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[3476] Differences in Peace
   
日時: 2018/10/01 13:30
名前: あづま◆8kXyVF1umQ ID:1fl2iO3A

※更新鈍足!






◎はじめに
 この小説は、私が小学校高学年〜中学二年生位の間に書いたものを
 再編集したものとなっています。
 再編集とはいっても、ころころ変わる視点を統一(三人称化)したり、発見できた誤字を
 修正する程度であり、矛盾等は修正しきれていません。
 サイトに掲載するときに更なる修正や伏線の為に完全ではありませんが書き足したりしております。

 ジャンルはおそらくファンタジーです。
 常識の無い自分勝手な人物との共同生活のような内容が主となっております。
 この物語らは時代が前後していたり、複数の舞台が出てきますが
 世界観は全て同一となっています。
 稚拙な説明で申し訳ありませんが、どうぞお付き合いください。

◎次回予告
 更新は113話まで完了。
 次回114まで予定。いつ更新できるんでしょうか。
 
◎つぶやき
 取り急ぎ一話だけ。
 無事!内定をもらえました!!2年もかかった!
 本当に面接は万死に値している。
 データが本当に見つからないんだけど、どうしよう。

◎注意
 作品の中には流血や暴力、更には殺人描写があります。
 舞台となっている世界が地球の場合は特にありませんが、それ以外の場合は注意してください。
 また、一部エロのような物もあります。
 修正こそしていますが、考えれば推測可能なので苦手な方はご了承ください。

◎サイト
ブログ
 たまに更新予定なんかが書かれています
 
◎一覧
 Strange Friends      >>1-40
  かなり適当な設定   >>41-42
 Differences in Peace  >>43-

◎絵
 レイと奏音。このコンビは動かしやすい。
 スマホでも描けるもんですね。マウスが書きやすいけど、筆圧ではこっちに軍配。
 サイズがバカデカイかも。
メンテ

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Re: Strange Friends ( No.11 )
   
日時: 2011/11/09 18:18
名前: あづま ID:SqJEoHys

金曜日。
サクソルがやってきて一週間たつ。
火曜日結局彼は帰ってこず、木曜の朝にのこのことやって来たのだった。
曰く『マスターと話してたら楽しくって君を忘れてた〜』だそうだ。
心配したのに…。

そんな彼は奏音とも私が会社に行っている間に会っていたらしく、おさがりのゲーム一式をもらってきた。
奏音に連絡を入れたところ新バージョンを買ったのでもう要らないかららしい。
そして私にとっては嬉しい事にコスプレは今回無しになった。
なんでもすごい萌体験をし、それを形に仕上げるまでは余計な事をしないでいたいからだとか。
かわりにレオンが買い物に行くらしくなんだか可哀想だ。
私が代わりに行ってあげられたらとは思うのだがあの地獄は味わいたくないので心の中で合掌しておいた。

「サクソル…それ何時間やってるんだ?」
「んー、君が外に行ってからずっとだね。時間も今日は飛ばしていないし。」
「え?7時過ぎに出たから…半日以上やってるのか?!もう止めろ、目が悪くなる!!」
「僕らは視力の良し悪しなんて関係な、あー消した!オートセーブの地点まで行く前に消した!!」
「オートセーブあるならいいだろ!…ったく。」

ゲーム機の電源を切ったことに対しサクソルが不満をぶつけてくる。
それを軽く流しつつテレビのチャンネルを変える。
サクソルは一仕切り怒鳴り気がすんだのか冷蔵庫にジュースを飲みに行ってしまった。
その程度なのか…と呆れつつニュースを見る。
なにやらまた汚職があったらしい。
記者に取り囲まれた政治家がカメラを手でおさ……紙を持った手が、テレビから、出てきた。
そしてそれが出るともう片方の腕、そして頭が出てくる。
そのままズルズルと出てきて一言、言った。

「執務放棄者サクソル!執行部隊長の命により執行隊ルーター、あなたを連行します!」

彼の持っていた紙に、不思議な記号が浮かび上がる。
しかし、今はそんな事どうでもいい。

「うちのテレビに飛び出す機能はない!!」
「痛っ、うやめ、止めて下さい!対象を連行したらすぐ去ります!痛い、角!それ角ですよ!
 やめ、角はダメェェッ!」
「お前が連行されろ!全裸でテレビから出てくる変態は連行されろ!」
「痛い痛い!すいませんすいません!でも、連行し、連行しないと俺帰れな、い、ったい…。」
「五月蝿いなぁ…、あれ?君ルーターじゃん。なんでボコられてるの?」





「はぁ…挨拶遅れました。竹谷華凛です。動揺したとはいえテーブルの角で重点的に攻撃してすいませんでした。
 それと半裸ですね。全裸って言ってごめんなさい。」
「いえ…俺は、天界の執行隊のルーターです。」
「うん。お互いに挨拶は終わったようだね。ところでルーター、僕は執務放棄者じゃないよ?
 ちゃんと歴史の監視と修正はやってるからね?」
「へ?」
「あ…もう執行宣言しちゃったの?ちゃんと確認取らなきゃ…君戻れないじゃん。」
「そんな、っじゃあ、俺どうなっちゃうんですか?!」
「一生人間界暮らしじゃない?」
「そんなぁ…。」
「……。」

目の前で話す二人の天使らしい者を観察する。
サクソル、見た目は小学校3年生。セーラー服。赤毛。
ルーター、見た目から判断して年は私と同じくらい。上半身裸、下半身巻き布。クセ毛。
天使って実は変態集団なんだろうか?

「っていうかやっぱりルーターも天使なのか?二人は知り合い?」
「はい、俺も天使っていうと本来は違いますがそうです。サクソル様は俺の上司に当たりますね。」
「上司って言っても直属じゃなくて、地位からいったらそうってだけだけどね。
 僕の直属はケナベルとスウィノーじゃん。」
「そうですけど…。」
「あれ?サクソル、お前って実は……偉い?」
「サクソル様は俺たちの世界の主に目通りできますからね。偉いですよ。ちなみに主から初めに作られたのがサクソル様です。
 次いでデストル様。彼は追放者ですが…っ!痛い!!」
「君さ…僕の前であいつの話はしない。何回か言ったよね?むしろ何回目かな?ね、教えて??」
「8回目…すいませんデストル様の話はもう、痛い!あ、あっあ、い、あぁああぁっぁあぁあぁぁ!!」

悲鳴を上げるルーターの口を大急ぎで押さえる。
すると一瞬見たことがない光景が見えたが、これはおそらくサクソルの力なのだろう。
そんなこと気にせず暴れるルーターの口を押さえ続ける。
今はもう夜で近所迷惑必至だ。
しばらく二人で格闘し、ルーターが暴れなくなったところで手を話す。
両者とも、息が上がっており暫く声を出す事ができなかった。

「もう、なんで華凛まで飛び掛っちゃうのさ?一瞬術かかったじゃん。」
「いや…今叫ばれたら近所迷惑……。」
「ルーターが出てきたときに君も結構大声で叫んでたよ?」
「はぁ…すいません、本当。でもサクソル様、俺みたいな下っ端の名を覚えて頂けているなんて光栄です!」
「そりゃ僕の前で何回もあいつの事喋るしね。それにお前剣だけは強かったし。」
「はい、ありがとうございます!」
「ま、この時代じゃそれも役に立たないけど。ところでお前、住むのどうするの?
 執行宣言しちゃったみたいだし人間とほぼ変わりない状態じゃん。」
「あっ…。」
「あ…なんだったら家に住むか…?お前くらいだったら働けるだろうから負担もきっと少ないし…。」
「え?でも…。」
「いいよ、角で叩いて怪我させたし。お金はさ、お前くらいなら働けるだろうから特に困らないよ。」
「でも、いざとなったら奏音からたかるんでしょ?」
「たかるって…それダメですよ…。」
「平気平気、あんたがホームステイの人っていえばいいしね。多少はなんか見返り求められるかもしれないけど。」
「でも、奏音様に負担が…。」
「あいつに様はいらないって。大丈夫、あいつ儲けてるから。」
「いや…でも……。じゃあ、じゃあよろしくお願いします。」

そういって彼は私の足元に跪く。
そしてその頭をサクソルが思いっきり踏んだ為彼は思いっきり顔から逝った。





「へぇ、じゃああいつが仕事放棄してると思って来たらしてなかったと。」
「はい…。おかげでもう戻れないかもしれないんですよ…。」
「お気の毒様…。」

現在、私はルーターと二人きりだ。
サクソルは彼のことを一通り叱り付けた後、彼を派遣したところに文句を付けに行った。
ついでに歴史も確認して必要があれば修正してくるから日曜まで戻らないとのこと。
彼が消えた後、私たちは話を続けている。

「あ、サクソルが怒った…えっと、人ってなんなの?
 前私が話してる時に無意識だったけど傷つけたっぽいことがあってそれ関連かとは思うんだが。」
「あ、気になりますか?…サクソル様はいないですし、お望みとあらば話しますが。」
「うん、気になる。話して。」
「分かりました。と言っても、これらの事件があった時、俺はまだ作られていなかったので又聞きですが…。」

そうして、ルーターは語り始めた。
メンテ
Re: Strange Friends ( No.12 )
   
日時: 2011/12/30 23:35
名前: あづま ID:OCbKomI2

ある時、何もなかったところに一つのものが現れた。
それはしばらく一つのままだったが、孤独に耐えられなかったのか一人の少年を作り出した。
それが現れた事によって、最初に現れたものは主となり、主が現れたところは世界となった。
主から作り出された少年は赤毛で、とても活発な子供だった。
主は、毎日飽きる事もなくその少年と遊んだ。

ある日主と少年が世界を歩いていると、もう一つの世界があることに気がついた。
それはさまざまな人間が暮らしている世界だった。
しかしそれは次々と別の光景を映し出した。
崩れていく高い建物、野を駆ける裸の者、炎に覆われた街―――
主は少年に、これはもう一つの世界の過去と未来だと教えた。

もう一つの世界が映し出す光景に、少年は魅了された。
主は、もう一人。今度は黒い髪の少年を作り出した。
彼は少年を兄と呼び、二人はすぐに打ち解けた。
主とともに三人は楽しい時間を過ごしていた。
主は、二人に名を与えた。
少年にはサクソル、青年にはデストルと。
二人は名を持つ意味を主に問うたが、主は世界では皆持っているものだと答えた。



もう一つの世界を見ていたとき、主はふと気づいたのだ。
自分が知っている世界より、文明が遅れている、と。
主はデストルに命じ、デストルは大きな災害を起こした。
人間はその災害による悲劇を繰り返さないため、対策を考えた。
そして、主の知っている世界と同じになった。

暫くたつと、今度は文明が進みすぎていた。
主はサクソルに命じ、技術を持った人間の記憶を操作した。
人々は、失った技術により発展が少し遅れた。
こうして、主の知っている世界と同じになった。

こういうことは、たびたび起こった。
主はデストルを人々の住む世界に送り、試練を与え、文明を授けた。
主はサクソルを彼らの世界に送り、記憶を奪い、文明を修正した。
こうしてサクソルは監視し修正する者となり、デストルは試練を与え繁栄させる者となった。

主は、いろいろなものを作った。
人間、動物。
しかし彼らは自分の意思で、主に与えられた姿以外にもなることが出来た。
だが、それは酷く体が重くなる行為であり、主はそれを疲れと言った。





ある時、デストルが人間の住む世界から帰ってきた。
そして彼は、サクソルに言った。

『人間達の住む世界は日々、試練により進歩している。
 私達はただ監視するだけでなにも、主と兄様とでもう一つの世界を見ていたときと変化していない。』

これに、サクソルは答えた。

『確かに変わっていないかもしれない。でも、僕はこの状態の継続を望む。
 主と、君とで永遠と暮らしていく事を。この関係の継続を深く願う。』

デストルは、答える。

『私も、それを望んでいる。この関係の崩壊は望みではない。
 ただ、進みすぎた文明や遅れすぎた文明はどんな手を施しても再び栄える事はなかった。
 自分達の世界はどちらかに該当しているのではと心配になったのだ。』

デストルの答えに、サクソルは微笑んだ。



デストルが文明を与え、サクソルが修正を加える――
はじめこそサクソルの仕事はあったが、デストルが慣れた今は彼の仕事がないに等しかった。
主は、仕事を上手くこなしたデストルにばかり話しかけ、サクソルは放っておかれた。

『お前ばかり、主に寵愛されていて不愉快だ。』

それに、デストルは答える。

『そんな事はない。主は、私のことを愛してくださっているし、兄様の事も愛していらっしゃる。
 私も兄様の事を愛している。兄様は違うのか?』
『確かに、主に愛されているのはこの身でしっかりと感じている。それにお前の事も愛している。
 ただ、自分よりも君が寵愛されているように感じてしまう。それを自覚するとよく分からない感情になる。』

この答えに、デストルは答えた。

『それはおそらく嫉妬というのだろう。私はコレもまだ良く分からない。』

二人は本心を話しているようだった。
二人はこのことを主に報告した。
主は笑い、サクソルには謝った。
自分は平等に接しているつもりだったが、そう感じたならすまないと。
そして久しぶりに3人で、世界を歩き回った。








こうした出来事に霞がかかった頃、事件が起きた。

『この停滞した世界に私は試練を与える!文明を与える!!』


反乱の実態を、はじめ世界はつかめていなかった。
しかし、世界のものの存在が消失していくにつれ、反乱者の像がつかめた。
デストル他彼の信用を得ていた数名の者達。
彼らをサクソルたちは追い詰めた。
彼らは主によって追放され、人間界とはまた違ったところに縛られた。




反乱者達は、地上で悪をなし抹消される存在を引き入れた。
彼らは無意識のうちに罪を犯してしまった存在である。
少しでも味方がほしい反乱者は彼らを匿い、力を与えた。
少しずつ彼ら以外の存在が増え、新たな世界が作られていった。
メンテ
Re: Strange Friends ( No.13 )
   
日時: 2011/10/09 11:32
名前: あづま ID:SqJEoHys

「…終わり?」
「はい。」

何か壮大な話が始まるだろうと身構えたのは五分前。
はっきりと言う。拍子抜けだ。

「あの…反乱軍のその後は?」
「伝わってないんじゃないですかね?少なくとも俺は知らないですよ。
 デストル様がいる世界は並の力の者じゃ取り込まれてしまうと聞いています。」
「マジ?なんか謎が深まっただけじゃないか。」
「すいません。あ、でもこれは俺が作られてすぐの話ですけどサクソル様、ケナベル様、スウィノー様が
 一度討伐に行ったことがありますよ。デストル様と共に反乱を起こし追放された者達はそこで消滅し
 デストル様は大怪我を負ったと聞いています。」
「そうか…という事は今生きてる反乱軍はそのデストルだけって事か?」
「そうなりますかねー。俺もデストル様は一度だけお姿を拝見した事があるんですよ。」
「おい、矛盾してないか?お前が作られる前に反乱者達は追放だろ。見れるわけないんじゃ…。」
「デストル様はサクソル様に次ぐ力を持っていると言われています。
 それに彼の使命はこの世界へ試練と文明を与える事。だからかこの世界には干渉できるんですよ。」
「そうなのか。やっぱ矛盾…で、そのデストルってどんなヤツなんだ?」
「あー…白人ですね。髪は黒くて長髪、男性です。追放者なので姿は変えられないはずですから。
 ま、髪は切ったり染めてたら分かりませんけど。」
「割とよくいそうな人物像だな…。」

そこで話を打ち切り、夕食の準備に取り掛かる。
ルーターにも食べるか聞くと食べると言うので彼の分も作る。
冷蔵庫には食料品が少し。
明日、ルーターをつれ買いに行こうかと頭の中で計画を立てていく。

「あ、お前はさ、天使の力って言えばいいのか?サクソルの時間移動っぽいの。それってどの程度使えるのか?」
「俺ですか?今は執行隊になってるんで基本人間と同じ…あ、軽く炎を熾したりとかなら。
 あ、あとこれは俺らの世界の全てに共通してますけど地球の生命体と比較して治癒力も高いですよ。」
「いや…便利そうだけど、そういうんじゃなくて…。姿変えたりとか。」
「それって見た目変えたりですか?子供になったりする…。」
「それそれ。」
「今…はできないですね…、すいません。俺らの世界の人の力をわけて頂ければ一時的に可能なんですけどね。
 でも俺交信手段持ってないし…。でもどうしてですか?」
「あぁ、買い物行こうと思って。服はお前くらいだと私のは入らないだろうから。」
「留守番してますよ、だったら。」
「服のサイズとかあるからそうは行かないんだ。また探すかな…。」
「すいません…。」
「いやいいって。好きで面倒見てるんだから。…あとご飯炊けたら飯な。」

待たせるのもアレなのでテレビをつけ(ニュースしかやっていない…)寝室へ行く。
ルーターはなんか真面目そうなのでアニメじゃなくてもいいだろうと思ったからだ。





「さて…困ったぞ。」

ルーターは私より背が高いし体格もいい。
上は私にとって大き目のやつなら何とか入るだろう。
問題は下だ。
ジャージはおそらく入らない。というか下着がないので入ったとしてもご遠慮願いたい。
上だけ着せて下は今彼が身につけている巻き布としたいがそれは短いので不審者と思われる可能性がある。
……。

「最終手段…か?」

これだけは着せたくないが…仕方ない。
なによりサイズがないんだ…。
晩飯食べてからでいいだろう…仕方ないんだ、これは。





「あ、味が分かる。ちゃんと残る…なんかこういうの体験しちゃうと人間っぽくてもいいかな、って思っちゃいますよ。」
「ん?お前らって味分からないのか?」
「分からない…というか理解できないんですよ。感情とかは地球の様子とか見ててこうされると嬉しい、
 悲しいとかは分かってますよ?主に仕え使役される喜びもありますし。ただそれ以外がよく理解できてないんだと思います。
 味覚と触覚も無いに等しいですね。認識すればこんな感じかな、って演技です。」
「で、お前は執行する為に人間界に来てそれらが分かったってことか?」
「おそらく。驚きですよ。色々な物が一度に押し寄せてくる感じで…楽しいです。
 あなたの料理、好きです。おいしいって言うんですね、これが。」
「ふーん…お前辛党なのか。」

冷蔵庫に残っていた野菜と少々の肉を買って全然使っていなかった唐辛子系の調味料で焼いた野菜炒めを
ルーターはおいしそうに食べていた。
誰かに食べてもらうのが幸せ、と言われているが案外それは本当なのかも知れない。
そういやサクソルもパフェ好き……。

「あれ?サクソルも甘いのとか美味しいって言ってたぞ?」
「そうなんですか?あ、でもサクソル様は仕事で人間に多く関わりますし主が人間をよく理解できるように作ったのかもしれません。」
「そういうものなのか…意外と適当なんだな…。」
「主は基本おおらかですから。それとも放任主義なんですかね?…ご馳走様でした。」
「あ、食べ終わった?じゃ、そこの流しに置いておいてくれるか?下げたらこの扉あけて入ってきてくれ。」

華凛の言葉を受けてルーターは食器類を下げに行く。
その後姿を見て、やはりあれでやむ終えないと華凛は自分に言い聞かせる。

「失礼します…。」
「最初に謝っておく…スマン。本当申し訳ないんだが……お前には女装してもらう…。」
「じょ…?」
「女の格好をしてもらう。上はともかく下はお前が着れるサイズが無いんだ…。
 だから本当、本当に申し訳ないんだがスカート……す、かっ、くっ…!」
「何笑ってるんですか!女の格好って…俺もう声も体も男ですよ?髪だって短いし…。」

《女の格好》というワードに反応してルーターも反対してくる。
確かに筋肉あるし、普通女に見えないだろうなぁ。
必死に反対してくるがその真剣な顔でスカートを穿いている様を想像してしまいさらに笑ってしまう。
ひとしきり笑い、息を整えながら続きを話す。

「…くふっ、それくらいの髪の女の子もいるって。なんなら鬘あるし。
 で、スカートは危険はいっぱいなので、その巻き布を下着代わりにしてくれ。
 …やっぱ、やっぱだ、め、っははっはははは!!スカート絶対似合わねー!筋肉が…筋肉がぁっ!!」
「鬘って…なんでそんなに準備良いんですか?!」
「いや、奏音の話したじゃん?あれけっこう体格いいから。で、コスプレするんだよ。
 置き場所無いし要らないからあげるってよこしたけど私も使わないからいいんじゃないか?」
「コスプレ…聞かないでおきます…。それ、絶対しなきゃいけないんですか?」
「まぁ、そうだな。スカー…っ、ふっ…!」
「そうですか…仕方ないから着ますよ。……何笑ってるんですか!いいじゃないですか、着るんだから!
 もしかしてからかってますか?今あなたの中で起こっている感情が複雑すぎて分からないです…。」

ため息をつくルーター。
それでも私が笑い続けているともういいですよ、と言ってテレビを見に行ってしまった。
戸の隙間から見ると彼はニュースを見ていた。
アニメしか見ない、文字通りコマーシャルになると時間を移動するという能力の無駄遣い状態の
サクソルと違いちゃんと見ていた。
そして内容も理解しているらしく、時々画面に向かい意見しているルーターを見てまた笑いがこぼれてきた。
私の笑い声を聞き見られたことに気づいたらしく、彼は顔を伏せた。
メンテ
Re: Strange Friends ( No.14 )
   
日時: 2011/10/09 11:33
名前: あづま ID:SqJEoHys

「……で、ここのホックをとめてチャックを上げる。それで完成。じゃできたら呼んで。」
「はい……。」

土曜の午前中。朝食は軽くとった。
ルーターに服の着方を教え、私は部屋を出る。
上はTシャツだが下はスカート。彼は心身共に成人しているように感じるので手伝うわけにはいかない。
特にスカートはホックがあるので難易度が高いだろう。
サクソルの様にはなって貰っては困るので一度実演して見せた。
とりあえずなんか長い靴下も引っ張り出してきて彼に渡してある。
これをあいつから押し付けられたとき絶対領域なるものの重要性を語られた事を思い出す。
今日は暑いが…大丈夫だろう。

「多分…できました。」
「そうか?…うん、平気そうだな。……似合わねー…。」
「それは俺が一番分かってますよ…何回も言わないでください。」

今彼はスカートとハイソックスより長い靴下、白いTシャツである。
髪も鬘をかぶり茶色のポニーテールである。
化粧はどうしようかと考えたが、彼の女装が似合わないのはどちらかといえば体格のせいだと
勝手に納得しするだけ無駄と現実から目をそらした。

「じゃ、車乗っていくからな?質問とかあれば帰ってから聞くから。
 あとデパートでは走り回るなよ?それと声は服を買って着替えるまでは何があっても出さないこと。」
「分かりました。…なんか落ち着かないですね、スカートって。
 下着代わりにつけているとはいえ…スースーして居心地が悪いです…。」
「女の私ですらスースーするしなぁ。滅多に穿かないからかもしれないが。あ、シャメっとこ。」

ルーターにシャメとは何かの質問をする隙を与えず携帯ですばやく収める。
フラッシュに体をビクリとさせたが私が玄関に向かったので何も言わずついて来た。





「うん…大丈夫じゃないな…。」
「すいません…治します、すぐ、治しますから…。」
「いやいいって…無理するなよ。」

デパートの駐車場。
そう、今回は渋滞にあったりせず流れは順調だった。
ただ、ルーターが車に乗って五分足らずで乗り物酔いになった様だった。
そのため駐車場まで何とか耐えてもらい今、窓を全開にし風に当たっている。
吐きそうにないことが救いだが体格のいいのがこう…風に吹かれているのは滑稽というか…。
記念にシャメっとく。
フラッシュの音に目を開けたルーターは音源を確認しまた目を閉じた。
よほど辛いらしく何も言ってこない。
ルーターの具合が良くなるまで常備してある本を読み進める。

「あの…そろそろ大丈夫です。すいません、余計な時間かけてしまって。」
「ん?そうか。じゃ、行くけど何があっても絶対に喋るなよ。」
「はい…。」

二人で車を降り、デパートへと歩いていく。
途中すれ違う人の視線をなんとなく感じる。隣を見れば女にしては筋肉ありすぎな感じのデカイのが。
しかも落ち着かないようで明らかに挙動不審だ。こんなのがいたら、私も見るな……。
この視線を浴びる事に堪えられないので急いで衣服売り場へと向かった。





「私はお前の下着を買ってくるから。大きめの買ってくるから緩くても我慢してくれよ?
 で、私が買っている間にお前は普段着を四着位選んどけ。終わったらそこの椅子に座ってろよ、じゃ。」
「え?一緒に行動し」
「喋らない。視線が痛い、殺されそうだ。」
「……。」

ルーターは不満そうな顔をするが、それに構わず下着コーナーへと行く。
奏音のが普通に入ったって事はおそらくサイズは同じくらい。
以前彼女の採寸をしたときの数値を思い出しそれより少し大きいサイズのものを適当に買う。
店員の顔がなんとなく引きつっていて疑問に思うが、自分が買っているのは男性用の下着だと思い出す。
サクソルのときは男児用だったから違和感は無かったんだろうな…。
店員から商品とつり銭をもらい、衣服売り場へと戻る。

そこへ戻るとルーターがなんかよく分からないのに絡まれていた。
ナンパ?
いやいや、男だぞアレは。女に見えないぞ。
ルーターは今声が出せないのでそれを振り払う事ができないようだ。
私は面倒ごとに関わりたくないので待っていると言った場所に座り本を出す。
数ページ読み進めたところで足音がし、隣に座った。
そして私の目の前にも誰かが立つ。

「あ、早かったじゃん。終わったか?」

私の問いかけにルーターは首を振り指をさす。
それは私の目の前にたった男を指しており彼に絡んでいた良く分からないやつなのが分かった。
オッサン…だなぁ、馬鹿上司を思い出す…。

「あの、なにか用でしょうか?」
「ぁん?嬢ちゃんにじゃねぇって、嬢ちゃんのとなりの子に俺は用があんの。」
「これは私の連れですが、どのようなご用件で?」
「連れぇ…?じゃ、嬢ちゃんも一緒でいいかぁ。俺と一緒にさぁ、遊ぼぉ?」

ナンパ…だと、まさか?!
これを?!

「あの、お気持ちはありがたいんですけどね?まだ私達やる事があるんですよ。」
「へぇ…?でもよ、そっちの子は一回も喋ってねぇぞ?」
「あぁ…うん、そうですね。でも本当に用事あるんで。これ以上しつこいと警備の人呼びますから。」
「チィッ…。」

舌打ちをしてオッサンは私達から離れていく。
ていうかあれ?こいつ以外と女でもいけるの?筋肉あるけど意外と通用するのか?
ルーターを頭から爪先まで見てみるが女には見えない気がする。
まぁビルダーみたいにあるわけじゃないし、スポーツ系女子って感じなら…通用するのか?
なんとなく気になり奏音に画像を添付しメールを送ってみる。
彼女はおそらく仕事をさせられていると思うので返信は時間がかかるだろう。

「で、あのオッサンのせいで服は選べてないと。」

無言で頷く。

「しゃーない、一緒に選ぶか。っつってもセンス無いから覚悟してなよ。」
「はい。」
「声出さない。…ジーパンでいいと思うんだけどな…上はお前が気に入ったので。」

十分ほどで買い物を済ませ、トイレで着替えさせる。
今回は女子トイレで着替えさせるわけには行かないので多目的トイレだ。指示を出し私は外で待つ。
数分で着替えが終わったようで扉が開きルーターが出てきた。
やっぱり筋肉あるし男だよな…あのオッサンはなんだったんだ?

「お、似合ってんじゃん。もう喋っていいぞ。鬘はとらなくていいのか?」
「取りたいのは山々ですけど借り物なんで汚したりするわけにいかないじゃないですか。」
「真面目だねぇ。じゃ、飯食いに行くか。」
「え?朝食べましたよね?」
「私らは朝昼晩食べるぞ?お前らってもしかして朝と晩だけなのか?」
「いえ。俺らの世界では食事は嗜好品ですからね、食べなくても生きていけるんです。
 今は執行者として人間とほぼかわりが無いので食べないと餓死しちゃうと思いますけど。」
「そうなのか…サクソルは食事必要ないのか?」
「でしょうね。でもサクソル様は味覚が人間と変わりないようなので楽しいでしょうし、いいんじゃないですか?」
「なんか…食費返せって気分だ。」

天使っぽいのすげえ。
意外な事実に少々驚きつつレストランを目指した。
メンテ
Re: Strange Friends ( No.15 )
   
日時: 2011/10/22 09:33
名前: あづま ID:/ne/WJtI

前回サクソルと来たときはレストランはそれほど混んでいなかったのだが、
今回はそうではなく、店員に聞いたところ三十分ほど待つそうだ。
ルーターに聞けば三十分とはどれくらいかと質問され時計を示せば平気だと言う。
彼の返事を聞き名前をかいて、椅子に座って待つ。

「なぁ、ただ待ってるのも暇だしそこに本があるからそれ読んで待っていたらどうだ?」
「読みたいですけどここの字まだ読めないんですよ。すぐ帰るつもりだったんで字まで覚えてこなかったんです。」
「ここの、ってことは日本語以外は読めるのか?」
「あ、言い方が悪かったかな…地球の文字はまだ読めないし書けないです。英語と日本語は喋れますけど。
 俺が言ったのは俺らの世界の文字の事で…ただ文字がある意味はあまり無いんですけどね。」
「あまり無いって…言葉だけで伝わるのか?」
「俺らの世界の言語は共通ですから。それに主は俺らの心を読む事もできるらしいですし。
 だから嘘なんてついたら即刻ばれるんじゃないですかね?」
「そういうもんか…言語共通は羨ましいな。そうだ、帰りにドリル買おうか。お前にも働いてもらいたいし。
 ただ文字は読めないと辛いから…まぁお前は勤勉そうだしすぐ覚えるだろうよ。」
「すいません何から何まで。」
「いちいち謝らない。私が好きで面倒見てるんだ。」
「はい、分かりました。」

彼の返事を聞き本に目を落とす。
そういえばサクソルは字が読めたっけ?
サクソルが来てからの行動を出来るだけ思い出すが彼が文字を読んでいたことは無いと思う。
一応買っておこうか。





名前を呼ばれたので店員についていく。
メニューを開きルーターに選ばせようとしたが、自分は良く分からないから私に選んでほしいと言った。
だからパスタを二種類選び半分ずつ交換する事を提案すれば彼も承諾した。
パスタが運ばれてくるのを彼の世界の事について話しながら待つ。

「存在している数はよく分からないです。昨日話したとおり姿を変えようと思えば可能ですからね。
 普段獣の姿をしている者が人間の姿になったりとかしますし。肉食獣が草食獣になったりもしますよ。気分で。」
「気分って…。昨日聞いたことから察するに今はお前できないんだよな。お前の世界にいたときは出来たのか?」
「下手でしたけどね。長時間もたなかったです。だから剣だけってサクソル様も言ってたでしょ?」
「あぁ…。」
「でも日本は戦争無いんですよね。だから俺の能力が活かせないんですよ…。」
「平和主義で行こうじゃないか。」
「お待たせしました〜、和風海鮮パスタとホワイトスープパスタです。以上でよろしいでしょうか?」
「はい。」

そう言って店員は去っていった。

「お前はさ、どっち先に食べたいとかあるか?」
「どっちでもいいですよ。あなたが食べたいほうを。」
「そうか?じゃ私は海鮮最初に食べるから。」
「じゃ俺はこの白いのですね。」

各自皿をとり食べ始める。
ルーターははじめスープの熱さに無言で震えていたが時間をおいてからは平気になったようで普通に食べている。
食事中は会話は無く無言で食べていた。
半分ほど食べ終わったら皿を交換しまた無言で食べ続ける。
ルーターが先に食べ終わり数分後私も食べ終わる。
これから雑貨を買いに行かなければならないわけだが少し休憩する。
夏休みなので学生も多いから休憩所は人が多いだろう。だから席に座れるレストランはなかなかいいだろう。
ルーターがトイレに行くと席を立ってしまったので本を読む。
自分で結構本の虫だな、と思いながら読み進めていると椅子が引かれ座った。

「そろそ…沼川?!」
「よ。なに、買い物?あの子供はお留守番?」
「サクソルか?あいつは今帰省中。日曜にまた私んとこ帰ってくるってさ。」
「へぇ、まだいるのか。じゃ、オレとこれから遊ばないか?明日になったらまた忙しいだろ。」
「ごめん、無理だ。あー…ホームステイ受け入れてて今案内してるんだ。」
「あの子もそうなんじゃないか?大丈夫かお前の家計は。」
「ん、あいつも働くって言ってたし。」
「そうかぁ?でも困ったら言えよ、オレが助けるし。」
「頼りにしてるぞ。…あ、ルーター。紹介する、こいつ沼川。会社の同僚。」
「なっ…男?!」
「ぉお男ですよ!俺女に見えないと思うんですけど。」
「なに驚いてるんだ?オレは沼川一寿。同僚じゃなくて先輩ね、セ・ン・パ・イ。
 ところで日本語上手くないか?奏音さんの担当も外国人なのに上手いし。お前の周り日本語できる外人多くね?」

沼川の指摘に言葉が詰まる。
確かに今まで外国人で関わる人なんてALTがせいぜいだったのにこの短期間に出会いすぎな気もする。
それにALTも最初から日本語がある程度完璧に出来る人なんていた記憶が無い。皆片言だった。
実は別世界の人間なんで喋れるんだ、とは言えないしルーターは勉強してきたらしいし。
黙っているとルーターが口を開いた。

「俺は小さい頃近所に日本人の方が住んでいてそれで教えてもらったんですよ。」
「へぇ。結構長い間教わってたの?」
「う…、正確な期間はわからないですけど小学校入るときに引っ越してそれまでだったんで…二年くらい…?
 あ、でも、え…っと十五のときに一回日本に来たことがあるんで大体日本語は喋れますよ。」
「そうか、結構日本に関わってるんだな。なら喋れる事も納得。でもあの子供は?ペラペラだったよな?」
「私もよく分からないんだ。なんか喋れててさ、意思疎通できて良かった位にしか考えてなかったな。
 帰ってきたら聞いておくよ。あとレオンは編集長さんの知り合いで日本語を勉強してたらしいぞ。」
「そうなの?」
「奏音が言ってたんだ。私もよくは分からない。」
「ふぅん、外人も勤勉だなぁ。じゃ、オレ行くよ。お前が見えたから来たんだし。」
「分かった、会社でなー。あとケーキ宜しく。」
「はいはい、お楽しみに。」

そういって席を立ち沼川は売り場へと消えていった。
やっぱりサクソルの事は気に入ってないんだなと彼の口調からなんとなく伺えた。

「あの、サクソル様はあの人になんかやりました?」
「からかってた。」
「どうりでなんかよそよそしい感じだったんですね…。」
「過ぎた事だしお前に関係ないから気にするな。よし、買い物続行しようか。」
「分かりました。」

席を立ち会計を済ませ買い物を再開させる。
といってもルーターはサクソルとは違いわがままを言わないのですぐ済んでしまった。
酔い止めも一応買い効くかは分からないが飲まないよりはマシだろうという事でルーターに飲ませ帰る。





「酔い止め…効かないんじゃないですか……?」
「私は酔わないからな…。でもお前を見ると否定できない。」
「なん…クラクラする…あぁ……。」
「寝てろよもう…。」

酔い止めを飲んだにもかかわらず帰りもルーターは酔ってしまった。
その様子があまりにも見ていられないのでソファに寝かせる。
本当は布団に寝かせてやりたいのだが今は敷いていないので我慢してもらう。
私は車酔いなどは全くしない性質なのでどうすればいいのか分からないのでとりあえずゴミ箱を近くに置いておいた。

「吐きそうだったら無理しないでこれに吐いていい。なんかあったら呼べよ。」

ルーターが頷いたのを確認し買ったものを仕舞いに行った。
毎回この状態になるのであれば留守番してもらうしかないのかもしれない。
少しかわいそうだと思うがしかたないだろう。
彼は大人だし納得してくれるはずだと思いながら作業を続けた。
メンテ

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