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[3476] Differences in Peace
   
日時: 2018/10/01 13:30
名前: あづま◆8kXyVF1umQ ID:1fl2iO3A

※更新鈍足!






◎はじめに
 この小説は、私が小学校高学年〜中学二年生位の間に書いたものを
 再編集したものとなっています。
 再編集とはいっても、ころころ変わる視点を統一(三人称化)したり、発見できた誤字を
 修正する程度であり、矛盾等は修正しきれていません。
 サイトに掲載するときに更なる修正や伏線の為に完全ではありませんが書き足したりしております。

 ジャンルはおそらくファンタジーです。
 常識の無い自分勝手な人物との共同生活のような内容が主となっております。
 この物語らは時代が前後していたり、複数の舞台が出てきますが
 世界観は全て同一となっています。
 稚拙な説明で申し訳ありませんが、どうぞお付き合いください。

◎次回予告
 更新は113話まで完了。
 次回114まで予定。いつ更新できるんでしょうか。
 
◎つぶやき
 取り急ぎ一話だけ。
 無事!内定をもらえました!!2年もかかった!
 本当に面接は万死に値している。
 データが本当に見つからないんだけど、どうしよう。

◎注意
 作品の中には流血や暴力、更には殺人描写があります。
 舞台となっている世界が地球の場合は特にありませんが、それ以外の場合は注意してください。
 また、一部エロのような物もあります。
 修正こそしていますが、考えれば推測可能なので苦手な方はご了承ください。

◎サイト
ブログ
 たまに更新予定なんかが書かれています
 
◎一覧
 Strange Friends      >>1-40
  かなり適当な設定   >>41-42
 Differences in Peace  >>43-

◎絵
 レイと奏音。このコンビは動かしやすい。
 スマホでも描けるもんですね。マウスが書きやすいけど、筆圧ではこっちに軍配。
 サイズがバカデカイかも。
メンテ

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Re: Strange Friends ( No.36 )
   
日時: 2012/01/07 19:27
名前: あづま ID:OQcm08Vs

仕事を終え、家に帰れたのは九時ちょっと過ぎ。
玄関の鍵が開いているのが当たり前になっていると鞄の中に入っているそれを取り出しかけて思った。
部屋に入るとあの二人のほかに見知らぬ人物が座り何かを食べている。

「あ、お帰り。」
「お?コイツが家主サン?俺ケナベル、もう会わなイだろーけどヨロシク。」
「よろしく。なんか片言だな。それより何食ってるんだ。」
「シマウマ。コッチくる前に狩って来たンだ。うめーよ、食いタイ?内臓は俺の好物ダからアゲナイけど。」
「いや…。」
「おかげでこの部屋血だらけになったんですよ。掃除大変だった…。」

ルーターの言葉にこの部屋の惨状を想像する。
生命の特集みたいな番組でのライオンの狩りを思い出しそれを重ね合わせる。
…見られたら警察呼ばれる。

「だぁっテおめー普通に掃除してやじゃん。」
「あいかわらずだね。もう人間として暮らせばよかったんじゃない?」
「えー…。」
「ナマイキな口だナァ。よし、骨をヤろう。」

ケナベルが自分の脇に積み重ねていた骨をルーターの口に無理矢理入れる。
しかしそれは曲線を描いていて頬から突き抜けてしまった。思わず目をそらす。
だがルーターは痛みの声も上げずそれを口から引き抜いた。顔を見れば傷すら残っていない。
彼は引き抜いたそれを山のほうに投げる。カランという軽い音がした。

「うん、ゴー格!」
「はい?」
「お前もう力戻っタンだ。食いたカったんダけド残念。帰還命令ダヨ、お別れドウゾ。」
「そ、そんないきなりじゃないですか!」
「なんかコンランが起きてルンだよ、俺の責任ジャないシ。で、はいドーぞ。」

突然の宣言にルーターと顔を見合わせる。いきなりの事にお互いに戸惑いを隠せない。
サクソルといえば我関せずでありアニメを見ている。今日映画になったのをやってるのか。

「もうちょっと…いたかったんですけどね。」
「仕方ないって、仕事なんだろ?」
「でもいたいですよ。初仕事で初めて関わった人間があなたですし、色々な事を教えてくれたんですよ。」
「私も同じだよ。まだ一緒に暮らしたい。…でも、いつか別れがくることくらい…分かってたからさ……。」
「許可、取れたら…それか自由に世界を行き来できるくらい昇進したらまた、来て良いですか?」
「もちろん。…待ってるよ、いつまでも。」
「ありがとうございます。…またお会いしましょう。」

そう言ってルーターは立ち上がる。
それを見たケナベルも肉を口に詰め込み飲み込んでから彼に並び立つ。

「なんか、アッサリしてないか?」
「だってまた会えるんですから。…会いにきますからね。」
「ソウかぁ。じゃ、会える事をイノればいいんじゃねえかな。ジャネ!」

ケナベルは手を上げ、そして不思議な渦が二人を取り巻き消えた。
あまりにもあっさりとした別れに自分でも驚いた。
ただルーターは嘘をついたことがないし、どんなに時間がかかってもあえるだろうという確信がどこかにあったからだろう。
ちょうどコマーシャルになったらしくサクソルがこちらに顔を向ける。

「君の事だから泣くんじゃないかと思ってたんだけどね。」
「また会えるからな。」
「また、ねぇ…。でもあいつ頭悪いし君が死んでから会いに行くって事になるかもよ?」
「構わないさ。会えることには変わりないし。」
「また二人になっちゃったねえ。」
「いいんじゃないか?これからもよろしく。」
「うん。あ、始まった。」

コマーシャルが終わったらしく再びサクソルはテレビに視線を向けた。
私は少し遅い夕食を作りサクソルと一緒にアニメ映画を見ながら食べた。
その後二人で土産といわれたケーキを食べ、私は布団に、サクソルは時間軸に入ってった。





朝目を覚ましてから軽くシャワーを浴び準備をする。
今日は朝コンビニで買おうと冷蔵庫を見て思い、スーパーで何を買うのかも考える。
着替えも終わり後は出かけるだけとなった時サクソルが目の前に現れた。

「おはよう、朝だねぇ。」
「ああ。どうした?いつもならアニメ見てるのに。」
「今日は再放送。でも一応こっちに来てみたんだ。寂しがってるんじゃないかなって思ってね?」
「それ程でもないよ。」
「うっわ報われないなぁ。ルーターあっちで結構落ち込んでたのに。」
「だってまた会えるじゃないか。約束したんだし。」
「そう。会社遅刻するよ、行ってらっしゃい。」
「行ってきます。」

電車を待っている間に、奏音にルーターが帰ったことをメールで伝える。
すぐに返信が来てそれはとても残念がると同時に彼が帰れたことに対しての祝福だった。
あの一件以降レオンの姿は見ていないらしいが、たまに部屋がきれいになっているということも教えてくれた。
それから推測するとどうやらたまに来ているらしい。
別にあたしは気にしないんだけどねーという彼女らしい言葉でそのメールは締めくくられていた。

「相変わらずだな。」

誰に、という訳ではないが声に出してしゃべってみる。
今日も会社に行って、仕事終わらして帰ってサクソルと話して。
あいつが望めばいっしょにスーパー行ってもいいな。なんか買ってやろう。そういえばカード集めてたな。
スーパーやデパートに行く度サクソルが気に入っているアニメのカードを買っているのを思い出す。
しかも近所の子供と交換までするようになったとか言っていた。
やっぱり子供だなぁ、と思いながら会社への道を歩いていった。





「ねえ兄様、そろそろ潮時じゃないかな?」
「お前……よく出てこれるね。あんだけ騒ぎ起こしたくせに。」

白一色の世界。二人だけがそこに存在していた。黒い髪の青年と赤毛の少年。
青年は少年を兄と呼び、少年はそれに一瞬眉を顰めるがそれもすぐに消え言葉を紡ぐ。

「騒ぎって…兄様が攻撃をしなければ華凛はすぐに返すつもりだったんだよ。」
「僕が知らないと思ってる?」

少年は声を張り上げる。それは世界の隅々まで届くようなよく通る声だった。
その声に青年は目を閉じてなにも喋ろうとしない。
その無言が答えだと受け取ったのか少年は言葉を続けた。

「奏音の事だよ。彼女だけじゃなくって妹とその友人も巻き込んだよね。今あっちでは大きな戦争が起こっている。
 それに君の部下。行かせたでしょ、過去に。」
「たしかに奏音をけしかけたのは私だ。でも兄様は私が起こしたことは全て無にできる力を持っているじゃないか。
 あの世界は元々存在するはずがない世界…私達の同族が生んだといっても過言じゃない。」
「否定はしない。でももう存在しているし密接に関わりあっているんだ。お前のせいだ、デストル。」
「そうかな…。悲しいな、兄様の為を思いやった事なのに。私はいつも空回りか…変われない。」
「この世界に持ち込まれた小さなもので大きく歴史が変わるかもしれないんだ。」
「だったら、なおさら修正すればいいじゃないか。」

青年は少年から離れ何かを切るような動作をする。
するとそれに沿って色が溢れ、それは夜のネオン街だということが分かった。

「全て、ね。」

一言そう言い残し青年はネオンへと消える。
残された少年はしばらくそのままでいたがやがて輪郭が消え、あたりはただ白一色となった。
メンテ
Re: Strange Friends ( No.37 )
   
日時: 2012/01/19 07:03
名前: あづま ID:CQ5RuU2c

ルーターが元の世界に帰った次の日の朝からサクソルの姿を見ていない。
もう十月。最初はまたどこかで大きな災害が起こってしまったのだろうと考えた。
でもそれにしては時間がかかりすぎてないだろうか。
サクソルは時間を自由に移動できるようだし、一週間程度ならばどうってことはないのだが。
遅すぎる。
だが相談しようにも奏音は今修羅場らしく携帯の電源すら入れていない。
まあ二人と遊びに行ったりしていたし仕方ないかもしれない。

「竹谷、またミスあるってよ。なんか疲れてるんじゃないか?」
「マジか。っわー、ノルマ終わるかな…?」

沼川が後ろから声をかけ私に書類を渡す。
付箋を見るとなるほど、数値がずれているから計算をしなおさなければならない。
まだ残っている仕事の量とこれを考えるとこれは残業確定だ。もしかしたら泊まらなければならないかもしれない。
思わず頭を抱える。

「っていうかこんなにミスすんの初めてじゃないか?少しくらい手伝うけど。」
「いいのか?ありがとう。でもお前これ分かるか…営業じゃん。」
「営業が得意ってだけでこういうのもできるの!」

むきになったらしく先程渡された書類をなかば強奪され呆気に取られる。
そしてパソコンに向かう彼を見て心配要らなさそうだと私も仕事を続ける。
なんか帰りにお礼でもしなければなあと思いながら作業に没頭する。





「終わった終わったぁ!」
「ゴメン…お前定時で帰れただろうにこんな時間まで……。」
「いやいやまだ九時じゃん?」
「そうだけど…。」

結局沼川は私の仕事を最後まで手伝ってくれ、ノルマどころか全てが終わってしまった。
なにか奢ろうかといったが断られてしまった。そういえばこいつ金持ちの家だった。

「あぁ、ちょっと相談?があるんだけどさぁ。」
「何?オレにできる事ならやるよ。」

人も少なくなったオフィス。今は私たちを含め十人もいない。
しかも彼らは私たちから離れたところに座っているので聞かれる心配はないだろうと思い話を続ける。

「いや、サクソルの事なんだけどね?」
「…へ?」
「サクソル。ほら、ホームステイの。」
「え、お前いつの間にホームステイはじめてたの?やりたいっていうのは聞いた気がするけど。」

沼川の言葉に頭が白くなる。彼の口調はまるでサクソルを知らないみたいだ。
そんなはずはない。彼は何度か会っているし。
…洗脳が影響しているのか?

「ほら、奏音の所属してる所に行った後のケーキ屋で会ったちっちゃい子。」
「あ、奏音さんと会ったところだよな。お前にいきなり抱きついたんだよな。」
「そうそう!そん時にいたじゃん。」
「誰が?」
「サクソルが。…え、え?」
「確かに行ったけど奏音さん以外に会ってないと思うぞ。」
「はぁ?」

思わず大きな声をだしてしまいオフィスに残っていた人がこちらを向く。
突然視線が集まったので一瞬たじろぐがかまわず話を続けようとするが言葉が出てこない。
その時、子供を寝かしつけたのかもう一度夕鶴さんがやって来た。

「みんなただいまぁ。あれ、華凛ちゃんどうしたの?」
「あ、夕鶴さん…。あの、えっと……。」
「なんか、サクソル?っていう子供にオレ会った事があるらしいんですけど記憶が全くないんですよ。」
「会った事あるって!小学校の三年位で赤毛の外国人。お前日本語ペラペラな事に疑問…あ、いや…。」
「一寿君本当に覚えていないの?」
「なんか記憶の食い違いがあるみたいで。営業の後寄ったケーキ屋で会ったって言われてるんですけどそこでは
 奏音さん意外に会った覚えがなくて。ケーキ買って普通に帰ってきたはずなんですけど。」
「いやあの時は買ってくれなかったじゃないか!サクソルがお前はレオンに嫉妬してる、お前は私の事好きなんだろうって言ったら
 お前すぐ出てっちゃった…!」

私の言葉に沼川はカァッと顔が見る間に赤くなったがそれでも冷静にしようとしていた。
だが、でた声は震えていた。

「レオンって誰?お前、疲れてるんじゃない…?」
「奏音の臨時の担当。一緒に奏音に送ってもらおうってなったじゃん。確か飲み会入ったらしくて一緒じゃなかったけど。
 え…、いたよな…。サクソルも…ルーターも…みんな、いたよ、ね?」
「華凛ちゃん?」

夕鶴さんの声にそちらを振り向く。
彼女の声はとても優しく母親の声とはこのような物だと思った。
気遣い、諭してくれる。そして心から安らげるような…そんな声だった。

「華凛ちゃん。私はあなたの言っているサクソル君やルーター君に会ったことは無い。」
「知ってます…あいつらが勝手に出歩いていない限り…会っていません。」
「あなたが言うケーキ屋に行って一寿君がその子達に会ったのは八月のことよね。」
「ええ…お盆より前。」
「私が覚えている限りじゃね、その時一寿君とあなたはケーキを買ってきてくれているわ。あなたのお勧めのお店…って言ってた。」
「それ…それは…。」

違う。必死に思い出そうとして涙が出てくる。
突然の涙に二人どころかオフィスにいた人全員が驚いたようだ。
そう…確かに沼川はケーキを買ってきたことがある。でも、確かそれはサクソルが洗脳をする前…。

「それ…って沼川がT社だったかな、そこから契約とって来たときのですよ。
 夕鶴さん、確か帰っちゃった…その時、子供さんが帰ってくるからって…帰った……とき。」
「竹谷…?」

今まで傍観をしていた人たちのほうから声が上がる。
見ればそれは私の三つ上の先輩だった。

「あのさ、T社からの契約を沼川が取ってきたときも買ってきてたぞ。
 それに夕鶴先輩のいる時…編集の方に行ったときにもお前達買ってきてたはずだ。期間限定食った覚えあるし。」
「先輩…嘘言わないでくださいよ。私真剣に悩んでるんですよ?なんで冗談言うんですか?」
「竹谷…!おい、落ち着け!」
「沼川は黙って!そんな…嘘じゃない……。いた、いたんだよ。サクソルも、ルーターも、…も、いた…。
 いたのに、いた。生活してたのに!一緒だった…一緒に、生活で、それでっ!」
「華凛ちゃん落ち着いて、座りましょう?」
「そうだ…奏音、奏音に聞いて下さいよ。あいつの所にはレオンっていうデストルがいて、一緒に暮らしてて。
 でもレオンは裏切ってサクソルの弟で担当で!」
「分かったわ。じゃあ、奏音さんに連絡入れてみましょう?携帯借りるわ。」

夕鶴さんが私の鞄から携帯を出す。そして奏音に電話をかけているらしい。
電源は入れていたらしく数コールほどの時間だろう、その後すぐに話し始めた。

「そう…なんか家族?ホームステイがいるらしくて…。……あら、来てくれるの?ありがとう。待ってるわ。」
「なんですか、その喋り方……!」
「え?華凛ちゃん…?」
「サクソルもルーターも存在して無いみたいに!私が、私嘘ついてるみたいな言い方ぁっ!」
「竹谷、一回落ち着こう?奏音さん来るんだろう、そこでしっかり話そう。な?」
「私が…信用、私信用できない?信用、しん、し、よ…。」
「そんなつもりじゃ…泣くなよ……。」

どんなに冷静になろうとしても涙が後から後から流れ出てくる。
いろいろな感情が混ざり合って溢れ出て、制御できていないようなかんじで。
分からない。わからない。
メンテ
Re: Strange Friends ( No.38 )
   
日時: 2012/01/19 07:04
名前: あづま ID:CQ5RuU2c

「こんばんは…えっと、人見奏音です…。」
「奏音さんお久しぶりです。」
「あ、沼川君。そしてそっちの女の人が電話くれた方?」
「はじめまして、鏑夕鶴っていうの。ごめんなさいね、こんな時間に。」
「いーえ、仕事放り出せたんで。…婿っとこれは良くないな。華凛、大丈夫?」

入り口で挨拶をしていた奏音がこちらにやってくる。
こんな年になって思いっきり泣いてしまったので来て欲しくもない気がするがそんな事言っていられない。

「なあ…サクソルとルーター、いたよな。」
「……。」
「返事、してよ。いたじゃん。お前、サクソルのことはショタって言って気に入ってたじゃん。ゲーム機もあげてたし。
 それにルーターはルー君って呼んでアシスタントにしてた…よ。」
「ごめん…。ゲーム機はコスプレみたいに華凛に預けたし。渋々だったじゃん、あたし覚えてるよ。
 それにアシスタントは今いないよ。コミカライズはネームだけで後は他の人だから必要ないんだ…。」
「そんな…!」
「ごめんね。ごめん、でも、ダメなんだ…!」
「じゃあレオンは?ほら、津岸さん倒れて臨時で入った……。」
「…いなかったよ。レオンって…誰?」
「嘘、嘘うそ、うそ!」

レオンのこと、大切そうだった。デストルって呼んだらそれを奏音は嫌がった。

「あ、うそ。うそ、だ、うそ。」
「夕鶴さん、今日オレもう帰ります。竹谷送って行きます。」
「あ、車で来たから…送っていっても。」
「じゃ、オレも付き添うよ。一応ね。」
「うそ、いた。ルーター、サクソル、い、た。」
「華凛ちゃん家に私が泊まるわ。明日旦那休みだから大丈夫よ。」
「そうですか。ではいっしょに。」

誰かが私を支えて歩き出す。
そんな事されなくても、歩けるのに。
はなして、なんていう気力がもう、ない。





「ちょっと休もう。一眠りしてさ、落ち着いてからね。」
「奏音、嘘。だよね。いたもんね、いたよね?」
「お休み。一回、休もう。」

この部屋の主を寝かしつけるが三人は部屋の異常さに目を疑う。
子供用の服。明らかに華凛には大きすぎる男物の服。男児用・成人男性用の下着。
それも一着ではなく複数あるし、靴もこれらにあうであろう大きさのものが玄関に並べてあった。

「これ…オレよりも大きい人ですね。百八十ない位…でも確実に百七十五はある。」
「はぁ…。同じくらい…かなぁ。」
「何が?」
「いや…なんとなく。」
「これ、ひらがなとカタカナのドリルよ。しかも全部やってある。」

華凛の部屋へと上がった三人は各々見つけた品を手にとっては驚く。
この部屋にないであろうもの…少なくとも華凛が使うとは思えない物ばかりが部屋にきちんと整頓されている。
食器の類も一人暮らしとは思えないくらいの量がある。
布団も二組敷いてあり、誰かがいるであろう様子を出している。
夕鶴が手に取ったドリルを覗き込むと奏音が小さく悲鳴を上げる。

「どうしたの…。」
「っこれ、婿の…華凛の字です。全部…」
「でも奏音さん、これ文章が稚拙じゃないか。竹谷はもう成人してるぞ。小学生が書いた文みたいだ。」
「字は…ほら、このノートっと同じ。」
「本当ね…。」
「待てよ!なんだよこのノート!」
「日記…?え、なに…これ……これ…。」

ノートに書かれた文章を沼川が読み上げる。
それはこの部屋の主の日記のようだが、書かれている内容は驚くべきものだった。
表紙にNo.3と書かれたそれは、最初のほうは普通の日常を記してある。
だがある日突然少年が現れ自分は天使だと名乗る。彼は不思議な能力を持っていてそれが証明となった。
言い訳はホームステイだという事にする。
ノートは半分ほど埋まっており、その内容は全て彼女が会社で言ったものと一致していた。
三人は顔を見合わせる。

「ねえ、華凛ちゃんのご両親って……。」
「親は忙しくってあちこち飛び回ってるんです。だから華凛は施設育ちで…。」
「そうか…オレ知らなかった。」
「言いたがらないからね。…溜め込んでたのかな。」
「一寿君、明日私は彼女を病院に連れて行きます。だから明日は私も華凛ちゃんもお休みって伝えてくれないかしら。」
「分かりました。…じゃあ、帰りますんで。その、失礼します。」

静かに沼川は出て行く。後には女性二人が残った。

「多分、彼女は寂しかったんでしょうね。それで架空の家族を作った。」
「そう思います。…ずっと、いっしょだったつもりだったんだけどなぁ。あたし、駄目だなあ。」
「そんな事ないわよ。この“日記”にあなたは登場している。きっとあなたが必要だからだわ。」
「そうだと嬉しいな。とりあえず、あたしも帰ります。こっから二十分あれば着くんで何かあったら連絡ください。」
「分かったわ、おやすみなさい。」
「はい。よろしくお願いします。」

夕鶴に軽く会釈してから奏音は足早に部屋を出る。間もなく、車が走り出す音が聞こえた。
カーテンを開け夕鶴はライトが遠ざかっていくのを見送った。そして彼女は後ろめたさを感じつつも部屋の中を調べていった。
母としての勘。自分の子どもが何かを隠したりしたときに見破るそれを駆使し、一つ一つ確認していく。





夕鶴は華凛の部屋の中の物を粗方調べ終わった。終えて考えてみるとやはりあの日記が一番のようだ。
他人の日記を見ると言うのは気が引ける物だが覚悟を決め読み始める。
少年がやって来た、という日付まではいたって普通の事――夕鶴自身の記憶とも合っている。
だがその日を境に華凛とその他の人々との記憶が食い違っているようだ。
彼女の言葉と日記からは矛盾が見られなく、それはある一種の狂気を感じさせた。
その少年が現れる前の日の物も読んでみるが平凡な日常を記しただけの物である。
だからもう一度、今度は一つ一つの単語に気をつけながらその日からの日記を読み進めていく。
謎の少年が現れた日からの日記の文体が明るい。
余程同居人ができたという事が嬉しかったのだろうと感じさせられた。ふと、ある文に目がとまる。

《サクソルの能力は修正らしい。もし私とのことを修正したら時間はかかるが私も忘れるようだ。
 他の人はすぐに忘れるみたいだが。でもできれば忘れたくない。サクソルだけ覚えているのはなんか悲しい。
 ただ本人にその自覚がない。いつか忘れさせられるんだろうか。》

この日の日記はこの文でで締めくくられていた。
メンテ
Re: Strange Friends ( No.39 )
   
日時: 2012/01/19 07:06
名前: あづま ID:CQ5RuU2c

「婿、あたし今度ドラマの脚本やることになったわ。」
「本当か?じゃあサボれないな。」
「ほんとだよー。あたし二次創作だからこそ気合入れてできてたのにさぁ。」
「仕事癖つけてほしいんじゃないか?」
「うぇっ!…あー、キシからメール来ちゃった。じゃ、また来るね!」
「分かった。じゃあな。」

奏音が笑って部屋から出て行く。
あれから私は休職している。もう復帰してもいいと思っているがそれは夕鶴さんが許してくれなかった。
せめて四月からにしなさい、そう強い口調で言われてしまってはどうしようもなかった。
お金は高校からバイトをして貯めていた物を使っていたが入院などでそろそろ厳しくなってきた。
残高を眺めながらどうやりくりするかと考えているとインターホンがなる。

「あぁ。今日病院か…もういいのに。それにお前にも迷惑だろ?」
「いーよ、オレは別に。お前が大事だからね。先輩として後輩の面倒はちゃんと見ないと。」
「だから私たちは同期じゃないか。それに一人でも行けるってば。」
「でもそうしたらオレ夕鶴さんに殺されちゃうもん。」

そして沼川は笑いながら外で待っていると言って扉を閉めた。
今日は温かいとはいえまだ三月。急いで着替えを済ませ沼川の元へと行く。
そして電車に乗り病院へと向かう。

私はイマジナリーフレンドという者を持っているのではないかといわれた。
社会人になり、知り合いもほとんどいない。一人暮らしだから話をできる人もほとんどいない。
そして仕事に対してプレッシャーがかかり重度のストレスから捌け口として彼らを作ったのではないかと。
彼らが消えてしまった理由は分からないがおそらく心のどこかでこのままではいけないという気持ちがあったのではないか。
そして医者はもっと周りの人とかかわりを持って頼ればいいと言った。
事実、あれから周りの人たちにも相談をするようになったし奏音は仕事がないときは来てくれる様にもなった。
そしてそれらが当たり前になってくるともしかしたらサクソルたちは存在していなかったと思うことがある。
確かに周りの人たちには彼らの記憶はない。だが、私には記憶がまだあるし服や日用品など彼らがいた事の
証明となるものはこの家に沢山あるのだ。
だから私はこの記憶が消えてしまわない限り彼らとまた会える日々をずっと信じ続けたい。





病院からの帰り道。
もう混乱は無くなってきているがまだ注意はしたほうがいいだろうとのことだ。
入院時よく話をしていた女の人と久しぶりに会って近況を報告した。
彼女曰くもう大丈夫だろうからゆっくり日常に戻るべきだと言う。
それに彼女はサクソル達の存在を認めてくれた人なのでどうしても話しやすかった。
数十分ほど話し、仕事があると言うので別れた。
今は沼川と二人駅までの道を歩く。

「みんないたんだけどなー…。」
「まだ言ってるのかー?」
「なんでそう否定するかな。いいじゃないか、私にとっては代えの効かない大切な人達だぞ。」
「それは分かってるよ。オレがお前に会いに行っても毎回そのサクソルとルーターの話じゃん。」
「それくらい大切なんだ。っていうかこれ多分お前だから話せてるんだと思うし。」
「……。」
「沼川?」

急に黙り込んだ沼川に疑問を持ち顔を見る。
なにかまずいことを言ってしまったかと顔色を窺うが彼の表情からは何も読み取れなかった。
気まずい空気が流れたがやがて沼川が歩き出したので私もそれを追う。

「四月になったら復帰しようと思うんだけどさ、それでいいかな?」
「んー、オレは竹谷が復帰したいと思うんなら別にいいと思うんだけど。」
「そうか?でもできれば新入社員が来る前がいいな。一応私が先輩なんだし。」
「まあ戻って来たいときに来ればいいよ。お前がいないと仕事多いってぼやいてたしね。」
「そっか、じゃあ調整していく。…駅着いたな。送ってくれてありがとう。」
「おう。ゆっくりしろよ。」

駅前で沼川と別れ、ちょうど電車が来たところなので乗る。
夕方らしく、学校帰りの高校生やこれから仕事に行くだろう人達が乗っている。
開いている場所を見つけそこに座って考える。
私は会社に戻って上手く働けるんだろうか。沼川が雰囲気は変わりないといっていたが精神的にまいって入院していた私だ。
サクソル達のことは現実にあった事だと確信しているし、そうなるといろいろ問題が起こりそうだ。
色々と気を使われかえってい辛くなってしまうかもしれない。不安が胸をよぎる。
こういうのは良くない…頭では分かっているがどうしようもなかった。
会社に戻ったら起こってしまいそうな不吉な出来事が次々に浮かんでいった。
ちょうど私が降りる駅のアナウンスがされ思考を中断させられることができた。
駅を出てから家まで歩くと何か考えてしまいそうなので走って帰る。
日も暮れ始め少し肌寒いと感じたが、それでも顔に当たる風は心地よかった。





家に帰ってから適当にダンボールを取り出し彼らの物をしまっていく。
はじめは捨てるつもりでゴミ袋を持ってきたが、やはり未練というかそれに入れる事はできなかった。
なぜならルーターはいつかまた会おうと言っていた。
彼らは自分の姿は変えようと思わない限りそれ固定のようなのでこの服たちもまた使えるかもしれない。
それに、一度好きになった物は長い年月の間に薄れていってもなかなか嫌いにならない。
サクソルが好きだったアニメのグッズもダンボールに詰め込む。

「終わった。……少ないな…。」

小さいと思っていた段ボール箱一箱に彼らの物が全て入ってしまった。
一ヶ月くらいしかいなかったとはいえあまりの少なさにこちらが驚いてしまう。
もっとあると思っていたのに。
それから押入れを開けて物を全てだし、一番奥にそれを入れてしまう。
こうすればよっぽどのことがない限りこの箱は出すことができない。
それにこんなに奥にしまったのだ。出そうと思っても途中で嫌になってしまうだろう。
押入れから出した全ての物も元通りに整頓し、閉める。

「さて、ファイルでも送ってもらおうかな。」

彼らのことはもう思い出すことはあってもそれに依存することはない。
自分にそう誓い、会社に送ってもらえるかどうかメールを出してみる。
だが漏洩問題などで無理だろうというのはわかっているのでこれからを考えることにした。
メンテ
Re: Strange Friends ( No.40 )
   
日時: 2012/01/19 07:08
名前: あづま ID:CQ5RuU2c

「あの時は本当にすいません。今日から復帰します、よろしくお願いします。」

四月、私は会社への復帰を果たした。拍手で迎えられる。
結局復帰は四月の中旬となってしまいなんとなく腑に落ちなかったが。
このオフィスには新しく五人が配置され、みなが私のことを説明してくれていたらしくすごしやすかった。
ただ、一人が外国人――しかも日本語が上手なのでドキリとする。

「沼川、あの外国人って…。」
「インカリ?あいつがなんかしたのか?」
「いや…やけに日本語上手いしなんか幼い感じが…。」
「だってあいつ日本生まれの日本育ちだぜ?むしろ英語で話しかけないでくださいだってさ。
 大検受けてるから高卒みたいなもんか。」
「…未成年?」
「実際は中卒だけど大検だから高卒で採用みたいなかんじだな。酒飲めないのが残念だよ。じゃ、営業行ってきます〜。」


「華凛ちゃん、今日って夜平気かしら?」
「あ、平気ですよ。」
「よかったわ。今日新入社員の歓迎会やろうと思って。」
「そうなんですか。…あれ、やってなかったんですか?」
「みんな揃ってたほうがいいでしょ?それに華凛ちゃんの快気祝いも兼ねてるの。」
「そんな…ありがとうございます。絶対参加します。」





「それじゃあ、新入社員達はようこそ!竹谷は復帰おめでとう!乾杯〜!!」

沼川が音頭を取り、皆も乾杯した。そして改めてという事で新入社員達が挨拶をする。

「笈川友紀です。トモキじゃなくてトモノリなんで間違えないでください。そして彼女募集中です、よろしくお願いします!。」
「えー、私は澄木未希です。東舎大卒です。まだまだ未熟ですがご指導よろしくお願いします。
 トモ、彼女とか今問題なくない?」
「いーじゃない、別に。俺彼女欲しいから。ゆるがないから!」
「気にしないでくださいね、皆さん。じゃ、つぐみ。」
「はい、国崎つぐみです!未希と同じ東舎大卒です!よろしくお願いしまーす!」
「じゃあ次僕が」
「えーインカリはトリでいこーよ。」
「なんで!」
「弄られキャラだからじゃね?ホリハルどうぞー。」
「インカリごめんなー。堀田芳春です。俺は電子専門学校卒です。趣味は釣りです、よろしくお願いします。」
「え、釣り好きなの?じゃあ今度一緒に行かない?オレも釣りとか好きなんだよ。」
「本当ですか!じゃあ都合がついたときにでも!」
「おっけー。」
「お前が釣り好きなんて初耳だぞ?」
「そりゃ言ってないからな!」

楽しそうに笑う沼川に少しいらっときてメニューで軽く頭をたたく。
しかし無反応な所を見ると酒が回っているらしい。…弱かったっけ、こいつ。
まだジョッキ一杯じゃないか、と声をかけるがそれでもずっと笑っている。

「一寿君楽しそうねー。私は子どもいるから飲めないから羨ましいわ。」
「でも酔うの早すぎません?ジョッキ一杯だけですよ?」
「華凛ちゃんが酔わないんでしょうに。じゃあ、トリ行きましょう!」
「振りありがとうございます。インカリ=バネンです。前も言いましたけど日本育ちなんで英語はできません。」
「そんでもってこいつ中卒の大検なんですよ?…あれ、今年お前十九になるんだよな?なにしてたの。」
「バイトだよ。結構家計苦しかったからね。」
「へー。頭良いんだなぁ、独学だろ?というか俺が一番頭悪そうじゃね?
 未希とつぐみは東舎大だしホリハルは専門学校だし。えー…自信なくすー!」



もう時間は深夜を迎えている。
夕鶴さんは明日が早いからといって日付が変わる前に帰ってしまった。
他の人たちも酒に酔ってしまい家が近い人に強制的に帰らされる人が多かった。
私は酒に強いので基本最後まで残るのだが、つぐみちゃんは酔っ払っているが彼女は強いようでまだ平気そうだ。
残っているのも数えるほどの人数でありその人たちも十分にといっていいほど酔っ払っている。
沼川も彼の自宅に連絡をして迎えに来てもらい今しがた帰っていった。

「せぇんぱーい、お酒強いですね!私サークルで一番強かったのに負けです〜。」
「まあ一升くらい飲めるからな。」
「うわぁ〜、すっごーい!」
「大丈夫か?明日も仕事あるんだし程々にしないと二日酔いするぞ。」
「うーん、…そしたら自業自得ってことでぇ。」

へらへらと笑うつぐみちゃんにそろそろ限界を感じる。
まだ許容量ではありそうだが明日のことを考えるとこれは危険だろう。

「あの、つぐみちゃんの家知ってる人っていますか?」
「僕知ってますよ、先輩。というかつぐみの家近くなんで送っていきますか?」
「そうか?あ、そういえばお前まだ未成年だよな…なんかこんな時間まで悪いな。」
「いいえ、楽しいんでいいですよ。それにいざとなったら…あれ、先輩もしかして知りませんか?」
「何が?」

私の答えにインカリは納得したような顔をする。
それになんとなく引っかかるような物があるがなにか思い出せないので彼の言葉を待つ。

「先輩って奏音さんの友達ですよね。」
「そうだが…なんだいきなり。」
「家、奏音さんの家と大体…十五分から二十分ですよね。」
「あぁ。…なんで知ってる。」
「聞いたんですよ。」
「誰に?」

私の質問に彼はいたずらっぽく微笑む。
その理由が分からずもう一度同じ質問を彼に対してする。

「誰にでしょうね…秘密です。…つぐみと先輩ってお向かいさんですよ?今年の二月引っ越してきた人がいたでしょう?」
「あー…その時いなかったかも。」
「え、すいません。ちなみに僕は奏音さんと隣なんですよ。」
「…奏音に聞いたんだな。」
「帰ったら、分かるかもしれませんね?じゃあ僕つぐみを送っていきます。」
「そうか…私はもう少し飲んだら行くから。」
「分かりました、また明日。」

そうしてインカリ君はつぐみちゃんに肩を貸し店を出て行った。
帰り際口笛を吹かれた際には軽く笑って出て行った。…あれ、恋人同士だったのか?
まあ自分には関係ないことだと酒を飲み続ける。





家への道を歩いていると電気がついていた。今は午前三時半過ぎ。
時間こそ違うがはじめてサクソルとであった日を思い出し自然と笑みがこぼれた。

「逆パターン…か。」

あの時は奏音が逃げてきたと思ったら見知らぬ少年がいて驚かされた物だ。
だが今回はもしやと思っていたが奏音がテーブルに伏して寝ている。さすがにその体勢は辛いだろうと揺り動かすとすぐに起きた。

「婿…遅いねぇ。午前様、飲み会だぁ…お酒臭い。」
「付き合いだ、付き合い。…なんでいるんだ。また仕事貯めて逃げてきたのか?」
「まさか、今の所ちゃんとやってるよ!いやちょっとお話にね。」
「なんだ、改まって。メールでも別に。」
「まあ、ね。」

そして話をしようとするがなかなか奏音は口を開かない。
いったい何を話したいのか分からないがなにか言いづらい事なのだろうかと考えるが何も見つからない。
嬉々として自分のあれそれを話す奴になにかはばかれる事があるのだろうか。

「今…言うのもあれかもしれない。もっと早く言えば良かったかもしれないって思ってる。」
「…結婚?」

奏音は首を振る。

「ショタも、ルー君も、レオンもいたよね。」
「は?」
「覚えてるから、あたしは。」
「何言ってる…?」

訳がわからなかった。それと同時に嬉しさもこみ上げてくる。
彼らの存在を肯定されたうえに、自分以外にも知っている人がいるというのが心強かった。

「ありがとう。遅くないよ、むしろ今でよかった。」
「そう?」
「ああ。入院してるときだったらかえって辛かったかも。あ、というかお前インカリ君に話しただろ!」
「え?」
「とぼけるなって、お前の隣に住んでるって言ってたぞ。」
「…隣?あっあー、あの子か!ついついね、話しちゃったんだよ。でも次回作の案だから秘密って言ったのに…。」
「お前…!というかインカリ君もだ…なんでお前が来ること知ってるんだよ。」
「いいじゃん、あたしはフルオープン!」
「お前らしい。でもなんで?」
「覚えてる理由?…まあ、萌体験だね。ほぉら。」

そう言うと彼女のブレスレットは光を発したかと思うと彼女は手に小太刀を持っていた。
そしてそれで自分の腕を軽く斬ったかと思うと傷口に手を当てた。すると傷口は見る影もない。

「まあ、こんな風にね。これはまあお守りみたいな物よ。で、抵抗できるみたいな。」
「よく分からないが…信用できるよ。」
「よかったぁ。婿が忘れてたらどうしようかと!」
「お前の妄想で片付けただろうよ。」
「うぐっ…まぁ、あたしいっつもそうだもんね。これ言いに来ただけだから帰るよ。バイバイ。」

手を振って奏音は出て行った。そして足音が聞こえなくなる。
身近なところに不思議な力を使える人が多いな、と思いながら眠りにつく。



私は一人じゃない。
忘れない限り、また会えるかもしれない。
メンテ

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