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[1078] 吐き出し場
   
日時: 2011/12/16 11:00
名前: 春姫 ID:e/5nCrcI




 溜めた小説を吐き出す場所。
 関連性のない、小説(?)みたいなものしかないです。
 それでも宜しい方は、へぼい小説ですが拝見いただけると、とても嬉しいです。



メンテ

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Re: 吐き出し場 ( No.1 )
   
日時: 2011/12/16 11:02
名前: 春姫 ID:e/5nCrcI

 ・ 愛に関する話 ・



1
 確かにそれは愛でした。
 稚拙で、それでいて雑多に入り混じったそれは、確かに愛でした。私にとって、その愛は、大事に大事に抱え込んで、仕舞い込んでしまいたいほど、綺麗なものでした。
 幼い子供の爪に、はみ出さんばかりに塗られたマニキュアのような、怪しい色気を放つそれは、美しかったんです。
 欲しくなりました。
 私の手中に収めて慈しみたい、本当にそう思ったんです。嘘偽りなく、私はその愛に恋をしたんです。



2
 色とりどりのマニキュアたちは、可愛い女の子みたい、愛しいと可愛がり、慈しんであげたくなっちゃう、ラブリーキュートってやつね。
 明るいピンクは、残酷で優しい女の子にぴったり、たくさんの男たちを手のひらで転がして、それを無自覚で捨てていく、でも誰も恨まない、そんな女の子にぴったり。
 暗いピンクは、慈悲深くて聖女みたいな女の子のために、マニキュアなんて知りもしない、そんな女の子の爪に塗ってあげるの、そしたらその子は女になるの。
 濃いピンクは、女がつける色、真っ赤に熟れた唇のような色は、全てを知り尽くした女が纏う色ね、吊られた男をそのままとって食べちゃうみたいな色。
 ピンクって色はまやかしみたいな色、本当はそんな色なんてないのに、人は勝手にピンクって可愛い名前を与えてしまった。
 だから女性とピンクは相性抜群なの。
 どんな女性にだって、着飾る楽しさを、彩る愉しさを、自分を愛する愉悦を知る権利はあってよ?



3
 平和を愛した貴方が、平和を志したまま地に眠る、それが幸せな事なのか、泣いてしまうほど悲しい事なのか、平和を愛せない私には分からなかった。
 誰もが笑い、誰もが愛を謳歌し、誰もが平和に生を営む事が出来る世界を、貴方は切望していた。
 私に夢を語る貴方は、私の目にはただの夢想者、馬鹿な夢に命を賭ける馬鹿な男でしかなかった。
 出会いは最悪、それからのたくさんの交流も最悪、何を取っても平和しかない貴方が、見放せないほど、手放せないほど愛しいと思いたくなかったのに。
 私は貴方の真っ直ぐな純真さが疎ましかった、妬ましかった、足りない私には、貴方は殺したいほど眩しかった。
 だって――――平和な世界に私はいらない。
 血に染まった手に、愛は握れない。

 墓に手向ける花はない、零す涙も、繕う言葉も、語る愛もない。
 貴方は一人、平和のために死す。
 私は一人、貴方のために死す――――それで、許して。

「きっと、落ちる場所は別ね、貴方は綺麗だったから、きっと、綺麗な場所にいるでしょうね」

 さっきの願いに意味はない、最後の最期まで、貴方は私を許していた、それが私には苦しい、死にたくなるほど苦しい。
 だから本来願うのなら、どうか私を許さないで、が相応しい。
 首筋に当たる冷たさに、噴出す鮮血の温かさに、貴方の墓を強く抱きしめて零す涙に――――どうか愛を。



4
 愛を知らないから愛を語れない、愛とはなんぞと、世迷言ばかり呟いては、愛とはこうぞと、弁を弄する、アホらしいことこの上ない。
 理想の愛ばかりが胸に居座り、真の愛ばかりが私の周りに飛び交う、決してそれは掴む事叶わず、私はどうとも言えやしない。
 出会った瞬間恋に落ちようと、長い時の末に愛にたどり着こうとも、私はそれらに共感する事は出来やしない。
 恋や愛だと私が喚こうと、それは恋や愛ではないと私は言うのだから、それに従うしか道はあるまい。
 愛とはなんぞ、愛とはこうぞ、愛とはどうぞと渡される物ではないのか、まっこと不思議な愛とやらを、誰か私にくれまいか。

「死に目に会いに来てくれるとは、お前も優しいやつぞの」
「そうかね、君の弱った姿ほど、観賞に値するものはなかろうて」
「誰もきやしないのは寂しい、お前みたいなやつでも嬉しいわ」
「愛は見つかったかい」
「いいや、最期まで見つからなかった」
「冥土の土産にくれてやろうか」
「はは、くれるならもろうてやろう、はよよこせ」

 重なる唇は血の味と塩の味。

「お前の泣き顔も観賞に値するぞ」
「はよう死んでくれ」
「ああ、じきに死ぬ」
「別れの言葉もくれてやろう、俺は大分前から君を愛してる」
「……おお、心臓が止まったぞ、お前は人殺しだな」

 良い殺し文句であった、最期まで、私は愛を区別する事叶わなかったが、それでも、お前に貰った愛は温かかったの。

「愛とはなんぞと君に問われても、愛とはこうぞと君に説かれても、愛をよこせと君に請われても、俺は君が愛を知るまで待っていたかった」

 さようなら、愛しい君、安らかに眠れ。
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.2 )
   
日時: 2011/12/16 11:05
名前: 春姫 ID:e/5nCrcI

 ・ 関係ないような話詰め合わせ ・


1
 寝息が聞こえるのです。朝の日差しの中、敷布団の上で丸まって眠るそこから、健やかな寝息が聞こえるのです。それは生きている証明のように、穏やかに、規則正しく、吸っては、吐いて、を繰り返しているのです。
 窓の外からは、車の慌しい音が聞こえるのです。鳥の鳴き声も、少し遠くから可愛らしく、聞こえるのです。太陽が昇ると共に、世界がゆっくりと目覚めていく気配に、思わず私は感嘆の息をもらしてしまうのです。
 眠気覚ましの紅茶は、優しい温かさで、体をゆっくりと巡っていき、私はまだ眠いと瞼が落ちるのを、必死に目を瞬くことで堪えるのです。この静かな喧騒の中、眠りに身を委ねれば、さぞ気持ちよい。
 私はどこまでも、一人、どこか夢現の最中のように、漂っていたい。孤独ではない、複数でもない、一人、分かち合う者も、語り合う者も、今は必要ないと思うのです。今はただ、この喧騒だけが在ればいい、そう、思うのです。
 いつしか夢は覚める、この喧騒は日が昇るに連れて、別の意味を持ち、この平和な時間は終わるだろう。けれどその一瞬まで、私はこの空間で、生きていたいと思うのです。
 例え今、この瞬間に世界が終るのなら、私は幸せ、と、呼んでも差し支えないだろう。いや、いっそ今終わらせて欲しい、などと祈ってしまう。それほどまでに高潔、それほどまでに純潔のこの空間は、もう閉じるのです。
 悲しむことはない、とあなたは言うやも知れない、でも今はまだ、この感傷に浸らせて欲しい。良いだろう、良いと言っておくれ、頼むよ、お願いだ、あと少し、もう少し、……いや、うんそうだな、もう、いいよ、もう眠るよ。
 おやすみ。――――お休み。



2
 涙が流れます。たくさん、たくさん、私の瞳からは涙が浮かんでは、流れていってしまいます。悲しい訳でも、苦しい訳でも、絶望している訳でもない、それでも涙が流れるのはどうしようもないんです。
 母は、私が生きているのが面倒くさい、ずっとここにいたい、停滞していたい、と、我侭を言うのに「いいのよ、ずっとここにいてもいいのよ」なんて、甘い言葉を吐くのです。それが堪らなく、私は怖いんです。
 否定されたくない、と、思っていたのに、いざ、肯定されてしまうと、不安で、どうしようもなくなってしまうんです。私は臆病で、卑怯で、どうしようもないから。
 どう生きたらいいのか、どう生きるべきか、考えても考えても、分からなくなってしまったんです。私は、ただ流れのままに、ただ流されるままに、生きる術しか知らないんです。
 腕をがむしゃらに振り回し、大声を張り上げ、泣きじゃくり、暴れ狂うしかできない、私はそれ以外の生き方を知らない、知らないんです、分からないんです、どうか、どうか、誰か私に道を示してください。
 このままでは、私はどこか大きな穴の下に、引きずり込まれるか、とても大きななにかに、押しつぶされてしまう。それは、怖い、とても、怖い、怖くて、怖すぎて、涙が止まらないんです。
 母よ、私を裁きたまへ。――――私を、許したまへ。



3
「残酷だ」「そうかな」「残酷だよ」「そうかもね」「何でそんなことをしたい」「したい訳はない」「じゃあ」一呼吸。一拍、置いて、また、一呼吸。「何故殺した」「死んでしまっただけ、殺した訳じゃない」「残酷だ」「そうかな」「残酷だよ」「そうかもね」「何であの人なんだ」「喋るから」「それが理由でいいじゃないか」問われた相手が目を見開く。「ああ、そうだね。ん、でも、やっぱり殺したい訳はない」「じゃあ」「……」「何で、死んでしまったんだろう」「直接の死因は、出血多量、だって」「そう」「綺麗、だった。多分、彼女以上に綺麗な、人はいない」「だったら」「……声が、聞きたい、声が、聞こえない、から、気がつくと、声も鼓動も、聞こえなくなる」顔を覆うが、端から視界は、暗いままである、と、男は思った。端から、自分の視界は暗いままだ、どこまでも暗いままだ、だからこそ、声が聞きたいと願ったのだ、と、男は今度は口に出した。静寂が続く、息遣いだけが、二人の人間がそこに在る、と証明する。「残酷だ」男が言った。「そうだね」女が言った。「残酷だよ」男は言った。「ここは地獄だ」女は言った。「……蜘蛛の糸が煩わしかったんだ。きっと、理由はそれだけさ」男は、泣いた。「それだけか」女は、泣いた。二人、人間が在っても、二人は、孤独であった。



4
 朝焼けの、光差す、あの瞬間が好きなんです。瞬間、あの太陽が昇る、あの時まで、空は黒くて、窓ガラスには、私の姿が映されているのに、ふと、意識を外すと、その瞬間に太陽が昇ってきて、空が白くなっているんです。黒から白に、オセロみたいに簡単に、くるっと、入れ替わってしまうのです。朝と夜が、ひっくり返る、あの、瞬間が私は堪らなく好きで、だから眠るのが惜しいんです。
 私の手前に座る男は、私を見ないで、窓の外ばかり見続けている。私はそんな男を気にせず、自分の好きな話を、自分の好きなだけ、早口で、捲くし立てては、休憩にと、お茶を一口啜っては、また話し出すを、何度も繰り返した。
 夜は、昼とはまるで違って、音がない、自分の衣擦れの音さえ大きくて、自分のする、行動の一つ一つが、すべて明瞭になってしまう、それは恐ろしいようで、とても、禁忌を犯しているようで楽しいんです。深夜は、息を殺す時間なのです、眠る者の息遣い、眠る物の息遣い、あれは、夜だけの物なんです。私はその空間も、堪らなく好きなんです。朝と夜の尊さを、私は何度体験しても、満足できない。
 男は私を見ない。窓の外の、行き交う通行人、車、雲、世界の動向ばかりを目で追いかけて、私なんて目もくれない。硬い椅子に、体の軋みを感じて身じろぐと、男は、私に初めて気づいたように、こちらを見た。
「僕は、昼が好きだな」――――それだけだった。
 あとはいつも通り、お茶を飲んだら、割り勘をして、店を出たら、駅までの道を二人で歩く、駅に着いたら、別々の電車に乗って、また今度会うときまで、さようなら。待ち合わせはいつも同じ、午後十二時の、お昼時である。



5
 まず知らない人間に会ったら尋ねる事は、名前、これに限る。最初の、やあやあ初めまして、出身地は(これは名前を聞くための前振りであって、聞くのも聞かれるのも、意味なんかない)そうかいそうかい、あそこはいい所だ、あそこはこんな苗字が多いんだ、違うのかい、じゃあ君は、ああ、僕は秋田太郎っていうんだけどね、そう、そんな字を書くんだけどね、君はどうだい、なんて書くんだい、おお、達筆だね、いいね、いい名前だ、そういえばあそこは何が有名だったかな……てなもんだ。え、出身地は大事じゃないかって、何てこと言うんだ、出身地が違う人間なんかと、そうそう知り合えるもんかね、そうだろう、こんなもんは、今ちょっと考えた、例、であって、みんながみんなこんなふうに会話するなんて、思わないで欲しい。
 出身地じゃなくて、住所なんかも、よく聞かれるけどね、他人の家の場所なんか聞いて、楽しいかね、いや、俺は楽しくない、ちっとも、楽しくないんだ。ああ、あそこね、あそこってどこだっけな、家の近くか、いや、知らないな、いや、うん、今度ね、今度立ち寄らせてもらうよ、あの店か、あの店の近くね、いや、よく行くよ、君もか、それはいい、今度一緒に行こう……なんて言うが、飯は家族か自分一人じゃないと嫌だね。真っ赤な他人と飯を食う、こんな気疲れすることは少ないんじゃないか。あら、それが好きなの、そうなの、私は嫌いよ、なんでって、不味いもの、嫌い嫌い、それよりこっちがいいわ、こっちにしましょ、なんて自分勝手なことを言っては、俺を引き摺り回されて、無頓着なんだ。
 食事の話は初対面ではしないから、今はいい、今はいいけど、食事は嫌だ。他人と食べると最悪だ。これだけは言わせて欲しい。で、なんだっけ、ああ、そうだ、知らない人間に会ったら、まずは名前、住所、家族構成、え、家族構成を聞いてどうするんだって、言うのかい、そうかい、君は聞かれないのかい、聞かれるだろ、そうだろう、そうだろう、兄弟がいたら兄弟のことを言うだろう、俺がそうだ、兄弟が多いと、もっといい、いっちゃん上だと、もっといい、やれ大変だろう、苦労したろう、と憐れんで貰える、こっちは、ええそうなんです、でも、家族のためですからと、お愛想笑いをすればいい、簡単だろう。……ああ、親がね、離婚して、片親って訳か、それもいいな、俺はどうでもいいがね、片親でも、親がいればいいもんだ、違ったのか、それでも、俺にはなんとも言えないな、明日には忘れるさ、でも、きっと他の奴は忘れないさ、思い出しては、それを口にしてくるだろうさ、それが嫌なら、言わないほうがいいさ、俺みたいな、人なんてどうでもいいって、奴だけに言っておきな。
 自慢じゃないが、俺は人のことを尋ねない、本当に、褒められたりする事じゃない、むしろ、恥とすら思えてしまう。人のことに無頓着な自分が、どうしようもない人間だと思えてならない。名前も、住所も、家族構成も、一度きりで覚えたためしがない、それで良いと思うだろう、でもな、他の人間は俺の、名前、住所、家族構成を、全部、覚えているんだ。俺は、それが――――堪らなく、羨ましいんだ。
 あら太郎ちゃん、お母さん元気、そう元気、これ食べなさいよ、美味しいわよ、あ、そうそう、太郎ちゃんこの前、あそこの喫茶でお茶してたでしょ、何飲んだの、まあ、珈琲なんて大人ね、太郎ちゃんは今何してるの、もう、いい年なんだから、お母さんを安心させてあげなさいね。……別にこんな人間ばっかりじゃない、分かってるさ、でもこんな人間ばっかりの、人生だった。こんな話は、楽しくない、全然、楽しくないんだよ、他人のどうこう、興味が沸かないんだ、なんでだろうね、ああ、君は片親だっけ、まだ覚えてるさ、君のあの、目を見ちまうと、忘れにくい、まったく、覚えるのも大変だ、覚えていないのも、嫌になる、楽しくない、ああ、楽しくない、本当に。
「聞いていいかい」好きにしろよ、俺ばっかり話すのも、あれだからな。「じゃあ、遠慮なく」なんだい、かしこまっちゃって、嫌だね、ほんと。「あんたの名前は」――――はは、ほんとに、俺って人間は、どうしようもないねえ
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.3 )
   
日時: 2011/12/16 11:08
名前: 春姫 ID:e/5nCrcI

・ 年上の彼女の感謝 ・


 年下のあの子は、いつも穏やかに笑っていた。

 人もまばらな水族館は、心を休めるのに都合が良かった。照明も落ち着いた、まるで深海のような場所は、居心地がいい。
 美容院に行く時間もなくて、伸ばし放題の髪をまとめる事もせず、銀色の手すりに体重をかけながら、ただ泳ぐ魚達を眺める。

 疲れていた。
 幼い時から、女手一つで私を育て上げた母は、すっかり見る影をなくした。
 誰かの手を借りなければ、生きていけないほど、弱りきった母は私の足かせだった。
 そんな母の面倒も疲れて、くたびれきった頃にあの子は現れた。

 まだまだ若い、幼いあの子は可愛らしかった。
 恋を、してみたいと思った。
 生まれて初めて、母の事を忘れられたような気がした。私は幸福だった。

 母は、段々と手の負えない状態に落ちていった。
 私は狂いそうになるのを抑えて、抑え切れなくて、笑うあの子を虐げた。
 手短に私の苛立ちをぶつける相手が、あの子しかいなかった。私には、あの子しかいなかった。

――――母が死んだ。

 ああ、これで、やっと自由になれる。
 なのに、感情は空虚だった。全てがどうでも良くなってしまった。
 死んでしまいたい、母のようになるくらいなら、今、死んでしまいたい。

 あの子の手を掴んで、暗い海に進む。
 水族館とはまるで違う、黒い海はまるで、私の胸のうちにある虚空のようだ。
 あの子は泣いていた。

 突き放されて沈む、私は安心してしまった。
 そうね、あなたは私みたいにならないほうがいい。
 私たちって、似たような模様の魚だったけど、種類が違ったのね、だから、ここでお別れするのは当然のこと。
 海の底は静かでしょうね。

「 あ り が と う 」

 もう、寂しくない。
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.4 )
   
日時: 2011/12/17 13:14
名前: 春姫 ID:lgNota6w


 優しさが酷く似合わない男だった。

 見た目が問題だった、真っ赤に染めたオールバックの髪、どうしてできたんだと、聞きたくなるような顔の無数の大小様々な傷に、見たものは顔を背けずにはいられない三白眼は、金色のカラーコンタクトをしている、これだけでも人はよってこないだろう。
 服装も問題だった、どこぞのヤクザみたいな、真っ白のスーツに、ゴツイお高そうな腕時計を手首に回して、指にはシルバーの指輪がひーふーみー、と、くれば、もう男の周りに人はいない。
 性格が一番の問題だった、自分は人の側にいてはいけない、なんて、男は本気で考えていた、強すぎる力と弱すぎる心のバランスが、上手く取れない可哀想な男だった。
 だから男は、誰にも知られず善行を働いた、まるでどこぞの妖精のようにひっそりと、ただまあ、自分にだけはばれてしまった、それは教えていないけど、きっと知った男は恥ずかしさで憤死してしまうだろう。

 優しさが酷く似合わない男の事を、自分は酷く気に入っていた。
 その優しさを自分だけが知っている事が好きだった、酷い女だと思ったが、男はこのままずっと孤独であって欲しいと思っていた。
 でも、男の人避けは、その優しさの前では無力だった。


「もう、やめるんだね、赤い髪も、金色の瞳も、白スーツも、腕時計も、シルバーの指輪も、何もかも全部」


 後には傷だけが残った。


「良かったね(嘘)、これで貴方は晴れて良い人になれた(大嘘)、きっと孤独じゃなくなるよ(本当)」


 不器用なその姿が好きだった、その姿がなくなっても好きだった、例え人に囲まれて、嬉しそうに大口開けて笑っていても好きだった、纏めれば死ぬほど好きだった。
 嘘をつかないその口が好きだった、無骨なその手が好きだった、その手が守る全てが愛しかった、自分は兎にも角にも男が好きだった。
 人に疎まれても、人に嫌われても、人からなにをされたって、男は優しかった、私はその匂わない優しさが――――大好きだった。

 男は、黒髪に黒目の至って普通の、カジュアルな服装を身に纏って、いかつい顔を朗らかに緩ませて笑った。


「はじめっから、孤独じゃねえよ」


 伸ばされる腕を、自分は決して避けた事は無かった、その腕は誰かを守りこそすれ、傷つける事は無いことを知っていた。


「俺にはお前がいただろ、お前がいたから、今俺がいるんだ、そうじゃなきゃ、こんな不毛な事何年も出来るわけねーだろ」

「……私、まだ側にいて良い……?」

「いろよ、なんで元に戻した途端いなくなろうとしてるんだよ」

「邪魔だと思ったから」


 男に人を近づけなかったのは、自分だった。
 見た目も服装も、全部私が指示しただけのこと、人を傷つけてしまうと泣く男に、ならせめて人が近づかないようにとしたまでに過ぎない。
 男の似合わない優しさに気づく人間を、こっそりと遠ざけていった、自分だけが良かったから、男の優しさに気づいたのは自分だけが良かった。
 でも、もう無駄だと思った、それなら、邪魔者は消えてしまおうと思った。


「知ってた、俺もそれで良いって思ってた、でもよ、もういいじゃねえか」

「何が」

「やっと、お前を抱きしめられそうなんだ」


 いつの間にか、力加減が上手くなったその腕に、私は捕らえられた。
 でも、いつまで経ったって、男は優しさが似合わなかった、私はそのギャップを愛している。




――――アンバランスダーリン
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.5 )
   
日時: 2012/02/02 08:14
名前: 春姫 ID:sSQUMmrA

 私の母は侍女でありながら、貴族の方の子を授かってしまいました。もちろん、世に出せるものではありませんでしたので、内密に子を落とそうとなさいましたが、母は断固としてそれを拒絶したそうです。
 私はどこぞとも知らぬ男との間に身ごもった子として、世に生れ落ちました。先ほどの話も、病に死に逝く母が絶え絶えに話したものでございます。
 その後の私は、光栄にも王家の侍女として仕える事になりました。そして、侍女の身でありながら、王様の寵愛も頂き、私はとても名誉に思っておりました。
 元から表情の起伏が無く、顔は良いが可愛げが無いと揶揄されていた私でありましたので、王様に見初められた時は夢のように思いました。
 私が城に仕えるようになってすぐに、一人の美しい女性が城にやってきました。王様はいたく女性を気に入っておられたのか、隠すように城の地下に閉じ込めてしまわれました。
 そして、私はその女性の身の回りの世話をするようご命令を頂きました。内密に、誰にも言ってはならぬとも言いつけを受けました。
 薄暗い地下へ、ランプの明かりを頼りに石階段を下っていきました。自身の足音が狭い階段を反響していきました。
 逸る鼓動を服の上から押さえつけて、二度ノックをすれば、甘い声で「どうぞお入り」と声がしました。扉を開けば、なんて美しい女性だろう、噂話など鼻で笑ってしまえるほどの美貌の女性がそこにいました。
 豪奢なドレスを身に纏い、豪華な天蓋付ベットに魅惑的な体を横たわらせて笑う女性は、まるで一枚の絵画のように神秘的でございました。
 王様が心奪われるのも仕方の無い事だったでしょう。

「名前は、可愛いメイドさん」
「メルディでございます」

 そうメルディね、と自分の名前が女性から零れるように言われた途端、体に火がつくように熱くなってまいりました。まるで裸に剥かれたよう、生娘のように逃げ出したくなりましたが、そこは侍女の誇り、私は無表情のまま一礼して見せました。
 今だから言いますが、私は彼女に嫉妬しておりました。王様の心を独り占めにし、私から奪い去った彼女に嫉妬をしました。
 けれど、一言、いえ、一目見た瞬間に私こそが彼女に心奪われていたのです。
 それでも私はただの侍女、王様の戯れの女、この思いは心の奥に仕舞いこもう。仕舞いこんだことすら、いつか忘れてしまうと、願っていました。

 城に火がつけられ、王様は既に息絶えていました。私に出来る事はただ彼女をここから逃がす事だけ、そう思えば体は命令などせずとも走り出しておりました。
 誰にも見られないよう、地下へ下りる階段に体を滑らせて、初めてこの階段を下った時の事を思い出しました。そう思えば少しは心が軽くなりました。
 いつものように二度ノックして扉を開ければ、変わらぬ美しさを保ち続ける彼女がいました、それだけでなんて幸福な事でしょう。彼女は焦る私の肩に手を当て、微笑を浮かべてくださいました。
 私は早く逃げるよう彼女に言いました、なのに彼女は一向に慌てる様子も無ければ、逃げ出す素振りすらありませんでした。私ばかりが焦っていました。
 そしてあろうことか、彼女は私を化粧台の前に座らせると、私に化粧を施し始めるではありませんか。そんな事をしている場合ではないと百も承知だというのに、何故、私は動く事も出来ず、ただ彼女にされるがままでした。
 彩られていく私は、まるで別人のようでした。背後では彼女が微笑んでいました。

 森の中を走る、生い茂る木々の所為でせっかくのドレスが台無しじゃない、靴も走りにくい事この上ない、化粧だって、流れる汗の所為でボロボロ、彼女が整えてくれた髪も無残な物だ。
 それなのになんでこんなに可笑しいの。笑いが止まらない!
 これからどこに行く、なにをする、そんなの今はどうでもいい、今はただ彼女のために笑い続けよう――――。
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.6 )
   
日時: 2012/03/22 01:08
名前: 春姫 ID:yRqgJdq6


 私には何もありません。
 家族がいます、友がいます、住む家があります、食べるものがあります、着るものがあります、嗜好品もあります、何もかもあります、揃っています、けれど私には何もありません。
 ただ私には心がありません、怒る事がありません、泣く事がありません、笑う事がありません、好みがありません、痛みがありません、愛がありません、故に私には何もありません。
 私の家族は偽りです。父と母は家の外では笑い合い愛し合っているというのに、扉を閉じれば詰り合いばかりです。私を産まなければ良かった、と、母は言いました。お前さえいなければ、と、父は言いました。それならば、私に家族はいないということになります。
 私の友は偽りです。表面上は友情に満ち、義理人情を振りまいているというのに、一度輪を外れれば誹謗中傷が飛び交う戦場です。うざい、キモイ、嫌い、死ね、友は見えない私に言いました。それならば、私に友はいないということになります。
 住む家、食べ物、衣服、本棚に納まる本は、どれ一つも私の金銭で手に入れたものではありません。全ては父の財産によって与えられているものなのです。それならば、これらは厳密に言えば私の所有物ではなく、私には何もないということになります。
 思春期独特の思想でしょう。きっと時間が私を癒してくれるでしょう、今はただ、そう願うしかありません。

「諒、ここにいましたか」
「あー……うん、僕はずっとここにいたよ、そして今は君といる」
「あなたはいつも嫌な事があるとここで座り込んで、私が来るまでてこでも動きませんね」
「そうかな、うん、そうだね。君が来てくれるって分かっているんだ、君は僕が好きだから、絶対に来てくれるって知ってるんだ」
「それは初耳です。私が諒を好きだ何て、私自身知らなかった事実です、驚きました」
「ふっ、嘘だよ。君が誰かを好きになるわけないだろう」
「酷い言葉ですね、私だって誰かを好きになることくらいあります」

 諒――――まこと。明白な事。偽りのない真実。
 剛毅直諒の四文字言葉からこの名前はつけられたと聞かされました。意味は意志が強く正直で誠実、と、いうことですが、私はこの名前は似つかわしくないと思っていました。
 それを誰に言った事もないのですが、心の中では常にその疑問を感じ続けていました。

「諒、帰りましょう」
「ああ、そうだね、帰ろう」

 手を握り合いました。
 何もない私でしたが、たった一つだけ、大切にしたいものがあります。目の前の人こそ、私がこの世で唯一大切にしたいと願う人間です。
 私にはない物を持ち、私には成し得ない事を成し、思いやりがあり、愛情がある、私はそんな彼を眩しく思っております。何もないと思っていた私に、何かあると思わせてくれる彼を大事にしたいと思っています。
 偽らず、飾らず、美しい人――――私には、相応しくない人です。


 今日も今日とて、父と母の暴言は激しさを増すばかりで、私は自室のベットの上で膝を抱えるばかりです。ああ、うるさいうるさい、と、音楽の音量を上げて耳を塞ぎます。
 早く離婚をすればいいのに、と、思いますが、そうすれば今度はどちらが私を引き取るかでもめるのでしょう。それが分かっているから、二人は離婚を選択せず、表向きは円満な夫婦の仮面をかぶり続けているのです。
 私が成人を向かえれば、晴れて二人は自由を得るのです。なので私は早く大人にならなければいけないのです、早く、早く、大きくなって、自由にしてあげないといけません。
 父にも母にも怒りはありません、悲しみもありません、嘆きもありません、ただ、疑問だけが残ります。どうして二人は結婚をし、私を産み、家族になったのでしょう。偽るくらいなら、初めから捨ててしまえばよかったのに、そう思ってしまうのです。
 鏡の中の私は笑ってもいません、泣いてもいません、怒ってもいません、ならば私はどんな顔をしているのでしょう。私は、何もありはしないのですか、本当に、何もないのですか。
 大音量の音楽の中、聞き取り辛い着信音に私は随分遅れて気づきました。表示されている名前に、私は音量を下げつつ通話ボタンを押しました。安らぐ声色に、肩の力を抜く自分がいました。
 電話口からは私を心配する声が聞こえてきました。
 私には何もないはずなのに、この沸き上がる感情は何でしょう、分かりません。

「諒、明日は持ち物検査がありますので、いつものように不要物を持ち込むのはいけませんよ」
「そうなのか、ありがとう、助かったよ」
「いいえ、ああ、ただ他の方には内緒にしてくださいね、示しがつきませんので」
「分かってる。君は本当に僕が好きだなあ」
「……そうですね」
「あれ、認めちゃうの、意外だな」
「私と仲良くしてくださったのはあなただけでしたので、どうしても甘くなってしまうのは仕方ありません」

 偽りのない言葉でした。

「君は何でも持っているんだね」
「それはあなたでしょう。家族とは仲が宜しいようですし、友人もたくさんいます、私にはないものばかりです」
「……そっか、そうだね、ははははははははっ!」
「? 諒、何かあったのですか、また嫌な事でもありましたか」
「ううん、違うんだ、違うよ、何もないのは僕だ! 君じゃない、君じゃないんだ、ないものばかりなのは、僕だ、僕なんだよ……はは」

 出会いはいつだったか、夕暮れの渡り廊下で彼を見つけました。窓の外では野球部の大きな声が聞こえてきます、彼はその声を聞いているのか、何かをみているのか微動だにしませんでした。
 私は彼に見覚えがありました。品行方正の生徒会長の噂はたびたび私の耳にも届いたからです。
 きちっと第一ボタンまで締められたシャツに、苦しそうなネクタイ、伸びた背筋に、地味な眼鏡は彼の人柄を正確に表していました。私はあの光景を一度も忘れたことはありません。感動、あの時私は確かに心動かしたのです。
 私の存在に気づいた彼は、一瞬間の抜けた表情を浮かべましたが、すぐに真剣な面持ちになりました。
 これを一目惚れというのかも知れません。私は彼とどうしても友達になりたくなりました。必死に接点を手に入れようと、初めて自分からアクションを起こしました。
 彼は存外穏やかな人間でした。普段の様子とはまったく違う印象に、今度は私が間の抜けた表情を浮かべました。

 私はずっと、自分には心がないのだ、と、思っていたかったのです。

「いつものところでお待ちしてます」

 携帯は切れました。
 両親の怒声も止んでいました。私の部屋は静かな音楽を残すだけになり、けれども耳の中には今だ声が残っていました。行かなければ、そう思って、身支度を始めました。
 いつもの場所に立つ彼は、あの夕暮れの時となんら変わらず壮麗でした。

「あなたを初めてここで見つけた時、私は思いました、ああ、悲しい事があったんだな、と」
「うん」
「いつも笑っているあなたは本当は偽りで、背中を丸めて途方もなく嘆いているあなたが本当なのだ、と、気づきました」
「うん」
「なにもない、そうおっしゃりましたね」
「うん」
「どうしてそう思ったのか、その理由をお聞きしても宜しいですか」

 彼にこそ“諒”という名が相応しい、私は常々そう思っています。意志が強く正直で誠実な人、素敵な人、彼に相応しい名前だ、と、私は思っています。

「僕には家族がいない、友がいない、心がない、自分がない、故に何もない」

 怒る事がありません、泣く事がありません、笑う事がありません、好みがありません、痛みがありません、愛がありません――――そうでなければ、本当に心が壊れてしまいそうでした。
 必要とされない自分が嫌でした。笑われる自分が嫌でした。笑っていないと生きていけない自分が嫌でした。偽らないと語れない自分が嫌でした。故に私は、心をなくしたくて堪りませんでした。
 時間が解決する事だ、と、自分を慰めるたびに、何時その時がくるのだ、と、叫びだしたくなりました。助けが欲しい、そう叫べない自分も、そう叫びたくなる自分も嫌になりました。
 何もありません。
 あってはいけません。

「僕には何もありはしない。全部偽りだ、全部偽物だ、君が羨ましいと思う僕なんてどこにもいやしない」
「諒」
「その名前もずっと嫌いだった。両親が与えたその名前がずっと嫌いだった! でも、そんなこと考えたくなかった、思いたくもなかった、だから捨てた! 今みたいに、君に叫ぶ、この今だって嫌で嫌で堪らない!」
「ああ、諒、泣かないでください」
「何もいらないんだ。家族も、友も、心さえもいらないんだよ。僕には、いらない」

 手を握って欲しかったんです。ただ、人の温かさに触れていたかっただけなんです。こんな風に、私と向き合ってくれる人が欲しかっただけなんです。
 神様、それは罪ですか。これは罪ですか。私は、ただ、愛して欲しかっただけなんです。

「諒、私がいます、あなたには私がいます。ああ、諒、可哀想な私の大切な諒」
「やめてくれ、君に同情されたかった訳じゃない」
「言ったでしょう、私はあなたに甘いんです。なぜなら、私と友達になってくれたのは、諒、あなたしかいないんです。本当に、私の人生で、私を必要にしてくれたのは、諒、あなただけなんです」
「君は、清廉だ。君を知れば、誰でも君を好きになる。……僕のように」
「違います、私はあなたが思うような人間じゃない」
「亮、君によく似合う名前だ。けがれなく明るい心を君は持っている。そうだ、僕は君が好きなんだ。ずっと、目を逸らして、気づかない振りをしていたけど、僕は君が好きなんだ」

 涙が流れました。ずっと堪えてきた涙が、やっと出口を見つけたように溢れ出しました。亮はそんな私を抱きしめてくれました。

「私もあなたが好きです、諒、あなたが好きなんです」
「ああ……亮、僕は堪えられないんだ。強くないんだ。弱いんだよ」
「私がいます。ずっと、あなたの側にいますから」
「うん、側にいて欲しい」

 私には何もありません。この感情に対する、言葉が何一つ思い浮かんでこないのです。どうしたら伝えられるかも分かりません。
 ただ、神が私に亮を使わせてくれたのだ、そう感謝するばかりです。




「君、生徒会長の清水亮だよね。僕は泉諒っていうんだ、よろしくね」
「……そうですか」
「ところで、いったい君はここで何をしているの?」
「特に、何かをしているということはありません。強いて言うなら、立っていました」
「なるほど、それなら今は暇って事だね。それなら僕とお喋りしようよ、こっちのほうが有意義な時間を過ごせると思うけど、どう?」
「私は構いませんが、あなたには退屈な時間になってしまいます、それで宜しいですか」
「とんでもない! 僕は君と話しをするだけで、きっと凄く楽しいと思うよ」

 私にはないものをあなたは持っていました。諒、私はあなたに救われたのですよ、お分かりですか。

「きっと、あなたは神が私に使わせてくれた天使なんでしょうね」

 その言葉はあなたには届きませんでしたが、私は本当にあなたを天使だと思ったのです。そして、それは今も変わりません。
 私の天使、あなたが私を清く正しい人間だというのなら、私はいくらでもそうなりましょう。
 だから、ずっと私のもとにいてください、ずっと――――。




諒 ⇔ 亮
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.7 )
   
日時: 2012/03/26 21:08
名前: 春姫 ID:Bh38AW.k

嫌いな黒




 学生と言われれば、私は黒をイメージする。

 私は学生が嫌いだ。
 何が嫌いかといえば、群れを作って馬鹿騒ぎをするところが嫌いだ。他人の迷惑を顧みずに、大声で喚き散らしたり、大笑いしたりするところも嫌いだ。やれ人の事を見ては、ひそひそと内緒話をするところがいっちゃん嫌いだ。
 更にいえば、学生服というのも私は嫌いだ。
 それを着て歩く学生を見るだけで、嫌悪感が体中を駆け巡る。横を通り過ぎるだけで、私の心は疲弊する、迷惑極まりない。
 短くしたスカートから伸びる足も、見えるパンツも、だらしがなくて仕様がない、一人一人に注意して反省させたくなってしまう。それがお洒落だと思っているのなら、その認識を改め直したほうが良い。夏場のシャツから透けて見えるブラジャーほど、私の心を掻き乱す物はないだろうに。
 もちろん女子制服だけじゃない、男子高生のあの、ズボンを下げる行為というのは、女子高生のスカートを上げる行為より理解し難い。意味が分からない、と、同時になんともやるせない気持ちを味合わされるのだ。引き摺る裾も腹が立つし、その過程で目に入る踵の潰れた上履きも私にはむかっ腹が立って仕方がない。丸見えのパンツを見るたびに、それが女子だろうと男子だろうと嫌悪感が込み上げてくる。

 駅の構内で電車を待つ学生の群れを見ると、私は咄嗟に視線を下に向ける。動悸が早くなり、体が緊張に硬直する。息を吸うのも吐くのも困難を極め、鞄を持つ手に力が篭るのだ。
 過剰反応だとは分かっていても、条件反射のように私の体は反応してしまう、私はそれをどうにかするのは当の昔に諦めてしまっている。
 彼らは無害だ、と、何度も心中で訴える。だというのに、笑い声が耳に入り込むたびに体が大げさに震えてしまう。羞恥で頬は赤く染まり、水分が目の奥から湧き出してしまう。こればかりはどうしようもない。
 テスト、彼氏、部活、ムカツク友達、嫌いな先生の話、様々な雑談が断片的に聞こえてくる。なんて平和、なんて無駄な人生だろう。
 私は鞄にしまっていた文庫本を取り出して、鞄のチャックをしっかりと閉じて、その上で本を開いた。こうすれば雑音は勝手に私の世界から消え去ってくれる。

 私が最も嫌悪している事は、他人のやる事成す事にいちいち興味関心を示して、自分の納得のいく答えが返ってくるまで追及の手を緩めない事だ。無論、そんな性質の悪い事をする人間なんて学生と頭の可笑しい奴くらいだろう。
 あれは私がまだ学生だった頃、昼休みの時の事だ。喧騒の中、私は一人席について読書をしていた。学校の図書室で借りてきたファンタジー小説だ。シリーズ物で、私はその作品を随分気に入っていた。大人になった今、触れる機会は随分少なくなってしまったが、今でも愛読書の一つだ。そんな至福の時に、一人の女生徒が割り込んできた。こういう事を平気でするのは、決まって普段から読書をしない人間だ。本を読む人間にしか、この苛立ちは分からないだろう。
 とにかく、その女生徒は私にこう尋ねた。「何の本読んでるの?」この質問は正直言って、嫌いだ。何の本、ファンタジー小説です、と、でも言えばいいのだろうか。それとも女性作家が書いた、子供向けの児童書です、と、でも言った方がいいだろうか。そんな質問は本が読み終わってからじゃダメだろうか、今、この時にどうしても聞かなくちゃいけないことだろうか、私はそうは思わない。けれど私は丁寧に答える「ローワンの物語っていうファンタジー小説だよ」しかしそれだけで話は終わってくれない。
 普段は絶対に話し掛けてこないくせに、どうしてこう、話し掛けて欲しくない時に限って構ってきたりするのか、私には理解できない。人の邪魔がそんなに楽しいのか、私の読む本がよっぽど面白そうなのか、後者ならいい、私が読み終わった後、是非図書室に借りに行って欲しい。
 タイトルの次は内容の説明を求められる、これもよく分からない。いや、これが一番よく分からない。内容なんて自分で読んで知ればいい、自分で読む権利を放棄して他人に請うのは間違っている。これが、私から読んで欲しいと願い出たことなら分かる、でも違う、内容を知りたいのは私のほうだ。
 そうこう問答を続けていると、次第に人が集まってくる。私は幼児に絵本を読み聞かせている保育士にでもなった気分だ。頼むから静かに本を読ませて欲しい、その後ならいくらでも雑談に付き合おう。
 でも、ああ、こんなのは序の口だ。真に嫌悪すべきなのは、あの男子生徒だ、私はあいつだけは絶対に許さない。名も知らない、あの男の事を、私は生涯決して忘れはしない。

 マナー違反かもしれないが、私は電車に乗っている間の時間を、よくゲームをして過ごしていた。イヤホンを差して音洩れはしないように心がけてはいたが、マナー違反だったら申し訳ない。私も社会常識のなっていない学生の一人だったのだ。
 私への怒りは後回しにして頂き、とりあえず話を聞いて欲しい。
 私は電車の座席に座ってゲームをしていた。P知っている方もいるかと思うが、私はPSP用ゲームのGOD EATERというゲームをプレイしていた。余談だが、私はこの手のゲームが大の苦手だ。とにかく、私はそのゲームに熱中していた。すると、向かいの席に座っていた男女の学生が私を指差していた。イヤホンを差していた所為で上手く会話は聞き取れなかったが、気にしても仕方ないので、意図的に意識しないように努めた。すると、驚く事に、いきなり男子生徒のほうが私の隣に座ってきたのだ。さりげなく、こっそり、なんてもんじゃなく、堂々と、無遠慮に、不躾に、おぞましい行為だ。私はあまりの衝撃に男子生徒を見た。女性生徒にも視線をやった。二人は始終にやにやと汚らしい笑みを浮かべていた。二度と会いたくはないが、次に会ったなら、私は心の中で死ねと呟いてしまうだろう。
 男子生徒は私のプレイしているゲームを確認したかったようだ。私は急いでゲームをスリープモードにして鞄にしまいこんだ。こんな男に自分の情報を少しだって分け与えたくなかった。気持ち悪かった。男はゲラゲラと笑いながら「俺このゲーム知ってるわ! やったことある!」と女子生徒に報告に行った。私はとにかく死にたくなって、消えたくなって、どうして自分がこんな目に会わなければいけないんだ、と、何度も自問自答を繰り返した。
 後にも先にも、こんな屈辱は味わったことがない。私の学生嫌いの半分はこの男女の所為といってもいいだろう。
 この後のことはよく覚えていない。よっぽど屈辱的だったんだろう、本当に記憶に残っていない。もういい、思い出したくない、忘れたいとは言わないが、早く自分の中で消化したいものだ。

 学生じゃなくなって、私は久しぶりに電車を利用した。運悪く、下校時間と被ってしまい、駅には学生が溢れていた。
 私はジャンプを愛読している。学生の頃からずっと読み続けている、きっと何年経っても好きだろう。そして、その日は月曜日だった。私は電車に乗る前に売店でジャンプを購入していた。案の定、学生の視線が突き刺さった。
 分かっている。これは私の被害妄想だ。きっと彼らは、そんな私の姿なんて少しも気にしていないんだろう。そう思ってジャンプを開くと、座席の前で立っていた女子生徒二人が、密やかな声で何か言っている様子が伝わってきた。私だ、咄嗟にそう思ってしまった。するともう、この車内全員が私を笑っているのだ、と、思ってしまった。
 それでも途中でしまうのも可笑しな話で、私は読み続けるしかない。楽しい時間が、一転して苦行となってしまった。
 なんで学生という奴は無遠慮の塊みたいな存在だ。全てが許されると思っている。あどけなさが免罪符になっている。学生というだけで許されると、勘違いも甚だしい。
 小心者の自分にも腹が立つが、人を平気笑える目の前の女子にも憤りを感じる。ガスの火で肌が炙られるような感覚が全身を襲う。私が何か罰を受けるような事をしたというのなら、どうか、この体に鞭を打ってください、その方がずっとマシだ。

 学生は黒だ。
 遠目から見ると、学生は黒の塊に見える。正確には群青や藍に近いのだが、私には黒に見える。髪の色も黒が多い所為だろう。
 私は学生が髪を染めるのもあまり好きじゃない。正直に言うなら、金や茶が好きじゃないだけで、私は黒が好きなだけなのだ。日本人は黒、学生は黒、周りの人間がいくら髪を染めようと、私は黒が好きなのだ。
 美容師にこう言われた事がある、皆さん金髪にしたりするのに、あなたは染めないんですか、と、愚問だ。周りが染めるからって、どうして私まで右にならえをしないといけないんだ。馬鹿馬鹿しい。
 と言っても、私は品行方正な学生じゃなかった。周りを批判していいほど、出来の良い人間じゃなかった。でも私は学生を嫌悪しているし、学生に好印象を抱くこともないだろう。全部を嫌うし、全部を憎んでいる。中学生の時から、きっと大人になって、年を取って、老婆になったって、私は学生を嫌悪する。
 まだまだ言い足りない。
 もっともっと嫌いな事がたくさんあるのだ。
 でも、何かを嫌うということは、とても疲れる、だから今日はここでおしまいだ。私は不満の塊だから、学生だけに憤っているわけにはいかないのだ。

 とにかく――――学生時代はすべからく消し去ってしまいたい。





黒が好き
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.8 )
   
日時: 2012/06/13 10:08
名前: 春姫 ID:QiNx0m4I


 夜の街灯を私はただ見ていた。ベランダの手摺の上に座って、後から後から押し出すように溢れてくる涙に逆らわず、ただしくしくと泣いていた。何が悲しいのか、明確な理由があったはずなのに、今はただ泣きたいから泣いていた。
 街明かりは涙のおかげで綺麗な光の塊と化していた。目を細めれば、光の線が空高く登り、まるで万華鏡のように多種多様な輝きを私に見せてくれた。綺麗だった。視力の低下を嘆いた私にとって、この景色は神様からの贈り物のように思えた。
 死にたいと思うことはあるけれど、そのたびに家族の泣き顔や、私の死体を思うと、私はいつも死ねない、いや死にたくないと思った。今もそうだ。私がこのマンションの九階から身を投げれば、下で犬の散歩をしている男性のささやかな日常は壊れるだろう。部屋の中、私がこうしてベランダで黄昏ていることも知らない家族は、私が飛び降りたことにも気が付かず、全て終わった後で、私の愚かさに悲しみと怒りを感じるだろう。そして私は昔に読んだ本の内容を思い出した。飛び降りは失敗(つまり即死できなかった場合)地獄の苦しみを味わうのだそうだ。ここは九階だが高さは足りるだろうか、死に損なったりしないだろうか、足は折れるだろうか、骨は飛び出すだろうか、体はひしゃげて恐ろしい姿になるだろうか、痛いだろうか、ここで泣いている方がマシだと思えるくらい痛いだろうか、そう思うと私は死にたくなかった。ここでこうして自分の愚かさに涙している方がマシだった。
 私は、何といえばいいのか分からない。私は自分のことを出来損ないだと思っている。私は産まれたその時から既にボダンをかけ間違っていたんじゃないか、そう思っている。でもそのたびに、自分を甘やかすなと父に言われたことを思い出す。甘やかしているのだろうか。分からない。何も分からない。分からなければ聞いて、と、私に言ったその人に聞いてやりたい。きっと誰も答えなんて知らないはずだ。ごめんなさい、と、謝罪した。その言葉は誰にも届かなかった。
 夜の街を走る車の明かりが、まるでパレードのようだった。ビュンビュンと過ぎ去っていく車の明かりが、本当にパレードのようで、私は思わず心が弾んだ。それでも涙は止まらなかった。掻きむしった左手が痛かった。自分で殴った頬が痛かった。六月でも夜中の外は肌寒かった。半袖から伸びる腕をさすった。――――神様、私は役立たずです。
 最初を間違えたらもうダメだ、父は私にそう言った。そうですか、お父さん、なら、私はもうダメですね。お父さん、私は、ダメですか。お父さん、私は間違いですか。私は、覚悟も何も無い、愚かで情けない、根性なしの、甘ったれでどうしようもないクズです。クズです、もう、頑張るなんて言えないよ。頑張るとか、頑張りたいとか、努力するとか、努力したいとか、言えないよ。苦しいよ。助けて欲しいよ。なんで、なんでこんなこともできないの私は、私は、なんで。なんで。なんで。なんで。なんで。
 綺麗事を嫌う人は多いけれど、綺麗事も言えなくなったら人間は終わりだと私は思っている。私はずっと綺麗事で自分を守っていた。他人に自分を否定されるのが嫌だから、綺麗で正しい言葉で自分を守っていた。自分の本心を言えば、きっと人は私を否定するだろう、だから私は綺麗事で自分を守った。「頑張るよ」「私が悪いから」「大丈夫」……もう無理だ。私は、好き勝手にしたい。でも、それは許さない。それは正しくない。でも、でも、私は……私の心は、無視していいんですか。苦しさを、悲しさを、辛さを、全て無視して、無理して、頑張って、その先に、私は……私は。
 とどのつまり、私は謝ることしかできない。一番卑怯で、一番愚かなことしかできない。分かってる! 分かってる! 分かってない。何も、分かってない。
 出来ない、否定される。
 頑張れない、否定される。
 もう嫌だ、否定される。
 逃げたい、否定される。
 助けて、否定される。
 自分の好きなことを見つけなさい――――私は家族がそこで笑ってくれるだけで幸福です。嘘です。家族がそこで笑って私を受け入れてくれれば、それだけで、頑張れたのに。
 たった一言「辛かったね。頑張ったね」それだけで、良かったのに、本当に?
 夜の街灯を私はただ見ていた。涙と鼻水をジーンズにこすりつけて、出来るだけ音を立てないように泣いた。私はただ構って欲しいだけだったけれど、誰も構ってはくれやしなかった。大人になるのって、難しいね。生きるって難しいね。死ぬって難しいね。仕事って難しいね。なんなんだろうね。私が異常なだけなんだろうか。私が出来損ないなだけなんだろうか。でも、もし、私と同じ悩みを持つ人がいたのなら、私はあなたにこう言いたい。

 私はあなたが好きです。
 私はあなたを許します。
 あなたは充分頑張りました。辛くても、悲しくても、出来なくても、笑われても、あなたが頑張ったことを私だけは知っています。
 だからあなたも私にそう言ってくれませんか。
 好きだって、許すって、頑張ったって、言ってください。








(間違っている私の、間違っている悩み)
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.9 )
   
日時: 2012/06/28 20:29
名前: 春姫 ID:3LMH0xxY


 好きよ、好き、好き好き好きよ、大好きよ、どれくらい好きか分からなくなってしまうほど好きなのよ、好き、好き、好き過ぎてダメになっちゃうほど好きなのよ、ほんとに好きよ、大好きよ、好き好き大好き、死んじゃいたいほど好きなのよ。
 目が好きよ、その目が好きよ、その目を見るだけで下半身が熱って、抉り取って舐め回したいほど好きよ、歯で磨り潰して感触を味わいたいほど好きよ、でも、ダメ、私を映してちょうだい、その、目で、好きなだけ私を映してちょうだいよ。
 口が好きよ、その口が好きよ、その口に口付けて、私の下で隅の隅まで味わい尽くしたいの、綺麗な歯並びだからきっと舌でなぞれば気持ちいいんでしょうね、ああん耐えられないの、早く口付けて、好きなように貪りたいのいいでしょう。
 指が好きよ、その指が好きよ、その骨ばった指の節に舌を這わせたいの、ゆっくりと舐りたいの、爪の間に舌を入れてカスを舐めとりたいの、柔い爪を歯みたいの、剥いであげたいのよ。
 好きよ、本当に、本気で、本望なの。
 好きなの、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、好きぃ、好き、好き、好き、好き、好きなのぉ、好き、好き好き好き好き好き好き好き好き、好きって言葉ですごいわ、私の感情全部を表してくれる。
 あなたから流れる温かいそれも好きよ。吸って、舐めて、飲んで、もっと、もっともっともっと欲しくなっちゃうあはぁ。
 胸に手を突っ込んで、まだ脈打つそれを取り出すと、あなたはピクピクと小刻みに震えて、可愛い、可愛い、濁った目も、だらしのない口も、冷えた手も可愛くて大好きよ、だからひとつになりたいのよぉ。

 あなたが好き。
 だから、いただきます、全てを、ご馳走を、いただきます、食んで、食んで、食んで、はみ、はみ、はみ。
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.10 )
   
日時: 2012/09/30 21:19
名前: 春姫 ID:eHQd.FkM

泥。




 水面に写る私の顔はまるでおぞましきモンスターのよう。目は二つ、鼻は一つ、口は一つ、けれどおぞましい私の顔を、私はこれ以上見なくて済むように片手でかき回した。冷たい水の感触はすぐにぬかるんだ泥の感触へと変わった。透き通っていた水面は泥に濁り、私の顔を写すことはなくなった。冷たい泥は少しの間、螺旋を描くように舞い上がり、数分もしないうちにまた底へと沈んだ。安堵した。私は確かに安堵の息を漏らした。そうか――どんなに澄んだ物の底にも泥はあるのか。
 私の泥は沈まず、永遠と水面に渦巻いている。私は身の内に泥がたまらぬようかき混ぜ続ける。水面に顔を写せば、おぞましモンスターがそこにいるのだけれど、私はもうそれを恐ろしいとは思わない。誰にも泥はあるのだ。誰もがおぞましさを抱えているのだ。ただ皆その泥を自身の底に沈めて荒らさぬように平静を装ってるにすぎないのだ。


 水面に写る私の顔は泥にまみれて汚ならしい。
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.11 )
   
日時: 2012/10/19 23:42
名前: 春姫 ID:WLupAuYs

質疑応答


「今何歳なの」「家から近いの」「学生?」「高校はどこだったの」「休日は何してるの」「兄妹は?」「免許は持ってるの」「ねえ――」
 馬鹿の一つ覚えだってもっとマシなことを聞いてくるんじゃないだろうか。出会う人間が誰一人漏れずに狂ったスピーカーのごとく同じ事を繰り返し、繰り返し私に問いかけてくる。プロフィール表でも書いてきて壁にはっつけてやろうか、それかみんなで私の情報を共有してくれればいいのに。会話の広げ方をそれ以外みんな知らないんでしょうね。可哀想に、あはは(棒)。
 どいつもこいつもおんなじ事をなんべんもなんべんも聞きやがって、うるせえんだよ、関係ねえだろうが、個人情報だボーケ! てめーらにも同じ事を聞いて差し上げましょうか? そんで「答えは結構、興味ないので」って切り捨ててあげましょうか、あはは! バーカ!
 私も大人だから逐一、逐一ばっかみてーに応えてあげるけど、これってなんていうの、大人の嗜みってやつなの? あー、ますます大人になりたくなくなるわ。大げさにため息を付いてお手上げのポーズを取る。みんなの通信簿の興味関心の項目は二重丸どころか花丸をあげましょーね、うふ。
 私は他人への関心が薄い。その人に好かれたいという感情はあって、嫌われたくもないとも思う。でもその人と親密になりたいだとか、その人の秘密を知りたいだとか、その人と感情を共有したいとは思わない。だって人は夜通し語り合って手を握り合って眠りあったって別の夢をみるんだよ……て、これは受け売りだけどね。でも私はそれに納得、というか安心したのです。私だけが別の夢を見ているんじゃないか、私だけが違う世界を見ているんじゃないか、私だけが違ういびつな人間なんじゃないか――異常者じゃないかって。
 心に引いた境界線を超えようとする人間が苦手だ。私の心を勝手に詮索する人間が嫌いだ。簡単に好きになって、簡単に嫌いになる人間が嫌いだ。そんな人間の内の一人でもある自分も嫌いだ。人間って生き物が嫌いだ。汚い、すごく汚いと思っちまうのだ。
 興味ないよ。あんたらなんて興味ないよ。
 どこでなにしてようが、野垂れ死のうが、殺されようが、興味ないよ。ニュースに出てくる事故死したどっかの誰かの死の方が万倍心を痛めるよ、あはは(悲)。――なんで、みんな他人の一挙一動を見なきゃ気が済まないの?
 私がどんな存在ならあなた方のお眼鏡にかなうの? ねえ? ねえ? ねえ? ねえ? ねえ? ――鬱陶しいよ。

「お嬢さんはとっても気立ての良い、美しい人だねぇ」
 使い古された社交辞令に私はにっこり微笑んで「そんなことありませんよぉ。でもありがとうございますぅ」と猫なで声で返す。ばっかみたい。気立ての美しい人が平気な顔して嘘ついたりする? しないでしょ? バーカ! バーカバーカバーカ! 汚い私の本性を見せたら、みんな手のひらを返して糾弾するくせに!! ダイッキライ!
 それでも私はガラスの仮面を外すせない。醜い私は分厚い扉の向こうに閉じ込めて、たくさんの鍵を掛けて出てこれないようにしてあげる。わかってる、全部私が悪いのだ。
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.12 )
   
日時: 2013/01/17 09:47
名前: 春姫 ID:3DlJa45A

 君を刺した。
 君のお腹に小ぶりだけど鋭く尖ったナイフを突き立てた。大した抵抗もなく、なんなくナイフは胸に滑りこんでいった。血が隙間から静かに溢れてきた。君の口からも血が流れてきて、僕はなんとなくその血を舐めた。
 君が好きだった。
 優しい笑顔が好きだった。僕だけに見せる冷たい表情が好きだった。どんな人にも優しいところが好きだった。僕だけに見せる暴虐武人さが好きだった。いつも完璧で完成されている姿が好きだった。僕だけに見せる耐え切れずに溢れる涙が好きだった。
 僕だけに見せる――本当の君がとても好きだった。
 だから僕は刺した。傷だらけの君に更に傷を作った。最低で、下劣で、愚かで、とにかくとんでもない過ちを僕は犯した。でもそれでいい。それで君が解放されるなら、僕はいくらでも罪を背負おう。
 決別の言葉を僕は口にした。


「君が好きだよ、優しくなくて、笑顔が素敵じゃなくて、完璧じゃなくて、完成品じゃない……君が好きだった」


 そして僕は君に突き入れたナイフを、自分の胸に突き刺した。暗転。でもそこに君がいて同じように横たわっているのなら、こんなに幸せなことはなかった。
 サイレンの音がどこからか聞こえてきた。君の言うとおり事前の準備は本当に大切だ。これで安心して眠れる。






「……わた……し……も……」







 そんな都合のいい言葉は僕の耳に届かなかった。
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.13 )
   
日時: 2013/04/12 22:40
名前: 春姫 ID:L7xIz30k

※罵詈雑言の嵐注意






 親切は断っちゃいけませんって法律でもあるんですか?


「送ってたげるよ」

 はい、上から目線! 何その上から目線? 感謝でもして欲しいのか、有難がって欲しいのか、さっぱりわかりませんけど、全然嬉しくないですから! 迷惑ですから! 大きなお節介ですから!
 だいたいあなたシートベルトはしないわ、携帯電話で通話しながら運転するわ、タバコは吸うわでもう最悪なんですわ! 最低なんですわ! 死んで? マジで迷惑だから死んで? そんな運転で私を送っていくだなんてふざけないでくださる? あっはっは! 死ね!
 というかこんなこと考えてる自分に嫌悪しちゃうからほんとやめたげて。罪悪感なんて抱いちゃうからやめたげて。断る方だって辛いのよ? わからないでしょ? だってあなたは『親切』で言っているんだもんね。それを断る私が悪いんだもんね。そうだよねえ。悪いのは私なんだよねえ。いみわかんねえ。
 あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ死ね!
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.14 )
   
日時: 2013/12/10 00:46
名前: 春姫 ID:Xc5haKgs


「いつまで寝ているつもり」

 カーテンの向こうから差す光が眩しくて手で覆うと、聞き覚えのある声が窘めるように囁いた。すぐ近くに感じる人の気配にのろのろと瞼を上げると、まだ下着姿のチヅが手鏡を持って化粧をしている最中だった。チヅの手に握られたグロスを見ていると、チヅは僕が起きたことに気づいたのか、鏡の中の自分から目を離さずにうんざりした声を出した。

「あのね。私はこれから出かけなくちゃいけないの。とっとと支度して。出て行って」

 一言一言区切るようにチヅは言った。チヅは普段はとても優しくて温かい女性だけど、僕の前ではとてもつっけんどんな態度をとった。本人からも言われたことがある。僕は最低にだらしなくて、節操なしの変態野郎だって。罵るようにそう言われたことを僕はまだ覚えていた。なのに僕たちは昨日同じ布団の中で絡み合ったのだから不思議な話だ。

「チヅ」
「なに」
「ちーづー」
「だから」
「ちーづーるーちゃーんー」
「なに」

 ずるずると這いずるようにチヅに近づいていって、剥き出しの腰に抱きついた。温かくて柔らかいチヅの体からはおひさまみたいな香りがして心地よかった。チヅはそれ以上怒らなかった。文句もなかった。抵抗も否定もなかった。ずっと昔からの付き合いだというのに、僕はチヅのことを何も知らないなと何故か今気づいた。思考する僕の傍らでチヅは黙々と化粧を続けていた。ノーメイクのチヅも可愛いよと褒めてあげようとしたところで、僕はチヅの体が震えていることに気づいた。

「チヅ?」
「……あんたなんて死ねばいいのに」
「酷いな」
「何で抱くのよ。私なんて女じゃないって、あんたが言ったんじゃない」

 それは、別に大した意味も意思もなかった言葉だった。なぜならチヅは僕にとってはもう女なんて領域を軽く超えていて、そういう対象からはかけ離れていた。だからチヅがそのことで思い、悩み、苦しむなんて思わなかった。僕は知らず知らずにチヅを傷ついていたみたいだ。そのことが分かっても僕にはどうしようもなかった。僕はチヅを抱けるし。チヅは僕に抱かれてしまった。僕は時を巻き戻せる神様じゃないからチヅにしてあげれることなんて何もない。

「責任とろっか」

 ちょっぴり本音の僕の言葉だった。
 チヅは幼い頃から側にいて、一緒に大人になった人だ。この先も多分一緒だろうから、関係性が変わるだけにすぎないと僕は思った。だけどチヅは震えたまま沈黙してしまった。僅かな嗚咽と鼻をすする音だけが部屋に響いた。外は少しずつ騒がしさを増していくのに、僕達の周りはあまりにも静かだった。不意に嗚咽が止み、最後だと言わんばかりに豪華な鼻をすする音がした。

「離して。服が着れない」
「あ。うん。というか普通、化粧をする前に服を着るべきだよね」
「うるさい」

 余計なことだとは思ったがつい言ってしまった。案の定叱られた。

「とってね」
「ん」
「責任とりなよ。たまには」

 後ろを向いたまま洋服棚から服を取り出すチヅの声はいつも通りだった。だけど僕には分かった。チヅがとても緊張して、とても覚悟をしていることに気づいた。僕のとる行動はきっと一つだ。今すぐ起きてチヅを後ろから抱きしめる。そしてそっと耳に囁くんだ。

「愛してるよチヅ」

 きっとそれが正解だ。






 寝起きのプロポーズ
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.15 )
   
日時: 2014/09/02 01:29
名前: 春姫 ID:u2IJ9Igs

 終わりの世界と始まりの君



 人間と呼ばれていた生き物は絶滅しました。
 それは正確ではないけれど、結果的にはそうなるので問題はありません。
 だって生き残った最後の人間は一人しかいないからです。一人じゃ繁殖できないので絶滅するしかないですよね。
 最後の一人の名前はテテ――これは自分でつけました。
 起きたら自分一人だけだったので、本当は名前なんて必要ないけれど、なんとなく名付けてみました。
 自分のことは一切覚えていないけれど、人間という生き物のことは少し覚えていました。

 人間は地球で一番強い生き物でした。
 それが正確かは判断できませんが、自分の思う人間とは、弱いくせに傲慢で、優しいくせに卑劣な、相反する性質を併せ持つことができる歪な存在でした。
 自分は人間を正義や悪で推し量ることはしません。というかできません。
 だって人間という生き物はもう自分しかいないからです。人間の犯した罪と呼べるべき行いはもう過去のことだからです。

 自分は人間です。
 この地球で最後の人間です。

 それはなんて頼りなく、心細いことでしょうか――と、思いつつ草原に寝ころんで空を見上げました。
 人間がいてもいなくても地球は変わらないんですね。
 大気は汚染されていないし。
 海は干上がってないし。
 空は青いままで。
 風は吹いて。
 草木は揺れて。
 太陽は月と入れ替わり、夜が来る。

 自分はいつか死ぬ……そんな当たり前のままの世界が、変わらずに続いていくんです。


「初めまして、ボクはテテです」


 地球に挨拶してみました。
 返事はありません。いえ、もしかしたらあったのかもしれません。ただ自分が感じれないだけで、地球は常に人間に語りかけているのかもしれません。
 どうして草木はおしゃべりできないんでしょうか。
 それとも自分が草木の言葉を理解できないだけなんでしょうか。うん、きっとそうなんだろうと思います。


「人間はきっと地球で一番バカなんですね」


 だから人間は絶滅します。
 遠くない未来――もしかしたらすぐにでも滅んでしまいます。

 瞼を閉じれば、人間がたくさんいた頃を簡単に思い描けました。
 そこに自分がいたかは覚えてないけれど、人間は確かにここにいました。
 みんななにをして生きていたんでしょうか。
 人の行きかう交差点のように、その答えは掴みどころのないまま通り過ぎていきました。

 自分はなにをして生きていたんでしょうか。


「……風、気持ちいいです。ボクは眠いです。お腹がすきました。歌でも歌いたい気分です」


 ……ん。


「ああ……そうか、これだけだ。きっと、みんなこれだけなんです」


 一人ぼっちになっても人間は変われないみたいです。
 自分は草原から起き上がって、大きく大きく伸びをしました。


「とりあえず、歩き出しましょうか。目的地を世界の果てにでも設定して……」



 ボクは耳に覚えのある曲を口遊みながら歩き出しました。

 人間の世界は終わりを告げ――今、ボクの世界が始まりました。






end
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.16 )
   
日時: 2015/11/23 01:59
名前: 春姫 ID:MzZj3cbo

 神さまは、どうして私に涙をお与えになったのでしょう。
 私はとても泣き虫で、痛くても、悲しくても、辛くても、嬉しくても、涙を流してしまいます。
 子どもの頃から、変わらずに私は泣き続けました。
 涙はどこから出るのでしょう。調べれば分かる事でも、私には不思議でたまりません。
 涙が出るとき、目の奥にそれを感じるのです。
 喉が燃えそうなほど熱く感じます、そして、涙は零れだします。
 人は私に、泣くな、と言います。
 ならどうして、人は涙が出るようになっているのでしょう。
 なぜ、神さまは私に涙をお与えになったのでしょう。
 これは罪なのですか。
 試練なのですか。
 辛いです。
 どうしようもなく、辛いんです。

 人の言葉が、態度が、行為が、存在が、なにもかもが私を傷つけるのです。
 私の言葉が、態度が、行為が、存在が、なにもかも全て、間違っているのです。
 神さま、どうして私をこの世に創造なさったのですか。
 もう言葉がでてこないんです
 悲しみを表す言葉がないんです
 私、いていいんですか?
 役に立ってますか?
 ちゃんとできてますか?
 間違ってませんか?
 おかしくありませんか?
 人と違ってませんか?
 いい子ですか?
 優しい子ですか?
 優秀な子ですか?
 大人ですか?
 社会人ですか?
 私って、なんなんですか――?








 神さま、いるんなら、答えを、下さい。
 私には、もう、自分を、肯定できる、ものが、ありません

メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.17 )
   
日時: 2017/09/06 13:33
名前: 春姫 ID:2KsoeIkI

 わたしはいつも両親の顔色を窺っていました。
 母はわたしの話を聞いてくれません。
 父はわたしの話を聞いてくれません。
 二人ともいつも自分の話をします。
 わたしが話そうとすると迷惑そうな顔をします。
 わたしが学校で習ったことを話すと「そんなことは知っている」と言います。
 わたしが友達と遊んだことを話すと「頼むから家には連れてくるな」と言います。
 父も母も仕事で忙しいから遅くに帰ってきます。
 わたしは家の前でランドセルに座って待っています。
 早く帰ってこないかな。
 早く帰ってこないかな。
 マンションの非常階段から外を見下ろしては母の姿を探していました。
 父はいつも些細なことでわたしを叱りました。
 わたしが生意気で言うことを聞かない悪い子だから躾していました。
 「jkじゃいおjgはお:pv」
 父の言葉は暴力で意味なんて分かりませんでした。
 ただふさぎ込み耐えていました。
 けれどそんなわたしは更に父の怒りを誘い、廊下に投げられたリ、家から放り出されたり、ベランダに閉じ込められたりしました。
 母はわたしを庇っていたような気がします。
 けれどやっぱり母も、父が悪いと言いながら、私が父を怒らせないようにすればいいんだと言いました。
 結局父を怒らせる私が悪いのです。
 わたしには妹がいます。
 妹が父に怒られているとすごく悲しくなります。
 まるでわたしが怒られているみたいな気持ちになります。
 だからわたしは父に蹴られる妹を一生懸命守りました。
 父に髪を引かれる妹を、父に首を絞められる妹を、いもうと、いもうと、いもうと、いもうとかわいいいもうとごめんね守り切れないバカな姉でごめんね。
 でもだんだんわたしも父の扱い方を知りました。
 怒った父の対処法も知りました。
 でもそれでもやっぱり父は怒ります。
 わたしのわからない何かが父を怒らせます。
 母に甘えていると父は怒ります。
 テレビを見ていると父は怒ります。
 物を食べていると父は怒ります。
 父をほめないと父は怒ります。
 わたしがなにをしても父は怒ります。
 父の望む私じゃないと父は怒ります。
 母もつかれていました。
 でもわたしは母にしかワガママが言えなかったのに母はそんな私に「おまえはそんなんだからめんどくさい!!」と言われました。
 母にまで捨てられたらわたしは生きていけないと思いました。
 だからわたしは母の機嫌もうかがうようになりました。
 二人の気に入るような発言しかしなくなりました。
 二人の望む娘として振る舞うしかなくなりました。

 どれだけ大人になっても、わたしは子供のままです。

 なぜこの家から出ていけないのでしょう。

 お金を稼げないから?

 世間を知らないから?

 家族しか頼れる人がいないから?

 でもどうかわたしを許してください。
 父の気に入るように振る舞い続ければ父はわたしを愛してくれます。
 母の気に入るように振る舞い続ければ母はわたしを愛してくれます。
 家族しかいないんです。
 他の誰かに愛されたって幸せになれないんです。
 わたしはただ二人に愛してほしかった。
 二人に必要とされたかった。
 わたしを生んで幸せだと思ってほしかった。
 ずっとずっと……。

 外から見ればわたしは恵まれているくせに文句を言うクソ野郎でしかありません。
 親の庇護下に甘え怠惰に言い切る愚図でしかありません。
 一度家も出てもダメでした。
 母はわたしを心配してくれます。
 父はわたしがいなくて寂しがってくれます。
 離れられないんです!!!
 わたしって、なんなんですか?

 どうしたらよかったんでしょうか。
 なにをしたらよかったんでしょうか。
 もう今更手遅れなような気もするし、ここから何とかできるような気もします。
 でもわたしは変われません。
 わたし自身が変われないと決めつけているからです。

 だからここに吐き出して終わり。
 泣いて終わり。
 今からまたいつものわたし。

 パパ、ママ、愛しててください。

 どんなわたしでも愛してください。
 あなたたちの気に入るわたしじゃなくても愛してください。
 あなたたちの娘じゃないわたしも愛してください。

 それができないんなら産まないでください。
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.18 )
   
日時: 2018/01/25 12:44
名前: 春姫 ID:ITGFIrxw

心の痛みは見えないから治しようがありません。病院に行っても、あなたのそれは病気ではありませんよ、大丈夫です、じきに良くなりますよ、というだけで薬一つだってくれません。だから私は自分で治療することにしました。まずは心の痛みを見えるものにしなければいけません。見えなければ触れることもできないからです。そのために私はて身近な物を手にとって自分の頭を殴りました。痛かったです。次にお腹を殴りました。苦しかったです。次に足に投げつけました。痣になりました。良かった。やっと治せると私は思いました。体の痛みはいつか癒えます。良かった良かった。もっと傷つけないとと私は思いました。もっと、もっと、もっともっともっともっともっともっと、いっぱい痛くなりますように。

人の痛みがわかる人になりなさい、誰かの声がいつも頭に響きます。
人の痛みがわかる人になりなさい、誰かの声がいつも頭に響きます。
それじゃあ、ねえ、私の痛みは誰がわかってくれるの?
メンテ
Re: 吐き出し場 ( No.19 )
   
日時: 2018/01/25 12:50
名前: 春姫 ID:ITGFIrxw

7年経っても何も良くならないどころか悪化しているような気がする。
時間とは偉大だ。
過去の痛みは綺麗さっぱり癒してくれた。
時間とは残酷だ。
新たな痛みと試練を飽きることなく与えてくる。
癒す先から傷つけていく、無間地獄だ。
もしこれがアニメの世界ならとっくに滅んでいたっておかしくない。
人間なんて滅ぶくらいがちょうどいい。
喜びも悲しみも、心なんてなくなっちゃえばいいのにね。
メンテ

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