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[3804] 闇魔法の男
   
日時: 2019/04/24 20:02
名前: ウホッ!いい男 ID:UXu5y2ew

 私は幼い頃から、不定期に見返す夢がある。
場所はどこでもいい。学校だったり、自宅の一室だったりする。 
時間帯は午後。うららかな光が窓から差し込み、部屋中に陰影を作り上げる。
私は一人。周りには誰もおらず、ただ忽然と一人で佇んでいる。

すると次第に、耳障りな音 −−−怪物のうめき声とも金属の磨耗音ともつかない、とにかく人間の生理に反する音だ。−−−が部屋中からこそこそと聞こえ始め、やがてそれが重なり合ってくる。
周りを見渡すと、部屋中の影が膨張し、融合し合う。
影は次第に流動的な形をくねらせる。まるで内部に何か異形の存在を封印したかのように。
私は耳を、目を閉じてうずくまる。
目を閉じても影は私を取り囲んでいるのに気がつく。
そして彼 −−−もしそれに性別があれば、彼なのだろう−−−が私に語る。

 「誰か俺を救ってくれ」と。

それから夢が続いたことはない。私は必ずそこで目を覚ました。
子供の頃は夜中に目覚めると、決まって両親か乳母のベッドに忍び込んだものだ。

第1章 逃亡

ロージアン大陸歴990年
大陸一の軍事力を誇るサザラント帝国は、大陸内の国家間で締結されたヘイスター軍事協定を突如破棄し、国王ヘドヴァル王の指揮の元に周辺諸国への進出を開始した。後にロージアン大戦と呼ばれる戦争の始まりだ。
帝国は実用化されて間もない飛行軍艦と全自動の機械兵を実戦に投入し、わずか半年ほどで近隣諸国を制圧してしまった。
そしてサザラント軍に対抗するために、軍事協定を締結した国家間で「ヘイスター軍事連合軍」が発足し、長い戦いが始まった。
当初帝国と連合双方のは早期講和を望んでおり、誰もがこの戦争は長く続かないだろうと楽観していた。しかしお互いの講和内容の不一致が発生し、その期待は大きく裏切られる形になった。
更に帝国においても、国王であり軍の最高指揮官であるヘドヴァル王が病に伏せ、タカ派である宰相のコンラード・ヴァプソムが軍の実権を握るようになった。
帝国と連合の戦いは次第に泥沼化していき、講話はもはや遠い夢物語にへとなってしまった。
戦争が始まって29年がたった。

今は、ロージアン大陸歴1029年。

私の名前はレイラ・イーリッジ。20歳。
サザラント帝国空軍の新任士官だ。
私が着任した部隊は、先鋭中の先鋭と呼ばれる第4飛行艦隊。その中の駆逐艦・バゼラーテの先任曹長補佐に任じられた。
部隊に着任し、数ヶ月の雑多な書類仕事や研修を終え、いよいよ作戦従事が認められた時には嬉しさと怖さが入り混じった感情を覚えたものだ。

私が初めて従事する作戦は、バーウィッチ地方への空襲計画だった。
バーウィッチ地方は美しい自然が広がる一方で山岳地方は資源の宝庫であり、かねてより連合軍の要所であったこの地の占領を帝国軍は企てていた。
以前からある程度の規模の侵攻作戦は行われていたものの、堅牢とも言える防御網に撤退を余儀なくされており、今回の作戦は今までにないほどに大規模な作戦が展開されると噂されていた。
作戦開始の12時間前に、私は緊急ブリーフィングにて艦長からその概略を知らされたのである。
 「非常に急で申し訳なく思うが、何しろ急襲作戦なのでね。スパイを防止する意味合いもあったのだ」艦長はそう言った。「今回の勝利は目に見えているさ。なにせ我々は無敵の第四艦隊だ」

が、艦長の予言はあっけないほどに外れた。
帝国の首都のルガラントを発ち、艦隊がバーウィッチ地方の軍事境界線を突破するやいなや、地上から極めて激しい砲撃が始まり、我々を待ち構えていた連合軍の大艦隊が宵闇から現れた。
作戦開始からわずか1時間ほどで、私が乗っている艦・バゼラーテの前方を航行していた駆逐艦が墜落し、大破炎上した。
その光景は艦の艦橋からはっきりと見えた。私が人生で初めて見る、人の命が潰えた瞬間だった。
運の悪いことに墜落した艦の破片が飛び上がり、我々の艦の船底に衝突した。
艦橋は怒声と緊急ベルの音、砲撃音で溢れかえっており、まともに上官の指示を聞くこともままならなかった。
墜落の瞬間、私は大きく身を投げ出された。これでもう終わりね、そう思った。

目を開けたくなかった。私がまだ生きているという事実を受け入れられなかった。
目を開けたら、見たくないものが見えてしまう。
私は死んだに違いない。きっとそうだ。
痛みが全くない。軍艦が墜落して怪我ひとつないなんて嘘だ。
こんな奇跡はいらない。私だけが生きて、他の人たちが死ぬなんて。
このまま舌を噛み切って死んでしまおうか。
そう思った矢先、遠くから機械音が聞こえてきた。
間違いない。連合軍だ。私は開けたくない目をゆっくりと開けた。

 汽車はひどく揺れた。秋の雨が降りしきり、貨物内はこれ以上ないほどに寒かった。同乗している他の捕虜たちも同じようで、まるで死んでいるかのようにぐったりとあぐらをかいて項垂れている。私は疲労から何度も眠り落ち、汽車が揺れるたびに目を覚ました。
 一体ここはどこなのだろう。森の中で捕まって以来、全くと言っていいほど記憶がない。所持品検査はされたのだろう。拳銃は没収され、カバンの中からは予備弾倉がなくなっていた。
ふと思い出し、カバンの底を探り、アトマイザーがあるかどうか確認した。小さくヒヤリとした感触があり、ふと安堵の息をこぼす。
 蓋を開け、残った香りをかぐ。このフレグランスは、3年前に他界した母が最も愛用していたものだ。こんな冷たい空間の中で、私は亡くなった母の暖かい記憶を思い出す。

 「あの・・・」
ふと隣にいる女性兵士から、柔らかい声で話しかけられた。
 「それ、いい匂いですね。」
 「ありがとう。死んだ母の形見なの。よかったら嗅いでみる?」私は彼女に香水を渡した。
 「わあ・・・。本当にいい香り」
彼女はとても幸せそうな顔をしていた。まるで野原で花を摘む少女のようだ。が、ふと我に返ったのか、何かに気づいたように
 「ごめんなさい。私ったら、こんな緊張感のない・・・」
 「いいの。私が取り出したんだもの。あなた名前は?」
 「はい。申し遅れました。第四艦隊補給艦所属のホリー・ノリッジ伍長です。」
 「あなたも第四艦隊?補給艦は落ちたの?」
 「いえ、私の艦は退路を失い、止むを得ず投降しました。」と伍長は言葉を濁らせるように言った。
退路を失い投降した?ということは作戦は失敗に終わったということ?私は言葉を失った。
 「・・・。」
 「どこに向かっているんでしょうか」と伍長は続けた。
 「捕虜収容所に間違いないんだろうけど・・・」
 「祖国に帰れるんでしょうか」
 「帰れるよ。いつか絶対。戦争だって帝国が勝つに決まってる」
私は無理に微笑んで、伍長と目を合わせた。伍長も私にほほ笑み返してくれた。

話を聞いているうちに、伍長は私と同じ19歳であることがわかった。無論、軍歴も階級も私の方が上だ。だがこの短い時間で、二人の心の間に橋が架かっていることに私は気付いた。
 次第に機関車は速度を弱めていった。車輪の回転音や貨物車の揺れからからもそれは見て取れた。おそらく駅に止まるのだろう。行き先も何も知らされていない私はそれ以上は何も想像できない。
 しばしの沈黙があった後、貨物車の引き戸が大きく開かれた。冷気が一気に車内に押し寄せてくる。
 「よし、貴様ら。起立!!」
恰幅のいい、あまりハンサムとは言えない中年の兵士が叫んだ。その叫び声は、私に大鳥の鳴き声を想像させた。
私たちは座り続けて固まってしまった腰を上げた。同乗していた他の捕虜たちもぞろぞろと降りていき、私と伍長は後に続いた。
想像以上に雨は強く降っていた。連合軍兵士たちは程度のいい外套を皆着込んでいたが、私たちは着の身着のままの状態だった。
 ふと空を仰ぐと、巨大な壁と門が目の前に立ちはだかっていた。門は非常に堅牢に見える扉が付いていた。
 「どこなんでしょうか・・・ここ」伍長がふと呟いた。
門の扉には「ミンガイル収容所」と大仰な字で書かれている。
ミンガイル・・・?聞いたことがない。士官学校時代に連合軍の捕虜制度に関する講義があったが、その時にはミンガイルという名前は出てこなかった。

すると門の扉が軋む音を立てながら開き、中からぞろぞろと兵士たちが出てきた。
 「前にーーー 進め!!」
先ほどの中年兵士の掛け声とともに、私たちのいる隊列は歩み始め、門の中にへと入っていった。
門の中に入ってしまうと、通路内は静かだった。通路内は洞窟を思わせるほどに暗く、光は遠くに見えた。聞こえるのはまばらで定まらない足音だけだ。
伍長は無意識なのか、私の手のひらをぎゅっと握り、私も強い力で手を握り返した。

通路を出ると、私は目を疑った。
森の木々のように立っている煙突からもくもくと立ち込める煙。蜘蛛の糸のように張り巡らされた通気口。あちこちから作業音やボイラーの音が聞こえてくる。
通路の下は透けて見えるようになっており、巨大な機械類が単調な動きを繰り返している。上を見上げると、簡素な作りの連絡橋が各建物同士をつなぎあっており、空が見えなかった。
工場・・・?これが収容所なの?

 隊列が収容所の中心と思われる広場にたどり着くと、そこには数人の連合軍士官と、護衛の兵士が銃を構えて待機していた。中年兵が士官の前に駆けつけると、すかさず敬礼をした。
 「総員50名、連行は無事滞りなく完了致しました!!」
すると敬礼をされた士官が中年兵に敬礼を返す。
 「ご苦労。早速各員の居房を割り振ってくれ」
その声を聞いて驚いた。その士官は女性だったのだ。遠くから見ると華奢な男性にしか見えない。士官は前に出ると、大きな声で叫んだ。
 
メンテ

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Re: 闇魔法の男 ( No.1 )
   
日時: 2019/04/18 15:48
名前: ウホッ!いい男 ID:tNi0hdk.

この小説を読んでいただいて誠にありがとうございます。
ペンネームのウホe(略)と申します。
この小説はスレッドの主文を更新する形で進めていきたいと思います。
文章力が稚拙なため、所々修正しつつ、いつかは立派な作品にできるように少しづつ頑張っていこうと思っています。

ご感想・ご意見・質問・苦情等はいつでも受け付けています。
それではごゆっくり。
メンテ
Re: 闇魔法の男 ( No.2 )
   
日時: 2019/04/24 20:56
名前: ウホッ!いい男 ID:UXu5y2ew

https://ncode.syosetu.com/n6783fl/

こっちに移転しました。
ここのサイトではもう書きませんので悪しからず。
メンテ
Re: 闇魔法の男 ( No.3 )
   
日時: 2019/05/11 19:25
名前: ウホッ!いい男 ID:xPb.5KKg

制作メモ

・セリーナ・ベルンスキー
・ジャーメイン・キャッシュ
・リック・ラーナー
・タイロン・ワシントン
・アレン・ブルームバーグ
メンテ
Re: 闇魔法の男 ( No.4 )
   
日時: 2019/07/29 20:17
名前: ID:e9vEF4mQ

・リズムを裏で感じる
・足先を震わせる
・口を大きく開ける
・口でリズムを取る
・のど、口、ケツの穴を結ぶイメージ
・肩の力を抜く
・息を吸い込む
・鼻先から声を出す
・息を吸い込む
・鼻先から声を出す
・歌詞を発声する
・腹筋を個刻む
・小節の頭を意識して突き刺す
・息を走らせる
・息を遠くな投げる
・おでこをボイスポイントにする
・舌をひっこめる
・バッグのオケをしっかり聞く
・肛門を閉める
・息の道をイメージする
メンテ

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