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[3476] Differences in Peace
   
日時: 2018/10/01 13:30
名前: あづま◆8kXyVF1umQ ID:1fl2iO3A

※更新鈍足!






◎はじめに
 この小説は、私が小学校高学年〜中学二年生位の間に書いたものを
 再編集したものとなっています。
 再編集とはいっても、ころころ変わる視点を統一(三人称化)したり、発見できた誤字を
 修正する程度であり、矛盾等は修正しきれていません。
 サイトに掲載するときに更なる修正や伏線の為に完全ではありませんが書き足したりしております。

 ジャンルはおそらくファンタジーです。
 常識の無い自分勝手な人物との共同生活のような内容が主となっております。
 この物語らは時代が前後していたり、複数の舞台が出てきますが
 世界観は全て同一となっています。
 稚拙な説明で申し訳ありませんが、どうぞお付き合いください。

◎次回予告
 更新は113話まで完了。
 次回114まで予定。いつ更新できるんでしょうか。
 
◎つぶやき
 取り急ぎ一話だけ。
 無事!内定をもらえました!!2年もかかった!
 本当に面接は万死に値している。
 データが本当に見つからないんだけど、どうしよう。

◎注意
 作品の中には流血や暴力、更には殺人描写があります。
 舞台となっている世界が地球の場合は特にありませんが、それ以外の場合は注意してください。
 また、一部エロのような物もあります。
 修正こそしていますが、考えれば推測可能なので苦手な方はご了承ください。

◎サイト
ブログ
 たまに更新予定なんかが書かれています
 
◎一覧
 Strange Friends      >>1-40
  かなり適当な設定   >>41-42
 Differences in Peace  >>43-

◎絵
 レイと奏音。このコンビは動かしやすい。
 スマホでも描けるもんですね。マウスが書きやすいけど、筆圧ではこっちに軍配。
 サイズがバカデカイかも。
メンテ

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Re: Strange Friends ( No.41 )
   
日時: 2012/01/22 10:11
名前: あづま ID:VK8HM60s

見る影が無い初期設定と今現在の印象での設定
上段初期設定、矢印先現在の印象
別のシリーズでメインに登場する人達はそちらで紹介します(奏音や沼川など)



竹谷華凛
 23歳 女性
 サクソル、ルーターの居候先のコスプレイヤー
 ごく普通の人間で、ごく普通の死に方だから別に関わっても支障はないらしい
 仕事の腕はわりと優秀だが、酒乱
 実家は裕福であり一人暮らしに戸惑っている
 衣類にも気を使っており、極度の潔癖症のため奏音の家にはあまり行きたくない
                  ↓
 サクソル、ルーターの居候先の社会人
 ごく普通な人生を送るはずだったが彼等と関わってしまったため不可能になった
 仕事の腕は新入社員ながらも優秀で信頼されている
 酒には強く数人で飲み比べをして負かしたが、許容量を超えるといきなり倒れるので心配されている
 両親が転勤族のため施設暮らし、一人暮らしも普通にこなしている
 衣類は動きやすさ重視でありジャージで過ごすことが多いため持っている服は少ない


サクソル
 10代前半の男の姿をしている
 デストルとは兄弟のような関係
 監視と修正の能力を持っており、それを良い事に他の世界に介入しまくっている
 エクリエルの目付け役であり、暴走を止めたのは彼
 その後地球に積極的に関わるようになった
 主至上主義であり、それに逆らうものには容赦はしない
                  ↓
 10歳に満たない赤毛の男児の姿をしている
 デストルの兄であり、彼に対するモノは複雑
 歴史の修正の能力を持ち、興味を持てばその現場に行き修正するが普段は自分の時間軸で行っている
 時間の感覚はあまり無くその場にある時計を見て確認している事が多い
 彼のほかにも少し歴史の修正を担当するものがいるが仕事の雑さを愚痴っている
 主至上主義で、そのためなら何もかも忘れる


ルーター
 20代前半の男性に憑依している
 口が悪く、それによって誤解を与える事が多く妙に気にかけている
 下っ端ではあるものの上官から直接任務を言い渡される位には信頼が高い
 適当に憑依したため戸籍は外国に存在しておりそれの解決に苦労している
 特にビザが悩みの種
 仕事こそ出来るものの爪が甘くチームプレイで無い限り何かしら失敗する
                  ↓
 20代前半の黒髪の男性の姿でありこれで実体化している
 丁寧な口調を心がけており常に敬語
 剣の腕こそ評価されているが肝心な所で失敗する為相殺されている
 しかし頭脳自体はよく、簡単な本などは読めるようになった
 ある程度の一般常識は心得ているため働かないのを苦しく思っている
 立場上弱い故か、サクソルに八つ当たりされる事が多い


レオン=フレスキ
 25歳 男性
 ヨーロッパからの留学生であり、普段は編集社でアルバイトしている
 日本語もそれで勉強している
 デストルに目を付けられ精神を乗っ取られた
 だが、勤務態度は変わらなかったため誰にも怪しまれる事は無かった
 最後、精神を開放されたときは記憶の混在に混乱していた
                  ↓
 デストルが奏音と接触するために使用した偽名
 そのため姿かたちはデストルそのまま
 妙にたどたどしい日本語と弱気な演技をしている
 編集長を洗脳し社会に溶け込んだ


デストル
 男児の姿をしている
 元は文明を与える能力を持っていたが追放された為それは無い
 主によって初めに作られた存在であり、自分以外の生命体を下に見ている
 与えるはずの文明をおかしくしたりしており、その態度により付近にいた生命体もろとも追放された
 憑依する事により他の世界に関わっている
 グリーネルの事は攻撃できないため快く思ってはいないがなんだかんだ世話をしている
                  ↓
 20代前半の男性の実体を持ち、性格は割りと穏やか
 試練を与える能力を持っている
 サクソルの次に作られた存在のため彼を兄と呼び慕っている
 主の世界に興味を持った事により追放され、その後は魂の牢獄の主となる
 時空に裂け目を作り他の世界に関わっている
 共に追放された仲間については悼んでおり、生き残りともいえるグリーネルとは行動を共にする事が多い


グリーネル
 10代中ごろの男性の姿
 光によって相手をかく乱し場を乱すことを気に入っている
 はきはきとした少年で、あまり悩む事は無い
 彼自身は追放された訳ではないが気分で魂の牢獄で暮らしている
 人間界にも積極的に関わっており、特に学校で幽霊のような事をする
 デストルには度々攻撃されるがその度に実態を消し彼をイラつかせている
                  ↓
 10代前半の男性の姿をしているが外見は中性的
 光がある所から空間を移動する能力を持つ
 ぼそぼそと喋る消極的な性格だが一度火がつくと笑いながら行為を行う
 彼自身は追放されていないが、デストルと共に存在する事を選んだ
 魂の牢獄ではNo.2となっているが普段は空を見たり子供たちと遊んでいる
 魂の牢獄に来る前は他の世界に関わる事を夢見ていた
メンテ
Re: Strange Friends ( No.42 )
   
日時: 2012/03/11 18:52
名前: あづま ID:jhZGYGUs

世界観とか用語とか

舞台
 ・地球
  2054年8月前半〜2055年4月の2週目位
  日本の少し過疎化が進んでいる辺りで、最寄りのスーパーなども十分ほど歩く
  近くには小学校〜大学までの一貫校がある(転入・転出可)

 ・主の世界
  歴史の監視を行っている以外は特に何もしていない
  執行部隊も普段はこれといった訓練はしておらず皆だらけている
  堕落しており、それを取り締まる者もあまりいない

 ・魂の牢獄
  存在するものはデストル(とグリーネル)を除き皆子供の状態
  やって来ている時代も国も様々なため衝突は絶えない
  ただあまり他の生命体が来る事は無いため団結力は高い

用語
 ・天使/堕天使/悪魔
  サクソルが自分の存在を説明するために無理矢理当てはめた言葉
  天使は主の世界にいる状態で、肉体の有無や外見を変化させられる
  堕天使はなにか任務があり肉体を持ち行動するため姿は変えられない
  悪魔は追放された存在で肉体を持つ
  これらは共通して魔力のようなものを使える
  肉体を持つ二つは異常に生命力が強く不老だが不死ではない、そして疲労もある

 ・修正
  サクソルの能力であり人の記憶のコントロールや土地の修復など
  特に歴史に関わった者の記憶は消される
  深く関わった者ほど記憶の修正は困難なため時間がかかる
  ただ、あくまで消す事が主なので対象はなんの関わりも無いものに
  謎の安心感を持ったりという妙な感覚が残ったりするのが難点

 ・DVD
  10話にて華凛とサクソルが見ていたホラーとグロのもの
  わりと人気があり、スピンオフとして過去編も製作された
  友情物のように見せているが実は違う
  この作品で死んでしまった主人公に対して友情を感じていた人物は実は片道の思い
  愛憎入り混じった復讐劇のような内容だったのが過去編で明らかになっている

 ・執行隊/執行者
  執行者は上記の堕天使と同義で、それの集まりが執行隊
  宣言をした段階で肉体を持ち、所持する命令書には紋様が浮かび上がる
  これを達成しない限り元の世界には戻れない
  また、肉体を持つというのは有利な条件の大半を失う事になるので危険

 ・放棄者
  上記の執行者が任務を怠るとこれに当てはまる
  この場合別の執行者がこれを捕獲し、残った任務は別の者が引き継ぐ
  捕獲されたものは常習の場合存在をリセットされる事もある

 ・連絡機
  色と数字のボタンを押し衝撃を与えると設定した場所に繋がる仕組みのもの
  タンス等、間違って使用する事が少ない場所に設定される事がほとんど
  この話の年代から7〜8世代後の発明


カットした話
 たいていは長かったりネタがネタだと削除してます。
 一応、番外編としてホームページに載せる予定ではいますが。
 ちなみにタイトルは今テキトーに付けています。
 
・時間の価値観(ホームページで公開済み)
  10話最後〜11話冒頭の間
  「マスターと話してたら君を忘れてた」でサクソルと衝突
  カット理由は話の必要性がわからなかったため。

 ・人間の生活
  13話終了後、基本的な生活をルーターに教える
  風呂やらトイレやら。
  カット理由は発言がモロ、性ネタ。

 ・大食いツアー
  18話休憩中のスペシャルパフェから
  サクソルの甘味、華凛の家計、ルーターの休憩の利害一致にて
  カット理由は食べるのに7時間ほどかけているのに遊園地まで行く。ハイスケジュール。

 ・貴方と初交流
  19話で助けた女性とルーターのデート
  それを影からビデオカメラ片手に尾行する華凛とサクソル
  カット理由はやっぱり性的な…orz

・身辺チェック
 21話華凛帰宅前、ルーターと奏音
 不審者とルー子(女装シャメ)をネタにからかわれる
 カット理由は必要性を感じなかったため

 ・子供と遊ぼう
  近所の子供たちとサクソルが遊ぶ話
  ただ、毎回修正しているためはじめましてから始まる日常
  カット理由はなんか鬱でこの話に合わなさそうだと思った為

・第X次原稿戦争
 奏音が担当(津岸とレオン)から逃げる話で津岸家登場
 ケーキを対価に華凛、サクソル、ルーターで逃亡
 カット理由はサクソルとレオン(デストル)の接触があったため。
メンテ
Re: Differences in Peace ( No.43 )
   
日時: 2012/01/25 17:27
名前: あづま ID:Ees/k.XA

「吹奏楽部かぁ…入ればよかったかな。」
「まだ言ってんの?いいじゃん、一年なのにレギュラーでしょ?」
「女子部員が少ないからね…やっと団体戦出られるくらいだもん。柔道辛い…やだー。」
「でも自分の意思で入ったんだから文句言わない。なんなら転部すれば?」
「いいよ…なんだかんだで好きだし。はやくジュース買いに行こうよ、喉渇いたぁ…。」
「だったら財布は持ち歩きなって。」

吹奏楽部が奏でる曲が聞こえる廊下を二人の女子生徒が歩いている。
一人は道着をぶら下げジャージ姿であり、もう一人はバスケットボールのユニフォームを着ている。
四階のとある教室に入り、ジャージの女子生徒がリュックの中を探る。
しかしなかなか見つからないようでもう一人が手伝いに行こうと一歩踏み出したときバタバタと足音が聞こえた。

「かーなみー!!」
「うわっ!」

カナミと呼ばれた女子生徒は慌てて教壇の上に乗ると走ってきた女は机にぶつかりそれらを倒した。
痛そうなうめき声を上げる女にあきれたように言う。

「姉ちゃん…仕事は?今山場じゃないっけ。」
「うわぁ、奏美ってばお姉ちゃんを机に激突させといて謝罪もないんだ!?」
「だったら普通に来ればいいじゃん。想良もさぁ、のんきに財布探してないでこれなんとかしてよ。」
「これ呼ばわり!」
「奏音さんお久しぶりです。」
「想良!空気読んでって!お久しぶりって…。」
「あ、財布あった。飲みもの買いにいこう。んで帰ろう。」
「ウチ着替えないと…。」

しかし奏美の言葉を聞いていなかったのか想良はリュックを背負いそのまま教室を出て行こうとする。
しかしそれに制止の声をかけたのは奏音だった。

「待って待って!あたしがなんでこんなクソ暑い時に冷房がない学校に来てるか分かってる?!」
「奏音さんのことだから仕事投げ出してきたんでしょ。」
「姉ちゃん…。」
「違うよ!今は担当が臨時だから仕事少なめにしてもらってるの。
 あたしがこんな暑い地獄に来たのはその担当君に息抜きにココ行ったらどうだって言われたからだよ。」
「姉ちゃん、それ厄介払いって言うんじゃない?邪魔なんだって、なにやってるの。」
「何って…何、かな?人権は侵害してないと思う。」
「それで奏音さんは何しに来たの?」
「あぁ、それなんだけどさ。ここに鏡ってある?なんかそこで分かるよーって言われたんだよ。長期休暇ですってさ。」
「鏡?想良知ってる?」
「一階の職員玄関のとこかな。とりあえず飲みもの買おう…干からびる。」
「あら…じゃああたしが奢ろう!お金なら今のところ平気だからね。」

そして奏音を先頭に階段を下りていく。
途中奏音の携帯にメールの着信があり、彼女はそれを見た瞬間電源を切った。
奏美はそれを見て担当――おそらく臨時のほうではなくていつもの方からのメールだろうと推測した。
そして自動販売機の前を想良と奏音は五分ほど占領し、奏美はその間に着替えを終えユニフォームを小脇に抱える。

「いいんですかー、こんなに!」
「いいのいいの!お金は萌の為に使ってこそその価値があるからね!」
「姉ちゃん…。」
「じゃほら案内案内!長期休暇なんて幸せすぎてニートだわ。」
「働いてよ。」
「じゃあ鏡こっちですー。」

今度は想良が先頭になり、廊下の端の職員玄関を目指す。
やがて鏡の前に着くが、何も起こらない。
奏音は鏡を軽くたたいたりするが反応は全くなく、三人を映しているだけだった。

「なにこれ…なんにも起こらない。」
「やっぱり厄介払いだったんだよ…。担当でも仕事はちゃんとあるでしょ。
 大方仕事のモデルとか言ってセクハラまがいの作業妨害してるんじゃない?否定できる?」
「失礼な!ちゃんと意思確認してるよ。レオンはちゃんと受け入れてくれてるから。」
「奏音さん…外国人なら日本語分からなくてそうなってるのかも。」
「ちゃんと喋ってるってば!なんで十歳位違うのにこんなに正論で攻撃されてんの……。帰ろ…なんか萎えた。」

奏音は今来た道を戻ろうと振り返り、後の二人もそれに従った。
その時強い風が吹きぬけ、思わず目を閉じる。

「風強いね。人見姉妹大丈夫?」
「平気平気。これくらいで飛んでかないよ。あ、でも婿なら飛びそう。」
「……。」
「奏美?」
「ねえ、なんで風吹いたの?」
「どうしたのさぁ。なんだろ、春一番的ななんかじゃない?今夏だけど。」
「ここ、窓ないよ…。玄関、今閉まってるし。」
「あ、そういえ、?!」

一番後ろにいた想良の事を何かが掴んでいる。
それはよく見ると鏡から出ている手のような物であり、突然のことに姉妹は固まる。
その一瞬で想良の体は鏡に引きずり込まれそうになった。
慌てて二人が彼女の手を掴むも、想良の体を掴んでいた何かが増え三人を飲み込んでしまった。
鏡は、何事も無かったかのように八月の光を照らしていた。





なにかが顔に当たり、目を覚ましたのは奏美だった。
近くには自分の姉の奏音と友人の想良が倒れていて、息を確認する。

「寝てるの…?あれ、どこ…ここ。」

奏美は辺りを見回すがそこは見たことがないところだった。
辺りは木々で覆われ、一面が緑だった。
なにをするべきか彼女は思いつかなかったので二人を起こす。

「あれっ…なにココ?」
「ウチも分かんないよ。起きたらここだった。」
「眠い…奏美、なんかあったら起こしてよ。」
「どうしてそんなにマイペースなんだよ!すこしは慌てろって!」
「時代劇みたいだね…曲者ーッ!」

リュックから折りたたみ傘を出した想良が奏美にそれで切りかかる真似をする。
しかしそれは未遂に終わった。
なぜならば折り畳み傘が氷づき、パァンと音を立てて砕け散ったからだ。
三人は突然のことに顔を見合わせ、傘を壊した人間を見る。

「ねぇ、あんた達…ここじゃ見ない顔だよねぇ。何者だい?俺ぁ女でも容赦しねえよ?」
「何者って?それって…え?」

突然現れた人はどこからともなく剣を取り出し構える。
三人か何か動きを示したら即飛び掛ってくるだろうと誰しもが予想した。

「とぼけようたって無駄だよ。まあ、見たところあんたら女みたいだし俺は男だ。力関係は分かるよな?ん?」
「はああ?!え、男!君男だったの、まじでえっ!」
「なっ!」
「奏音さん…分かるじゃん普通。声からして男でしょ。」
「うそー…ありがとうレオン…元は取れた。」
「なに話してんだよ。いいのかい、お仲間の危機だけど?」
「え。」
「あぁ、奏美!」

不思議な男の言葉にそちらを見ると奏美がその男に喉元に小刀を当てられて動けなくなっていた。
想良は人質だと言うことが一瞬で分かり、両手を挙げる。
しかし、もう一人は格が違った。

「やっぱあんた女じゃないの?奏美のほうが背高いんだけど!」
「姉ちゃん…それ今問題じゃないって。」
「だってマジじゃん。それにアイシャドウしてるよこの人!声はまあ低めだけどやってけるってば。」
「そう?そりゃありがたいね。」
「あなたも納得しないで!良いわけ?女っぽいって言われてんだよ!」
「職業柄女に変装しなきゃなんねぇ事もあるのさ。だから別に気にしねえよ。別に、な。
 なんか抜かれちまったなぁ…というか反応を見るにあの曲者ってのもまぐれだったみたいだねぇ。」
「遊んでたから…。」
「じゃ、あれかい?この世界のことはまるっきり知らない?」
「知らないけど萌はどの世界でも共通だと思いました。」
「これの言うことは気にしないでください。妹として謝る…。まあ、目が覚めたらここにいたから全く知らないよ。」
「…信用するよ?まあ、嘘だったら拷問は必須だからな?じゃあ、ついといで。」

そして彼は小刀を消し、歩き始める。
だが三人がまだ顔を見合わせてるのを見るとため息を一つ吐いた。

「じゃ、こうしようか。追って来な、あんたの姉貴が人質だよ。」
「え、ちょあたし重いよ…。」

男は奏音を抱え走っていってしまう。
これに二人は驚いたが、連れ去られては困るので必死に後を追った。
メンテ
Re: Differences in Peace ( No.44 )
   
日時: 2012/01/25 17:41
名前: あづま ID:Ees/k.XA

想良と奏美は謎の男に連れて行かれた奏音を追って走っていた。
といっても男ははぐれさせる気はないらしく途中途中に氷の塊が道しるべとして落ちていた。
それを見失わないようにしながら走り続ける。

「わき腹痛いー…。奏美は平気?」
「ウチは全然。バスケはずっと走るしそれでかな?」
「いいなぁ。あ、氷。でもさ、あの人はどうやって刀とか出したのかな。」
「それが全く分からないんだよ。首に当てられたときも肩に手を置かれたと思ったら急にだったから。」
「手品師かな?」
「まあ、そんな穏やかな物じゃないだろうけどね。」

奏美が言うと想良も頷く。
そして走り続けると小高い丘の上に出た。そこから見下ろすと家があり集落のようであった。
そして今二人が立っている場所から少し離れたところに大きめな家が見える。
奏美は姉がそこにいるだろうと目星をつけ走り出した。想良もそれに続く。

「おじゃましまっ…!」
「あ、奏美ー。本当だね、男だったよ。」
「間違えました。すいません、以後気をつけますね。」
「っはぁ…奏美、走るの速い…、なにやってんの。」
「いや間違って違う人の家入ったみたいで。行こう、あの男の人探そう。」
「なにやってんのさ!この状況にあんた達はどうも思わないってのかい?」
「あぁ〜…今ウチ現実から逃げ出したい。」
「現実逃避はいいぞ〜。ま、入りなよ。そんでその辺座ってー。」
「だから!あんたは人質だっただろ?なんで指示してんのさ?訳分からないよ。」
「奏音さん適応力高いねぇ。」
「あぁもう!エド!さっさと下りてきて助けてくれよ、女はあんたの大好物だろ!」

男が叫ぶと上から間延びした違う男の声が聞こえた。そして下へ下りてくる音もする。
そして現れたのはがっしりとした体型の男で、眠そうにしている。
それから奏音と男のほうを見て、想良と奏美を見ると面倒くさそうにいった。

「彼女か?三人も連れてきちゃって…俺は夜出かけるからそん時な、そん時。」
「また女か!それにこいつは彼女な訳ないだろう、こんな激しい女お断りだよ!」
「俺は積極的なの好きだよ。レイ、その女いらないんだったら俺に頂戴。」
「やるからとりあえずこいつ引き離しとくれ!」
「おうー。はい、お嬢さんうちの弟から離れて。」
「うーん、結構好きだったんだけどね。でもお兄さんもなかなか良い体だ、あたしも好みだよ。」
「本当か!ありがとう、今度遊ぼうな。」
「疲れた…。あぁ、あんたらは座って。紹介させてもらうからさ。」

レイと呼ばれた男が想良と奏美を案内する。
途中、奏音に無理矢理取られた上着を奪い返し一発殴るのも忘れなかった。
あまりに痛かったのだろう、奏音は抗議の声をあげるが気遣ったのはエドだけだった。

「エド、そいつをできるだけ俺に離れたところにおいてくれ。あとこいつらの面倒見るから部屋もね。」
「いいのかー、彼女物扱いじゃん。だから女が寄ってこないんだよ。」
「え、じゃあまさか男が寄って?」
「黙れクソ女ァ!」
「ちょ、いきなり性格変わったよ?」
「レイさん図星?そういう風にすぐ怒るのって女っぽいよね。奏美はどう思う?」
「想良…言っちゃいけないことが。」
「…エド、紹介はあんたがして。俺は少し休むから。」
「そうか!誤解が生まれてても怒るなよ。」

レイは一同をキッと睨んだ後エドが下りてきた階段を上って上に消えた。
そして力任せに扉を閉めた音が響き彼の怒りが伝わってくる。
しかしエドはそんなことが起こったとは思えないような雰囲気で話を始める。

「俺はエド、ここの長男で家主。敬語は要らないよ。で、いま上がっていったのがレイっていう俺の弟。まあ女々しいのは同意。」
「あー怒ってません?」
「奏美だっけ?まあ怒ってるだろうけどきにしないでいいよ。仕事終わったばっかりで機嫌悪いから。」
「なんか逆じゃね?あたし仕事終わるとむしろ嬉しくて無敵になった気分になるけど。」
「でもそれは次の仕事が来ることじゃん。だからっしょ。で、今いないのがアリーとマティーの双子でこれも俺の下ね。
 あ、マティーはここに来ないか。それとアリーの友達のアル。めったに来ないけどダイアナ先生。これかな。」
「分かった。こっちも自己紹介するべきかな?」
「そうだね、一応してもらおうかな。名前だけなら分かったけど。」
「じゃあ私から。千石想良。家事は任せて欲しいな。」
「人見奏美。これの妹。…おいて貰っていいの?」
「別に?部屋あるしレイがいいって言ったんだし良いんじゃない?アリーはなんだかんだでいいって言うだろうし。」
「そう…。」
「なぁんかしめっぽいね。あたしは人見奏音二十二歳の独身!突然だけど弟さんを嫁にください。」

奏音の発言に周りの空気が固まる。
奏美は頭を抱えているし、想良は意味を理解できていないようだ。
エドは突然の申し入れに戸惑ったような顔をしているが、決心したようにこう言った。

「あいつは男で君は女だよ。」
「分かってるよ?」
「じゃなんで嫁なの?婿なら分かるけどさ…というより住む世界が違うから無理じゃないかな。」
「婿はもういるからね。」
「姉ちゃん、華凛さんは女でしょ。それに女友達って毎回訂正されてるじゃん。」
「でもいいんじゃない?本当に好きなら全然。」
「うわあぁ〜ありがとう想良ちゃん、あなたが理解者よ!という訳で嫁にください。そしてお兄さんも嫁に来てください。」
「なんか分かんないなぁ。でもあいつが折れたらいいんじゃないか?
 ちなみに俺は悪いけどパス。結婚したら自由に女に会えなくなるじゃん。一人の妻より百人の…ってね。」
「うわお、真理聞いた気がする。そして心から共感してしまった!じゃあお友達で!」
「よろしく!」

そして二人は硬く手を握り合った。
奏音の性格を知っている妹はここでなにが行われたのかを理解しテーブルに伏す。
想良は何が行われたのか理解できなかったらしくエドに質問した。

「あの、あなた達の仕事って?レイさんはあまり好きじゃなさそうだけど。」
「知ってどうするんだ?まあいいか。俺はたまに力仕事。レイは潜入かな、女の格好したりするから女っぽいって言わないほういいよ。
 アリーは暗殺かな。アルは撹乱とかやってる。でも仕事自体めったにないからね、普段はここで自給自足。」
「まじか。これは嫁に貰うしかない。」
「姉ちゃんのなにがそんなに反応してるの…。」
「センサー、それにあたしなら養える。彼らのためなら真面目に仕事ができる。」
「こんな姉ですがよろしくお願いします…。」
「あれ、奏美いいの?一番反対しそうだと思ったのに。」
「なんか分からない事しかないから。それに拠点を持てるのはいいことだと思うよ。」

意外だな…エドは思った。奏美というのは案外、仕事に向いているのかもしれない―――
住む所が見つかったという安心感からか三人で嬉しそうに話し続けている彼女らを観察する。
想良は頼りなさそうな外見だがうっすらと筋肉がついてきている。体術に向いていそうだ。
奏美は背が高く、全体的に引き締まっている。足の筋肉から見て瞬発力がのぞめるだろう。
奏音はどうだ…?こちらは妹とは違って全体的にふっくらとしている……。
三人が三人、別の方面で活躍できそうだとエドは思った。

「話してるところ悪いけどさ、このあたりちょっと案内していいだろうか。分からない所は聞いてくれていいんだが
 基本的なことはみなに教えておきたいんだ。」
「いいよ、ウチら世話になる身だから。」
「うん。エドさんのお好きにー。」
「分かった。奏音は?」
「いや、あたしもいいのよ。ただレイ君は?」
「篭っちゃったからなぁ…ま、置いていっていいよ。じゃ、案内するからな。」





一同は丘から下におり、集落へとやって来た。
ここは数十の世帯からなっており、皆戦闘の訓練を受けているのだと言う。
想良は小さな子供達とすでに打ち解けて遠くで遊んでいる。

「そうだ、どこに住んでる、とかは言わないでくれ。聞かれたら…そうだな、山越えてきたみたいな感じで。
 親が厳しいからお忍びとかでもいいや。ただあの家に住んでるとだけは言わないように。」
「なんで?ウチらが住んでるとまずいの?」
「まぁ…色々?」
「つうことはなに?忍びの隠れ里的に考えれば言い訳?」
「姉ちゃん、意味わからない。もしここが忍びの里だったらそうそう案内しないって。ウチらスパイかもしれないじゃん。」
「奏美だったかな、やっぱり向いてるだろう。」
「へっ?」

エドの言葉に奏美が驚いた声をあげた。だが、言葉を発した本人はただ微笑んでいるだけである。
訳が分からないという風に首を振った奏美は走っていった友人のほうを見た。
その瞬間―――

「!!」
「やっぱり…向いてるんだな。先生が喜ぶよ。」
「うわぁあああぁぁっ!!」
「なんで姉ちゃんが一番驚いてんの。」
「なにやってんのー?」
メンテ
Re: Differences in Peace ( No.45 )
   
日時: 2012/01/31 09:33
名前: あづま ID:ZSjGXMiM

エドは彼女らの反応を見て笑いながらスピアを持ち直した。
奏音の叫び声を聞いて戻ってきた想良もそれを見て足を止める。

「ごめん。まさかこんなに驚かれるとはなぁ…。」
「驚くって!なんでいきなり槍向けられなきゃいけないの、避けられなかったら怪我してたわ。」
「あぁあたしが一番びっくりした…心臓が鼻から出るかと思った…。」
「奏音さん普通口からじゃない?エドさんもなんで奏美に槍向けたの?」
「反射を見たくて。」

そう言ってからスピアを消してエドは歩き出した。
三人もそれについて行くが、エドがスピアを消した瞬間に顔を見合わせる。
それはあまりにも突然で、レイが奏美を人質にとったときのことを思い出させた。
突然武器を出し、突然それを消す。
今まで自分達が生きてきた中でのことでは説明できないことが起こっているのだけが理解できた。

「で、ここが川。飲み水とかもここから取るから体洗うときは今きた方からにしてくれ。」
「ん?あれ、風呂ないの?あたし風呂が好きなんだけど。」
「まあ仕事なければ入れるんだけどな。あるときは水かぶって終わりだったりするし、我慢だな!」
「えー…でも今は平気だけど冬は流石にこれは辛いよ。」
「想良にウチも賛成。せめて冬は温かいのじゃないと逆に毒だよ。」
「あたしはいいや…合わせるよ。」
「姉ちゃんいつか黴るよ。ただでさえ家がゴミなのに。」
「レオンが来てから少しきれいになったもん!」
「奏音さんが片付けたわけじゃないんだ。」
「君たち賑やかだなぁ。まあ水浴びで嫌なんだったらいろいろ教えるから自分でお湯作ればいい。
 アリーに聞けば一番いいんだけど…あと何日くらいかな。」
「そういえば仕事ってどの位やっているの?」
「あー、それ。それ聞かれるか…。教えていいのかなぁ……?」

そう言ってエドは考え込んでしまったようで無言で歩き始める。
遅れてはいけないと三人も後を追っていった。





「レイー、レェーイー!!」
「…あの?」
「三人は座ってて、ちょっとレイー?寝たのかぁー?」

彼らの家、そして三人のここでの拠点となった場所に帰ってくるとエドは三人を座らせてから上へといってしまった。
ギシギシと床がきしむ音とレイに呼びかける声がうっすらと聞こえてくるがそのほかには何も聞こえない。
三人はこの間にある程度の整理を始めた。

「ここは見た事無い物ばっかりだったよ。小さい子でも武器を持ってた。」
「でもなんていうか…ウチらが見た限りアジア系…っていうのかな。そういう人が少なくなかった?」
「うん、ほとんど白人か黒人って感じだった。奏音さんは気づいたことある?」
「…イケメンが多い。」
「姉ちゃんそこ問題じゃないよ。イケメンは今忘れてって。」
「じゃあ露出度が高い!老若男女問わず…あれ?お年寄りいなくない?」
「あ、そういえば…年いってる人でも四十…五十くらいだったね。」
「平均寿命が短いのかもね。ほら、武器を持ってるって事は戦うわけだし老衰で死ぬ前に殺されちゃうとか。」
「想良ちゃんけっこう言うね…。でも当たりかも。」

だがここまでで彼女らの考えは途絶えてしまった。
集落の人々と触れ合った時間はほんのわずかであり、表面しか見れていないだろう。
なにかここについて知れることは、と考えるが彼女らには何も浮かばなかった。

「もうあれでいい、トリップでいいよ。」
「トリップ?」
「なんか異世界に行っちゃう奴。でもあたしが知ってるどの媒体でも最終的に帰れるし楽観的に行こうよ。」
「そんな非現実的な…って言いたいけど実際起こってるんだよね。姉ちゃんに賛成。」
「私も姉妹に賛成。確かに氷だしたりしてる時点で変だとは思ったし。」
「何、なんか話してたか?」
「エド!どうしたの、いなくなったと思ったら。」
「あぁ、説明はやっぱりレイに任せるべきだと思ってな!」

エドが体を横にずらすとその影からレイが気まずそうに顔を覗かせた。
彼はしばらく視線を合わせようとしなかったが息を吐いてから話を始めた。

「さっきは悪かったよ。いきなり怒鳴ったりしちまって。」
「そんな、姉が余計なことばっかり言うから!気にしないでください、むしろこちらが謝らなければ…!」
「エドに聞いたとおり面白いお嬢さん達だね。まあ、あんたらは今日からここで生活するんだ、遠慮はいらねえ。」
「じゃあ夜お邪魔していいっすか?言われたからにはあたし遠慮しなあっ!」

奏音が途中で言葉を切ったことに疑問を持ち奏美が姉を見ると彼女は口を押さえている。
その手を無理矢理どけるとばらばらと氷塊がテーブルに散らばった。
想良と奏美が顔を上げるとレイが無表情で奏音を見ている。
それに彼女らは恐怖を感じた。エドは二人の感情を悟ったらしく苦笑いしてからレイの肩に手を置く。

「まあまあ、奏音も悪気があって言った訳ではないだろう。レイもいちいち怒らない。大人気ないぞ?」
「だからといってやっていいことと悪いことがあるだろう!?」
「まだ彼女はやっていないし言っただけじゃないか。それに夜に部屋に来るということ以外言っていないぞ。
 なに想像したんだ?やっぱり嫁貰えば?」
「う、っとにかく!俺の部屋には許可無しに来るんじゃあないよ、いいね!」
「はい…まあ用がない限り伺わないようにします…ね、想良。」
「うん。女が行くといろいろあれなんだろうからねぇ。…ここ女っ気ないね。」
「想良……ここは、そういうあれじゃあ…。」
「いいよ、あんたが常識人ってことが救いさ…。それで説明なんだけどあんたらは地球から来たってことでいいかい?」

予想していた質問とはかけ離れていた為三人は返事をするのがおくれた。

「ええ…でもそこは普通日本か、とかじゃないんですか?地球って規模広すぎ…というかここ地球ですよね。」
「残念だけど、地球じゃないんだ。まあ、地球から移動して来た人の末裔が俺らだけど。」

エドの言葉に声を失った。
いつのまにか日本はおろか地球の外に出てしまっている…その事実にただ三人は圧倒された。
しばらく沈黙が続いたが、レイがそれを破った。

「まあ、驚くのも無理は無いだろうよ。俺はこっちで生まれたからこれが常識だが向こうの人たちはみんな驚くって言うからね。
 ちょくちょく地球からもお客さんが来るんだ。本家に行けば資料もあるんだろうけど。」
「そう…ですか。」
「ゆっくり慣れりゃあいいさ、時間は死ぬまであるんだしよ。ただな、こっちに来る人間には共通点がある。」

レイが三人の顔を順番に見ていった。

「昔々、創成期の人々なら何も使わないで自由にできたんだが…時代だね。あんたらに俺は武器をあてただろう?
 それについてなんか疑問に思ったりしなかったかい?」
「ああ、それならなんで突然出てくるのかなとかなんでいきなり氷が出てくるのかとか。」
「上出来。…なんかむず痒いなぁ、敬語は無しでいいよ。とにかくだ、それの秘密はこれ。たださわんじゃねえよ。」

レイはそういってブレスレットを外しテーブルに置く。
それは一見なんの変哲も無いブレスレットで窓からの光を受けてちりばめられた宝石が光っている。
エドも弟に促され腕輪をブレスレットの隣に置く。それもきれいな細工がされていたが特に変わったところは見られなかった。

「きれいなのは分かるけど…それが不思議な能力と何の関係が……?」
「もう戻していい?ずっと外してると不安なんだが。」
「ああ、いいよ。で、こいつはいわゆる補助具だ。力を集めたり、強すぎる場合は押さえたり…だな。
 詳しい原理は俺は知らねえ。補助具無しでもいいんだがそうすると自分の力だけでやらなきゃなんねえから限界も早い。」
「ふうん、便利なんだね。」
「まあな。そこでテストだ。お前ら全員、これを使えるかどうか明日の朝試験する。使えなかったらお荷物さ。
 一応…指輪でいいか、これをやるから外で練習しておくんだよ。」

レイは腰の袋から指輪を取り出し三人に見せてからテーブルに置く。
各々指にはめたのを見て、彼は頷いた。

「うん、サイズも合ったみたいで安心したよ。」
「なんかこいつ出てこないと思ったらさぁ、これ作ってたんだぞ?
 なんだかんだ言って面倒見る気満々だったんだなぁ…でもサイズ合ってるのは何で?」
「言うんじゃねえよ…俺がお人好しみたいじゃねえか。」
「でもあなたの厚意のおかげで補助具が貰えたんだし、ね奏美!」
「うん、本当にありがとう。あなたの厚意を無駄にしないように精一杯練習するよ。」
「その言葉忘れるんじゃねえよ?ところでだな、お前、なんでずっと黙ってるんだい?
 氷で口痛めたか…?それはついカッとなっちまったもんだから…女にそういうのしたのは悪いかと思ってる…。」
「……。」
「怒ったか……。なんか、侘びできるんならするぜ…。」

レイの言葉に奏音は顔を上げた。
彼女の表情から怒っているわけではない事が窺えレイは安心したがそれならなぜ黙っているのかと問う。
それでもなお黙っていたが、奏音は口を開いた。

「女っ気がない…で、嫁もいない。あんた、もしや男にしか興奮しない性質?」
「…は?」
「あたしはイイよ、むしろその方が喜びに包まれる。エドは奥さんに縛られたくないっていう感じだから無いだろうけど
 レイは女っぽいしもしかしたらって…むしろお兄ちゃん好きだろ?愛しちゃってるでしょ?」
「……兄弟愛は認めようじゃないか。ただ、それ以上は全く無い!!」
「ぎゃ、!」

想良が顔を覆い、奏美がエドに謝り、エドはそれをなだめた。
彼らの前では奏美の頭上から氷が落ち、氷を落とした人物は息も荒く上へと姿を消したのだった。
メンテ

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