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[2204] Period : seek
   
日時: 2013/01/04 21:16
名前: 飴屋◆n8uTTl9IWM ID:KFwbRWbQ




捜し求める。





閲覧ありがとうございます。
飴屋と申します。他の板でもちょこちょこ書いております。
更新速度はかなり遅めです。ご了承ください。


・ストーリー、世界観は完全オリジナルです。
・このポケモンがあのポケモンに負けるわけないじゃん! ってことがよくあります。
・荒らしは帰ってください。辛口のアドバイスなどは常時受け付けております。

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Re: Period : seek ( No.1 )
   
日時: 2013/01/10 20:13
名前: 飴屋◆n8uTTl9IWM ID:ORIr0S0s




Period.1 森へ


冷たい地面に倒れていた。

北方のエヴァージ地方、ホワイトフリッジという小さな村から然程離れていない。
白い雪がちらついている。
僕が住んでいるホワイトフリッジなどはまだ暖かいほうで、村より北に行けば雪も降らない凍てつく大地が広がっている。

心配そうな赤い瞳が僕を見下ろしていた。


「ニル……か」
小さなラルトス。
何が起こったか思い返してみる。



僕が3歳になったとき、両親は西のゼルクス地方へ旅立っていった。
出稼ぎ、というやつだろう。ホワイトフリッジでの暮らしは厳しく、村人の誰もが、決して裕福とはいえない生活を送っていた。
そんな、親がいない僕を、貧しいにも関わらず受け入れてくれた隣の家のインフェジア夫妻。
一昨日で18歳になる僕は、もう1人で生きていける。
優しい2人にこれ以上負担をかけないため、そしてついでに親も捜すため――幼い頃から一緒にいたポケモンたちと旅に出ることにした。


それが最初からこのザマか。

「ごめんなー」

じっと見つめてくるラルトスに呟く。
ホワイトフリッジの南に広がるヤシナの森。
旅の仲間もラルトス――ニルと、スピアーのヨダカとバトルの訓練をしておこうと軽い気持ちで入ったこの森で、運悪くユキカブリの群れと出会ってしまった。
それだけならよかったのだが、群れの長であろうユキノオーが現れたのが運の尽きだった。
2体ともあっという間に倒され、必死で森の外まで逃げてきた。
殺されるかと、思った。
森は昔からの遊び場で、ユキカブリの群れなど何度も出くわしたことがあったが、戦いを挑んだことなど初めてだった。


ぶぶぶ、と耳障りな虫の羽音。
右に視線を移すと、スピアー――ヨダカがいた。
ヨダカの、いつもは無機質な複眼にも疲労の色が見えた。
逃げ出す時、モンスターボールに戻す暇の無かったニルを運んでくれた。


上半身を起こす。
体中に薄く雪が積もっていた。それを払って立ち上がる。
横に無造作に転がっている巨大なリュックを拾い上げた。
ヨダカとニルをボールへ戻す。
こんなところで諦められやしない。
ヤシナの森はホワイトフリッジの南側を囲むように広がっているため、森を通らなければかなりの遠回りになる。
ここを避けていてはこの先、旅などやっていけないだろう。



行こう。
自分を奮い立たせるように、僕は森へ再び足を踏み入れた。
メンテ
Re: Period : seek ( No.2 )
   
日時: 2013/01/25 19:58
名前: 飴屋◆n8uTTl9IWM ID:6McJuxRM



Period.2 逃走


雪を踏んで森を進んでいく。
群れに出会っても戦いを挑んだら負ける。
逃げるしかない。むしろ、出会ってはいけない。

耳を澄ましながら歩く。
自分の足音と、時々木々から落ちる雪の音しか聞こえない。
今は冬。夏はもう少し野生のポケモンもいるのだが、現在はユキカブリやユキワラシなどしか見られない。


がさ。
少し雪や草が動いた音だけでも怯えて止まってしまう。
情けない自分に自然と溜息が出る。
ボールの中のニルとヨダカも、周りに注意を張り巡らせているようだ。
時間はもう正午を過ぎた頃。暗くなるまえに抜け出せるだろうか。こんな場所で野宿などもってのほかだ。
とはいえ、先ほどまであったやる気も自信も無くなって来た。
同じ景色が続く。続く。続いて……


――いる。

たくさんの生き物が動く気配。
ユキカブリたちだろうか。遭遇したくは無かった。気づかれないように離れられればいいが。
姿勢を低くする。
気づかれたら――ユキノオーを前にしたら、だいぶ命が危ない。かもしれない。
息を潜める。



耳元を、凍りつくような風が通り過ぎた。
「ニル――」
間に合うか。反射的にニルの入ったモンスターボールのスイッチに手を伸ばす。
敵は後ろだ。最初から気づかれいて、そして回り込まれたのかもしれない。
そこにいたのは、オニゴーリだった。思ったより接近されている。
飛んできた氷柱の雨を超能力の壁で防ぐ。速いが数は多くない。これなら――
目の前のオニゴーリから繰り出される氷柱のほかに、右からも同じものが飛んできた。

「ちょっ、と……」
危ない。
ニルのバリアーではもうもたない。
壁が薄くなる。砕かれた氷の粒が通過して襲い掛かってくる。
2匹いる。――いや、少なくとも2匹。もっといるかもしれない。

「ヨダカ、頼んだ……!」

出した途端猛スピードで飛び出すヨダカ。
氷柱の途切れた隙に、両腕の鋭い毒針をオニゴーリの目に向かって繰り出す。
オニゴーリは何とか避けて目を外した。毒針が外殻を僅かに抉る。
あれだと毒の効果は望めないだろう。
ニルも防壁を張りながらの攻撃ができるほどの力量はまだない。

ヨダカの毒針が凄まじいスピードでオニゴーリの硬い氷の殻に襲い掛かる。
硬い。硬いが――……ヨダカの攻撃力のほうが上だ。
今視認できるオニゴーリは2匹、1匹はニルのバリアーで耐えるしかない。
オニゴーリにヒビが入る。森の木々を震わすオニゴーリの低い唸り。悲鳴。1体は、木々の合間を縫って逃げ去っていった。

あと1体――ヨダカは先ほどの乱れ突きで体力を大分消耗している。

「ニル、サイケ光線!」

ニルから発される、空間を捻じ曲げながら直進する超能力の光線。
オニゴーリを押し返す。火力はあるが、サイケ光線を放っているニルのバリアーが弱まってきた。
氷柱のいくつかが貫通して飛んでくる。直に、何本か体に受ける。脚に当たってバランスが崩れる。痛い。痛い。
こんなところで死にたくない。

死にたくないので――



オニゴーリに向かって、思いっきり手の中にあるものを投げつける。
ぱしゅっ、と気の抜ける音がして、一拍おいてから勢いよく煙が噴き出す。
煙玉。持っていてよかった。
いざというときのためのものだったが、こんなに早く使ってしまうとは。


ヨダカとニルをボールに戻す。
オニゴーリは視界を塞がれて動きを止めている。この隙に、逃げる。



雪の地面を、森の奥へと駆けていく。
メンテ
Re: Period : seek ( No.3 )
   
日時: 2013/03/13 13:56
名前: 飴屋◆n8uTTl9IWM ID:NGcwpwVU

Period.3 遭遇


「はぁ……」
体温が奪われるので座らない。
吐いた息が白く凍りつく。オニゴーリ達からは大分離れたが、敵はオニゴーリだけではない。
早く次の拠点にたどり着きたいところだ。
目指しているのはヤシナの森のすぐ南、エーデタウンという小さな町だ。
そこまで行けば安全に眠れるところもあるだろう。

二度目の溜息をつこうとしたところで、



がさがさっ。
と、自然に発生するような音ではない、草を掻き分ける音が聞こえた。
――近い。

ヨダカ、任せた。
できるだけ無音でヨダカを外へ出す。羽音を立てずに。焦らず。
とりあえず様子を見る。
草むらに隠れて、ヨダカを音のほうへ飛ばす。ボールの中のニルはじっと息を潜めている。



ひゅっ、という息を吸うような、風を切るような微かな音がした。
それに続いて、とさりという雪の上に何かが落ちた音。
予測しなかった状況。ニルをボールから出し、音のほうへ飛び出す。
瞬間、首にあたる冷たいものがあった。動きが止まる。黒い刃。近すぎてぼやけて見えるその鋭い刃が、自分の首にあてがわれていた。
あ、と少しだけ驚いたような、気の抜けた声がした。
黒い刃は、ガバイトだった。その奥に人影が見える。地面に力なく横たわったヨダカの姿も。


ガバイトがゆっくりと腕を下ろす。
向こうにいたのは、長身の青年だった。髪は紫がかった白髪。

「やあ」

そんな少し困ったような顔で話しかけられても。

「ごめんね、ここら辺は危ないって聞いたから。警戒してたんだ」
はは、と軽く笑う。
気絶しているヨダカをボールに戻す。ニルは怯えているようで、僕の後ろにさっと隠れた。
黙っているのも何なので、一応声をかける。

「こちらも、すみません。驚かせてしまって」

ガバイトは鋭い目つきでこちらを睨み続けている。
青年は僕とガバイトを見比べて、それから敵意は無いことを示したいのかガバイトをボールへ戻した。


「君もこの森を南に抜けるつもりなのかい?」
「はい。……ホワイトフリッジからいらしたんですか?」
青年は本意の見えない笑みを浮かべてそうだと答えた。
怪しい雰囲気を感じないでもないが、さっきのガバイトを見て分かるとおりかなり強いトレーナーのはずだ。
同じ方向ならついていけば安全ではないだろうか。

「もしよかったら、方角も同じみたいだし森を抜けるまで一緒にどう?」
人懐こい微笑み。
まあ、悪いことはないだろう。ヨダカもボールの中で少し回復したようだ。

「僕はアリスっていうんだ。よろしくね」
すっ、と躊躇いのない動きで手を差し出してくる。
少し怪しいとは思うが、ここで躊躇っていては失礼だろう。こちらも手を差し出す。手袋同士で握手をする。
「僕はマコといいます。短い間ですが、よろしく」
彼は不思議な笑い方をした、ような気がした。
ニルはガバイトが吸い込まれていったボールから眼を離さない。よほど怖いのだろう。



「それにしても、ここの森は集落に近い割に危ないね。野生のポケモンがたくさん棲んでる」
アリスという青年は喋るのが好きなのだろうか。
先ほどから僕はあまり喋っていないのに、あちらにばかり口を開かせている気がする。
「マコ君は、ホワイトフリッジの人なの? それともあそこに何か用があって、その帰りなのかな?」
僕の顔を覗きこむように話しかけてくる。
身長は5センチ差くらいだろうか。歳も、そこまで離れていないが上だろう。
旅に慣れているような雰囲気だ。それにしても、さっきから本意が窺えない。言葉からしか考えていることが分からない。
何者なのだろうか。だが、森を出れば終わる付き合いだ。考えても仕方が無い。

「僕はホワイトフリッジの出身ですよ。先日18になったので、仲の良いポケモンと旅にでようと思って」
仲の良いポケモン、といったところで、アリスはニルに視線を落とした。
びくっ、と大袈裟なほどにニルが震える。アリスは小さく微笑んだ。
「なんか、いいね。旅か……」
そう言って、ふぅ、と小さく溜息をつく。
「アリスさんは、何故ホワイトフリッジに?」
こんな田舎に用事があるというのも珍しい話だ。

「まあ、仕事でね。調査をしてたんだ」
「調査?」
聞き返したが、明確な返答はかえってこなかった。
知る必要はない、ということだろう。深入りするつもりもないので、それ以上詮索はしなかった。


唐突に、アリスが歩みを止める。僕も立ち止まる。
――聞こえる。
何か近づいてくる。大きなものが。
アリスのボールから、音も無くガバイトが現れる。
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