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[2247] † 神様の言う事は絶対 †
日時: 2015/06/18 16:15
名前: 柔時雨◆54VogjqR6. ID:RUKYmbuw

〜 前語り 〜

初めましての方は初めまして。御存じの方は御無沙汰しています。柔時雨(やわしぐれ)と申します。

この度、某サイトで連載していた小説を冒頭から完全リメイクしてこちらで投稿させていただきたく
こうして参りました。

違うサイトでも同じ物を作っていたのですが、運営が思い通りにいかなかった……というのもあります。

なので『向こうで読んだのに、こっちでも!?』みたいな現象が起きるかもしれませんが……
温かい目で見守ってくだされば幸い・とても嬉しく思います。

*** 注意 ***

◎ つたない文章+情景描写ですが、生温かい目で見てくださると有り難いです。
◎ 感想や叱咤激励は随時受け付けてます。何卒よろしくお願いします。
◎ 荒らしや無言発言行為は御法度です。 絶対にやらないでください。


††† 物語の記録 †††

【物語黙示録】
◎ Prologue …… >>2
◎ 初めてのポケモン …… >>3
◎ 奇跡の合成 …… >>4
◎ 孤児とお嬢様 …… >>7
◎ 変人橋の激闘 …… >>8-10
◎ 発電所の惨事 …… >>16-17
◎ 私と釣り竿と泉の生態系 …… >>18
◎ 旅立ちの時 …… >>19
◎ お近づきのススメ …… >>20
◎ 共闘の何たるかを知れ …… >>21
◎ 古代ポケモン研究所 …… >>22-23
◎ 剣戟乱闘舞 …… >>27
◎ 虹色の羽を守れ …… >>28
◎ 泉での遭遇劇 …… >>29
◎ ポケモン大好きクラブ …… >>31
◎ 毒の暴走 …… >>32-33
◎ 盗まれた仲間 …… >>36-37
◎ 鋼鉄の身体を入手せよ …… >>38
◎ 大地の化身と海の守り神 …… >>39-42
◎ 古代王都でのコミュニケーション …… >>43
◎ ドンファンの墓場 …… >>46

【 登場人物設定 】
◎ アーシェ・バーンハルウェン …… >>1
◎ フクス=シュッツェ …… >>11
◎ サモン …… >>12
◎ エリーゼ・アルフォート …… >>13
◎ ティア …… >>14
◎ カンタ …… >>26
◎ コルボー …… >>30

△▼△『来客の碑』▼△▼
◇ ふうかさん
◇ ミヤビさん
◇ 空色代吉さん
◇ 諸刃さん
◇ 天竜さん
メンテ

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Re: † 大地の化身と海の守り神 W † ( No.42 )
日時: 2015/03/12 17:40
名前: 柔時雨◆54VogjqR6. ID:ryg/dRmk

サルスーラ・ポケモンセンター。

窓の外を眺めると、久しぶりの豪雨によって大地が潤いを取り戻しつつある。


あれから―――……

意識を取り戻し、原始回帰した姿から元の姿に戻ったグラードンはルギアをジッと見つめた後、ゆっくりと来た道を引き返し
最初に現れた岩壁の亀裂から更に地中奥深くへと戻って行った。

グラードンが去った後に残された本物の紅色の玉は、アリアが再び拾い上げる前にコルボーが回収。
再び悪用されることなく、旱魃の神殿へと戻された。

その後、私はルギアと嵐の祭壇に戻り……

「ありがとう、ルギア。おかげで大惨事にならずに済んだ。」
『いえ。私はこの地方の海を守護したまでに過ぎません。では……これより私は世界を巡り、嵐を起こして参ります。
 しばしの風雨を凌ぎきった後、この地に再び恵みが齎されるでしょう。』
「うん。わかった。」
『……アーシェは私を捕獲しようとしないのですか?貴方もトレーナーである以上、伝説のポケモンを己が手中に収めたいと
 思った事はあるはずです。』
「ん?いや……考えた事も無かったな。確かに、伝説のポケモンは強いと思う。けど……今回のグラードンみたいに
 制御しきれない力は悲劇しか生まないと思うからな。
 それに、伝説のポケモンは誰かに捕獲された瞬間、伝説としての価値ってのが無くなるとも思うんだよ。
 人々の危機に救いの手を差し伸べたり、自然界のバランスを調和するのが伝説のポケモンの役割……そんなポケモンが
 日常バトルの中でポンポン姿を現してたら……そりゃ、最初はスゲェってなるけど、そのうち珍しさも有り難さも
 廃れちまうんじゃねぇかな……って、今のはあくまで私の意見で、他の人がどういう考えを持ってるのかは……」
『なるほど……アーシェのその言葉が聞けて良かった。いえ、違いますね……貴方ならそう申すのだろうという思いが
 私の中のどこかにあったのでしょう。だからこそ……私は貴方に力を貸す事を惜しまなかった。』

ルギアは自分の翼に顔を寄せるとそのまま1本の羽を抜き取り、私の手にそっと置いた。

「これは……」
『見ての通り、私の羽……銀色の羽です。繁栄の神殿を訪れた貴方になら、それの意味が解る筈です。』

確か、あの虹色の羽は人間と伝説のポケモン・ホウオウとの友好の証だったはず……ということは……

「私と……ルギアの友好の証……。」
『そうです。私の力が必要な時は、それを掲げなさい。世界のどこに居ても、貴方の居る場所に参りましょう。』
「ありがとう。そう言ってくれるのは嬉しいし、この羽を大事にはするけど……たぶん、使わないと思う。
 ルギアが力を貸さなきゃいけねぇほどの惨事なんて、起こらねぇ方が良いに決まってる。」
『そうですね。アーシェの言う通り、争いが起きないというのが1番なのですけどね……』
「でもまぁ、私は厄介事に関わり易い体質みてぇだし、本当にもしもの時には使わせてもらうよ。」
『はい。それでは、私はそろそろ……御乗りなさい。サルスーラの海岸までですが、送って差し上げます。』
「ありがとう。いつかまた……どこかで会えると良いな。ルギア。」
『アーシェも……その時まで壮健で。』


* * * * *


そして現在に至る。

ルギアの起こした嵐は40日間続くという伝承もあるみたいだけど、遥か向こうの沖の方には薄らと光が差し込んでいて
土砂降りだった雨も小降りになってきていた。

「そういや、私……アリアがあの後どうなったのか知らねぇんだけど……」
「あぁ。あのお嬢ちゃんなら俺が玉と一緒に神殿まで連れて行ったんだがな……町長さんや神官さんに謝罪もせず
 勢いに任せて逃げて行ったよ。」
「あいつ……全然懲りてねぇみたいだな。」

逃げた先はおそらく、大都市・エルセア……今頃、自分のパパにでも泣き付いていることだろう。
自分の行いを正当化かつ美化しながらな。

「2人共〜。ポケモンの回復、終わったわよ。」

ティアが持ってきたモンスターボールを受け取りながら、私は今後の行き先を考える。

「さてと……これからどうしよっか。此処でゆっくりしようにも海水浴はまだできねぇし……
 ティアとコルボーは何処に行きたい?西?北?」
「あ……ごめんなさい。アーシェちゃん……その事なんだけどね、私……1度、地元に戻ろうと思うの。」
「え?どうして?」
「随分と急だな……。」
「本当はまだアーシェちゃんやコルボーさんと旅を続けたいのよ。でもね……外交官として、今回フィリアで起きた事を
 私の仲間や上の人に報告しなくてはいけないの。」
「マジで!?外交官って……」
「中々に良い役職に就いてるじゃねえか。ティア。」
「うふふ。もう、茶化さないで。真面目な話、今回のグラードン復活という事件……現象は本当にレアなケースなの。
 ホウエン地方、フィリア地方でグラードンの姿と伝承を確認したわ。でも……世界は広い。
 探せば他にもグラードンとカイオーガの伝承、今回みたいなルギアという特殊な伝承もあるかもしれない……
 そして、それを復活させようとする人間や組織の事も……仮に復活したとして、どうやって止めるのか……ということを
 色々報告しなくちゃいけないのよ。特に、今回その場に居た私としては……ね。
 国と国との友好関係を築いたりするだけが仕事じゃないのよ。」
「なるほど。そういう事なら……それに、最初に約束したもんな。用事があるなら遠慮せずに戻ってくれて良いって。
 私の我儘でティアに迷惑かけたくないしな。」
「アーシェちゃん……ありがとう。報告と……ちょっと溜まってると思う仕事を片付けたら、また遊びに来るわ。」
「うん。待ってるよ、ティア。」
「コルボーさん。貴方にも仕事があるのは知っているわ。でも……できることなら、アーシェちゃんに
 新しい仲間……友達ができるまで、一緒に居てあげてくれないかしら?」
「まぁ……こいつを放置しておくと、また危険な事をやり兼ねないだろうし……な。保護者は必要だろう。」
「子ども扱いすんな!!」
「うふふ。あっ……そうだ。」

ティアは何か思いついたかのように、1枚の紙切れにペンを走らせる。

「はい。アーシェちゃん。」
「これは……?」
「私の連絡先。アーシェちゃん、今は連絡手段を持ってないようだけど、いつかそういう機械を手に入れた時にでも
 登録しておいてほしいの。」
「うん。わかった。その時には必ず登録する……コルボーに見せても大丈夫?」
「えぇ。せっかく出会ったのだし、いつでも。」
「だってさ。良かったな、コルボー。」
「御気遣いどうも感謝致しますとでも言っておけば満足か?」
「うふふ。さてと……雨も止んできたことだし……」

ティアはポケモンセンターの外に出るとフライゴンを呼び出し、その背中に跨る。

「それじゃあ、2人共。行ってきます。」
「うん。行ってらっしゃい。」
「報告が義務ってのも大変だな……まぁ、お勤め御苦労ってことで、頑張って来いよ。」
「えぇ。」

フライゴンが飛び立ち、沖の方へ飛んでいくティアを見送った後、私はコルボーに話しかける。

「それで、さっきの話なんだけど……コルボーは何処か行きたい場所とかあるのか?」
「ん?いや……正直、この地方の何処に何があるのか、まだ詳しくは知らねえからな。お前が行きたい場所があるなら
 そこを優先で構わないぞ。」
「そっか……じゃあ、私が進路を決めさせてもらうぜ。」
「ということは、行きたい場所があるんだな。」
「うん。これから私達は……西へ向かいます。」
メンテ
Re: † 古代王都でコミュニケーション † ( No.43 )
日時: 2015/04/03 09:50
名前: 柔時雨◆54VogjqR6. ID:ntYMEWpY

サルスーラから西へ向かう道中、私達は遺跡を訪れていた。
いや……『行きたい・訪れたい』という意思があったわけではなく、ただ単に移動ルート上にあっただけのことなんだけど。

「随分と廃れた場所だな……。」
「そうか?遺跡なんてこんな物だろ。」
「まぁな……そして、旱魃の神殿にもあった読めない文字が此処にも……アーシェ先生。此処はどういった場所だったんだ?」
「ん?あぁ……此処は昔、それなりに栄えた王都だったらしい。」
「ほぅ。じゃあ、探せば昔の宝とかあったりするのか?」
「残念だけど……見た感じ、既に発見されて調査した名残みてぇのがあるからな。残された財宝とかもその時に発見されて
 今頃、博物館とかに展示されてるだろうよ。」
「なるほど。まぁ……そうだろうな。」
「ちなみに……私達が今立っている場所が祭壇。雨乞いの儀式とかをやっていたみたい。」
「雨乞いって……ポケモンの技を使えば楽に雨を振らせられるだろうに。」
「まぁ、そうなんだろうけど……たった5ターンという一時的な雨じゃ意味がないんだ。
 この辺り一帯の荒れた土地を一度に広範囲潤わせるために、数週間継続して降るような雨が必要だったんだよ……。」

私は砂と岩しか無い辺りを見渡して確信する。

「うん……歴史的に貴重な壁画とかも運ばれたみてぇだな。これ以上此処に居ても収穫は無さそうだ。」
「そうか。なら、このまま次の目的地に――――――……」

私達が遺跡を出発しようとした時だった。
少し離れた場所で怪しい光を放つ光線が宙に向かって伸びるのが目に映った。

「今のは……」
「サイケ光線だな。この遺跡に住み着いた野生のポケモンが縄張り争いでもしてるのか?」
「縄張り争いならまだ可愛いもんだけどな……俺の耳が悪くなってねえなら……人の声が聞こえた。」
「なっ!?じゃあ、誰か襲われてるのか!?助けねぇと!!」

幸か不幸か……まだ交戦中らしく、爆発音が周囲に轟いているのでその音を頼りに進んでみると、1人の男の子と合流した。
その小さな両腕でパラスをしっかりと抱きかかえている。

「あ……あの……あなた達は……?」
「話は後!まずは後ろの連中を追い払わねぇと!!」

男の子を追いかけるように浮遊してきたネンドールとシンボラー……過去の遺品のようなポケモン達に視線を送る。

「コルボー……ネンドールの相手、任せて良いか?」
「仕方ねえな。どうする?補助技で手助けしてやろうか?」
「大丈夫……必要無い。」
「了解。そんじゃ、始めるとするか。」

私が投げたボールが開いてハガネールが、コルボーが投げたボールが開いてアブソルが姿を現した。

「いくぞ!!ハガネール、雷の牙!!」

ハガネールが大きな口を開き、そのまま上に逃げようとするシンボラーに噛みついた。
シンボラーの体を噛みついたことによる物理ダメージと電気によるダメージが襲う。

そんな私達の隣では、ネンドールがコルボーのアブソルに原始の力で攻撃を仕掛けようと動きだす。
素早さが遅い私のハガネールやネンドールが初手で仕掛けられていることから察するに、おそらくトリックルームが既に
展開されているのだろう。

「させるか!!ゾルダ、サイコカッターで応戦!!撃ち落とせ!!」

コルボーの指示に合わせ、アブソルが飛ばした念力の刃が大きな岩を全て斬り裂き……粉砕した。
同時に、噛まれ続けていたシンボラーがハガネールの口から脱出する。

「ちっ……逃げられた!!」
「お前、いつの間にハガネールに雷の牙を?」
「ん?あぁ。岩技のポジションをステルスロックに割いてるからな。もし、何かのバトルでのラス1対面が飛行タイプ
 それもハガネールの苦手な水・飛行タイプのポケモンと戦う羽目になった時、効果抜群ダメージを与える事ができるから
 覚えさせた。」
「なるほど。」
「炎や氷も魅かれるものはあったんだけどなぁ……って、コルボー!!前!!」
「ん?」

雷の牙で大ダメージを受けたシンボラーがサイケ光線を、未だ無傷のネンドールが破壊光線をそれぞれ発射そようと
力を蓄えている。

「くっ……ゾルダ!!シンボラーに不意討ち!!」

サイケ光線を発射する直前、アブソルの不意打ちによってシンボラーは意表を突かれ、予期していなかったダメージを受ける。
雷の牙による事前ダメージに加えて高い攻撃力による効果抜群技を受け、シンボラーはそのまま戦闘不能になった。

しかしネンドールの攻撃は阻止することができず、発射された破壊光線がアブソルに向かって伸びる。

「させるか!!ハガネール!!」

ハガネールがアブソルとネンドールとの間に体を滑らせるように伸ばし、その鋼の体で破壊光線を受け止めた。
特殊防御力が若干心許ないとはいえ、タイプ不一致のノーマルタイプ技なら耐え抜く事ができるだろう。

「アーシェ!!すまねえ、助かった!!」
「ふふ……一緒に旅をしてるんだ。助け合いは基本だろ?」

破壊光線を受けきったハガネールの体がガクっと倒れそうになったが、何とかその場で強い意識を持って耐えてくれている。

「ありがとう、ハガネール。後は任せてゆっくり休んでいてくれ。」

私は鎌首を垂らして目の前にあったハガネールの頭を撫でた後、ボールの中にハガネールを戻した。
後でちゃんとポケモンセンターで回復してやらないと。

「コルボー。後は……大丈夫だよな?何かポケモンを出して援護しようか?」
「いや、大丈夫。ゾルダ!!ネンドールに辻斬り!!」

攻撃の反動で動けないネンドールの横をアブソルが駆け抜ける。その時、鋭い爪と角がネンドールの急所を捉えていたらしく
ただでさえ効果抜群なのに加え、アブソルの高い攻撃力による急所攻めを受けたネンドールはそのまま戦闘不能となり
地面の上に倒れた。


* * * * *


数分後―――――……

意識を取り戻したシンボラーとネンドールは遺跡の奥へと浮遊していき、再び静寂の時が訪れた。

「あ……あの……助けてくれて、ありがとうございます!僕は『カンタ』といいます。」
「ん?あぁ、御丁寧にどうも。私はアーシェ、そっちの野郎はコルボーだ。」

私は缶コーヒーを飲みながら、親指でコルボーを指し示す。

「アーシェ……お前はもう少し、言葉を選ぶということを学んだ方が良いな。」
「ぷい。」
「……まぁいいや。それより、カンタだっけ?何でこんな辺境の地に……」
「えっと……自分の見聞を広めるのと実家の宣伝を兼ねた旅の途中で…………」
「実家の宣伝?」
「はい……僕の実家はカントー地方で漢方薬の店を経営してるんです。あの……よろしければ、お一つどうですか?」
「いや、私達に渡す前に自分のパラスに使ってやれよ。戦闘不能だっただろ。」
「あ……そうでした……。」

カンタは抱きかかえていたパラスに漢方薬と水を飲ませた。
漢方薬を飲まされたパラスが前足をプルプル震わせて苦さを表現している。

「まぁ、相性的には不利じゃなかっただろうけど……パラスであの2体相手って無謀じゃね?」
「いや……飛行タイプを含むシンボラーが居た時点でアウトだろ。4倍弱点だぞ。」
「はぁ……やっぱり、駄目ですね……僕は……。強くなろうと思って……父さんから貰ったパラスを早く進化させようと
 思ってるんですが……今回みたいに戦闘不能にばかりさせてしまって……。」
「気にすんなよ。最初っから強いポケモントレーナーなんて居やしないんだし。
 私だって、進化してないポケモンを2匹持ってるぜ。」
「その進化のための経験値稼ぎで後出しされるバシャーモとハガネールのストレスがマッハ……。」
「そっ……それは……とにかく!!強くなるにしても、ポケモンを進化させるにしても、やっぱり数をこなさなきゃ!!
 負けても良いじゃねぇか。敗戦から学ぶことだって、きっとあるはずだぜ。」
「そうですね……アーシェさんの言われることは尤も……だと思います。あの……!!もし、御迷惑じゃなければ
 しばらく、同行させてもらってよろしいですか?」
「え?私達の旅に?」
「はい。駄目……でしょうか?アーシェさんやコルボーさんと一緒に旅をして、色々学ばせてほしいんです……。」
「いや……私は構わねぇけど…………」

私は横目でコルボーの様子を窺う。当の本人は倒れた石柱に腰を下ろして煙草に火を点けているが……

「ん?何で俺の顔色を窺う?この旅の主導権はお前が握ってるんだから、お前が決めろ。文句なんて言わねえからよ。」
「そうか。じゃあ……うん、わかった。」

私はカンタに手を差し出す。

「これから宜しく。基本的にバカやってるだけの旅だけど……それでもよかったら。」
「あ……ありがとうございます。宜しくお願いしますね、アーシェさん……コルボーさん。」

私が差し出した手をカンタが握り返してくれたことにより、握手が成立した。
新しい仲間が加わり、最西端への旅路はまた賑やかなものになる……と、思いたい。
メンテ
Re: † 神様の言う事は絶対 † 参照500突破、感謝です! ( No.44 )
日時: 2015/04/14 21:27
名前: 天竜 ID:gdP6y.9U

なんと、今度のゲストはうちの子とな?
手持ち少なめかつやや弱い設定で出したものの、治安が悪い上に伝説のポケモンが飛び交う
世紀末……もとい旅人に厳しいフィリア地方に送り出すのは荷が重かったかも。
幸い警察などの公的機関は機能しているようですが……。
アーシェさん達よ、どうかこの子を守っておくれ(親バカ

穴抜けの紐の間違った使い方をする豪快なアーシェさんが面白いです。
ポケモン世界では一番手近にあるロープですものね。



追記
移転先に入れないのですが……

追記2
つぶやいたーアカ取りました。
ダイレクトメッセージを送る方法を模索中。
メンテ
Re: † 神様の言う事は絶対 † 参照500突破、感謝です! ( No.45 )
日時: 2015/04/03 09:41
名前: 柔時雨◆54VogjqR6. ID:ntYMEWpY

>>天竜さん

すんません!リアルでポケモン育成してたので、なかなか返信できずに……

いつも感想ありがとうございます。
はい。今回はありがたくカンタ君を登場させていただきました、ありがとうございます。
ティアさん同様に、登録していただいた物語の都合上キャラクターは仲間になったり、地元に帰ったりを繰り返すので
カンタ君もいずれはカントー地方に……ですが、ティアさんもそうですが、さよならしたまま放置するつもりはありません。

いつ……とは言えないですが、再登場……もとい『再会』させるつもりでいますので、使い捨てキャラにしないので
御心配無くです。

そして―――……穴抜けの紐。
これに関しては特に何も考えて無かったです。
『悪い奴等と戦って勝つ』→『逃げないように縛り上げるには縄が必要』→『縄……紐……穴抜けの紐があるじゃん』みたいな
感覚です。
まぁ……ダンジョン脱出以外に何か使い道はないかなぁ程度に考えた結果がこうなりました。
メンテ
† ドンファンの墓場 † ( No.46 )
日時: 2015/04/05 12:13
名前: 柔時雨◆54VogjqR6. ID:I2bfnXYE

カンタが仲間に加わった翌朝。私達は『 サムアリア 』という町に到着した。

「なぁ……アーシェ。」
「何だ?」
「この町は一体……どういう趣向なんだ?」
「というと?」
「凄いです……僕、こんなにたくさんのドンファン、初めて見ました。」
「あぁ……そういうことか。」

私達の眼前では、ドンファンが普通に歩道を闊歩しており、露店のおっちゃんから食べ物をもらっていたりする。
それが1匹や2匹なら可愛いものだが、この町には私が知っているだけで30匹のドンファンが人間と共存しているのだ。

「別に不思議な光景でもねぇだろ。私は行った事ねぇけど、確か……ジョウト地方のヒワダタウンだって
 ヤドンと共存・共生してるんだろ?」
「まぁ……そうなんですけど……。」
「やっぱり、この町にもドンファンと共存するようになった歴史があるのか?」
「あぁ……うん。この町での人とドンファンの共存の歴史は結構古くって、今から150年くらい前からこのスタイルで
 生活していたそうだ。」

私は道端に寝ていたドンファンを撫でながら話を続ける。

「―――……っといっても、その当時は今みたいにのほほんと生活していたわけではなくって
 ドンファンに鐙を装備して戦場に出たり、ドンファンの牙を貿易で売買したりと、人間に都合が良いように……
 人間のために商品として『 飼育 』されていたんだ。」
「酷い話ですね……。」
「あぁ。この大陸からドンファンが絶滅して消えてしまうんではないかと思われるくらいの数のドンファンが
 人間の欲望や利益のためだけに命を落とした。けど……実際に絶滅する前に戦争は終結。
 これでドンファンが戦で死ぬ事は無くなったが、まだ牙目当てで密猟する連中が残っていた。」
「いや、でもそれは……何人かでドンファンを押さえて牙の先端を切り取るだけで……命までは奪わないだろ?」
「牙は長ければ長いだけ高価で売買される。それに、今コルボーが言ったみたいにドンファンを押さえ付けるだけでも
 多くの人員を導入しなければいけねぇ。じゃあ、どうするか……殺してから牙を根元から切り落としたほうが手っ取り早く済む。
 ポケモンバトルでドンファンを瀕死にするのではなく、罠を用いて……な。」

特に落とし穴が効果的だったらしい。民家を壊すだけのパワーを持つポケモンでも、穴に落としてしまえば怖くない。
タイヤみたいに丸まった状態から元に戻れるだけのサイズで穴を作り……上からポケモンで攻撃したり矢を射かけたり……
ドンファンを死に追いやっていたのだから、惨い真似をする……。

「流石にこの行為は看過できぬと終戦から50年が経った頃、ようやくこの辺一帯のドンファンを保護しようと町全体で活動を始め
 今に至るという訳。」
「なるほど……勉強になります。でも……あれ?」
「どうした?カンタ。アーシェに何か質問か?」
「あの……僕がまだ実家に居た頃、漢方薬の材料としてドンファンの牙が送られてきた事があるんですが……」
「漢方の材料?」
「あぁ……私もよくは知らねぇけど、牙を削って粉末にして他の材料と混ぜるとか……
 効能は知らないし、そもそも本当に使われてんのかどうかも知らないんだけどな。都市伝説と思ってたんだが……
 それで、カンタの質問に対する答えなんだけどな。人間は万能じゃない……町では保護されていても、近くの森とかでは……
 保護しようとする運動は現在も継続中だけど、悪い事を考える連中は其処等辺に居るってことさ。」

そう……密猟は今でも続いている。
私がまだ孤児院に居た頃、この町のドンファンの数が激減したというニュースがテレビで流れたことがあるくらいだ。

「そうだったんですか……。」
「アーシェ。こういう話をティアにすれば、ポケモンのために動いてくれるのではないか?」
「自国の問題に他国のお偉いさんを巻き込む訳には―――……うわっ!!」

突然謎の浮遊感に襲われたかと思うと、今まで私が撫でていたドンファンが私の体に鼻を撒きつけ……たかと思うと
そのまま私を乗せてゆっくりと歩き始めた。

「え?あれ?アーシェさん?」
「どこに行くんだ?アーシェ。」
「わかんねぇ。ドンファンに訊いてくれ。」
「どうしましょう……?コルボーさん。」
「……ったく、降りればいいものを律儀に……行くぞ、カンタ。もしかしたら面白いものが見れるかも知れねえ。」
「はい。」


* * * * *


ドンファンは私を乗せたままサムアリアの町を抜け、近くの森まで歩いて来ていた。

「随分と深い所まで来ましたね……。」
「なぁ、コルボー……気付いてるか?」
「あぁ。1人……居るな。」

私達の斜め右後方……樹木に隠れながら、私達の後を付けて来る1人の男性の存在……おそらく密猟者だろう。
ドンファン狙いで来たのは良いが人間である私達の姿を確認して、足が付く事を恐れて実行に移せないでいる……というところか。

「とりあえず警戒はしておこうぜ。何か仕掛けてきたら全力で……な?」
「わかった……霧も出てきたし、このまま撒いてしまうのが1番良いんだろうけどな。」
「まぁな。」

そして……あるところでピタリとドンファンの足が止まったので、私はドンファンの背中から跳び下りた。
周囲の薄暗さと濃霧のせいで視界がまだハッキリとしないが……前方に何かが積み上げられているみたいだ。

「コルボー、カンタ、居るか?」
「はい……大丈夫です。」
「俺も問題無い……が、招かれざる客が1人……。」

コルボーが指差す先で、私達の後を付けていた密猟者が右手でサバイバルナイフをしっかりと握りしめて立っていた。

「ちっ……やるしかねぇか。」
「ん?アーシェさん!コルボーさん!あれ……見てください。」

カンタが慌てて呼びかけるので、言われるがままに見てみると……そこには大量のドンファンの死体や骨が積み上げられていた。

これには密猟者も驚いたのだろう。腰のモンスターボールに運んでいた手を解き、私達と同じように前方を食い入るように
見つめている。

「これは……」

私が積み上げられた屍に歩み寄り、傷の有無を確かめる。

「傷が無い……ということは、このドンファン達は寿命で……そうか、そういうことか。」
「ん?何か解ったのか?」
「あぁ……そこのおっさん。密猟者か貿易商人かは知らねぇけど、ドンファンの牙が目当てなんだろ?」
「そ……そうだが……。」
「見ての通り、此処はドンファンの墓場だ。己の死期を悟ったドンファン達が人知れず訪れる場所……
 此処にはたくさんの死体もあるが、その倍の数だけのドンファンの牙がある。1匹から2本取れるからな。
 さて……これが意味する事は……もう解ってるんじゃないか?」
「あ……」
「今まで誰も知らなかった墓場の場所がこうして解ったんだ。好きな時に好きなだけドンファンの牙を手に入れる事ができる。
 だから……命あるドンファン達を殺してまで牙を奪うのはやめてあげてくれないか。
 こいつ等もこの世に生を受けた以上、こうして寿命を迎えるまでは自由に生かしてやってはもらえねぇだろうか?」
「…………そうだな。お嬢ちゃんの言う通りだ。俺達は金欲しさに取り返しのつかねえことをしてしまったのかもしれん。
 わかった!約束する。ドンファンの牙を取り扱う奴等にこの場所を教えて、無益な殺生はしないようにするよ。」
「うん……ありがとう。よかったな、ドンファン。これで仲間を―――――………」

振り返った私の目の前でズシン……と響くような音が鳴り、私達を此処まで連れてきてくれたドンファンは
微笑むように笑みを浮かべながら静かに息を引き取った。

「ドンファン……お前は、この場所を教えるために……ありがとう。あのおっさんを信じて、安らかに休んでくれ。」


* * * * *


翌日。

サムアリアの町で、あの象牙を取り扱うおっさんが大勢の仲間と一緒にドンファンの牙を運ぶ姿を目撃した。

今はあのおっさんと仲間の方々、そして私達しか墓場の場所を知らない。故にまだ密猟は行われるだろう。
それでも……少しずつでも色んな人にあの墓場の場所が伝わっていったら、その分だけ今を生きるドンファンの命は救われる。

「あのおじさん……すごく活き活きしてますね。」
「まぁ……あの墓場のおかげで大金が舞い込んで来るんだからな。あの場所の情報を独占するかもしれねえが……
 これで救われる命が増えると良いな。」
「増えてもらわなきゃ困る。……じゃねぇと、あのドンファンが報われねぇからな。」

後はあのおっさんの良心に期待……か。
これでまた、この辺りのドンファンが本当に平和に暮らせる日が1歩だけ……それでも確実に近付いたことだろう。
メンテ

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