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[1116] 無題。
   
日時: 2015/03/08 00:13
名前: 時雨 ID:29Nn86BU

「頼み事があるんだ」

本当に唐突だった。

いつも通り部活が終わって、

帰り道のいつものコンビニで

いつものジュースを二人で飲んでいるときだった。

「え、何?…お金は貸さないわよ?」

「ちげーよ、ばか」

「んじゃ…なに?」

なんだと言うのだ。

借りてた本は返したし、

この前宿題借りた借りは、今日のテストのカンニング手伝いで返したし。

私の思い当たる借りは無いはず。

私たちは、小学校の時から一つのルールを決めている。

それは、ハンムラビ法典よろしく、

借りは必ず帰す。できるだけお互いは頼りすぎないこと、だ。

だが別にお互い仲が悪いわけでも無く、

それどころか、『何?お前ら付きあってんの?』と、別の友人に

言われるくらいには仲がいい、と思う。

「いや…まあ…なんだ」

歯切れが悪い

「…気味が悪いな、さっさと言え」

「…素直に教えてほしいんだ…」

「何を?今日の私の運勢でもしりたいの?」

「ちげーよ!」

「さっさと言え」

彼は「おまえのせいだろ…」とか言って

口をもごもごさせている。失礼な奴め。

ジュースは飲み干し、

暑いからもう一本買いに行こうかと思った時だった

「…お前、俺がもうすぐ死ぬって言ったら信じるか?」

「………………は?」

「…俺、実はもう死んでるんだ」

意味が分からない。

なんだ新手の電波にでも毒されたのか?

「小学校の時、俺車に引かれたろ?あの時俺は…死んだ」

「ちょ、ちょっとまって!何?!からかってるにしてもタチが悪いよ?」

彼は本当に、本当に悲しいそうに私を見た。

「…なーんてな!ビックリしたか?!」

「てめぇ、私にジュース奢りな」

「なんでだよ!……まぁいいよ、買ってやるよ」

そのあとの彼はいつも通りだった。

ジュースを飲み終わり、スクーターに跨がってヘルメットを付けた時の

「ごめんな」という言葉以外。

季節が巡り春。

私たちはあっという間の学生も最終日を迎えた。

それでも、

私たちといえば変わったのは制服が冬服になったくらいなモノで

大学も一緒だし何も変わらない。

はずだった。

卒業式の次の日、彼が死んだ。

本当にいきなりだった。

夜眠りについて、次の日の朝起きて来ないのを不思議に思って

彼の母親が様子を見に行くとそのまま死んでいた、そうだ。

それからは何があったのか正直私は覚えていない。

ただ、あの日あの夏の日に彼が言っていたことを

なぜだか嫌に思い出す。

『…俺、実はもう死んでるんだ』

そして、あの本当に悲しそうな顔。

それだけが頭の仲でグルグル回る。

そしてあっという間に49日を迎えた夜、

彼が死んでから初めて彼の夢をみた。

場所はあの日、あの場所。

『よぉ、久しぶりだな』

「…なんで?」

『いやー、この場所も懐かしいな!』

「なんで死んだのよ!!」

私は彼に詰め寄った。

彼は、あの日と同じ顔で言った。

『カミサマとの約束だったんだ』

「…?」

『"君はまだやることがあるからね、高校卒業までは生かしたあげる"』

「…」

『"ただ、卒業式の24時と同時に君は死ぬ"てな』

「…何よ、それ?」

彼はいつものように笑いながら

『だよなー、俺もそう思ったよ』

「なんで?」

『ん?』

「なんで笑っていられるの!?」

私は多分泣いていたと思う。

彼は少し歪んで見えた。

『…俺のやるべきことが分かって、なんか納得したからかな?』

「…やるべき事?」

『俺のやるべき事はお前が死ぬのを防ぐ事』

「…え?」

『修学旅行のとき、二人で自由行動サボったろ?』

「…」

『あの時本当はお前、事故で死ぬはずだったんだ』

「…私の為…?」

私は本当は死ぬはずだった??

だったら見殺しにしてくれればよかったのに!

アンタが死ぬより、ずっとよかった!!

私の心はぐちゃぐちゃになりそうだった。

すると、

『ちげーよばか』

「…?」

『俺はカミサマを利用して、お前に頼み事をするためにお前を助けたんだ』

「…」

『昔からだろ?俺の頼み事を聞いてくれれば、貸し借りチャラだ』

「頼み事って?」

『俺の頼み事は、ーーーーーー』



私は今も必死に生きている。

彼との約束を守るために
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