投稿期間】
   
日時: 2016/01/12 23:57
名前: 企画運営委員 ID:7PNV346o



『お題小説スレッド』へようこそ。こちらはあるお題に沿って読みきり小説を書き、その作品をみんなで批評し合う場です。
 初心者も上級者も関係ありません。うまくなりたいとお思いの方であれば、だれでも自由に参加することができます。一生懸命執筆し、一生懸命批評して、小説の技術を高め合いましょう。
 皆様のご参加をお待ちしております。

――――――――――――――――――――

>>002 【ルール説明】:必ず熟読して下さい。(※内容、一言の箇所を訂正しました。ご確認ください)
>>003 【批評のポイント】:批評をする際のポイントをまとめたものです。
>>004 【イベントルール説明】:イベントに関するルールです。必ず熟読してください





▼お題:第32回のお題は「種」です。
 二月に種をまくのか? と思いましたが、調べてみるとじゃがいもは二月にまくそうですね。……さらに調べてみると一年中、なにかしらの種をまいてるみたいです。
 そんなことは置いといて。「種」というお題には「たね」以外にも色々な解釈があると思います。みなさんがどのような作品を投稿してくるのか、楽しみにしております。
※第30回の作品投稿期間は2月1日(土)からです


▼お題:第33回のお題は「姫」です。
 三月なので(笑)
 というのはよくわかりませんが(ひなまつりだから?)「ひめ」というのは可愛らしい語感ですよね。私は緑の黒髪をした和服姿が思い浮かびます。桃色が似合いますよね。桃色……やはりひなまつりでしょうか。それでは、みなさんの作品お待ちしております。
 
※第31回の作品投稿期間は3月1日(土)からです


▼お題:第34回のお題は「嘘」です。
 嘘でした。


▼お題:最終回のお題は「魔法」です。
 奮ってご参加ください。


▼お題:第36回のお題は「友情」です。
 ネタでした。


▼お題:第37回のお題は「音」です。
 奮ってご参加ください。



▼日程(第32回)

1月1日       :お題発表
2月1日〜15日   :作品投稿期間
2月16日〜28日  :批評提出期間


▼日程(第33回) 

2月1日     :お題発表
3月1日〜1月15日 :作品投稿期間
3月16日〜30日 :批評提出期間


▼日程(第35回) 

6月1日     :お題発表
6月1日〜7月31日 :作品投稿期間
8月1日〜   :批評提出期間



▼注意もしくは削除対象となるお書きこみ
・荒らし
・荒らしへの反応
・自分や他人の小説の宣伝
・雑談、チャット化
・ルールに反するもの
・管理人が不適切と判断したもの

――――――――――――――――――――

>目次 >>001


>第32回 お題『種』参加作品(敬称略)

>>404 sakana:シロハの辻褄
>>405 伊達サクット:赤い種、青い種

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▼リンク
小説講座/雑談所』(お礼や言い訳等はこちらへ)
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ツイッター』(朔乱のアカウントです。お題の告知などをしています)

管理人:If 空人 朔乱  補佐:伊達サクット
メンテ

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レイクドレイク ( No.60 )
   
日時: 2011/12/06 20:13
名前: 空人 ID:xRIytCDE

 はじめて自分というものを意識した頃、私はまだ小さなトカゲの魔物でした。鬱蒼と茂る森の中で鉤爪を使って木に登り自分より小さな生き物を食べて生活していたのです。その森は私のような魔物が棲み易い環境だったのか、自分と似たような魔物たちも多く生息しておりました。私は他の個体よりもわずかばかり知能が高かったらしく、自分より大きく強い魔物からは巧みに身を隠す事を信条に生きてまいりましたから、概ね平和に過ごしていたのです。
 そんな折、私は自分の体が以前より二周りほど大きくなっている事に気が付きました。成長と言ってしまうには、些か急すぎる変化に当時の私は驚愕を通り越して恐慌におちいる始末でしたよ。それが最初の“種族進化(ランクアップ)”だったのです。
 後に知った事なので、当時はその出来事と変化した体に慣れるまでに必死の努力が必要でした。そうそう“種族進化”とは、それまでの経験や戦闘、捕食等をする事で溜まる“経験値”が一定値を超えた魔物が、より強い魔物に生まれ変わる事だそうです。種族進化じゃないと生存しない魔物も居ると言うのですから驚きですね。
 さて、最初の進化を経た私は『ファイヤリザード』という魔物になっていました。と言っても、以前と変わった事といえば、口から小さな炎を吹く事が出来るようになった程度で、身体が大きくなった事で動きが鈍くなったように感じてしまい、どうも以前より生き難くなっているように感じていました。木の根元で出来るだけジッとしていて、枝や幹に止まった生き物を火で炙って、落ちてきたところを捕食する。この当時、私はその姿をあまり良く思っていなかったものですから、もう一度己の姿が変化すると信じて多くの生き物を狩っていました。自分より大きなものや食べきれないほどの量を。周りから見たら好戦的に見えていたかもしれないですね。
 そんな風に過ごしていましたから、次の進化の機会は思いのほか早く訪れました。二度目の種族進化で私は『ブッシュリザード』という魔物になったのです。ブッシュリザードはより森で生活する事に適した種族でした。木々の間を移動するのに適した小柄な身体と強靭な足腰に加え、鋭い鉤爪とわきから腰の辺りまでの申し訳程度の被膜が有り、木から木へと滑空する事が可能になったのです。更にファイヤリザードの時に取得した火を吐く能力もそのまま使用可能でした。肺活量も増えたのか、その威力も大きくなっているようでした。一度全力での火炎放射を試みたのですが、周辺の木々に燃え移ってしまい、消火が大変だった事を覚えています。そこで、森を燃やしてしまう事無く炎を使う手段として私が考えたのは、出来るだけ高い木に登り、上空を飛ぶ魔物に向けて使用するというものでした。自然、私が口にする物も鳥系などの飛行能力のある魔物になり、その所為なのか次の進化を終えた時、私の背には一対のコウモリのそれに似た翼が生えていたのです。
 進化した私は、もうリザードではありませんでした。亜竜種飛竜属下位『ドレイク』。下位とはいえ竜属性を得た私は、はじめて感動というものを覚えたのでした。
 後に知る事なのですが、竜――『ドラゴン』というのは、正確に言うと魔物ではなくまったく別の種族なんだとか。故に素養が無ければ、種族進化で亜竜になる事すら叶わないと言う話でした。より純粋な竜になるには、更に特殊な条件をクリアする必要があるのだという話で。そこまでいくと、もはや憧れを通り越して夢物語の存在だなと、それを知った当初はそんなふうに思っていたものです。
 閑話休題。さて、ドレイクとなった私は森の中にある小さな湖の畔に同じドレイクの群れを発見しました。どうやらドレイクはこの森の中では最上位の種族らしく、生き残り成長したこの森に棲む爬虫類系の魔物はこの姿に落ち着く事が多く、温厚な正確を獲得した彼らは、こうして寄り添って平和に暮らしているのだとか。湖に居るのは食料が豊富にある為なのだそうです。身体が大きくなり、更に肺活量が上がった私は、湖で魚などを捕ることもそこそこ上手く出来たので、彼らと合流する事に異議は無かったのです。これ以上の進化は無いということが少し残念ではありましたが、只強さを求める事には意義を感じませんでした。私も温厚な性格に落ち着いてしまったのかもしれないです。
 しかし、変化というものはいつも突然訪れるもので、その日湖に顔を出したのは、『人』という種族でした。彼らは自国の軍事強化の為、竜騎士団を創りたいのだと説明してくれました。何でも、最初はワイバーンという飛竜の中でも上位種の魔物を集めるつもりだったらしいのですが、ワイバーン達は気性が荒く、野生からでは人の手に余るのだとか。そこで彼らは、私たちに目を付けたという事らしいのです。彼らについて行けば食事に困る事は無く、戦で武勲を立てれば兵役後の安全と豊かな生活を約束してもらえると言う話で、これにまだ若い連中は飛びつき、私もこの森の外の風景に強い関心がありましたので、彼らについていくことに決めました。炎を吹く事が出来る私は特に歓迎されましたのを記憶しております。こうして、人間の王国での生活は始まったのです。
 日々の訓練は自分たちのと言うよりは人間たちが竜に騎乗する事に慣れることが主で、特に厳しいというものではありませんでした。経験者が手本を見せ、他の者たちはそれに習って竜を操る。それは私たちにとっては些か退屈な時間ではありました。しかし食事に関しては栄養価の高いものを与えられていましたし、何よりも私の興味を引いたのは人との交流だったのです。
 彼らの歴史は、同種族同士での戦いの記録でもありました。それ自体は大変浅ましく愚かなものだと言わざるを得ないのですが、その過程で生み出された技術には目を見張るものがありました。特に私の興味を引いたのは、人間たちが研究発掘している『魔法』というものだったのです。
 魔法に興味を持った私に声をかけてきたのは、竜言語魔法の研究をしているという一人の学者でした。竜言語というのは、竜族がコミュニケーションの手段として使う鳴き声のことで、中には言葉の意味を圧縮してあるものも有り、魔法を唱えるのに必要な長い詠唱を鳴き声として唱える事が出来るのだとか。その学者は片言の竜言語を使い、私たちとも会話をする事が出来ましたので、騎士団には必要不可欠な人材でした。私も彼と会話を繰り返すうちに、他の人間とも親しくなっていったのを覚えています。学者は自分の知識を惜しげもなく私たちに提供してくれました。その中で私は風と重力に関する魔法を覚えたのです。私たちドレイクは、背中の翼で飛行する事は出来ましたが、大きな身体を空中で自在に動かす事が出来るほど得意という訳ではなかったので、私はそれを離陸と着陸に応用するようになりました。理論のみの竜言語の知識を教わっただけで実際に私がそれを使って見せた時は、学者は驚愕と感動を合わせたような複雑な表情を見せてくれたものです。
 そんな生活を三年ほど続けた頃でしょうか、人間の国はついに戦火に巻き込まれました。当然私たちにも声がかかり、程なくして初陣を迎える事になったのです。しかし、その初戦の相手を聞いて私たちドレイクも騎士団の人間たちも動揺を隠せない様子でした。私たちの相手は、なんとワイバーンの騎士団だと言うのです。敵国はワイバーンの親が不在の巣を発見し、そこから数個の卵を持ち帰る事に成功し、そこから孵ったワイバーンは人に危害を加えることは無かったそうで、少数精鋭ながらワイバーンを竜騎とする事に成功したのだとか。こちらの竜騎士たちは、格上の相手と初陣という緊張にすっかり萎縮しているように見えましたが、ドレイク達にとってこれはチャンスなのでは無いかと私は思いました。格上の相手との戦闘なら多くの経験値を得られる、この戦闘に勝てば次の進化も有り得るのではないか、と。その考えが甘いものであった事を当時の私は知る良しもなかったのです。
 敵との遭遇は防衛線である砦の上空で起こりました。向こうの数は六、対してこちらは倍近い数を揃えていましたから、騎士の方たちも勝てると思ったのでしょう。訓練どおりの隊列を組み、訓練どおりの作戦で、訓練どおりに突撃しました。型にはまった行動がどれだけ読みやすいかも知らずに。こちらの攻撃はことごとく避けられてしまいました。決定的なのはその飛行能力でした。肩甲骨の辺りから翼を生やしているドレイクとは違い、ワイバーンは前足が翼に変化したものでしたから、その自在に空を飛びまわり旋回する様は、美しいとさえ思ってしまう有様だったのです。
 結果、ドレイクたちは背後を取られる度に翼を傷つけられ、一体、また一体と地面に落とされていきました。私も、風の魔法の助けと火炎放射で牽制して何とか凌げる程度でしたので、味方の数が減り私に集中し始めた攻撃を回避する事は不可能だったのです。
 どこをどうやって生き延びたのか、気が付くと私は湖の畔で倒れていました。以前に棲んでいた場所よりも大きな湖は、静かな山間にあって、静寂と荘厳な雰囲気をまとっていたのです。透明な湖面に映る自分の顔を見て、傷つき倒れた仲間と自分の背に居ない騎士団員の末路を思って、私は涙を流しました。そして、他に助かったものがここを訪れるかもしれないと思って、私はこの湖で彼等を待つ事にしたのです。
 一年目は戦闘での傷が回復していないという事もあって、ただただ待ち続ける日々でした。幸い湖は透明度が高く、餌も豊富だったので飢えを凌ぐ事が出来ていましたし、目立った外敵も居なかったので、私は静かに暮らしていました。しかし、待てど暮らせど私を訪ねてくるものは無かったのです。
 二年目は身体の不調も治り、湖の周辺を飛び回る事ができるようになりました。かつての戦闘があった砦まで足を伸ばしてみましたがそこは敵国の兵士が見張っていて、もちろん時間の経過的なこともありますがドレイクたちが地面に墜落した形跡すら見つけ出す事が出来ませんでした。ワイバーン騎士団も姿は見えず、もしかしたら私たちが居たあの王国を攻めているのかも知れない、もう既に国は攻め落とされているかも知れない、そんな考えが頭をよぎりました。しかし彼らに見つかるわけにはいかず、砦を飛び越える事の出来ない現状ではそれを確かめる術は残っていなかったのです。
 砦を越えられないのなら、向こうからこちらに来ることも出来ないはずで、仲間の無事を確かめる事は諦めるしかない状態でした。もちろん昔暮らしていた森へ戻る事も。だから私は三年目以降自分を鍛える事に終始しました。いつか故郷へ帰るために。しかし、身体能力はどう頑張ってもワイバーンに及ばないと思われましたので、鍛錬の主は竜言語魔法の研究にあてました。戦闘では牽制程度にしかならなかった火炎放射の改善も魔法に頼る事にしたのです。当然、体が鈍らない程度に動かす事も怠ったりはしませんでした。こうして、自分を磨き上げながら新しい年が明けようとした頃、そいつは現れたのです。
 傷ついた身体を引きずりながら、なおもその眼光にかげり無く、人が乗っていたであろう鞍は主無きままに。それは、この湖を訪れた頃の自身の姿を見るような。そんな錯覚をも引きずりながら、彼は私の目の前に現れました。その容姿にも当然見覚えがあります。向こうも私の姿を捉え憎らしげに牙を剥いたので、同じ認識をしたのでしょう。彼も私と同じように敗北を味わったのでしょうか。しかし、こちらに向けられたのは明確な敵意。そのワイバーンは敵である私に向かって空気が震えるほどの咆哮を上げるとその翼を振るいながら突進して来たのです。
 私は慌てて反重力の竜言語魔法を発動させると一気に真上へ跳躍し、飛行体制をとります。軌道を上に転じ、飛び上がるワイバーンの動きはさすがに素早く、私は炎を壁と目くらましの代わりに吐き出すと進行方向を真横にするため身体をひねりました。風をまとい飛翔する私に彼はピッタリと追いすがって来ます。しばらくは躍るようにもつれ合いながら上昇し、彼を雲の中へと誘導しました。湖の上空には分厚い雲が太陽を覆っています。一度雲を突き抜けて、太陽の恩恵を身体に浴びながら、彼の鋭い眼光が歪むのを確認し一気に地上まで急降下しました。ワイバーンはまだ気付いていないのか、雲の中に影が躍ります。地上に着地した私はすぐに魔法を展開すると湖上の涼やかな風をかき集め、球状の空気の檻を形成しました。そこに流し込む火炎。ありったけの息と精一杯の祈りを込めて、火球は燃えうねりを上げます。風に圧縮されてその色は赤から青へ。全ての息を吐ききった後に私の目の前に在ったのは小さな青い光の粒。一度息を吸い直し、雲の中をうかがいました。影はまだそこに見え隠れします。その影が一瞬二つに見えました。仲間を呼ばれたのかもしれません。冷や汗は私の意志とは違うところで流れますが、私はこの自分の最大の攻撃を繰り出すより他に手は無いのです。火球の熱で気流が変化した事にようやく気が付いたのか、ワイバーンの眼が地上に居る私を捉えました。青白い光は彼の目に映っていないのでしょうか、怒りとも焦りとも取れる歪な表情のまま、彼はその凶暴な牙と爪を私に届かせようと迫ってきたのです。
 その状況で私は何故か落ち着いていました。もう出来る事は他にないのです。竜言語を唱え炎を開放します。後は森に居た頃に何百回と繰り返していた狩りと変わりありません。直上に伸びる一筋の光。遠くから見たら、それは光の塔のように見えたかも知れません。
 湖が静寂を取り戻し、千切れ飛んだ雲から太陽が顔をのぞかせたとき、落下してきたのは焼け焦げた肉片でした。獰猛な眼光は見つけられず、原形さえも留まらない。しばしの黙祷を捧げた後、私はその肉を残さず胃に収めました。せめてもの敬意として、既にボロボロになりかけていた自分の鞍を引きちぎり湖の畔に立て、それを彼の墓標にする事にしました。彼のものは見つけられなかったのです。そこまでの作業を終えると、私は疲弊しながらも高揚していた意識を、手放す事にしました。茜色に染まり始めた空へと向けて。
 気が付くと、私は自分の体が以前より大きくなっている事に気が付きました。あれだけの戦闘と自己鍛錬の成果です。彼の肉をいただけたのも、大きな要因だったかもしれません。久しぶりの種族進化に、私は浮かれながら湖にその身を映します。現れた移し身に向かって何度も瞬きをし、前足を振ってみせたりしたのは、その姿が自分である事を信じられないが故の所作でした。そこに居たのは、人間の国に居た時に図鑑での確認のみが許された、伝説の個体でした。
 その日、この世界に新しく一頭のドラゴンが誕生したのです。


〜Fin
メンテ
フォトグラフの施し方 ( No.61 )
   
日時: 2011/12/10 00:26
名前: sakana◆092jpOU0d. ID:Vp69b5Nw

 うちは空間を切り取れるんだ、と彼女は言った。
 そんなバカな、と私は笑った。

 ■

「ぱしゃ」
「うん、だからそれは何なのかって聞いてるんだけど」
「チーズ食べたい」
「あの店に売ってるから、買ってきたら?」
「だから、チーズ食べたい」
「買いに行けよ」
 街角の、ある公園にて。私とヴァミアは、一つのやり取りを続いていた。私の友人であるヴァミアは、大切そうに何らかの黒い物体を抱えており、それが何なのかは見当も付かない。ただ時折、それのガラスのような部分を覗きこんでは、その上に乗せた人差し指を静かに下ろす。
 私は、埒の明かない会話に疲労を感じ、木製のベンチに座る。ヴァミアは相変わらず立っているままだ。やはり、それからも。それを覗きこんでは指を下ろすことを繰り返している。耳を澄ましていると、軽い金属が噛み合うような小さな音が出ていることに気がついた。
 そして、時折ヴァミアは此方にそれを向け言うのだ。「チーズ食べたい」と、至って真面目に。
「チーズ食べたい」
「……」
「チーズ食べたい」
「……」
「チーズ食べたい」
「……ちーずたべたい」
 ヴァミアの言動の意味を掴めず、私はとりあえずその言葉を繰り返すことにした。
 そうすれば、ヴァミアの持つものから一つの閃光が走り、私は飛び上がる。その様子を見て、何か不具合でも発見したのだろうか。「あれ」と声を上げる。
「言ってなかったっけ? チーズ食べたい、を合図にして写真を撮るよって」
「何その合図の仕方。というか、写真ってなに」
「え、何って骨董品だよ」
「いや、だから何でひかるの」
「っと、お。出てきた出てきた、見てみてカリアの姿が写し取られた」
 その黒い物体の口から出てきた、一枚の紙。ヴァミアが差し出したそれを覗きこむと、ぶっきらぼうに座る私の姿があった。目元で切り揃えられた茶色と時折混じる黒。上方からの視線ということで、胴体の部分には灰色の影が出来ている。大きめの袖口から伸びる手。膝の上で一様に揃えられ、力強く拳を握っていることから、この紙に映る私も、ヴァミアとの会話が一向に成り立っていないことに苛立ちを感じているのだと分かった。
 そして、同時に。自分と全く同じその姿に、紙を見ていると鏡を見ているような気分に陥る。不思議と恐ろしさは感じなかった。だが、その写真と呼ばれたもののあるべき姿として、一つの可能性に辿りついてしまったため、私は唐突に声を荒げげのだ。
「魂を削り出して、物に映し出す禁術なんていつも間に身につけたの! 今すぐ忘れなさい、まだ誰にも言ってないわよね!?」
 座ったままの格好で、ヴァミアの襟首を掴み、がくがくと揺さぶる。しかし、ヴァミアの周りにはやはりある種の穏やかな空気しか存在していない。私はそのペースに巻き込まれそうになる。それは、ヴァミアの無意識に開発された魔法だった。彼女が意識して捉えたものだけが、考える力を奪われ、感情だけがその場に浮遊するという特製魔法。浮遊感を視界には多くの白が混じり、様々な感情が辺りににじみ出す。そうして、人の中に残ったものは、その魔法を発動させたものが現在持っている感情と同じものだけが残る、というものだった。
 彼女の瞳を媒体にして、私は指先にまで酸素が行き届いていないような錯覚に陥る。足下が覚束ない。だから、それは他のものへと意識を撮られすぎて、感覚がないためだ。
 私は抵抗した。足に力を入れ、一気に立ち上がり。そうして、ヴァミアの襟首に掛かる手に、いっそう力を入れる。歯を食いしばり、身体を支える全てに力を入れて私はヴァミアを怒鳴りつける。
「こんな、防止できるくだらないことで、どうこうされるなんて、許さない、わよ」
 防止、それは。過去に禁止された魔法を使用すること。だって、そんな内容のものを知っていても、使わなければ法に触れるといったことにはならない。それに、今は戦争なんかなくて、そんな危険な魔法を使用する意味だってない。
 私は顔を地面に向け、ゆっくりと口から息を吐く。胸が焼けるように熱い。それでも、ヴァミアからは手を離すことだけはしなかった。脂汗が滲みだし、いよいよ生身で魔法に抵抗をすることが難しくなったとき。
 唐突に、ヴァミアはケラケラと笑い出した。それと同時に、私は様々なものから解放され脱力する。
「ごめんごめん、つい使っちゃったよ。アスに見せたときは、凄く怯えられて。ゲルクンに見せたときは、凄く怒られた。あまりに心配してくれるもんだったから、つい」
 解除してくれたのは、懸命な私の姿に何かを刺激されためなのか。有り難いような、なら初めから魔法を使うなと主張したいような、複雑な気分だ。
 私はゆるゆると浅い呼吸を繰り返し、そんな私の様子にヴァミアは優しく手をのせた。私がベンチに腰を掛けているという状態のため、ヴァミアのお腹の高さに頭があり、それを撫でられるなんて何だか癪だ。
「だから、禁断魔法なんかじゃないって。そんな高度なもの、うちが使えるわけないからね。これ、カメラと言って……ええと、骨董品。魔法がまだなかった頃に、科学で作られたものだって」
「カメラ?」
「うん。家にたくさん写真を現像したものがあるよ。見に来る?」
 
 数千年前、この地球上から《科学》は消え去った。
 幾つもの、発達した技術や製品は確かに存在していたのだ。だが、その発展途上だった時期。次々と《魔力》と思われるものを身につけた人々が現れ始め、魔法といったものを、ある条件下の中で使えることを人々は知った。そして、科学と魔法、どちらを中心に発達させるかということで二つは対立するまでに発展。
 結果として、それ以前から存在してきた科学が競争に負けた。限られた人の知識や技術に頼っているため、不特定多数の魔法に打ち勝つことは出来なかったのだ。そして、文明は科学を切り捨て、魔法を世界の軸として発展する道を選んだ。
 この後には魔法一本の道を進もうと、科学の歴史やその記録さえも。その殆どが葬り去られることとなったのだ。

 そんな長い年月が経ったことによって、私たちは科学技術によって生み出された製品を使いこなす術がない。骨董品として売られている物も、そのほとんどが観賞用として各家に飾られているだけという現状。
 
 その一つを、彼女が持っている。
 その紙には、私が写っている。
 跳ね上がる水飛沫、太陽で脈を浮き彫りにされた木々の緑、空に浮かぶ輪郭のない丸い光、羽を広げ飛び立とうとする鳥、水の波紋、葉に引っ付くてんとう虫の軌跡、コンクリートの剥げた道に差すフェンスの影、此方を伺う猫の真ん丸で純粋な眼差し、傘から滴る雨粒、始終影の中で生きる深い色の葉、光を受け取る蓮の笠、水辺から波紋を描き進む亀、波の音を連想させる笊と豆、赤に染め上げられた曇天、大きく揺らめく橙色の蝋燭、犬の首の毛に食い込む首輪、毛糸の帽子から搾り取られる雨水、植木鉢に挿された折り紙のチューリップ、夜空に浮かぶ満月、前足を大きく掲げる馬。
 全てが、一瞬。その瞬間、目に見えるものとして、形あるものとして、そこに確かに存在している。
 そうして私は「本当だった」と呟いた。
 以前、うちは空間を切り取れるんだといったヴァミアを、私は笑い飛ばした。けれども、今はそれが嘘じゃなかったということが分かる。
 魔法で、空間を切り取るといったことは不可能なものに分類される。けれども、そんな実際に出来るかどうかの話なのではなく。私はただ単に、測定するためのものさしを間違っただけだったのだ。
「――ごめん、この前は笑い飛ばした、ごめん」
 その私の謝罪に、ヴァミアは疑問詞を浮かべたようだった。そのため、私は慌てて言葉を付け加える。
「本当に、本当に空間を切り取れるんだね」
「ふふん、こんなものお茶の子さいさいよ」
 ヴァミアの得意げな表情を見ても、何らかの感想を抱く余裕もない。胸の奥で徐々に広がっていく何とも言えぬ感動によって、胸が。腹に。頭に。そして手足の先っぽまで身体の隅々まで、がつんと衝撃の余波が響き渡る。
 目を見開いたまま、戻らなくて。それで、息が出来なくなるほどの、数々の瞬間を目の当たりにして。今はそれらを脳裏に焼き付けることしかできなくて。

 ■
 
「カリア」
 母に言われて、私は自宅の階段を上る。不審な音がしたような気がしたから、二階の様子を見てきてとのことだ。鼻歌を歌いながら、私はスキップで上がっていた。その度にふくらはぎの筋肉が引き攣るが、今日もヴァミアの《写真》を見れて満足と、気持ちは高揚していたため気にも留めなかった。
 ヴァミアが初めて私に写真を見せてから、既に二ヶ月が経っていた。
 この小さな町で、私の母は花屋を営んでいる。そして私は、その母の手伝いをして毎日を過ごしていた。だが、その毎日の繰り返しに、ヴァミアの元に通うというものが付け加えられることで。私の人生に、生き甲斐を、喜びを、輝きを手に入れたように感じていた。
 朝。町から出て、外の世界に栽培しているお花を摘む。
 昼。町に戻り、昼食を取る。そして、母が予定のある短時間だけ店番をし、その後ヴァミアの元へと出かける。
 夕方。ヴァミアは手にカメラを持ち、一緒に町を回る。町の皆は、私たちが何をしているのだろうと、興味津々で様子を伺ってくる。しかし、これらの風景を紙に移したら、どうなるのだろうと心を躍らせる私は答えない。内心夢中でシャッターを下ろし続けるヴァミアも答えない。
 そうして、私たちは日が落ちるまで町を歩き続けるのだ。
 この後、私は家に帰り。ヴァミアは撮ったものを紙に移し、次の日再び落ち合う。
 そんな充実した日々。ヴァミアの撮る数々の瞬間を待ち浴びて、私の笑顔は増えていった。

 二階への階段を上っていくと、ある部屋から風の音が聞こえた。それは、物置となっている部屋かららしく、恐らく誰かが窓を開けっ放しにしてしまったのだと予想を付け、と私は息を付く。辺りは既に暗かった。普段二階に伸びる廊下には、窓から隣家からの明かりが入ってくるため大部明るいのだが、今は闇が続くだけ。隣の家の人、今日に限って留守なのかあ、と暗闇に溶け込ませるかのように息を潜めて言葉に出した。
 それから、せめて足下だけでも照らそうと、私は指先に小さな光を灯す。
 すると、唐突に「ぎゃ!」という息の詰まるような悲鳴が、直ぐ側から聞こえた。私もつられて叫び声を上げると、つられた私につられるように、再び声が。
「だ、誰かいるの!」
 何かがあったらいけない、本格的な不審者かもしれないと。下の階にいる母に聞こえるように声を張り上げて問うと、その悲鳴の主の声は「カリアか!」と、安堵したようなものへと変化した。
 相手は私のことを知っているのか、と思い。即座に知り合いのものとその声を照合すると、一人の男が頭に浮かび上がる。
「ゲルクン?」
「そうそう、俺俺! 会えて嬉しいぜ、カリア!」
 今にも此方に飛びついてきそうな歓びを声に孕ませ、彼が笑った気配がした。
 とりあえず、私は無言で指に灯した光を消す。
 私の行動に、ゲルクンが戸惑ったような声を上げたため、彼のいる場所を特定する。
 ゲルクンがいると思われる場所の直ぐ側まで、つかつかと歩いていき。私は。 
「痛ってえ――!?」
 渾身の力を振り絞って、ゲルクンの臑を蹴り飛ばした。
「何で二階から入ってくる、バカか!」
 どうしてかは分からないが、二階からゲルクンは私の家に侵入。しかし、誰も居ない。暗闇広がる。不安になる。ということで、少し暴れる。母にそのことを察知される。私呼ばれる。二階見てこい! と指令を出される。二階に上がる。光を灯す。ゲルクン、その光に驚く。あ、カリアだった。知り合いいたぜ! と喜ぶ。
 この流れで合ってると思う、たぶん。
 そして流れの最後に《ゲルクン、臑を蹴られ悶絶する》と付け加えた。
 股間を蹴り上げられないだけ、まだ良かったと思いなさい! と後に声を上げたが、痛みになれていない彼には恐らく聞こえているまい。


「で、何で私の家に?」
「いやー、だから玄関明るいだろ? そしたら、俺のイケメンっぷりにカリアの両親が驚くだろうなーって思って、二階から入ったのさ! まあ、結果的に。このリビングにいるわけだし? カリアのお母様と対面できたことだし、この俺様のイケメンっぷりに……あ、これ大切なことだから二度いったんだぜ? 俺の、俺様のイケメンっぷりに、きっと《ゲルクンと結婚したら良いんじゃないかしら? いえ、寧ろそうしなさい!》とカリアのお母様も、ぐへへ……」
 そのだらしのない表情に一瞥し、私は母と視線を合わせる。
 そのゲルクンって子、早く追い出してしまいなさい。と母。
 いや、でもきっと何らかの話があるんじゃないの? と私。
 その子を見ていると、昔のお父さんを思い出すのよ。と母。
 じゃあ、早く話してもらって追い出すよ。と私。
 視線だけで、これだけの意思を疎通出来るなんて素晴らしい。
 ゲルクンが口を開いた途端、母は昔の思い出を蒸し返されたような苦々しい表情を浮かべた。そのため、そんな母を視界に入れ、ゲルクンの話に相づちを打っているようで、何度も母に共感することができたのだ。
 魔法を使わなくたって、心の近い人とはこれだけ意思疎通が出来るのだ。ヒバ、母。母さん、大好きだ。
 私はこくり、と一度頷く。そして、嬉々とした表情で。早く追い出そうと、ゲルクンに話しかけた。
「で、何の用事?」
「ああ、この俺の! 世界で一番美しいカリアを眺めていたせいで、すっかり忘れてた! ええと何だっけ……そうそう! 今日な、アスがヴァミアの例の魔法のことを告げ口したんたぜ。知ってたか? 俺も、ヴァミアに魂を削り取る禁術を見せられたけど、それで俺まで被害を被ったら嫌だし、とりあえずその時は怒ってやり過ごしたんだ。で、そう言うことで黙っていたわけだ。だけど、アスはずっと怖がってたみたいだし、今回とうとうキレたらしいぜ」
 私はテーブルに置いていたマグカップを持ち上げ、ホットミルクを口に含む。その間にも、ゲルクンは忙しく身振りでぶりで表現する。
 その動作の中で、くいっと眉を指さし持ち上げたものを見て、私は怪訝そうに表情を歪めた。
 恐怖に押しつぶされそうになったアス。その彼女の想いだけが溢れ出す結果となった?
 そういえば、ヴァミアが私に写真を見せてくれた頃。アスとゲルクンにも見せて、各々の反応をもらったと、そのようなことを言っていた。私はヴァミアに共感して、ゲルクンは自分のために。誰にも、見たことを言わずに心の中に閉じこめていた。
 私は、科学という真実を知っていて。ゲルクンは、それが禁術だと勘違いしたまま。誰にも、見たことを言わずに思い思いに口を閉ざしていた。
 だが、アスは。
 気の弱い彼女は、感じた恐怖を自分の中で拭い去ることができずに、その思いを辺りにぶちまけた。と、ゲルクンはそのことを、今、口に、だして――。
「今夜《狩り》があるって。外に、ヴァミアの元へ行かない方が良いぜって忠告しに来たんだ」
 頭を鈍器で殴られたような、重い衝撃で揺れる。
 ゲルクンの言う《狩り》。それは、中世の魔女狩りとある種同じものを指す。
「さっきまで、俺もその様子見てきたが、ひどいもんだったぜ? 町のヤツらは、アスが入手したもの――ヴァミアが魂を写し取ったと思われる紙――を手に持って、口々にヴァミア罵りながら囲んでたし。その騒ぎの張本人のヴァミアは俯いたまま何も言わねえから、気味悪いし」
 体中から、血の気が引く。それは、マグカップを持った指先にまで広がり、既に私が此処にいるという感覚はない。
 それでも、今にも倒れてしまいそうな気分に陥りながらも。今すぐ家を飛び出していきたい衝動に駆られながらも、私はゲルクンの話を最後まで聞かなければと、辛うじてその場に留まる。
「ああ、そう言えば。ヴァミアのヤツ……その長い黒髪や両腕を掴まれて、連行されてた。といっても、法的に裁くんじゃなくて、多分アイツ自身の家にでも連れていったんじゃないか? そして、そこに閉じこめて。そのヴァミアの持つ知識全て、その場で――」
――瞬間、ゲルクンの言葉に重ね合わせるかのように、家を揺れ動かすような轟音が響き渡った。
 何らかの爆発音であり、それは此処から遠くない――町の中で起こったものと、いや。起こされたものと考えられる。
 私と母は、その音に驚き。目一杯、目を見開いた状態で、テーブルに捕まる。が、ゲルクンは、相変わらずイスに座ったまま腕を組んでいる余裕のある状態だった。それは、この爆発音の理由と原因を知っているからだろうか。 
「とうとう始まったみたいだぜ? ヴァミアへの誅罰が」
 その言葉を合図に、私は音を立てて立ち上がった。一度テーブルに拳を突き立て、先ほどまでにやにやと、話を続けていたゲルクンを睨みつける。それからは、驚いた表情のゲルクンを顧みることもせず、家から飛び出した。
 そして向かう先はヴァミアの家だ。
 地面を力一杯蹴りつけ、走る。息をする暇さえも、惜しいと思った。そうして、目まぐるしく過ぎ去る建物や自然を感じることもせず、光の。それも、人を落ち着かせるはずの暖かい色でありながら、今まさに人の命を奪おうとしている憎々しい炎の上がる方向へ、一刻も早く着くことを目指す。
 行って、私に何ができるのだとか。そんな《それから》のことを考える暇もなく、私は今を精一杯駈ける。
 そして、幾度目かの町の角を曲がったとき、ようやくヴァミアの家を目前にすることができた。
 その光の元からは、どす黒い煙が大量に上がっている。辺りにいる人々も騒ぎ立てるわけでもなく、まるでその目前の炎が儀式であるかのように各々の場所に佇み、様子を傍観するだけ。
 皆が皆、ヴァミアのことを憎んでいたわけではない。
 全ての人が、ヴァミアの持っていた写真が《禁術》によるものだと信じていたわけではない。
 小さな町で、ヴァミアに対してそう当たることが新たな時代の第一歩なのだと認識された。それだけ、だったのだ。
「ヴァミア……!」
 私の叫びも虚しく、轟々とうねる炎にかき消される。そして、この状況をどうにかできないのかと、辺りを見回すと――彼女を――アスを発見した。
「アス!」
「……あ、あ、カリア…………。ちが、ちがくて、わたしがこんなこと望んだわけじゃ……!」
「ヴァミア、本当に中にいるの!? 答えて、ねえどうなの!」
「わた、わたしの所為じゃないわ! ……そ、そうよ。だって、ヴァミアがあんな魔法を、見せるから……あんなことさえ、しなければ……わたしは悪くないわ……そうよ――」
 私の姿を捉えておきながら、アスはその瞳の中に私を映してはいない。そして、ぶつぶつとある想いに駆られ続けるだけだった。
 私は一度舌打ちをして、これ以上アスに話しかけても埒が明かないと判断を下す。
 先ほどまで、頭も真っ白となり、ヴァミアを助けなければという衝動にのみ駆られていた。しかし、私よりもひどい混乱状態にあるアスを見ると、幾分か落ち着いた。
 ヴァミアの木造の家の玄関の先に、ぽつりぽつりと佇む人々を確認して、私は裏口へと走り出した。
 巨大な炎や大量の煙によって、裏口への道のりの間にも、ヴァミアの家には近づけなかった。だが、どうやら人々がヴァミアの家を燃やすために使ったのは、火炎瓶のようなものに対しての促進の魔法であり、一度に家全体へ影響を及ぼすものではないと判断できる。それは、表と違って、裏からは。窓という窓から白や黒の煙が出てなかったことからだ。
 表と違って、炎の影も見あたらない。
 少量の煙だけが、二階の窓から吐きだされている。
 そして私は、裏口の扉のドアノブを回した。が、開かない。
「開かな、い。何で、どうして……ヴァミア! ねえ、聞こえているでしょう。開けなさい、出てきなさい! 生きなさい、逃げないで! 早く、早く……出てきてよ、お願いだから」
 何度も何度も扉を叩き、声を上げるが。次第に、今抱える想いは絶望へと塗り替えられていく。扉を叩く力も弱くなっていき、張り上げていた声だって嗚咽が混じり、小さくなっていく。
 だって、きっとヴァミアはこうなることを予想していた。ゲルクンが言っていたように、人々に此処まで連れていかれたとき俯いていたのなら。特製魔法を使わなかったのなら、きっともっと貫きたいことがあったはずなのに。もしかしたら、それは諦めることだったのではないのかという考えに捕らわれる。
「私が、こんなんじゃ駄目なのに。だから、ヴァミア! 逃げるんじゃないわよ! 私はまだ貴方の写真が、その《一瞬》が《新た》な一面が見たいのよ! ヴァミアが新しく私の世界にもたらしたものでしょう、責任を取りなさいよ!」
 そうだ、私はヴァミアの写真が好きなだけではなかった。
 初めは禁術だと思い、一度蔑んだ。
 次に排除された科学の遺産だと知り、分陰軽視した。
 そして彼女しか生み出すことが出来ないと知り、時折畏敬した。
《瞬いて》止まったその《一瞬》を《刹那》として映し出し、まるで《命》が吹き込まれたように輝き、《静止》したその《瞬間》を私は愛した。
 彼女だからこそ。彼女の感性でこそ、そういう一面を持たせられた多数の場面。その写し取られ、生み出された《命》の数々を、美しいと思った。
「――ヴァミア!」
 最後に、これで最後にしよう。
 これ以上呼びかけて、応じなければ。もう、彼女は既に終わりを向かえているということだ。
 私は、涙でぐちゃぐちゃになった顔を拭うこともせずに、声を上げた。渾身の力を振り絞って、そうして――
――とうとうヴァミアが、中から私の声に応じることはなかった。
 音を立てながら燃え上がる家。未だに不完全燃焼を続けているらしく、黒煙も絶えない。
 私は扉に拳を突き立てたまま、力の抜けたように地面に膝を付ける。そうして、私は泣いた。

 
 そしてそれは、唐突だった。
 扉にある振動が伝わってきた。不審に思い、掌で扉に手を翳すと、更に大きな振動が扉を叩く。
 私は慌ててその場に立ち上がり、ドアノブをめちゃくちゃに回しながら引っ張る。そうして、扉が蹴られるような音も次第に激しくなっていき――。
「ふぱっ! 死ぬかと……思った!」
 両手に大きな袋を抱えて、彼女は大きく息をする。そして、裏口の引っこ抜けたドアノブだけを手に、尻餅をついている私の姿を捉えると、煤だらけの笑顔を浮かべる。
「ヴァミア!」
 安堵するより、その無事を喜ぶよりも「何で返事をしてくれなかったの!」先にという言葉を告げば「だって、息しちゃ倒れちゃうでしょ?」と言われる。
「そのふくろ、何?」
「何って、写真」

「うちの写真、また見たいって言ってくれたからね」

 その時もヴァミアは満弁の笑顔で、そんな彼女だからこそ。
 静止した一面に命を吹き込めるのだろう、と私は感じた。

 ■

 うちは命を吹き込めるんだって、とヴァミアは言った。
 それ私が言った言葉だからね、とカリアは笑った。
メンテ
神さまの生みの親 ( No.62 )
   
日時: 2011/12/11 00:00
名前: If◆TeVp8.soUc ID:YFqAH/c6

 現世に発現した地獄。ただ茫々と広がる荒地。今や死だけが息づくこの場所に、数年前までは、他に類を見ないほど豊穣な大地が、女神の園と呼ばれた瑞々しい大地が延々広がっていたのだと、誰が信じられただろう。
 神はいない。その光景を目にすれば、どれほど尊い僧も、どれほど敬虔な信者も、決まってそう口にした。せざるを得なかった。そうして、神は死んだ。長らく続いた戦乱は、神さえも葬ってしまった。もはや誰も祈らない。信じない。
「神託を受けたのです」
 ゆえにその女の言葉を誰一人として信じなかったのは、至極当然のことだった。襤褸の白衣に身を包み、薄汚いロザリオを握って、そういう戯言を吐く女。嘲笑の的でしかない。陛下に会わせてください。そう訴えながら城門まで来ては、衛兵に追い返され。その愚行もそろそろ百を数えようとしていた。衛兵の方がうんざりして、ついに実力行使に出たようだ。白い衣を真っ赤に染めた女は、城門前広場に捨てられていた。もうぐったりしていた。
「死んでんの?」
 声をかけたのは、ただの気まぐれだった。そんな格好で倒れられていると、嫌でも昔の記憶が――死んだ友たちのことが呼び覚まされて、ひどく不快だった。女は微かに瞼を震わせて、それからゆっくり少しだけ開く。消え入るような声で返事する。
「まだ……生きて……います……」
「そっか。がんばんな」
 助けてやってもよかったが、生憎瀕死の人間をどうにかしてやれるような知識は持ち合わせていなかった。わざわざ厄介ごとに首を突っ込んでくれてやる、そんな義理もない。立ち去ろうとすれば、弱々しい声で呼び止められた。いちいち拾う耳を呪う。
「傷だけ……塞いで……もらえませんか。身体がもう……動かなくて」
「って言われても、オレ医者じゃないし」
「お願いします……何か布を……巻いてくだされば……」
 それだけ言って女は気を失った。死んだのかと思って呼吸を確認するが、どうにか息はしているらしい。面倒なことにも。このまま見捨てれば、オレが殺したことになるのだろうか。刺されたらしい腹に目をやる。流れ出す赤が目に痛い。舌打ちしていた。
「死んだってオレを恨むなよ。ド素人なんだから」
 長い裾を少しばかり拝借する。砂と埃で汚れていたが、ないよりましだろう。腹を縛ってやってから抱え上げる。予想していた重さの半分ほどにも満たなくて、眉を上げた。見れば、女は痩せに痩せていた。
「あの藪医者、こんな重傷者治せんのかな」
 呟いたが、それ以外にどうしたらいいのかさっぱり分からない。腕の中の女は青くなってはいたが、まだ確かに温かくて、仕方ないからオレは足を動かした。

 ◇

「若い娘はええなあ。どこぞの小汚いこそ泥を治すより、よっぽど腕が鳴るというものじゃ」
 軽いとは言っても、人一人担いで走るのは容易なことではなかった。息を切らしながら必死に駆け込んだ廃屋同然のぼろ屋。何事かと寄ってきた藪医者は、しかし開口一番そんな悠長なことを言ったので、思わずオレもいつもの調子で迎撃してしまう。
「黙れエロじじい。猥褻罪に問われてもオレは知らないからな――じゃなくて、本当にやばいんだって。ほら、血、こんなに」
 途中で我に返って慌てて女を差し出したが、藪医者は欠けたコップから暢気に茶を啜る。
「わしに掛かればそんなもんいちころじゃ。そこで待っておれ。憎まれ坊主にゃ茶なんぞ出さんぞ」
 手近な台に湯飲みを載せて、ようやく藪医者は女を受け取った。途端真剣な顔になる。藪医者が医者に進化した瞬間だ。
「オレ待つ必要ある?」
「いいから待っておれ」
 玄関に立ちっぱなしのオレを残して、医者と抱えられた女は奥に消えていった。

 ◇

「おまえが人助けとは珍しいこともあったもんじゃ」
「ほっとけよ。気まぐれだ」
 埃っぽい布団にくるまれた女は、幾分血色を取り戻したようだった。肩の荷が下りた気分だ。藪医者とばかり思っていたが、少し見直した。それは言わないでおくが。
 医者はにやりと意地の悪そうな顔をして、なぜか右手をこっちへ延べてきた。とてつもなく嫌な予感がする。オレは一歩、足を引いた。
「なんだよその手」
「お代がまだじゃな」
「なんでオレが払うんだよ」
「おまえが連れてきたんじゃろうが。有り金全部出せ」
 前言撤回。誰が見直すかこんな奴。勢いよく手を払ってやる。ぱしっと小気味よい音が鳴った。
「ふざけんな。あの女から取ればいいだろ」
「聖職にある方から金など恐れ多くていただけん」
 鼻で笑ってみせる。
「何が聖職だよ。神さまなんていないんだろ」
「もしかしたらおわすかもしれん。罰が当たるのはいやじゃからな」
「だったらただ働きだな」
「こちとら商売じゃからそういうわけにはいかん。いただいとくぞ」
 見覚えのありすぎる布袋が医者の手の中にあって、慌てて腰のベルトに手をやったが、そこにいつも挟んであるはずの財布がない。すぐに取り返そうとしたが、医者は余裕の顔でオレを避けると、してやったり顔で笑んだ。
「待て、全財産とかねえよ! ぼったくりにもほどがある。返せよ」
「安いもんじゃろう。人の命は金じゃ買えん」
 急に真面目な顔を装って言ってくるが、全然説得力がない。もう一度抵抗してみたが、やはり無駄に終わる。空を切った腕がむなしい。
「覚えとけよこのもうろくじじい。二度とこんなところ来るもんか」
「前にも聞いたなその台詞。相変わらず口が減らん」
 腹立ち紛れにぶつけた言葉もさらりと返され、怒りのやり場がない。三日分の仕事でようやっと潤ってきた頃だというのに、これではまた今日も働き尽くめになる。大損だ。気まぐれでお節介なんてするもんじゃないと、ここにきて心底後悔した。神さまとやらがいれば、なんなんだこの仕打ちはと呪ってやるところだ。
「その女にオレにいつか恩返せって言っとけよ」
「これしきのことで恩を着せるのか。小さい男じゃ」
「誰のせいだよ!」
 吐き捨てるように言って、オレはぼろ屋を後にした。懐はこの上なく寂しくなったが、不思議と気分は軽く、身体の奥が少し温かいような気がした。

 ◇

「助けてくださって、ありがとうございました。本当にありがとうございました。私がこうして生きていられるのも、あなたのお陰です」
 数日後、街中で出会った女は、何度も何度も繰り返し礼を言ってきた。もういいと何度も言ったのだが、しつこく付きまとってくる。こいつのせいで全財産は取られるし、邪魔で盗みはできないし、もう散々だ。人助けなど二度とするものかと思う。しかし、どうにもひとつ気がかりなことがあって、オレは今なお後を追ってくる女に向き直った。
「あんたさ、神託がどーのと毎日熱心に城まで通ってたらしいけど、その割りには神さま神さま言わないのな」
 少し驚いてから、女は緩やかに微笑んだ。
「人を救えるのは、人だけですわ」
「じゃあ、あんたは神さま信じてないんだ?」
「神は、おわすかもしれません。でもきっと、見ておられるだけです」
「それなら、神託受けたってのは嘘かよ」
「私が神託と信じる限り、それは神託なのです。民がいると信じれば、そこに神はおわすのです。信仰とは、そういうものですわ」
「何が言いたいのかさっぱりなんだけど」
「民は信仰を失い、絶望しました。私が受けた“神託”は、民を絶望から救い、希望を与えること」
「オレの頭がおかしいのか、あんたの頭がおかしいのか、どっち? やっぱり分からねえよ」
「さあ……どうでしょうね」
 女は謎めいた微笑みを浮かべた。どこかの女神像そっくりな、なんだか憎らしい笑い方だった。

 ◇

 しばらくして、城下町はある噂で持ちきりになった。
 ――死んだはずの女が生き返った。神に遣わされた聖女に違いない。
 こうして死んだはずの神は再びこの世に生まれることとなったのだが、オレとしては、なんだか腑に落ちないのである。
「人間って単純だよな」
 結構真剣な感想だったのに、医者はあろうことか、笑い飛ばしやがった。
「ええじゃないか。わしもおまえも聖女さまの命の恩人、ともすると神さまの生みの親じゃ。出世したもんじゃ」
「生みの親がぼったくりの医者にコソ泥じゃあ、神さまも浮かばれねえな」
 徐々に活気を取り戻していく人や町や大地を見る分には、まあ、気分が悪いというわけではないのだけれど。
メンテ
Re: お題小説スレッド【第9回:作品批評期間】 ( No.63 )
   
日時: 2011/12/11 00:23
名前: 企画管理委員会 ID:bfWrZ4g6

作品のご投稿お疲れ様でした。
11日(日)〜31日(土)は批評期間です。作品をご提出なされた方は必ず全作品の批評を行ってください。批評だけのご参加もお待ちしております。


第9回『誕生』:参加作品 >>59-62(敬称略)


>>59 夢華:真っ白カーッペット
>>60 空人:レイクドレイク
>>61 sakana:フォトグラフの施し方
>>62 If:神さまの生みの親
メンテ
Re: お題小説スレッド【第9回:作品投稿期間】 ( No.64 )
   
日時: 2011/12/11 02:48
名前: If◆TeVp8.soUc ID:YFqAH/c6

12月はみなさんお忙しいんですかねー。4人はちょっと寂しいや。
早速ですが、批評いきますよ! そんな、別に、自作について即言い訳したいからとか、そ、そんなんじゃないですよ。

>>59 夢華さん:真っ白カーッペット
夢の中の雪の描写がすごく印象的でよかったです。特に「手がきゅううんと冷え込みましたので」なんかすごく可愛らしくて、とても好きです。
誕生というテーマから「雪が生まれる」という方向にされてたのも面白かったです。季節にあってるのもいいですね。
また、主人公がかわいらしくて、すごく微笑ましかった。童話みたいな語り口がこれまた作品の雰囲気にふさわしくて、素敵でした。よかったです。
細かいところになりますが、せっかくなら、序盤での太陽とか月とかが昇らなくなった設定とか、もう少し上手く使われたら面白かっただろうなあと思います。
それから、『けれど、その二つのものは、遠くに行ってしまったと、お婆様はあたくしに教えて下さいました。/「太陽さまとお月さまは、遠くへ行かれたのですよ」』は、どちらか一つの文があれば分かったと思います。
また、オチの部分ですが、最後三行はもっと膨らませて書くか、思い切ってなくしちゃってもよかったんじゃないかなあと思います。
雪の話なのに、読んでいるとほんのり温かくなれました。

>>60 空人さん:レイクドレイク
いや、なんていうか、空人さんの本気を見せつけられた気分です。とても面白かったです!
まず驚いたのが、この文の量なのに、全然飽きずに最後まで読めてしまったこと。違和感のある文章もほとんどなくて、すごく上達されてるなあと感じさせられました。
進化過程が面白くて、次はどうなるんだろう、その次は? と本当に読んでいて面白かったです。この設定の数々は短編にはもったいないほどで、ぜひ長編でも読みたいなあと思いました。
あんまり言えることがなくて、重箱の隅をつつくような内容になってしまいますが、誤字がちょっと見受けられたことがまずひとつ。
それからもうひとつは、この主人公がどちらかと言うと冷静な性格なので仕方ないのですが、クライマックスの部分で若干物語との距離があったこと。もっと移入を誘って、のめりこむように読ませて欲しかったかなあ、というわがままです。
すごくファンタジーしていて、面白かったです。人外の生物が主人公であるというのも面白いですね。

>>61 sakanaさん:フォトグラフの施し方
さすがの造りこみですね。一つの作品にかけられる熱意と時間が、私とは比べ物にならないくらいすごいのだろうなあと思います。見習いたいです。
科学→魔法という流れは珍しいですね。今までありそうでなかったんじゃないかなあと思います。こういう発想も素敵です。テーマの消化の仕方も工夫があってよかったです。
また、文章のところどころに仕掛けられた工夫がいいです。全部同じリズムの文章じゃ飽きちゃいますもんね。ここも見習いたい。特に母とカリアの目顔で話するところが好きです。
ゲルクンいいキャラしてますねw こういう面白い人大好きです。
地の文での説明ですが、もうちょっと絞って書いてくださると助かるなあと思いました。わがままです。
たくさんオリジナルな設定が出てくるので、次から次に出てくるものを理解しないといけなくて、少し間が欲しかった部分もありました。
最後、一旦諦めさせかけて……という流れは、よく見るものではあるんですが、今回とても効果的だったと思います。ドキドキしました。面白かったです。

>>62 If:神さまの生みの親
最後に拙作とかお目汚しも甚だしい。全てはセウトな投稿時間が物語っています^q^
本当はもっと書きたかったんですけど(実は他に15枚くらい書いてたんですけど、時間なくていらないとこばっさり全部切り落として、それから最後20分弱で結末書いて、あんな感じになりました。味気なくてごめんなさい! 言い訳^q^)、時間ってシビアですね。毎回言ってるなあ。いい加減学習しないと怒られそうだ。
この手の話はなんかもしかしたら初めてかもしれなくて、特に最後とか楽しかったです。しっかり書けてたらさらに楽しかっただろうなあ。
半年くらい鬱縛る予定でいくので、これからもどんどん新しいことに挑戦していきたいなと思います。がんばります!


来月はイベントで、しかもいろんな人の連載の番外編が読めると思うと、今から楽しみで楽しみで。
たくさんの方の参加があればいいなあと思います。
メンテ

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