ホームに戻る > スレッド一覧 > 記事閲覧
[742] 雨、降る日のバスケ
   
日時: 2013/11/14 00:09
名前: 創魔 ID:eNpJlsL6

なぜバスケをやるのかと聞かれた。

なぜバスケが強いのかと聞かれた。

 バスケよりも好きなことがあるから、それを忘れるためにバスケを始めた。

逃げるために始めたバスケから、僕は逃げられなくなった。


>>1-  登場人物一覧
メンテ

Page: 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 全部表示 スレッド一覧 新規スレッド作成

Re: 雨、降る日のバスケ ( No.15 )
   
日時: 2013/11/13 22:52
名前: 創魔 ID:5LUkBBVw

高くブザーが鳴り、上空へ上がったバスケットボールが弾き落とされた。
大きな手があっという間にボールをもぎ取り、チームの清水に投げられる。しかし、パスを出した瞬間、
そのボールが一瞬にしてカットされたかと思うと、翻弄されるかのように次々と明稟の選手に流されていく。

「マークしっかり止めろ!速ぇぞ!!」
「っ!」

技術がうまい。連携がうまい。一人一人が、まるで繋がっているかのようにパスが通る。
攻撃があまりにも速くて、選手のマークについていたはずなのにその壁があっさりと抜かれる。
立ちはだかっているはずなのに、相手の方が強靭な壁のような威圧感で攻めてくる。
思わず息を飲んだ。これが明稟。全国ベスト8に入る強豪校。やはりまだ早すぎた、という思いが全員の頭に駆け抜けた。

ボールに、手が届かない。それが最初だった。ボールまでが、これほど遠いなんて。
どんどん引き離されていく。ボールまでの壁が、多すぎる。そういうするうちに、あっという間に攻め込まれた。
キャプテンの清水は舌打ちすると、スクリーンをかわして無理やりボールを奪い取った。

「狗神!…お前に回す、突っ込め!」
「!」

パスを回された2年の狗神がボールを受け取ろうとした瞬間、目の前でボールがカットされた。
さっきまで数歩遠くにいたはずの選手が、今目の前にいてボールを手中に収めていた。オカと呼ばれていた選手。
ゴールは目前。スリーポイントラインでの1on1は不利すぎる。清水は唇を噛んだ。
途端、相手選手の表情が変わる。その背後にいたのは、アマ公だった。

「!?バックチップ…ッ」

オカの後ろから叩き落とされたボールを、再び狗神が拾う。そしてボールは目の前にいたアマ公へ。
再びオカが立ちはだかり、アマ公の行く手を塞いだ。一瞬睨み合う両者だが、それはほんのわずかな時間。
突然姿勢を低くしたアマ公は、あっという間にオカの手元を潜り抜けていた。俊敏過ぎて追いつけない、その動き。
アマ公は、ためらいもせずそれを藍堂に回した。センターサークルに突っ立っていた、藍堂に回した。
ドンッ、という音がしてボールが床を打った瞬間、明凜に嫌なものが駆け抜けたのをアマ公は肌で感じ取った。

「…いーのか?速攻で終わるぜ…」
「ッ…藍堂」

オカが、唇をかみしめた。あの清陵中学との練習試合がよみがえる。
この試合の場にいる、何人もがバスケ部で同じように清陵との容赦ない試合を繰り返してきた。
いつも清陵の圧勝。なんのために練習試合をしているのか、それさえもわからなくなってくるほど一方的。
毎回、心をへし折られるような気分だった。藍堂たちのあの目が、「バスケなんかやめろ」と言っているようで…。

「…ッ高校のバスケを、甘くみてると痛い目見るぞ…、ッ藍堂!!」
「へぇ…!」

言った瞬間、藍堂の体がゆらりと揺れた。ボールが、ゆっくりと床につく。
そのとき、まるで風のように揺らいだ藍堂が一直線に明稟のディフェンスをぶち壊しに来た。
一人勝ち。まさにその言葉が似合うように、守りなどないに等しいかのように、厚いディフェンスをぶち抜いた。

「まじかよっ…!!」
「怯むな!ぶつかってでも止めろ!…あんな無茶なオフェンス、ファウル取りに来てる様なもんだ!!」

ぷっ、と苦笑した藍堂は、そのまま固いセンターの人間の真正面に現れた。
ドンッ、と一度床に着いたボールの存在感。その体格差、慎重さは圧倒的に藍堂の負けなのに。
その威圧感。センターに立ちふさがれたその場に、道などないはずなのに。藍堂にはもうその先が見えている。

「…キャプテンがあー言ってんぜ。…俺にタックルでもかますか?」
「ッ…」
「だよなぁ」

失笑が浮かんだ瞬間、急加速がセンターを突き抜けた。その長身を、あっという間に翻弄する。
後退し、左へ振ってからの右へのターンと、一瞬でトップスピードを得る超ドライブ。
誰もそれを見抜けなかった。気が付けば、明稟の選手の目の前に広がるゴールの危機。
ブロックがゴール前に飛び出し、藍堂はふっと笑みを浮かべて跳んだ。2人分のブロックをくぐり、訳なく手を伸ばす。

アマ公はその姿を見上げて、力強いダンクに目を奪われた。
誰も勝てない。誰も止められない。清陵エースとして育てられた、その才能。そして野性。
計り知れない力量を見せつけた藍堂は、ボールと共に床に降り立って音を立てた。転がるボール…、殺伐とする空気。

「…どした、おい。…まさかまた俺に負ける気かよ、明稟…」
「!」

笑みの中に垣間見える、苛立ち。中学も、高校も。清陵にボロ負けして終わりなのかと、そう問われる。
しかも今度は、清陵ではない。『元』清陵の、藍堂たった一人に負かされるのだ。光琳高校の姿などどこにもない。
藍堂も、明稟側も、そう言いたげだった。明稟だけではなく、光琳の先輩さえも思わず唇をかむのが分かった。
それを見ていたアマ公が、わずかに藍堂を睨む。ボールを拾うと、わずかに口を開いた。

「…まだ、勝負は始まったばかりです…」
「?…アマ公…」

清水が、わずかに眉をひそめてその真剣な後輩の横顔を見つめた。アマ公の、ボールを持つ手に力がこもる。
顔を上げたアマ公は、そのまままっすぐ相手ゴールに視線を投げて、軽く息を吐いた。
まだ何もしていない。勝負は何も始まっていない。明稟も、光琳も、藍堂の前に立ち尽くしているだけ。
アマ公はそのボールを軽く床に着き、先輩を見上げて口調を強めた。迷わずに。

「…僕ら全員で、『藍堂くん』を倒します。…絶対に負けません」
「!」

明稟ではなく、光琳が藍堂を倒す。それは、光琳がチームとしてひとつになるために避けては通れない。
そのためにも、藍堂のプレイを力づくで壊さなければならない。チームプレイは、藍堂のプレイを壊す。
清水は、汗の内側で驚いた顔を見せると、ふと笑ってシャツで汗をぬぐった。

「なるほどな…、9対1なら藍堂もしんどいはずだ」
「面白い話だが…、明稟に負けないように藍堂を敵に回す、か…。キツイな…」

そう言った2年の篤美を、清水が笑って励ました。藍堂の個人プレイは、光琳のそれではない。
元清陵の、エースのプレイをそのまま光琳に持ってきただけの、力技。それがどこまで通用するのか。
急に試合運びに違和感を覚えた藍堂が、眉をひそめる。パス運びが多くなり、明稟を翻弄し始める。
それは明稟だけではない。自分も…。攻めが少なく、藍堂にしてみればまどろっこしい試合運びだった。

「んだこれ…?遊んでんのか、先輩たち…」

無駄なパスに思える展開が多く、それに明稟が振り回されている。そして、気が付く。
自分にパスが回り、もう面倒くさくなったので一気に決めようと方向を変えたときだった。
明稟の選手を抜いた先の空白。自分の走る軌道を塞ぐように、アマ公が立っているのだ。
パスを待っている格好をして、明らかに自分の邪魔になる位置に構えている。思わず舌打ちした。
パスを回すには絶好の場所だが、自分の狙いはパスではなく、シュート地点まで一気に抜けるドライブだ。

(…へぇ…、そういうことかよ)

ちらり、と視線を巡らせば、光琳のメンバー全員がそういうスタンスであることが目に見えた。
つまり、藍堂を含めて敵ということ。あえてドライブの邪魔をして、自分にパスを出させようという…。
藍堂は乾いた笑みを吐き出すと、首を振って呆れた。なに、勝ちを投げてまで馬鹿なことを…。

「いいぜ…。コートん中、全員敵ってことかよ…。おもしれぇ…、…」
「!」

直後、増した藍堂の速さには誰もついていけなかった。強引に仲間を突破して、ゴールへ。
普通は敵に仕掛けるフェイクを、仲間に使って無理やりドライブで軌道をぶち破る力。
その滅茶苦茶なスタイルに、明稟の監督でさえ思わず立ち上がった。

「邪魔だ、どけぇえーっ!!」
「!」

それは、仲間に向かって発せられた言葉。ゴール目前の、明稟の3人ブロック。
それを超えてシュートを打ちに行く藍堂に、誰もがもう止めるのは無理だ、と思った。
光琳のバスケが、なくなる…。そう思った瞬間、藍堂は思わず立ち止まってシュートを踏みとどまった。
目の前は、いつの間にか足を踏み出しかけていたアマ公に遮られていた。その弱い存在感の少年に。

「っ…、アマ公!」
「気を付けてください。そんな突っ込み方したら…、ファウル取られますよ」

ドライブを…、止めた。消えるような言葉で諭された藍堂は、思わず目を吊り上げた。
周囲を完全に囲まれ、とてもシュートを打てるような体勢ではなくなってしまう。藍堂はアマ公を睨んだ。
それから、舌打ちと共に、後方にいた清水にパスを投げて試合の流れを元に戻す。
一瞬、沸騰しかけた怒りがアマ公の目前で冷やされた。軽く突き飛ばされ、よろける。

「…邪魔なんだよ、このヘタクソ」
「すみません…。藍堂くんのペースについていけなくて」

わざとらしいその台詞を一蹴して、藍堂は黙って自分のポジションに戻った。
ただ、自分のドライブの行く手を遮られただけ。突っ立っていたのが、邪魔だっただけ。
なのに、他の選手はどんなに止めようとしても止められなかったドライブを…、アマ公は止めた。
どんなトリックで、一体あの瞬間何をされたのか。藍堂にもわからなかった。けれど、確かにドライブは止まってしまった…。







試合はその後も続き、明稟と正面から戦い、藍堂をセーブし、しかし藍堂はそのセーブを突き破って得点する。
結局、止めきれなかった藍堂の得点は重なり、光琳の圧勝となった。決してチームの勝利ではない。
明稟は、やはり清陵には勝てないのだという事実を改めて示した藍堂。その事実を、苦悶の表情で飲み込むオカ…。
アマ公は最後の整列で、そんな構図を苦い思いで見守った。光琳が、一つのチームとして完成するにはまだ時間がかかるということを知った。

メンテ
Re: 雨、降る日のバスケ ( No.16 )
   
日時: 2013/11/14 21:31
名前: 創魔 ID:eNpJlsL6


その日の帰りのことだった。相手校にお礼を言い、夕焼けの中をメンバーで歩いて行く。
「恐らく今日の練習試合が…、光琳高校バスケ部の歴史の中で、最も強い相手だったと思う」と、
清水が藍堂のいないところでひっそりと言った。藍堂に聞かれれば間違いなく鼻で笑われたろう。
今日の試合が光琳の試合かと聞かれればそうではなく、やはり藍堂一人の独壇場だったのも確かだ。

朝からずっと降り続いていた雨はやみ、空には綺麗な夕空と、地面には水たまりが輝いていた。
なんだかどっと疲れた練習試合だった。メンバー全員が、そんな顔をしていた。
最後の藍堂が、控室からなかなか出てこないので、その間にアマ公はちらりと先輩を見た。

「あの…、もう一回顔を洗ってきてもいいですか。すぐに戻ります」
「あぁ、わかった。ついでに藍堂探してきてくれ」

アマ公は体育館の裏にある水場を探して、一人離れていった。久しぶりの試合からか、妙に顔が火照る。
落ち着かない気分を変えようと、水場に辿り着いたときだった。水道の前に立っている人物を見つけ、
アマ公は思わず足を止めた。明稟高校の、オカと呼ばれていた少年だった。
彼も顔を洗っていたのか、頬や髪から滴る雫をそのままにぼんやりしていた。
夕焼けを見つめているのか、何も見ていないのか。しばらく突っ立っている相手に歩み寄る。

「あの…、僕もお借りしてもいいですか」
「きみは…」

顔を上げた美陸が、まばたきしてアマ公を見つめた。呆気にとられた様子が、すぐに穏やかな笑みに変わる。
試合の時とは驚くほど雰囲気の違う、優しそうな少年だった。「いいよ」と場所を譲ってくれた彼に、アマ公は近づいた。
美陸は、アマ公よりも1年上だ。しかし藍堂はタメ口をきいていた気がする。顔を洗ってもまだ彼がそこにいたので、アマ公は口を開く。

「彼とは…、顔見知りなんですか」
「藍堂?…、あぁ。まぁね」
「あまりいい知り合いではなさそうですね」

美陸の苦笑の入り混じったはにかみ方を見てそう言うと、彼はまた困ったような顔をした。
美陸は明稟バスケ部の中でも優秀で、ポジションはアマ公と同じスモールフォワードだが、シューティングガード派の選手だった。
ロングレンジのよく決まるシューターで、なおかつ細かいパスの中継やボールカットなど、実に多彩な技を持っている。
試合中はよくアマ公ともぶつかったが、主として藍堂の破壊力に押し負けてそっちに専念する他なかった。

「…藍堂は、相変わらずだな。清陵のときと何も変わってない…」
「そうなんですか」
「一緒にやっていて思うだろ。…周りのバスケよりも、自分のバスケで勝ちを取りに行くスタイル」

美陸が何を言わんとしているかはよく分かる。仲間を無視しても戦えるほどの、圧倒的強さ。
本来バスケにあってはならない、チームワークを無視したその戦い方が通用する理由。桁違いの強さだ。
どんな敵を相手にしても、基本スタイルは1on1。パスもフォーメーションも関係ない。常に藍堂の相手は1対1なのだから。

「僕は、中学時代の藍堂くんのことをよく知りません。…けど、昔からそうだったんですか」
「おれも、同じ中学だったわけじゃないから、チームでのことは知らないよ。…けど、少なくとも練習試合ではいつもそうだった」
「練習試合…?」

アマ公が聞き返すと、美陸はため息をついて水場に寄りかかった。過去を思い出すのがひどく憂鬱そうだった。
昔の藍堂と言っても、ほんの半年前のことなのに。随分昔のことのようにさえ感じる。


「清陵中は、毎年必ず決勝にまで勝ち進む、全国でも名の知れた強豪校だ。
その強豪校とタイマンで練習試合ができる実力のあるバスケ部なんて、数えるほどしかなくてね…。
それが、毎年ベスト8には入っているウチの明稟だったんだ。それまでも明稟は清陵の相手をして来たんだけど…・
…藍堂が清陵に入ってきた年は、格段にそのバスケ部のレベルが上がった。あいつは、天才だったんだ…」

「……。」
「ただでさえ強い清陵に、1年のエースが加わって…おれ達には手の付けられない強さになっていた」


今でも思い出す、あの体育館に響くボールの音。激しい1on1に晒されて、成すすべなく負ける。
最初は、藍堂もチームプレイをよく分かっていた。一人善がりはしなかったし、結束を守った。
けれど、どんな試合でも負けを知らない藍堂はいつしか個人プレイが目立っていった。

「…あいつは、チームでバスケをやるよりも、個人プレイでバスケをやってた方が楽しいと気付いたんだ。
その方が敵とぶつかれるし、チームがいなくても別に勝てたから。…自分にとってその方が楽しいと思ったんだろう」

「……。」
「明稟と、藍堂がもう何度試合をしたか分からないくらいのあの日。…一度も勝てなかったおれ達は、アイツに言われたよ」

その日もボロボロに負けて、清陵に惨敗した。藍堂だけじゃない。藍堂がいなくても清陵は強い。
絶対的な壁を目の前にして、それでも負けて堪るか、次こそ、という思いで毎回戦ってきたつもりだった。
けれどその日の藍堂は、つまらなそうに美陸を見下ろした。まるで相手にもしない顔で、笑った。



『…よっえーな、オカ。相手にならねーよ。…もういんじゃね?』
『!』


「…もう、バスケなんてやってる価値ないんじゃないかと、言われたのかと思った…。
勝てないならやる意味がない…。あの時の藍堂の目は、そう言っているようだった。その時は、本気でバスケをやめようと思ったよ。
初めてバスケが嫌いになったし…、自分に失望した。清陵には、本当に心を折られた…」

「……。」

「けど、今もバスケを続けているのがその結果だ。…おれはバスケをやめなかったし、自分に価値がないとも思わなかった。
結局、バスケが好きだしな。藍堂は別に悪くない。…あいつが強いだけで、あいつの強さを憎んだことはないよ。
だからあいつのことは、好きでもないし嫌いでもない。…でも、それだけだ」

メンテ
Re: 雨、降る日のバスケ ( No.17 )
   
日時: 2013/11/21 12:54
名前: 創魔 ID:XPL.S.f6


その日の帰り道、藍堂と同じ帰り道を、雨は歩いていた。
夕暮れがどこまでの空を染める、高い空。前を歩く藍堂とは、一言もかわしていない。
しかし不意に、気になったことが頭をかすめて雨は立ち止まった。藍堂は、無言で先に行く。
その一回り大きな背中を見つめて、雨は鞄の中のバスケットボールを見下ろした。取り出して、手に取る。

「藍堂くん」
「あ…?」

振り返ったその手に、ボールを投げると驚いた顔をして受け止めた。
急に飛んできたボールに面食らったのか、訝しそうな顔をしてそのボールを指先で回す。
普段、あまりしゃべらない2人にとって、その間はひどく殺伐としていた。

「藍堂くんは…、僕たちとバスケしていて楽しいですか?」
「…は?」
「レベルの違う…、僕らが相手で」

わずかにうつむき、アスファルトに視線を落として雨はそう問いかけた。
美陸が言っていたこと、雨にはよく分かる気がした。藍堂と今の1年では、まるでレベルが違う。
センスも、基礎も、目標も。まだ一緒に歩きだすことすらしていない時点で、こんなにも藍堂と差があっていいのかと思う。
まるでその思念の的を射たかのように、藍堂の乾いた笑い声が耳について、顔を上げた。

「んだそれ…、厨二?」
「……。」
「今更んだよ。今日の試合、…お前ら俺と一緒にバスケしてる気でもいたのか」

その言葉に気が付いて、雨は「あ…」と口を開けた。藍堂は、誰ともバスケなんかしていなかった。
ただ、一人でバスケをしていたのだ。そこにいたのが、小林だろうが、志田だろうが、雨だろうが関係ない。
指の爪先で回転するボールを見つめながら、藍堂はかすれた声で笑った。雨はその目が、嫌だった。

「…でも、別にお前らを嫌ってんじゃねぇよ。別にお前らが強くたって、同じなんだ。
俺がそこらの強豪校に入学してたって、同じだ。周りが弱すぎんだよ。…だから心配すんな」

「……。」

それだけ言い残して、再び前を歩き始めた藍堂の背中を見つめた。
清陵でも、エースの藍堂は敵なしだった。味方も、敵も、弱すぎた。それが今日の試合の結果だ。
全国ベスト8の明稟を、一人で圧倒できる藍堂には、チームなど必要ない。雨は、瞳を細めた。

「…僕はバスケが好きだ」
「…あん?」

「バスケがなかったら…、僕は自分が何をしていたのかわからない。一人でバスケするよりも、
仲間とパスを出し合って、一緒に勝ちを目指すバスケが僕は好きです。それが人間のバスケだから」

藍堂は眉を顰め、唐突に何かを言い出す雨をながめた。
自分の手の中にあったバスケットボールを雨に向かって投げ返し、首をかしげた。
その顔に、なにか可哀相な物でも見るかのような憐れみと嘲笑を浮かべて、頭をひねった。

「ぷはっ、…なんだいきなり。なんだ、人間のバスケって」
「…僕はバスケが好きだ。僕が好きなバスケの形を…、今のチームをキミに壊されるのは嫌です」
「!」

ぴくり、と藍堂の眉間に皺が寄った。前を行っていたその足が、踵を返して近づいてきた。
目の前に立った藍堂は、雨よりもずっと高く、体の大きさが違う。その雨を見下ろして、藍堂は舌を打つ。
まっすぐに見つめ返す雨の上着を掴んで、上に引きずり上げた。圧倒的な威圧感に、空気がピリピリした。

「…俺が邪魔ってか。えらいハッキリ言うじゃねぇか」
「邪魔なんじゃありません…。ただ、藍堂くんの考え方は…困ります」
「お前らが弱ぇのが悪いんだろ。…なんでゴールできる場面で、パスなんか出すんだ」

振り落とすように手を離すと、よろけながら雨が立ち上がった。
その小さな少年を見下ろして、藍堂は笑った。

「…そういや、どっかの監督が言ってたわ。強いとこのバスケと、弱いとこのバスケじゃ話が違うんだと。
強いとこのバスケは、強い奴だけがプレイするために弱い奴を振るい落として、バスケをやめさせる。
けど弱いとこのバスケは、全員にバスケをする権利がある。…バスケするために全員がいるんだってな」

「……。」
「お前んとこは、全員バスケやりたいから来てんだもんな。…バスケできりゃなんでもいいんだもんな」

蔑むような眼差しは、雨に突き刺さり有無を言わせない。藍堂がいた土壌は、違いすぎる。
強い選手だけが土俵に残されて、弱い選手はバスケ部からすら追放される。
きつすぎるトレーニングについていけない選手など、ほんの一握りもいないはずなのに。
弱いという現実からのプレッシャーは、バスケが好きだという気持ちさえ否定させ、選手を退部に追い込むのだ。

「…俺にバスケやめさせたきゃ、俺より強くなってから言えよ。
俺にバスケのスタイル変えさせたきゃ、俺が周りを頼らざるを得ないくらいの試合をつくれよ。
…下からピーピーモノ言ってんじゃねぇぞ。光琳は弱すぎだ。俺ならお前らを、一人で全国まで引きずり上げてやれるんだぜ」

「……。」
「…お前が、なんで光琳選んだのか謎だぜ。清陵高校にでも入れば良かったんだ」

そう言い捨てて藍堂は踵を返した。雨はボールを手の中に収めたまま、彼を見送った。
藍堂は、最後に決勝をやったその時よりも、ずっと強くなっていた。ずっとずっと…、強くなっていた。
そんな彼に自分のバスケを打ち壊される衝撃を、雨は光琳のバスケ部で味わった。あんな強さを、初めて見たのだ。
そして、口を開いた瞬間雨は遠くを見ていた。夕焼け色に染まる、はるか遠くを。

「…山があるんです」
「…は?」

「…僕がいた帝中学には、大きな裏山がありました。光琳高校の近くには、高天原大山があるんです。
だから僕は、光琳高校を選んだ。…山、好きなんです。あとは、家も近いし…」

「…お前、話聞いてたか。今バスケの話してたんだぜ」
「光琳を選んだ理由は、それだけです」

メンテ
Re: 雨、降る日のバスケ ( No.18 )
   
日時: 2013/11/23 13:37
名前: 創魔 ID:Sv3zlLbU


 朝、藍堂は再びランニングで川辺を走っていた。イヤホンを耳に差し、流れてくる英会話を無視する。
他に聞こえてくるのは、自分の規則的な息遣いだけ。空はまだ白み、汗を適度に冷やすにはちょうどいい。
灰色に染まる川、パステルカーラーのぼやけた風景。そういうものが朝の象徴だ。
小学3年の頃から、藍堂は毎朝日課のように走り込んでいた。きっかけは、なんだったか。
確か、近所の子どもとのバスケで負けたくなかったからだと思う。体力を付けたくて、走った。
その頃から負けず嫌いで、初めてバスケに触れて、面白くなった。小学校でも負け知らずだった。
一時でもバスケが嫌いになり始めたのは、いつだったか。たぶん…、中学に入ってからだ。

「ん…?」

 不意に、イヤホンの中に妙な雑音が入ったような気がして立ち止まった。
耳から外して、プレイヤーと接続を確かめる。なにか、長く息の抜けるような音。
しかし、イヤホンを外してもなお耳にその音が届くので、不思議に思って顔を上げる。
川辺の静かな場所。遠くを見渡せば、山が見える。その静寂に包まれた世界に、耳を澄ました。
ずっと、瞳を細めて耳をそばだてる。なんだ…、この聞いたことのない音。長くて…、なんだか声のような。
しばらくして、それが遠吠えだと気付いたときは驚いた。山並みの向こうから、かすかに響く遠吠えの声。

(…近所の犬か。にしちゃ、珍しく長ぇな…)

興奮した犬の、ワンワンキャンキャン喚く声ではない。ただ長く、呼ぶような切ない声。
それは吠えては途絶え、まだしばらく吠えては止み、朝の静寂の中だからこそ聞こえるものだった。
藍堂はしばらくその遠吠えを不思議そうに聞いていたが、やがて再びイヤホンをはめ直し、走り出した。



「うぉっ!」

 川べりを走りきって、朝の集合時間になるまでどのルートへ引き返そうかと考えていたとき。
不意に、目の前を何かが横切った気がして足を止めた。大きさ的に自転車かと思い、しかし早すぎてそれは見えず、
じゃあ大型の猫かと思ったがそれにしてはデカすぎる。突然の出来事に、野生の動物かと目を疑った。
灰色の、デカいイノシシか何か。そう思って道の端へ追いかけてみるが、そこにはもう何もいなかった。
野良犬か…。そう思って道を見下ろすと、そこには血が滴っていて足を引いた。そして、動物の毛も。
眉をひそめて、さらに辺りを見回す。危険な何かが、山から下りてきているのではないか。
怪訝な顔をして、道の果てに視線を上げた瞬間。藍堂は思わず息を飲んだ。

「……っ、!」

瞳を凝らして、その道の向こうにたたずんでいる獣の姿を見つめた。
灰色の、4つ足の生き物が、はるか遠くでじっとこちらを見つめていた。大きな毛皮。長い手足。
円を描くような耳と、鋭い眼光。その口には、だらりと下がったタヌキのようなものが咥えられていた。
血は、そのタヌキから滴り落ちているらしかった。その獣の口の周りにこびりついた赤い血が、血の気を引かせた。
一瞬、その獣と目があった気がした。しかし藍堂がそれを凝視する間もなく、軽い爪の音を立てて獣は消えた。
街の住宅街の方へと。犬だろうか。あれだけの大型の犬が、放し飼いにされているなんてあり得ない。逃げ出したのか。

「……、えらいもん見た」

いくら山が近いとはいえ、こんなに野性的な自然の姿を町で見るとは思わなかった。
ていうか、あの犬デカすぎる。遠くでよく分からなかったが、近くにいれば藍堂の腰あたりじゃ済まないだろう。
体高が高く、それだけでなく鼻の先から160cmはあった。大型犬て、あんなものだったろうか。
さっと、朝の住宅街の中に姿を消した獣は、もうどこにも姿を見ることはできなかった。


メンテ
Re: 雨、降る日のバスケ ( No.19 )
   
日時: 2013/11/23 19:15
名前: 創魔 ID:Sv3zlLbU

「なぁ…。ここって監督とか、マネージャーいねぇの」


バスケ部に入部して2週間。一向に姿形を見せない顧問の存在に、藍堂は疑問を抱いていた。
ストレッチをしている最中、ボソリと呟いた言葉にキャプテンの清水が固まった。
1年同士は「そういや…」と顔を見合わせるばかりだが、2年生は苦笑しつつ清水を見つめる。
清水は一瞬だけはにかみ、体を前に倒しながら肩をすくめて見せた。

「あー…、いんよ。マネジ」
「監督は?」
「…あぁ、いるよ。監督もちゃんと」
「どこに」

冷ややかな目線を浴びつつ、清水はそう答えるが藍堂は追及する。
さすがに2週間も姿を見せないのはおかしい。ここの責任者ではないのか。マネジすら、だ。
隣で志田の背中を押していた小林が、はしゃいだ声で問いかけた。勢いよく押された背中に志田が悲鳴を上げる。

「マネジって、女の子!?可愛い?何年生っスか!?」
「あー…、そういうの無駄むだ。あいつ性格キッツいから…、おまけに」
「鳴海。…お前、無駄口叩いたら肩脱臼させるぞ」
「いっ…いだいいだいいだい!」

「なんつーか今…、彼氏に振られてブルーになってるっつか…、傷心中で休養中っていうか…」
「はぁ?そんなんで部活に来ねぇ女とか、マネジ失格だろ」
「!」

 嫌にきっぱりと言い放った藍堂に、上からアマ公が伸し掛かった。咄嗟にバンッと手をついて耐える。
苦笑いを崩さない清水を前に、空気読まずの藍堂を黙らせる。それを見て、志田も小林もなんとなく「あぁ…」と納得した。
清水は頬をかいて、咳ばらいをした。

「心配すんな。監督はちょうど今日戻ってくる。メニューもそれように組んである。
すげぇ人だぞー。お前らの身体、技術レベル、到達度、朝メシ食ったかどうか、彼女の有無までなんでもお見通しだ」

「最後のスキルすげぇ腹立つ」
「元プロ選手で、昔は日本チームにも籍を置いてた人だ。今はもう引退してるけどな」
「えっ…」

声を上げた志田たちが、顔を見合わせた。元プロバスケットボール選手。
そんな人が、弱小校の光琳の指導をしているなんて知らなかった。と言うより、なぜ。
それならもっと指導を徹底して、拳大会位出場してもよさそうな物なのに。宝でも持ち腐れているのか。
するとその隣で、2年の鳴海が笑って首を振った。その顔は、まさしく困ったように苦笑している。

「いや…、実は去年、顧問に決まった3日後に、車で事故って病院送りになっちゃってさ…。
リハビリと治療で、まともに部活来たことないんだわ…、その人。俺らも、まともにバスケ教わったの1週間くらい。
だから俺ら、去年1年間監督なし、指導者なしで大会挑んだりしてたんだけど…、まぁ惨敗してさ」

「んだそれ…、ひっでぇ…」
「つーことで、俺らもまともに指導されんのは今日が初めてだ。未知数だよ」
「そろそろ来るんじゃねーかな…。あ、」

そのとき、ガラリと体育館の扉が開いたので反射的に全員が振り返った。
元プロバスケットボール選手、日本代表。その人がゆっくりと体育館に姿を現すのを、息を飲んで見守る。
ところが、そこに現れたのは目を疑うほどに短いミニスカート。そして巨大なクーラーボックスと、可愛らしいストラップ付きバック。

「え…、あれが監督?」
「げっ!!」

真っ先に声を上げたのは清水で、ストレッチそっちのけで弾けるように立ち上がる。
そのままキョロキョロ辺りを見回しながら体育館に入ってくる少女を、2年が腹の冷える思いで見守った。
硬直する清水に、まっすぐ歩み寄っていく長い髪の少女。目の前に立ち止ったかと思うと、いきなりその胸ぐらをつかんだ。

「清水!てめっ…、マネジに断りもなく全国ベスト8に挑むたぁ、どーいう了見だコラァ!!」
「うぐっ…、苦しッ…どーいうって…!おまっ…!」

「え…」
「へ…?」

問答無用でジャージを締め上げる少女は、部員の目もはばからずにキャプテンに掴みかかる。
今、マネジって言った。つか、言葉。その前に、パンツ見えそうで怖ぇ。
頭の中に次々に上がる疑問符を収める場所も見つからず、ただ目の前の状況を見守る。
綺麗な顔に似合わないその言動に、小林はドン引いていた。ポケットで、ウサネコの携帯ストラップが可愛く揺れているというのに。

「キャプテンの分際でちょーし乗りやがって…!チームの現実を見てから選べ!このタコ!!」
「渚ッ…おま、1年が引いてるッ…。1年生が引いてるッ…!」
「は?」

ポロリ、とキャプテンをその手から取り落として、長い睫毛の眼差しがこちらを向く。
思わず凍りついた1年4人を眺めて、氷のような視線が射抜く。可愛いマネジとか冗談じゃない。
つらり、と表面を撫でていった視線を受け止めて、志田と小林は口から魂が逃亡しかけていた。
すっ、と差し出された手を見て、藍堂が眉をひそめる。藍堂のキツイ目線の先で、少女の表情は驚くほどにほどけた。

「よかった。新入生がいなかったらどうしようかと思ってたの、入ってくれてありがとうね」
「…、はぁ」
「あたし、洽なぎさ。ここのマネージャー、よろしくね」

柔らかく微笑んだその表情に、「え、嘘。だれ?」と目を向きたくなる。
え、今までそこで死んでるキャプテン締め上げてたの、この人だよね、と再確認する。
その他の1年とも握手を交わした渚が、2年の方を振り返って笑いかけた。その拍子に、アマ公の足元に何かが転がり落ちる。
その小さな四角い箱を拾い上げて、アマ公はまばたきした。小林がその箱を不思議そうに覗き込む。

「タバコです」
「…嘘だろぉッ!!」

「っていうことで、こいつがウチのマネジ。2年のあまね渚だ。…清水の元カノな」
「キャプテンの元カノ…ッ、嘘だろぉおー!!」
「だぁってろダァホッ!!もう関係ねーだろが!練習はじめっぞボケが!!」

顔を真っ赤にしたキャプテンが立ち上がり、部員の眼差しを一身に浴びて怒号を飛ばす。
ぞろぞろと立ち上がった部員たちの中で、志田が慰めるように小林の肩を叩いて去って行った。
きょろり、と辺りを見回した渚が、苛立つ雰囲気をまき散らしてたたずむキャプテンの肘を小突いた。

「清水…、監督は?」
「…まだ来てねーんだよ。そのうちくるだろ、時間にルーズだから」

そう言って吐息をついたとき、不意にドンッとボールを打つ音がしてコートの半面側を振り返った。
ボールを乗せて、ゆっくりと上がる左腕。その緩やかな動きに、藍堂は束の間目を奪われた。
指先がボールを包み込み、しなやかに跳ねるその動きは、ボールが吸い付いているように見えた。
アマ公は立ち止まり、その一連の動きに見惚れる。弧を描き、ハーフコート以上の距離を持って、ゴールに吸い込まれた。

「マジかよっ…!今、あの距離を片手で…!」
「!」

藍堂は、思わず目を見張った。ゆるり、とこちらを向いた男の右腕。
そこには、大きめのジャージの袖が下がっているだけで、空気のように存在のない。右腕が、ないのだ。
言葉を失ってそれに魅入り、わずかに唇を噛んだ藍堂を見つめて、雨も瞳を細めた。
コートからこちらに向かって、けだるそうに歩いてくる男は、笑みを浮かべてひらりと一同に手を振った。

「悪い悪いー、遅くなった。『今朝のにゃんこ』見てたら、遅くなった」
「監督。…朝練7:20から始まんのに、7:20から始まる『朝ニャン』見るの、禁止って言いましたよね」
「バッカかお前…。俺にとって『朝ニャン』見んのは、お前が朝シコってから学校くんのと同じなんだぞ。1日が始まらねー」
「…俺の朝は別にそんな習慣から始まってねーよ!!」

目の前にいる、この人が光琳バスケ部の監督…。元プロバスケットボール選手の…、日本代表。
短髪に、2年センターの大道よりも大きな体格。そして、その大きな手。部員を見回して、男は笑った。

「お、1年も入ったのか。いーね。…これで光琳バスケ部も、また強くなるな」
「あぁ。それに今年は、元清陵のエースと、優勝校のアマ公が加わった。…光琳バスケは変わりますよ」

そう言った清水に、他のメンバーも大きく頷いた。それをきいた男が、目を見開く。
同時に隣に立っていた少女も、「え…」と言葉を失って素早く目を走らせた。
目の前に立っていた藍堂と、その横の身長の小さな少年。その2人を見て、彼女は声を詰まらせた。

「嘘…っ。まさか…、清陵のエース…藍堂秀二…!?」
「……。」

握手したときには気が付かなかったらしい、藍堂は名前を呼ばれてわずかに眉間を寄せる。
息を飲む声が聞こえた。監督は左手を顎に添え、感心したような声を漏らす。

「…なるほど。そりゃあ、期待しなきゃな」
「信じられない…、なんで全国1位のエースが…こんなとこに」
「どこにいたって俺はバスケできんスよ…、」

皮肉ったような藍堂の口調に笑って、監督は1年全員に握手を求めてきた。
差し出された、その左腕をぎこちなく握り返す。そして2年も、また渚も握手を求められた。

「よし、これで全員だな!」
「はぁ…、」

想像していた、厳しいか、それとも平凡な口数少ない中年男性をイメージしていた一同は呆ける。
しっかりとした力強い握手を交わした全員は、そのくったくのない若い笑顔に面食らった。

「去年1年間、ほったらかしにして悪かった。…俺のせいで、悔しい思いをしたことも多かったろう。
今日からはその埋め合わせじゃないが、俺に出来ることなら120%やりきるつもりだ。
お前らも、そのつもりで俺についてきて欲しい。…俺は、花田 真(はなだ まこと)だ。よろしく!」



メンテ

Page: 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 全部表示 スレッド一覧 新規スレッド作成

題名 スレッドをトップへソート
名前
パスワード (記事メンテ時に使用)
コメント

   クッキー保存