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[1078] 吐き出し場
   
日時: 2011/12/16 11:00
名前: 春姫 ID:e/5nCrcI




 溜めた小説を吐き出す場所。
 関連性のない、小説(?)みたいなものしかないです。
 それでも宜しい方は、へぼい小説ですが拝見いただけると、とても嬉しいです。



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Re: 吐き出し場 ( No.15 )
   
日時: 2014/09/02 01:29
名前: 春姫 ID:u2IJ9Igs

 終わりの世界と始まりの君



 人間と呼ばれていた生き物は絶滅しました。
 それは正確ではないけれど、結果的にはそうなるので問題はありません。
 だって生き残った最後の人間は一人しかいないからです。一人じゃ繁殖できないので絶滅するしかないですよね。
 最後の一人の名前はテテ――これは自分でつけました。
 起きたら自分一人だけだったので、本当は名前なんて必要ないけれど、なんとなく名付けてみました。
 自分のことは一切覚えていないけれど、人間という生き物のことは少し覚えていました。

 人間は地球で一番強い生き物でした。
 それが正確かは判断できませんが、自分の思う人間とは、弱いくせに傲慢で、優しいくせに卑劣な、相反する性質を併せ持つことができる歪な存在でした。
 自分は人間を正義や悪で推し量ることはしません。というかできません。
 だって人間という生き物はもう自分しかいないからです。人間の犯した罪と呼べるべき行いはもう過去のことだからです。

 自分は人間です。
 この地球で最後の人間です。

 それはなんて頼りなく、心細いことでしょうか――と、思いつつ草原に寝ころんで空を見上げました。
 人間がいてもいなくても地球は変わらないんですね。
 大気は汚染されていないし。
 海は干上がってないし。
 空は青いままで。
 風は吹いて。
 草木は揺れて。
 太陽は月と入れ替わり、夜が来る。

 自分はいつか死ぬ……そんな当たり前のままの世界が、変わらずに続いていくんです。


「初めまして、ボクはテテです」


 地球に挨拶してみました。
 返事はありません。いえ、もしかしたらあったのかもしれません。ただ自分が感じれないだけで、地球は常に人間に語りかけているのかもしれません。
 どうして草木はおしゃべりできないんでしょうか。
 それとも自分が草木の言葉を理解できないだけなんでしょうか。うん、きっとそうなんだろうと思います。


「人間はきっと地球で一番バカなんですね」


 だから人間は絶滅します。
 遠くない未来――もしかしたらすぐにでも滅んでしまいます。

 瞼を閉じれば、人間がたくさんいた頃を簡単に思い描けました。
 そこに自分がいたかは覚えてないけれど、人間は確かにここにいました。
 みんななにをして生きていたんでしょうか。
 人の行きかう交差点のように、その答えは掴みどころのないまま通り過ぎていきました。

 自分はなにをして生きていたんでしょうか。


「……風、気持ちいいです。ボクは眠いです。お腹がすきました。歌でも歌いたい気分です」


 ……ん。


「ああ……そうか、これだけだ。きっと、みんなこれだけなんです」


 一人ぼっちになっても人間は変われないみたいです。
 自分は草原から起き上がって、大きく大きく伸びをしました。


「とりあえず、歩き出しましょうか。目的地を世界の果てにでも設定して……」



 ボクは耳に覚えのある曲を口遊みながら歩き出しました。

 人間の世界は終わりを告げ――今、ボクの世界が始まりました。






end
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