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[4993] 【2016年度】お題小説スレッド【お題「去る」作品投稿期間】
   
日時: 2016/01/12 23:57
名前: 企画運営委員 ID:7PNV346o



『お題小説スレッド』へようこそ。こちらはあるお題に沿って読みきり小説を書き、その作品をみんなで批評し合う場です。
 初心者も上級者も関係ありません。うまくなりたいとお思いの方であれば、だれでも自由に参加することができます。一生懸命執筆し、一生懸命批評して、小説の技術を高め合いましょう。
 皆様のご参加をお待ちしております。

――――――――――――――――――――

>>002 【ルール説明】:必ず熟読して下さい。(※内容、一言の箇所を訂正しました。ご確認ください)
>>003 【批評のポイント】:批評をする際のポイントをまとめたものです。
>>004 【イベントルール説明】:イベントに関するルールです。必ず熟読してください





▼お題:第32回のお題は「種」です。
 二月に種をまくのか? と思いましたが、調べてみるとじゃがいもは二月にまくそうですね。……さらに調べてみると一年中、なにかしらの種をまいてるみたいです。
 そんなことは置いといて。「種」というお題には「たね」以外にも色々な解釈があると思います。みなさんがどのような作品を投稿してくるのか、楽しみにしております。
※第30回の作品投稿期間は2月1日(土)からです


▼お題:第33回のお題は「姫」です。
 三月なので(笑)
 というのはよくわかりませんが(ひなまつりだから?)「ひめ」というのは可愛らしい語感ですよね。私は緑の黒髪をした和服姿が思い浮かびます。桃色が似合いますよね。桃色……やはりひなまつりでしょうか。それでは、みなさんの作品お待ちしております。
 
※第31回の作品投稿期間は3月1日(土)からです


▼お題:第34回のお題は「嘘」です。
 嘘でした。


▼お題:最終回のお題は「魔法」です。
 奮ってご参加ください。


▼お題:第36回のお題は「友情」です。
 ネタでした。


▼お題:第37回のお題は「音」です。
 奮ってご参加ください。



▼日程(第32回)

1月1日       :お題発表
2月1日〜15日   :作品投稿期間
2月16日〜28日  :批評提出期間


▼日程(第33回) 

2月1日     :お題発表
3月1日〜1月15日 :作品投稿期間
3月16日〜30日 :批評提出期間


▼日程(第35回) 

6月1日     :お題発表
6月1日〜7月31日 :作品投稿期間
8月1日〜   :批評提出期間



▼注意もしくは削除対象となるお書きこみ
・荒らし
・荒らしへの反応
・自分や他人の小説の宣伝
・雑談、チャット化
・ルールに反するもの
・管理人が不適切と判断したもの

――――――――――――――――――――

>目次 >>001


>第32回 お題『種』参加作品(敬称略)

>>404 sakana:シロハの辻褄
>>405 伊達サクット:赤い種、青い種

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▼リンク
小説講座/雑談所』(お礼や言い訳等はこちらへ)
旧お題小説スレッド』(前スレはこちらから)
ツイッター』(朔乱のアカウントです。お題の告知などをしています)

管理人:If 空人 朔乱  補佐:伊達サクット
メンテ

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『穿たれし始まり』 ( No.74 )
   
日時: 2012/01/23 13:33
名前: 真空◆qXD1SKwOjs ID:KK90tQ1U

 大上段に振り下ろされた剣を避け、相手の懐に大きく踏み込みながら模擬剣を振り上げた。
 木製の刀身が相手の柄で弾かれるのを確認しながら、俺は踏み込んだ右足を軸に回転。相手の背後に移動する。
 相手の巨体が慌ててこちらへ向くのを気配で感じながら、俺は木刀を脇から背後へ突き出した。巨体の悲鳴と共に、ごりゅ、という気分の良くない手ごたえ。思わず顔が歪んでしまった。
 気を取り直しながら素早く振り返り、再び懐へ飛び込む。相手が反応する前に俺は模擬剣を振り上げた。
 ゴギッ、という鈍い音と共に刀身が相手の顎に直撃。俺よりはるかに大きな巨体がぐらりと後方に傾き、わずかな間をあけた後、対戦相手は床に倒れた。
 訓練場に広がる沈黙。
 しばらく静寂が訓練場を支配していたが、ようやく自分の役目を思い出した審判がようやく叫ぶ。
「勝者、カイナ・トリアット!」
 ワアアアア――という割れんばかりの歓声が、エスタニア魔導学校第一訓練所に響いた。

 模擬戦闘が終わり、更衣室。
「貴様にしては良い動きだったな」
 対人戦闘からの緊張からようやく解き放たれた俺は、早速イヤな気分に早代わりする。良い気分を堪能するヒマをあたえろよ。
 俺は軽く苛立ちを覚えながら、更衣室の入り口に立つバカに返した。
「そういうお前は、随分長い間戦ってたじゃないか」
 ため息を吐きながら、バカに目をやる。
 血のような紅い髪に、赤い瞳。整いすぎた顔。俺をずいぶん上回る長身とその背に引っ掛けられるただの大剣。わかりやすい特徴しかないアギアだ。脳細胞もわかりやすく単純な戦闘バカである。
「戦術指南の監督が相手だからな。少々手を抜いて、愉しい時間を過ごしていただけだ。近接戦闘が平均の貴様とは違う」
 ……あからさまな自慢と皮肉がうっとうしい。それになんだ、その尊大なしゃべりかたは。
 再び大きくため息をつきながら、俺は皮肉をくれてやる。
「たしかに、お前の近接戦闘能力は前衛としてでも群を抜いてるだろうけどな。六回生のくせに、肉体強化系以外の魔導がからきしのヤツが魔剣士になれんのか?」
 俺の言葉に、アギアの笑みが歪んだ。ざまを見ろ、バーカ。
 調子に乗って、俺はさらにアギアをおちょくる。
「最も簡単な火炎系の魔導をレベル三すら発動できないんだからな、お前。いくら魔剣士の前衛志望でもキツイんじゃないか? ま、俺は全系統の魔導はレベル四まで扱えるから、後衛としては心配ないけ」
 ど。言い終える間もなく、俺の頭上を鉄と銀の合金製の大剣が旋風のごとく通過した。既にしゃがんでいるから当たらなかったが、ぼーっとしてたらどうなっていたか。慌てて右へ転がりながらアギアを見た。。
 その顔に浮かんでいる鬼神の表情を見て、俺の全身の肌が粟立つのを感じる。……やりすぎた。

………………

 このときの俺たちは、魔導学校の六回生。今年卒業試験があり、そして魔剣士になれる年である。
 そんな俺たちが魔剣士として始まったのは、この十八の春からだった。

………………

 死ぬかと思った。更衣室を大剣の二撃で廃屋同然にする武神から逃げつづけた俺って、凄すぎだろ。だれか表彰してくれ。
 現在、アギアを伴って教官室へ向かっている。あの後、何とか落ち着いたアギアを褒めちぎってなんとかこの状況を保っているのだ。ああ、こんなアホとどうして幼馴染なんだろうな。コイツも昔は――
 と、モノローグのみで愚痴っている間に教官室に着いていた。
 ノックして許可をもらい、俺たち二人で部屋へ入る。アギアと喧嘩してる最中に、ここへ来るよう達しを受けていたからだ。
 二人して教官に適当に挨拶し、言葉を待つ。態度が悪いのは生前からだ。
「さて、お前たちももう六回生だ」
 俺たちの様子に気を悪くすることなく、気の良い教官は続けて、
「この六年、お前たち二人はよくやった。それでだ、今年の卒業試験の話なんだが」
「いえ、俺はちょっと遠慮させていただきます。ちょうどその時期に腹痛が起きそうなんで」
「……まだ何も言ってないだろ、カイナ」
 音速で断った俺に、教官は呆れた瞳を向けた。いや、内容はだいたいわかってるしなぁ。
「わかっているだろうが、まあ聞け。お前たち二人――近接戦闘第一位のアギアと魔導成績第一位のカイナには、卒業試験時に特別試験が用意されてる」一呼吸おき、教官は続けた。「そいつを合格すると、なんと第七階位から魔剣士ライフがスタートする。通常試験じゃ、第十階位だからな」
 露骨にイヤな表情を浮かべる俺と、横でニヤ、と嗤(わら)うアギア。俺は、平凡に魔剣士やりたいんだよ。下手に難しい試験をうけて落第したくない。
 俺たち二人、特に俺のほうを見ながら、気は良いけど腹になんかありそうな教官は言い放った。
「まあ、拒否はできないだろうから安心しろ」
「え、なんで」
「この試験は各成績の最上位者二人で組んで受けるモノだ。魔剣士の戦闘と同じ状況である二人一組。前衛と後衛の役割をこの段階で理解してもらうためにな」
 そして、と教官はアギアに目をむける。
「この試験は成績最上位者二人のどちらかが受験を拒否すると受けられんのだよ」
 ……つまり、拒否できないってのは?
 俺の肩におかれる手の感覚を無視したくて、俺は問う。
 要は腹黒い教官が、にか、と笑って答えた。
「どうせ、アギアがお前を引きずってでも受けるだろ?」
 ギギギ、と油のさされていない機械の動きで隣を見る。
 俺の肩を引っつかんで、笑みを浮かべるアギア。端正な顔立ちをしたアギアがやると、何かの一枚絵のようだ。が、俺にとっては死神の微笑み。
「受けよう、かいなクン」
 超棒読み。浮かべられた笑顔から目をそらす。アギアが今にも抜刀しようと握る大剣の柄に視線を移動させた。
 肩をつかまれ、俺は逃げることはできない。下手な返事をすれば、亜音速で合金の刃が俺をぶったぎるだろう。うわー、ちょっと、うわー。
 いや、まだだ、あきらめるな俺。まだ何か手はあるはずだ。そう、この絶望的な状況をどうにかするんだ。俺は決して屈しない――
「ついでに言うとだ、アギア。試験にはすごい敵を用意するらしいぞ」
 瞬間、アギアの手の中にあった大剣の柄が破砕した。興奮に、笑みが壮絶なものに変貌する。
「ウケヨウ」
 俺は屈した。



 あのあとも全力で抵抗したが、全てがあえなく撃沈。ついに試験当日を迎えてしまった。
 もうこうなったら腹を括るしかない。
 肩を落としながら、支給された魔剣とその柄に嵌まる魔核の調整を続ける。鈍い鉄色に輝く魔核。鋼系か。
 しっかりと魔核が嵌まっていることを確認し、俺はアギアに目をやった。
 長大な刀身の魔大剣。例によってでかい得物だな。柄に目をやると、肉体強化系の魔核が輝いていた。
 今現在、俺たちは魔導学校第五訓練場の控え室にいる。この第五訓練場は、唯一エスタニアの『研究ブロック』に設置されている。
 研究ブロックには魔物などが捕らえられている。そして、研究済み、もしくは研究に必要のない魔物はこの訓練場にほうりこまれているのだ。
 この訓練場は立方体の形をしており、厚い天井が日光を遮っている。照明は当の昔に魔物に破壊されていて、この控え室にある俺が持ち込んだ旧式のランプが唯一の光源だ。
 試験前に渡された地図によると、この建物は面白い構造をしていた。
 一応二階建てなのだが、二階との境をぶち抜くようにして、真ん中に巨大な空洞がある。いわゆるホールだ。ホールはかなり荒れているらしく、コンクリートだった床は全部砕かれて土がむき出し。木まで生えているらしい。
しかも、そこに魔物は集まっているようなのだ。
 エスタニアで唯一魔物が暴れている場所で、もっとも危険な場所に、俺たちは武器だけ持たされ、置いてかれた。
 ……まあ、つまり、俺たちの特別試験の内容は、魔物狩り、ってことだ。


 試験開始の合図である爆発音と共に、控え室のドアが破砕された。ゴブリンだ。さきほどの爆発で、檻が壊されてここへやってきたのか。盛大なスタートだこった。
 俺が魔導を発動する間もなく、アギアの大剣がゴブリンの身体を両断。断面から青い血を噴き出しながら左右に倒れた。
 血のアーチをくぐってアギアが疾走。俺を置いていくなっ!
 その後を追いながら、爆発音に惹かれた魔物たちに鋼系魔導レベル三〈ジャベリン〉を発動。三本の鋼の槍がゴブリンの群れに斉射される。二本がゴブリンの眼窩と喉に刺さり、残る一本がもう一匹の眉間に突き刺さった。
 投げつけられた木材を避けつつ〈ジャベリン〉を応射。一匹だけ仕留めた。
 やはり、三本しか撃たない〈ジャベリン〉では一対集団では弱いか。
 即座に、頭で〈ジャベリン〉の導式を紡ぐのをやめて、鋼系レベル一〈スティレイ〉に変換する。発動。切っ先を群れに向けると同時、鉄片混じりの小さい爆風が群れの表面に巻き起こった。
 己の身体に突き刺さる鉄片に悲鳴をあげるゴブリン共を無視し、俺は周囲に目をやる。あのバカはどこに突貫した。
 大して苦労せず、青い肌をもつゴブリンの群れの中に、紅い髪を発見した。うわ、真ん中にいるし。
 絶えずゴブリンの青い血が舞っているのを確認しながら、俺は跳躍した。すぐそばに立つ木に着地して、アギアの様子を見る。
 アギアは、魔大剣を自らを軸に回転させて周囲のゴブリンを一掃。第二波のように屍をこえてやってくるゴブリン達に、凄絶な笑みで迎えて突撃。
 大剣を持たない左手で、噛み付いてくるゴブリンの顔面を打ち砕き、こん棒を振り下ろしてきた奴には大剣で反撃。首を刎ね飛ばしながら大剣を地面に突き刺し、柄を掴んだまま軽くジャンプ。上腕の筋力のみで大剣の上で逆立ちしつつ、雷撃の如き回転蹴りで周囲のゴブリンの頭部を破壊した。
 化け物のような運動神経に戦慄を覚えながら、俺は我に返った。とりあえず援護だ。前衛を遠距離魔導で狙撃、いや援護するのが後衛である俺の役目。
 少々頭が痛くなったが、無視して魔導を発動する。〈スティレイ〉を四重発動だ。
 一瞬動きを止めたアギアの四方にそれぞれ発動。四つの鉄片混じりの爆風が、ゴブリン共の突撃を阻んだ。
 波のように次から次へと迫っていたゴブリンの進攻が止まる。それと同時にアギアが俺をにらみつけた。こっちに気づいてたのか。てか、なんだその目は。援護してやったのに。
 もう一度〈スティレイ〉を四重発動しながら、俺はアギアの元へ跳躍。着地。背中合わせになってゴブリン共へ魔剣を向けた。
「おい、突っ走るな。不本意だけど二人一組だからな」
「……雑魚の青豆に心配されるような剣の腕は持っていない」
 〈スティレイ〉のおかげでゴブリンの動きが一瞬止まっているので、こういった皮肉も言い合える。しかし、こっからはまともに口も利けないだろう。
 そう思い、さらに何か言ってやろうとして――とまった。目の前に魔物があらわれたからだ。

 俺の気配の変化に気づいたのか、アギアが僅かにこちらを向く。そして、武神の笑みを浮かべた。
 俺が驚き、戦闘狂のアギアが喜ぶような魔物。緑の肌に分厚い紫の唇。そこから垂れるヨダレ。隆々の腕に握られる大木。そいつの名は、トロール。しかも、通常四メートルのところが、七メートルぐらいはありそうな体長である。
 危険ランクC級の魔物を、まだ魔剣士にもなっていない生徒に倒せと? 馬鹿いうな、無理だろ無理。こういう危険なのは先に駆除してくれよっ。
 俺の心中の叫びが届くはずもなく、トロールは腕を振り上げる。唸りを上げて上昇する大木。やばい。
 直後、落雷のような一撃が振りおろされた。
 地面と激突し、破壊音をたてて地面が砕ける。既に俺達は左右に逃げていた。掴みかかってくるゴブリンを蹴り飛ばしながら木の枝に着地した。
 近接戦闘の成績が秀でてるわけじゃない俺が避けることができたのは、ひとえにアギアのおかげである。
 アギアが俺に発動した肉体強化系レベル五〈ブレイクスタイル〉で、俺の筋力は一時的に三倍になりトロールの超破壊を避けられたのだ。が、俺にはあまり向かない魔導らしく、即座に解除されて俺はがくりと枝の上で膝をつく。
 もともと筋肉量が後衛魔剣士程度しかない俺には、筋肉量を増やして筋力を強化するこの〈ブレイクスタイル〉は負担以外の何者でもない。ムキムキのアギアなら負担のふの字にもならんだろうがな。
 何とか立ち上がり、俺は大木の反対側のアギアに視線を送る。向こうも同様にこちらを見ていた。

――俺達が相手するか? それとも教官に報告するか?
――いや、闘るぞ、貧弱。

 アイコンタクトでバカにされつつ、俺はため息をついた。そう言うと思ったよ。

 理解すると同時に〈スティレイ〉を二重発動。六本の槍がトロールの顔面へ射出される。
 六本のうち四本が顔面に突き刺さる。二本は硬い皮に弾かれた。
 神経が鈍いのか、痛がる風はなかったが、注意が俺へ向いた。汚い顔面に銀色の針が四本突き刺さった絵図をこちらにむけ、再度、腕を振り上げた。
 直後、赤い流星のようにアギアが襲来。鍛えに鍛え上げられた筋肉を以(も)って、大剣をトロールの振りあがった腕に突き立てる。
 瞬間、背筋、肩甲骨、三角筋、上腕が一気に隆起。〈ブレイクスタイル〉で強化された腕力が、一息にトロールの腕をぶった切った。
 綺麗な断面を見せてトロールの右腕が宙を舞う。大木のような腕は一回転だけして地面に落ち、巨大な地響きをたてた。
 しかし、安心はできない。
 なぜなら、トロールには強力な再生能力があるからだ。脳か心臓を破壊すれば流石に死ぬが、それ以外の部位が破損しても、気持ち悪いくらいの生命力で再生するのだ。
 だから、再びあの腕が振るわれる前にぶち殺さないといけない。
 腕が落ちたのを視界の端で認めたのと同時に、俺は鋼系レベル四〈マグネブレイド〉を発動していた。
 既に周りに撒いていた砂鉄が刀身の周りに集まり、刀身の延長として三メートルの刃と化す。切れ味は、本体の刃よりも良いぐらいだ。
 発動完了と同時に、トロールの傷が泡立ち始める。再生が始まったのだ。
 アギアが一旦着地した木から跳躍するのとほぼ同じタイミングで俺も跳ぶ。
 ようやく痛みを感じ始めたトロールが、意味のない怒号をあげて、左腕を振るう。狙いは俺かっ!
 判断し、即座に両手で砂鉄の剣を握り、迫る巨木のような左腕に振るう。激突。両腕に凄まじい衝撃が伝わり、思わず弾かれそうになった。が、すぐに切り込む角度を僅かに変える。
 その瞬間、両腕にかかる負担が消えた。そして、視界の端で跳んでいくトロールの左手。よし、切った、俺は生きてるっ。
 あわてて地面に着地。アギアをみると、トロールの身体を駆け上がっているところだった。
 〈ブレイクスタイル〉を維持したままトロールのだらしなく太った身体の上を疾駆。一気に肩まで駆け上がり、そのまま蹴りつけて跳び上がった。
 未だに再生しきらない右腕。切断されたばかりの左腕。アギアを邪魔できる障害は、ない。
 空中で魔大剣を両手で握り、落下。その勢いのまま、アギアは全力で振り下ろした。
「うるるるあああぁぁっ!」
 気合の怒号と共に、瀑布の一撃がトロールの頭部へ落とされた。巨大な刀身が、トロールの皮膚を、頭蓋を、そして脳をぶち砕き、そのまま降下。背骨を砕き鎖骨を破壊しながら遂に心臓へ到達。その瞬間、バキン、という小気味良い音と共に、魔大剣が半ばから折れた。
 刀身の半分を心臓の真上に残したまま、アギアの身体は地面に落下。苦虫を噛み潰したような表情を浮かべて戦闘狂は着地した。
 そこへ、俺が跳躍。ダメ押しと言わんばかりに砂鉄の剣を突き出す。狙いは未だ鼓動する心臓。頭部からぐちゃぐちゃになった脳がこぼれていることから、再生不可能なことはわかっているが、俺は臆病なんでな。
 胸筋を引き裂き肋骨を砕き、〈マグネブレイド〉は心臓を貫いた。素早く魔導を解除して、俺はアギアの隣に降り立った。
 トロールだった肉塊を見上げる。両腕は再生途中で肉片をぶらさげたまま静止。頭部は完全に両断され、その裂傷は胸部にまで達していた。そして、心臓のあった所には穴が穿たれ、僅かに覗く肉片は再鼓動しない。ここまでやって死なない生き物なんて、生き物じゃない。

 一息ついて、俺は座り込んだ。疲れた。傍らを見上げると、折れた魔大剣を眺めている武神が目に入る。つまらなそうな表情だった。
「……この俺には強力な武器が必要だな」
「ああ、まったくだ」
 同意を返して、手元の魔剣をみる。柄と鍔の部分がガチガチと不協和音を奏でていた。緩んでる。いくら支給用の安物とはいえ、強度が随分低い。魔剣士になるなら、マトモな武器がほしい。
 と、そこへ破壊音。頭上からだった。
 緩慢な動作で首をもたげて、確認した。さっきの爆破音は、天井に穴を開けるためのもののようだ。マトモに扉をあけてくれんものか。その穴から、教官が遥か高い天井から手を振っている。そして、ここまで届くには長さが全然足りない梯子を降ろしてきた。試験終了ということか。
 痛む両脚を奮い立たせて俺は立ちあがろうとして、アギアが俺の襟を掴んだのを感じた。いや、ちょっと待て、まだ足が震えて仕方がな、
「行くぞ」
 俺の悲鳴の尾をひきながら、アギアは遥か天井の梯子まで跳躍した。



「よくやった、お前達」
 七メートル級のトロールの件などまるで無かったことのように、にか、と教官は笑みを浮かべる。その白い歯を折ってやろうか。
 試験後、俺達は表彰を授与され、晴れて魔導学校を卒業できた。そして、今は魔剣士として出発できるよう、教官のありがたい言葉を聞いている最中だ。本来ならすっぽかしたいが、できなかったのでここに居る。
 面倒くさげな俺達をみて、教官は苦笑いをこぼした。そして、壁に飾られた二振りの魔剣のもとへ歩みながら言う。
「見事特別試験を合格したお前達には、第七階位認定証を授ける」
 ピシッ、と音を立てながら、教官は認定証を俺達に向けて弾いた。
 それを空中でアギアはキャッチし、俺は地面に落ちたものを拾う。となりの赤毛のドヤ顔は無視だ。
「そして、俺から卒業祝いをやろう」
 壁の二振りの魔剣を取り出して、教官は俺達に差し出した。俺に向けられたのは、白い刀身をもつ八〇センチメートルほどの魔剣。鞘には『咎人クレイネン』と銘打たれていた。アギアに差し出されたものは、魔剣というより魔大剣とあらわすのが相応しい巨大さだった。
 とりあえず、俺の目には両方ともかなりの業物とだけわかった。俺の剣の柄には魔核が三つも嵌まる穴があいている。アギアにいたっては四つだ。魔核が嵌まっていないにしても、これはかなり高価だぞ。
 なぜ、という視線を送ると、教官はまたも、にか、と笑った。
「優秀な魔剣士には優秀な武器が必要だろう? 気にするな、それはすでに死んだ先輩のもんだ。墓前に飾るより、血を浴びるほうを望むはずだよ」
「ありがとうございます。使わせていただきます」
 アギアの分も礼をいい、魔剣を腰のベルトに差した。傍らのバカは、恍惚の笑みで刀身を撫でていた。そんなに喜ぶんなら礼を言え。
 俺達はそのまま、教官室をあとにする。良い人だけど、これ以上言葉を交わす感慨もない。態度がわるいのは、生前からだってば。

………………

 ――とまあ、こんな感じに俺達の魔剣士としての世界は始まった。この後に、強制的にアギアとコンビを組まされたのはまた別の話だ。

舞いし剣は魔を穿ちより】
メンテ
決戦島・大陸統一トーナメント大会 ( No.75 )
   
日時: 2012/01/31 02:38
名前: 伊達サクット ID:1K6pViOk

 魔界に君臨する支配者、握力大魔王は人間界を征服するために大量の軍勢を率いて、人間界に侵略を開始した。握力大魔王がまず手始めに目を付けたのは、勝利の女神ウィーナを信仰する民が住むリリット大陸である。
 魔界の魔物達で構成された魔王軍が大陸全土を支配するのには一週間もあれば十分であった。
 握力大魔王は大陸制圧の仕上げとして、部下達に魔界の扉を開かせ、そこから『決戦島』という島を呼び寄せた。
 握力大魔王はリリット歴559年6月12日に『大陸統一トーナメント大会』の開催を宣言した。場所は決戦島にある握力大魔王の城。優勝者はこの大陸の王者になれるというものであった。
 下界の民達の救いを求める声、そして大会の開催。天界に住む勝利の女神ウィーナは、いてもたってもいられず、神が直接下界の者たちに加担してはならないという禁を破って大会参加の手続きを行ってしまった。

 トーナメント参加者は16名。見事予選を通過したのは握力大魔王、ちんすこう富松、ゲートボーラー助六、ゲートボーラーじゃない助六、Let’s Go左エ門、滅殺破壊神、ザコ1号、ザコ2号、武器屋ハ・デス、防具屋ベルゼブブ、道具屋ゼウス、万屋フェニックス、キャプテン乳毛、剣士イレババ、魔術師サシババ、NEETムシババである。
 この本選出場者の中にはウィーナはいなかった。
 なぜなら、天界の神殿で、精神集中の為に瞑想しているうちに眠ってしまい、すっかり寝坊してしまったからだ。
 目を覚まして、すでに大会が始まっていることに気付いたウィーナは、それこそ大慌てで天界を飛び出し、光の翼の魔法で超高速飛行。天界と下界を隔てている次元の壁を体当たりでぶち破り、ものの数分で握力大魔王の城のある決戦島までやってきた。

 そこで見た者は参加者達の死屍累々であった。
 予選が終わった後、トーナメントの組み合わせをくじ引きで決めるのだが、握力大魔王は体全体が巨大な手という異様な姿をした魔王であり、くじ引きの箱が小さすぎて手が入らなかったのである。
 そこで参加者兼主催者兼実行委員長兼解説兼実況兼スポンサーである握力大魔王の一存で、急遽くじ引きを中止し、16人バトルロイヤルで決着を付けることになったのであった。しかも始末の悪いことに、握力大魔王はくじ引きの箱に手が入らないことに気付いた途端、唐突に周りの参加者に攻撃をし始め、他の15人が倒れた後で「実は16人バトルロイヤルになったのだ! ヒャーッハッハッハ! はい俺が優勝ーっ!」と言い始めたのだ。
 そのように握力大魔王がやりたい放題やっているときにウィーナが現れ、魔王と相対した。

「誰だ貴様は? たった今大会は終わったぞ!」
 握力大魔王がウィーナに言い放つ。
「ならばこれから王者の防衛戦だ。この私が挑戦者となり、お前からチャンピオンの座を奪う」
 ウィーナが剣を抜いて、声高らかに宣言した。
「馬鹿め! 貴様ごときがこの俺に」
 握力大魔王が言い終らぬうちに、ウィーナは剣に闘気を集中させた。
「きえええええいっ!」
 そして、次の瞬間には、オーラで光り輝く刀身が握力大魔王を真一文字に切り裂いていた。
「ぎょわわわわー!」
 握力大魔王は大爆発し、決戦島は大会スタッフである多くの魔王の部下達の命を巻き添えに海の藻屑と消えた。

 この戦いが原因で、ウィーナは冥界に追放されることになった。
 これは、ウィーナがヘイト・スプリガン事件に見舞われる10年前の出来事である。

 やるせなき脱力神へ続く!
メンテ
Re: お題小説スレッド【二月期:作品投稿期間】 ( No.76 )
   
日時: 2012/02/01 02:20
名前: 企画管理委員会 ID:nSJ3MzeQ

 イベントへの参加お疲れさまでした。
 たくさんの作品が集まり、喜ばしい限りです。
 ありがとうございました。


 第10回「爆発」の作品投稿期間となりました。
 作品投稿期間は2月1日(水)〜2月15日(水)までとなります。
 ルール説明>>002 を熟読の上、ご参加ください。
 皆様の力作お待ちしております。
メンテ
のちに彼は ( No.77 )
   
日時: 2012/02/09 18:02
名前: If◆TeVp8.soUc ID:ZLKmFj4k

 やるせない。昔、学院の窓から仰いだ王城はどこまでも高く聳えて、あんなにも神々しく輝いて見えたのに。そこへ召し出されたと知らされたときには、泣いて喜んだものだ。それなのに、それなのに。俺は今、こんなところで何をしているのだろう。
「ユベル、ユベル、どこにいるの」
 大声で嘆きたいのをぐっと堪えて、俺の名を連呼する主人の部屋へと渋々向かった。今度は一体何の用だ。空を一面虹色に変えてみろだとか、王の召し物を女物のドレスにしてみせろだとか、あの王女は無理難題ばかり押しつけてくるので困りものだ。なんだって俺があんな小娘の相手をしなければならない。侍女や教育係がいるでしょうと何度断ったかしれないが、王女は魔法にひどくご執心と見えて、俺ばかりを呼び出してくる。近衛魔道軍というのは、そして学生時代死ぬ気で磨いた俺の魔法は、王女の機嫌取りのためにあるわけではない。いくら不満を持っても相手は王族、遠い故郷で待つ貧しい家族のためにも従うより他ないのだが、それがどうにもやるせない。本当は、もっと。もっと――どうなのだろう。分からない、けれども、俺が望んでいるものはこの城の中には一つもないように思われた。ここにあるのは、楽しくもないのにいつも笑っている貴族たちと、そいつらの蓄えている金と、誰々を蹴落とすだとか追放するだとかいう陰謀の数々だけだった。
「お呼びですか、アイリア様」
 まだ十四の小娘――それもおそらく、精神的には実年齢よりももっと幼い――にこうして慇懃な態度で接しなくてはならないのも、とてつもなく虚しかった。そんな俺の心内は露知らず、王女は嬉々とした顔をこちらへ向けると、裾の長いドレスをずるずる引きずりながら駆けてきた。
「遅いわユベル。私が呼んだらすぐに来るのよ。いい?」
「は。申し訳ありません」
「ね、ね。ユベル、見せて欲しいものがあるの」
 また始まったか。今度は何を頼まれるのかと考えると頭痛がしたが、表には出さないよう極力注意する。
「なんでございましょう」
「なんて言ったかな、ええとね、なんかね、どかーんてする魔法。本で読んだの。ば、ば……あれ、なんだったっけ?」
「おそらく、爆発の魔法でしょう」
「そうそうそれ! それ見せてよ!」
 はしゃいだ嬌声が耳を刺すようにきんきん響く。いつもの常識を逸脱したおねだりに比べたらまだマシな部類だが、しかしこの王女はいつになったら魔法に飽きてくれるのだろうか。その日が待ち遠しくてならない。
「申し訳ありませんアイリア様。それは出来ません」
「えー、どうして?」
 栗色の豊かな巻き髪を左右に揺らし、唇を尖らせて眉根を下げるその姿は、とても十四には見えない。十か、もっと下に見える。まってくもって幼い娘だ。ほとんど子守りも同然だと考えて、自分で情けなくなった。
「室内でそのような魔法を使えば、建物に大きな被害を与えてしまいます」
「いいじゃない。きっと誰かがすぐ直してくれるわ」
「それでも駄目です」
「なんでよー」
 言葉に詰まる。本当は言わずに断りたかったのだが、今日の王女はいつにも増して諦めが悪い。仕方がない。密やかなため息を零したあと、俺は認めたくない事実を白状した。
「私は爆発の魔法は使えませんので」
「え、そうなの? ユベルにも使えない魔法があるのね」
「いつも申していますでしょう。魔法とて何でもできるわけではありませんし、術者によって得手不得手があるのだと」
「ユベル、私、難しい話は嫌いよ。とにかくユベルは爆発の魔法を使えないのね? それなら、お願いがあるわ」
 まだ何かあるのか。もう一度ため息をつきそうになるのをなんとか我慢した。王女は天井のシャンデリアの光を映してきらきら輝く瞳でこちらを見上げてくる。嫌な予感しかしない。
「なんでございますか」
「三日、暇をあげる。だから爆発の魔法を覚えてきて」
 今、何か、信じられないようなことを聞いた気がした。耳を疑いつつ、俺は期待を込めて聞き直す。
「は?」
「爆発の魔法を覚えてきて、見せてちょうだい」
 聞き間違いではなかったか。この王女は、本当に。もはや呆れて言葉も出てこない。
「アイリア様、そのですね……ですから、先ほど申し上げたように」
「早く帰ってきてね! 私、ユベルがいないと退屈だわ」
「アイリア様、それでしたら爆発の魔法の使い手をお連れしましょう。それならすぐにでも――」
「いや! 私はユベルの爆発の魔法が見たいの!」
 ああ、もうこのわがまま娘には付き合いきれない。しかし暇をくれるならそれは願ってもないことだ。三日適当に休んでその後適当に謝ろう。どうせ分かりやしない。
「お願いユベル。お願いよ」
 ところが、退出しようとした俺をわざわざ引き止めて最後にそう懇願した王女の目はなにやら必死で、先ほどまで考えていたことを猛烈に俺に後悔させ、さらに後ろめたさを感じさせるだけの力を持っていた。
「……承知しました」
 だから俺はそんな気なんてないのに、こう答えてしまったのだろうか。

 ◇

 学院を卒業して以来初めて会った友は、しかし、全く変わっていなかった。懐かしい思い出の数々が脳を満たす。あの頃が一番楽しかったかもしれないなと思うと、無性に寂しくなった。風の便りで反乱軍に身を置いているらしいとは知っていたが、それ以外はどこで何をしているのかさっぱりで――久しぶりに使った導きの魔法でカインが王都に居ると知ったときには、幸運に驚いたものだ。城に仕える者として考えるならば、反乱軍の一員がこんなに城に近い場所にいるのは危惧せねばならない事態なのだろうが、思考まで縛られるなんて冗談じゃない。
「くっく、学院を首席で卒業して近衛魔道軍にまで上り詰めたおまえが、まさか俺に教えを請う日が来るとはなあ」
 カインは顔を見るなり心底楽しそうな顔をしてそう言った。七年ぶりの再会だったのに、まったくその時間を感じさせない口ぶりで、今は敵味方だから昔のようにはいかないのではないかとか、都合のいいときだけ頼りやがってと思われやしないかと心配ばかりしていた俺を一度に安心させた。
「嫌な言い方するなよ。攻撃魔法ならおまえの方がずっと成績は良かったろ」
 面白くない事実だったが、事実である以上は認めるしかない。カインの扱う攻撃魔法はどれも強力で、派手で、そしていつだって目にすればすうっと胸がすくほどに爽快だった。
「へへ、俺はおまえと違って身軽だからな。おまえみたいに色々背負い込んでる奴に攻撃魔法は向かねーよ」
 嫌味は少しも含まれていなかった、が、気になった。俺が攻撃魔法を苦手としているのをもちろんカインは昔から知っていたが、こんな風に言われたのは初めてだったもので。
「どういう意味だ?」
「そのうち分かる。で、何の魔法だっけ?」
 カインとて忙しいだろう。あまり時間を取らせるわけにはいかない。街道は賑わっていて、皆忙しい足取りで行き来している。隅で語らう俺とカインの会話には誰も耳を傾けていない。十二分に確認してから、小声で用向きを伝えた。
「王女が爆発の魔法を覚えて来いとさ。あと二日しかない。おまえしか頼れないんだよ。頼む」
 なんであんな小娘のために俺はこんなに必死になっているんだろう。自分自身がよく分からないことに苛立ちと不快感を覚えながらも、俺はただひたすらに頭を下げた。
「あちゃー、そりゃおまえ、無理な話だ」
「ほんと頼むよ。自力で何とかしようとしたが上手くいかなかったんだ。礼なら弾むから」
 言ってしまってから失言だったかもしれないと一瞬慌てたが、カインはここで王城の情報を引き換えにするほど卑怯な奴でも狡猾な奴でもなかったと思い直す。その通りで、カインはすぐに気前のいい答えを寄越した。
「いや、俺は協力は惜しまないつもりだぜ。おまえには学院時代にたくさん借り作ってるからな。だけどな、爆発の魔法はおまえには無理だ。あれは攻撃魔法中の攻撃魔法なんだぜ?」
「それは知ってるが、何としても覚えないと王女の機嫌を損ねる。……そうなんだ、首にされたら家族が――」
 もし爆発魔法を習得できなかったとしても、あの王女は俺を首にしたりはしないだろう。分かっていたが、できないと告げたときに悲しく曇る丸い目を想像すると、なんとしても習得せねばという気になる。つくづく、俺もお人よしだ。
 カインは笑った。学生時代にときどき見せた、やけに大人びた――今はもうお互い大人になったが、それでも大人びていると感じるほどの――笑い方で。
「ほらほら、俺が言ってるのはそういうところさ。そうやって色々考えちまう奴に攻撃魔法は一番相性が悪い。どうとでもなれって気持ちが大事なんだ。そしたら爆発魔法だって自然と出来るもんさ」
「出来ないから来たんだよ」
「おまえのことだ、理論とか術式とかは全部頭に入れて来たんだろ、というか、学院時代からもう知ってただろ? だったら俺が言えることはそれくらいしかないね。まあ、頑張ってみろよ。絶対に出来ないってことはないだろうしな」
 励ましの言葉を付け足して、カインは俺を正面から見た。そして、一言、呟くように言う。
「ユベルは大変だな」
 同情のまなざしだったが、その中にかすかに、哀れみを見た気がした。城の中でよく感じるやるせなさが蘇って、途端に虚しくなった。
「……カインは大変じゃないのか?」
「俺は毎日好きにやってるぜ。さっきも言ったが、身軽だからな」
「少し、カインが羨ましいよ」
 久方ぶりに本音を零すと、心が一挙に透いた気がした。学院の中庭でカインと夢を語った日のことが、ふと脳裏を過ぎる。それがあまりに――窓越しに見上げた城よりもずっと――輝かしくて、泣きたくなった。
「ははっ、おまえにそんなこと言われるとは光栄だね。でも……そうだな。俺はさ、おまえももっと好きに生きたらいいと思うぜ。使い古された言葉だけど、人生一度きりなんだからさ」
 カインは、遠い昔の輝きを今まで持ち続けている。眩しくて、本当に、本当に、羨ましかった。
「また会おうな。できれば、敵としてじゃなく」
 そのカインからそういう言葉をもらえたのが、無性に嬉しかった。急に軽くなった身体を王城へ向けながら、俺は頷いてカインに応える。久しぶりに笑うことが出来た気がした。
「ああ、そうだな。色々ありがとな」
 そのときには既に、心は決まっていた。

 ◇

「わあユベル、お帰りなさい! 早かったのね」
 王女は満面の笑みを浮かべて俺を迎えた。一瞬後ろめたい気持ちがぶり返したが、気付かない振りをして俺は言った。
「申し訳ありませんアイリア様。仰せの件ですが、果たせませんでした」
「仰せって? ああ、爆発の魔法ね? そう……分かったわ。でもユベル、いつか見せてちょうだい。約束よ」
 王女は思ったよりも落胆を見せなかった。その代わりに約束をねだる。王女の目は、今日もきらきらしていた。その目から逃げるように視線を外して、俺は首を振る。
「いいえアイリア様。お約束することはできません」
「どうして?」
「私は今日一杯でお暇をいただくことにしたいと思っております」
「疲れちゃったの? いいわよ、明日からじゃなくても今日から休むといいわ。でもユベル、なるべく早く帰ってきてね。私、あなたがいないと退屈で」
 退屈しのぎのくだらない遊びに付き合わされるこっちの身にもなれ、という言葉をすんでのところで飲み込んだのは、七年仕えたこの王女に少しばかりは思い入れがあったためかもしれない。
「いいえ、疲れたわけではありません。嫌気が差したのです」
「いやけ? それって何? 嫌ってこと?」
 だがもう限界だった。ついに叫ぶように語尾を荒げてしまう。
「だから、このお城に仕えるのはもうたくさんなのです!」
 王女は驚きに呆然として、しばらく口が利けないらしかった。
「……ユベル? どうしたの?」
 ぷつりと、身体のどこかで何かが途切れるような音がした。途端に感情がせめぎ合いあふれ出して、俺は何が何やら分からないまま口任せに言葉を吐き出した。
「いいですかアイリア様。私の魔法はあなたのわがままのためにあるわけではありません。貧窮する民を捨て置いて己の保身だけ考える貴族のためにあるわけでもありません。……本当は俺は、カインと一緒にこの国をぶっ潰したかったんだ。このまま権力に媚びへつらって生きるのはもうごめんなんだよ!」
 言い切ってしまうと、さらに身体が軽くなった。勢いに身を任せたことは初めてで、この先どうなってしまうのかよりも、得体の知れない解放感にふわふわ浮き上がりそうな、心地良い酔いのようなものを感じていた。
「ユベル、私、難しい話は分からないわ。でもユベル、あなたはこの城が嫌いなのね? それなら私と一緒よ」
 そういうときに王女が意味不明な発言をしたので、俺の思考は完全に凍結した。
「は?」
「このお城の人は、みんな同じ顔してるわ。笑ってないのに笑ってるの。気持ち悪いわ。でも、ユベルは違った。あなたは笑わなかった。ずっと退屈そうな顔してたわ。私と一緒だなって、ずっと思っていたのよ。だから私、ユベルが好きよ」
 王女が他の城の人間と違うのは、毎回わがままに嫌々付き合わされながらも、きっと頭のどこかで分かっていた。こういう話を王女の口から聞いても驚かなかったのは、そういうことだろう。けれども今その返答を聞かされる意味が分からない。こちらは暇をもらうと言ったはずだが、それは一体どうなったというのだ?
「……はあ。それで、あの」
「アイリア様! いかがされました!」
 けたたましい声と足音がした。王女の部屋で怒声が上がれば当然の結果で、俺は後先考えずに暴走したことを今になってひどく後悔した。遠い故郷の家族を思う。なんてことをやらかしてしまったのだろうと思わないではなかったが、それよりも、きっと家族は分かってくれるだろうという根拠のない安心感の方が勝っていた。
「ねえユベル。あなたお城から出て行くの? それなら私も連れて行って。私もこんなところ嫌よ。ユベルと一緒に行きたいわ」
 王女はこの緊迫した状況をどこ吹く風で暢気だ。その上こんなことを言い出すものだから、全く、困った姫君である。
「ええと、アイリア様。それ本気で仰っていらっしゃるんですか」
「もちろんよ」
 ちょうどドアを開けて入ってきた大臣が、直近の会話を聞いていたらしく、俺をものすごい形相で睨みつけてきた。なんだ、いつも笑ってるだけかと思っていたらこういう顔できたんだなと、王女の暢気さが移ったのか、俺は悠長にそんなことを考えた。
「おのれ平民風情が! 王女様をたぶらかすとは何たることを。衛兵よ集え! あの者をひっ捕らえるのだ」
 あちこちから鎧の鳴る音が、つまり、兵隊が近づいてくる音がした。ああ、もう、こうなったらどうしようもない。そのとき、カインのアドバイスが耳に木霊した。
 ――どうとでもなれって気持ちが大事なんだ。そしたら爆発魔法だって自然と出来るもんさ。
 今ならできるような気がした。ほとんど確信だった。
「ふふふっ。逃げましょうユベル。私、なんだかすごく楽しいわ」
 楽しい。なるほど、この緊張感と高揚感は確かに「楽しい」という感情だ。これまた、久しい感覚だった。急に膨らんだ充足感に背中を強く押される。俺は片手を壁に向けて、昨日徹夜で学び直した爆発の魔法の術式を展開した。
「では、こちらから。アイリア様、ご覧ください。これが爆発の魔法です」
 眩い光の中から生み出された赤色が、視界一帯で派手に暴れた。景気のいい爆音が城中に響き渡ったかと思うと、城は大きく揺れて、あちこちに吹き飛んだ瓦礫が新たに作られた空洞からぱらぱらどこかへ落ちていく。カインの魔法に負けない爽快さだなと思って、俺はそっと笑った。王女はすごいすごいと喜色をあらわにして俺の腕にしがみついてくる。本気でついて来る気らしい。これからどうなるか分からないってのに、全く、物好きな王女様だ。
 まるで俺たちを歓迎するように大きく開いた新しい世界への風穴を、王女と共に俺は飛び出すようにしてくぐった。
 本当は、もっと。この先の答えに、確かに、今、近づいている。まずはカインに会いに行こう。俺と王女は、城から何やら騒ぎながらこちらを悔しげに見下ろしている大臣や兵たちを後目に、風切りの魔法でふわふわ下降した。そいつらの顔が少し俺たちを羨んでいるように見えたのは俺の気のせいかもしれないが、そのとき頬を心地良くなぶった風は、これまで二十数年間で感じたものの中で最も澄んだ空気を運んでいたと思う。
 そうして見渡した世界は、どこまでも広く鮮やかだった。
メンテ
リア充爆発しろ ( No.78 )
   
日時: 2012/02/11 18:41
名前: 天パ◆5eZxhLkUFE ID:l6af4kJQ

「そうか……遂に出来上がったのだな、アレが」

 茶色の着物を華麗に着こなした、白髪頭の老人が椅子をくるりと回してこれから重大報告をする男に向き直った。その目は玩具を貰った少年のように輝いていた。彼の傍らに立つ黒スーツにサングラスといういかにも怪しげな出で立ちの男が「はっ」と一礼すると語りだす。

「苦節十七年……偉大なる会長、斉藤様の莫大な財産と豊富な人脈を最大限に活かして今日この日、遂に完成しました。例の『スイッチ』が」

「そうかそうか。それでは、その部屋に連れて行ってくれ」

 黒スーツの男はその言葉を聞くやいなや、老人の手を握ってエスコートした。老人は椅子から立ち上がると、傍らに置いてあった杖を手に取り、歩き出した。黒スーツの男がそれを先導する。二人は老人の書斎を後にした。
 二人はゴージャスな絨毯が敷かれ、シャンデリアがビル郡の如く立ち並ぶ廊下を黙々と歩く。やがて老人を先導していた黒スーツの男が不意に立ち止まり、「危ないのでお下がりください」と老人に促した。
 黒スーツの男はその場で思い切り身をよじると、何も無い壁に向かってパンチを繰り出した。すると壁の一部は忍者屋敷よろしく半回転し、人が半身で通れるほどの道を作り出した。

「行きましょう」

 老人を先に行かせ、黒スーツの男はその後についていく。そして自分が部屋の中に完全に入ると、後ろ手で半開きになった壁を閉めた。
 『例のスイッチ』があるその部屋はゴージャスな廊下とは違い、無機質な鉄で覆われた物だった。老人の位置から部屋の一番奥に超特大のモニターが設置されているのが見える。
 老人は後ろを振り返り、黒スーツの男を一瞥する。男はゆっくりと頷く。老人は満足そうに笑みを浮かべると、杖をついてモニターへと歩いていった。
 モニターの前には小さな椅子とテーブル。そのテーブルの上には赤いボタンと右向きの三角矢印ボタンが取り付けられた黒塗りリモコンが置いてある。
 老人は杖をテーブルに立てかけ、ゆっくりと腰掛ける。老人が座ったことを確認すると、黒スーツの男はリモコンの操作方法を語りだす。

「リモコンについている赤いボタンが電源ボタンと爆破ボタンになります。長く押せば電源のオンオフの切り替え、お好きな場面で短く押せば爆破となります。矢印のボタンは映像の切り替えボタンとなります。爆破後に押せば次のリア充の映像へと移ることが出来ます」

 黒スーツの男の説明を嬉しそうに聞いていた老人は早速リモコンの電源ボタンを長押しした。

「それでは……粛々と始めるとしよう……」

  ◆   ◆

「問題っ! 今日は何の日でしょう?」

 まだ日も高い午後。マンションとマンションの間にある小さな公園のベンチに座った制服を着た少年と少女。その質問を投げかけたのは少女の方だった。爽やかなスポーツ刈りの少年は、背の小さな少女の額を人差し指でつん、と押すと返答を返す。

「俺が忘れてる訳ねえだろ? 今日は――俺と愛が付き合った日だろ?」

「せいかーい、よく出来ました〜」

 公園に人気が無いことをいいことに少女は少年の肩に頭を乗せると、甘えた声を出した。少年はそんな少女の肩に手を回し優しく撫でる。

「好きだよ……ユウ君」

「俺もだブギャぶっ」

 少年の頭が内部から爆発を起こし、脳髄と鮮血を辺りに撒き散らした。ベンチに留まっていた小鳥数匹が驚いて羽ばたいて行く。それらは少女の頭に降りかかり、真っ白なブラウスを一瞬で目の覚めるような赤に染めた。少しの静寂の後、首から上の無くなった少年の死体がベンチから転げ落ち少女が悲鳴を上げた。

  ◆   ◆

 泣き叫びながら、しかし少年の死体には一切近づこうとしない少女の姿が部屋の巨大モニターに映し出される。モニターの前に座っていた老人はさもおもしろそうに手を叩いてその様子を笑いながら見ていた。黒スーツの男は後ろでそれを冷ややかな目で見守っていた。
 老人はモニターを指差しながら、嬉々として後ろを振り返り、黒スーツの男を見据える。その目は玩具を貰った子供のように輝いていた。

「見たか、これが女の本性というものだ! 死ぬまで本気で一人の男を愛そうというのにいざ死んだら手の平を返し、こうしてうわべだけの涙を見せる! 何とも愉快な生物よ!」

 老人は未だ泣き叫ぶ少女の姿を見て更に大爆笑した。それは三十秒ほど続き、呼吸困難を引き起こした。黒スーツの男が焦りながら老人へと駆け寄りその小さな背中を擦る。
 暫くして呼吸は収まり、老人は含み笑いを零しながらモニターへと向き直る。黒スーツの男は胸を撫で下ろしながら口を開いた。

「ええ……この『リア充爆発スイッチ』、対象者の中身だけではなく愛人の本性すらも曝け出す画期的大発明と言えるでしょう。流石は偉大なる会長、斉藤様」

 老人はフフン、と鼻を鳴らすと再びリモコンを掴み、矢印ボタンを押した。映像は泣き叫ぶ少女から坂道を疾走する二人乗りの自転車へと移り変わった。
 自転車のハンドルを握っていた少年が後部座席の少女に「俺もお前のこと、大好きだよ」という途中で老人は爆破ボタンを押した。少年の鮮血を浴びた少女はショックのあまり失神して自転車から転げ落ち、操縦主のいなくなった自転車は民家の塀に激突した。老人はその様子を見て再び爆笑、映像を切り替える。
 次の映像はいざ性交に走ろうとしていた高校生のカップルの映像だった。どこかぎこちない動きは両方とも初体験ということを暗示している。画面を穴が開くほどに見つめて約二十分。少年が行く寸前で老人は起爆スイッチを押した。少年の頭が爆発した。血が首元から勢い良く噴出し、双方の体を朱に染めてゆく。何が起こったことすらも分からない様子で呆然とする裸の少女を見て、老人は死にそうになるほど笑った。
 その後も老人は画面に映る年端もいかぬ少年達――その全員が全員、青春を謳歌している途中であった――の頭をボタン一押しで爆発させていった。老人にとっては時間の経過が随分と早く感じられたことであろう。老人は三十二人目の少年の頭を爆発させた所で黒スーツの男に時間を聞いた。黒スーツの男は「午後六時四十七分です」と答えた。
 老人はこれで最後か、と呟くとリモコンの矢印ボタンを押した。次の瞬間。四分割された画面には老人をありとあらゆる角度から撮った映像が映し出された。。それは部屋の四隅に設置された監視カメラの映像の物であった。
 老人は慌てふためきながら立ち上がり、黒スーツの男の方向へと振り返った。

「く、黒山! い、一体何なんだこれは!」

 黒山と呼ばれた黒スーツの男は表情をピクリとも変えずに――サングラスのお陰で見事に表情が分からないが――吐き捨てるように口を開く。

「『リア充爆発スイッチ』は正直でしてね……本物の『リア充』を寸分違わず選び抜き、その頭蓋を爆破します」

「そのようなことを聞いているのではない! 何故私が『リア充』なのだ!」

「まだ気付いておられないのですか? 今まであなたが風俗で無理やり抱いてきた女の数を思い出して御覧なさい。如何にあなたが『リア充』かよく分かるでしょう」

「それが『リア充』だと! 肩腹痛いわ! 双方が愛し合ってこそが恋愛というもの――――」

「まあまあ。それでもあなたはこのスイッチに『リア充』だと選定されたのだから。ここは潔くスイッチを押すのが筋ってものでしょう」

 黒山は老人に歩み寄り、スイッチに手を掛けた。老人はその手を撥ね付ける。スイッチが床に落ちる。老人はその隙に杖をとり、出入り口へと走って行った。
 黒山は壁を必死で叩く老人の後ろ姿に声を掛ける。

「その壁は一キロ以上の衝撃を一瞬で与えないと動かない仕組みになっております」

 老人は壁を叩くのを止め、後ろを振り返った。視線の先にはスイッチを持った黒山。老人の表情が絶望に染まっていった。
 黒山はそんな老人の姿を鼻で笑い、赤いボタンに親指を掛けた。

「さようなら。『リア充』さん」

 黒山は親指に力を込め、一息にスイッチを押した。
 老人の頭が爆発し、中身が床に四散する。しわくちゃの脳髄が辺りに散らばり、鮮血が赤いインクをぶちまけるように壁に床に飛び散った。暫くして、老人の体が床に伏した。
 黒山はその様子を見届けると鼻で笑いながら矢印ボタンを押した。次の瞬間、巨大モニターに四分割された自分の姿が映し出された。

「ま……因果応報か」

  ◆   ◆

 翌日。屋敷から忽然と姿を消した主人と一人の執事の死体が、例の部屋で発見された。第一発見者は死んだ執事と親しくしていた執事仲間。二つの亡骸を一瞥するなり携帯電話で警察に連絡したらしい。
 が、その二つの死体の共通点は両方とも頭がまるで刎ねられたように無いこと。検死の結果によると死因は爆死。それも頭の内側から木っ端微塵にするような。
 その事故とも事件とも結論付けられない特異な死因に、警察も頭を抱えた。
 全国の男子高校生百万人の脳内に出生時、視覚と聴覚をジャック出来る機械を取り付け、『リア充』と選別された男子のみを選び脳内の機械を爆発させる『リア充爆発スイッチ』の存在が明らかになったのは事件発生一週間後のことである。
メンテ

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